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120.食事会(グラント&キースside)
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キース視点
バスグルのビルス殿下をお迎えし食事会が始まろうとしている。主賓のビルス殿下は着席されているが、まだ多恵様は会場に入られていない。
会場入口を注視しているとモーブル王国のダラス陛下と入場され会場にどよめきが起きる。
多恵様は今日も愛らしいく、陛下のエスコートに緊張している。その表情に胸がキュンとるなる。今すぐにでも駆け寄り抱きしめたくなる。
そんな気持ちを抑えつつ多恵様を目で追うと、ビルス殿下の隣に着席された。ビルス殿下が多恵様に視線を送り、多恵様は居心地悪そうに視線を彷徨わせている。
心の中で私を見てくれ叫ぶ。すると多恵様の視線が私に来た。瞬きも忘れ想いを送ると、私に気付いた多恵様は手元で何かしている。
すると手首が見える様に袖をまくり控えめに手を振ってくれた。何とその手首には私が贈ったリボンが結ばれている。身も心も高揚し体が熱くなる。
私も多恵様に答えたくて咄嗟に胸ポケットに入っている手帳を右手で押さえた。多恵様は一瞬分からなかった様で小首を傾けたがすぐ気づいてくれて、柔らかい微笑みを向けてくれた。会場の端と端なのに距離は感じない。今私の頭の中では多恵様を思いっきり抱きしめ幸せを感じていた。
その幸せな気持ちを隣に座る遠縁の小父に話し掛けられ壊されてしまった。気付くとまた多恵様は視線を彷徨わせ、あろうことか反対に座るグラント殿に向けている。必死に多恵様の視線を取り戻そうと必死に視線を送るが叶わなかった。
少し遅れて来た親父殿が隣に座る。親父殿もバスグルの入国で慌ただしい。
私が多恵様の視線をグラント殿から奪おうと見つめていたら親父殿が
「やはり恋敵はグラント殿か? 昔から同じ公爵家嫡男で比べられたものだ。グラント殿に勝てそうか?」
「勝負ではありません。愛する人を私の手を幸せにして差し上げたいだけです。やっと心を受け取って貰えたのです。多恵様には今から私の愛に溺れていただきます」
すると楽しそうに笑った親父殿は
「ひと昔前のお前からは想像がつかないなぁ… 感情に溺れる事なく常に最良の選択をしていたお前が、なんの特徴もない女性にこんなに翻弄されるとは…」
聞き捨てならない発言に親父殿を睨み付け
「親父殿…撤回して下さい。あんなに愛らしく魅力的な女性はこの世界にいない。親父殿でもゆるしませんよ!」
「こわいなぁ~!ならその素敵な女性から親父様と早く呼ばれるようにしてくれ」
「言われなくても今から責めますから、安心して下さい」
親父殿に宣言してまた多恵様を見つめた。
グラント視点
ビルス殿下を迎えての食事会。まだ多恵様がお越しになっていない。先ほどモーブルのダラス陛下と多恵様の昼食会に、ビルス殿下訪問の伝達に行った時、思いのほか二人が仲睦まじく話していたのが妬ましかった。
どうやら私は自分が思っていたより嫉妬心が強いらしい。生まれてこの方こんなに人に執着したことがない。今もずっと多恵様の視線が欲しくて見つめている。しかしその多恵様は誰かに手を振っている。その相手を探すと私の反対側に座っているキース殿だった。
心の中に良くない感情が沸き上がり必死に自分を抑える。キース殿は胸に手を当てて多恵様に応える。多恵様は少し考えて愛らしい微笑みをキース殿に向ける。恐らくその仕草は2人にしか分からない事なのだろう。
目の前に情景に謂れもない感情が渦巻く。このドス黒い感情を治めて欲しくて必死に多恵様に視線を求む。
やっと多恵様は私の視線に気付いてくれた。私を忘れて欲しくなくて私が付けた”印”を指さす。
多恵様は真っ赤な顔をして頬を膨らまし少し怒っている様だ。きっと恥ずかしいのだろう。膨れっ面が可愛らしく、あの頬に数えきれない程の口付けを捧げたくなる。
今多恵様に”印”を付けれたのは私だけだろう。そう思うと身が震え心が高揚する。
もっと多恵様の眼差しが欲しくて見つめていたら、多恵様はビルス殿下に話しかけられ、もう視線は私に送られない。肩を落としていると隣に座る父上が
「多恵様のお心はいただけそうか⁈」
「私の心は受け取っていただき、いま距離を詰めている所です。流行り病対策の為、我が領地を案内する際にもう少し踏み込みたいと思っています」
視線を多恵様に向けていると、父上はしみじみと
「本当に夢を見ている様だ。アルディア一の美女や、他国の美しい高位貴族令嬢にアプローチされても、眉一つ動かさなかったお前が必死で女性に求婚するなんて」
「やっと運命の女性に会えたのです。必死にもなりますよ」
父上は私の肩を叩き
「早く多恵様にお義父様と呼ばれたいものだ」
「でしたら口出しせずに見守ってください」
多恵様は戸惑いながらも少しずつ受け入れてくれている。多恵様はかなりの奥手で鈍感だ。彼女のペースに合わせつつ他の候補者に出し抜かれないようにせねばならない。早く私の腕の中に落ちて来て欲しい…
そう思いながら愛しい彼女を見つめ続けた。
バスグルのビルス殿下をお迎えし食事会が始まろうとしている。主賓のビルス殿下は着席されているが、まだ多恵様は会場に入られていない。
会場入口を注視しているとモーブル王国のダラス陛下と入場され会場にどよめきが起きる。
多恵様は今日も愛らしいく、陛下のエスコートに緊張している。その表情に胸がキュンとるなる。今すぐにでも駆け寄り抱きしめたくなる。
そんな気持ちを抑えつつ多恵様を目で追うと、ビルス殿下の隣に着席された。ビルス殿下が多恵様に視線を送り、多恵様は居心地悪そうに視線を彷徨わせている。
心の中で私を見てくれ叫ぶ。すると多恵様の視線が私に来た。瞬きも忘れ想いを送ると、私に気付いた多恵様は手元で何かしている。
すると手首が見える様に袖をまくり控えめに手を振ってくれた。何とその手首には私が贈ったリボンが結ばれている。身も心も高揚し体が熱くなる。
私も多恵様に答えたくて咄嗟に胸ポケットに入っている手帳を右手で押さえた。多恵様は一瞬分からなかった様で小首を傾けたがすぐ気づいてくれて、柔らかい微笑みを向けてくれた。会場の端と端なのに距離は感じない。今私の頭の中では多恵様を思いっきり抱きしめ幸せを感じていた。
その幸せな気持ちを隣に座る遠縁の小父に話し掛けられ壊されてしまった。気付くとまた多恵様は視線を彷徨わせ、あろうことか反対に座るグラント殿に向けている。必死に多恵様の視線を取り戻そうと必死に視線を送るが叶わなかった。
少し遅れて来た親父殿が隣に座る。親父殿もバスグルの入国で慌ただしい。
私が多恵様の視線をグラント殿から奪おうと見つめていたら親父殿が
「やはり恋敵はグラント殿か? 昔から同じ公爵家嫡男で比べられたものだ。グラント殿に勝てそうか?」
「勝負ではありません。愛する人を私の手を幸せにして差し上げたいだけです。やっと心を受け取って貰えたのです。多恵様には今から私の愛に溺れていただきます」
すると楽しそうに笑った親父殿は
「ひと昔前のお前からは想像がつかないなぁ… 感情に溺れる事なく常に最良の選択をしていたお前が、なんの特徴もない女性にこんなに翻弄されるとは…」
聞き捨てならない発言に親父殿を睨み付け
「親父殿…撤回して下さい。あんなに愛らしく魅力的な女性はこの世界にいない。親父殿でもゆるしませんよ!」
「こわいなぁ~!ならその素敵な女性から親父様と早く呼ばれるようにしてくれ」
「言われなくても今から責めますから、安心して下さい」
親父殿に宣言してまた多恵様を見つめた。
グラント視点
ビルス殿下を迎えての食事会。まだ多恵様がお越しになっていない。先ほどモーブルのダラス陛下と多恵様の昼食会に、ビルス殿下訪問の伝達に行った時、思いのほか二人が仲睦まじく話していたのが妬ましかった。
どうやら私は自分が思っていたより嫉妬心が強いらしい。生まれてこの方こんなに人に執着したことがない。今もずっと多恵様の視線が欲しくて見つめている。しかしその多恵様は誰かに手を振っている。その相手を探すと私の反対側に座っているキース殿だった。
心の中に良くない感情が沸き上がり必死に自分を抑える。キース殿は胸に手を当てて多恵様に応える。多恵様は少し考えて愛らしい微笑みをキース殿に向ける。恐らくその仕草は2人にしか分からない事なのだろう。
目の前に情景に謂れもない感情が渦巻く。このドス黒い感情を治めて欲しくて必死に多恵様に視線を求む。
やっと多恵様は私の視線に気付いてくれた。私を忘れて欲しくなくて私が付けた”印”を指さす。
多恵様は真っ赤な顔をして頬を膨らまし少し怒っている様だ。きっと恥ずかしいのだろう。膨れっ面が可愛らしく、あの頬に数えきれない程の口付けを捧げたくなる。
今多恵様に”印”を付けれたのは私だけだろう。そう思うと身が震え心が高揚する。
もっと多恵様の眼差しが欲しくて見つめていたら、多恵様はビルス殿下に話しかけられ、もう視線は私に送られない。肩を落としていると隣に座る父上が
「多恵様のお心はいただけそうか⁈」
「私の心は受け取っていただき、いま距離を詰めている所です。流行り病対策の為、我が領地を案内する際にもう少し踏み込みたいと思っています」
視線を多恵様に向けていると、父上はしみじみと
「本当に夢を見ている様だ。アルディア一の美女や、他国の美しい高位貴族令嬢にアプローチされても、眉一つ動かさなかったお前が必死で女性に求婚するなんて」
「やっと運命の女性に会えたのです。必死にもなりますよ」
父上は私の肩を叩き
「早く多恵様にお義父様と呼ばれたいものだ」
「でしたら口出しせずに見守ってください」
多恵様は戸惑いながらも少しずつ受け入れてくれている。多恵様はかなりの奥手で鈍感だ。彼女のペースに合わせつつ他の候補者に出し抜かれないようにせねばならない。早く私の腕の中に落ちて来て欲しい…
そう思いながら愛しい彼女を見つめ続けた。
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