女神の箱庭は私が救う【改編版】

いろは

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148.しつこい

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剣を片手に居間に来たミリアさん。

「今誰かいませんでしたか⁈」
「うん。フィラが来てた。驚かせてごめんね」
「ご無事ならよかったです」

ミリアさんはフィラがなせ来たのかあえて聞かないし、私もあえて言うつもりは無い。
そして少しするとサリナさんが部屋に来た。
私の様子を見に来てくれたよう。流石出来る侍女の気遣いは一級品です。夕食を食べていない私を気遣い朝食は早めに用意してくれるらしい。有難いさっきからお腹の虫が大合唱中です。

リックさんも早めに起床した様で、朝食は早めにいただく事になりました。今朝はサリナさんも一緒。
そしてミリアさんから昨日のピートさんとジャックさんの求愛合戦を聞いたサリナさんは鼻息荒く

「ね!やはり虫よけは効かないと言ったでしょう。あの二人は帰る直前まで言い寄りそうです。しつこい時は…〆ます」

静かに笑うサリナさん。たまに怖い時があるよ貴女…。
朝食を終え直ぐに機織り場に向かいます。
通用口を出ると困った顔のローガンさんがいる。どうしたんだろう? 屋敷の外にはピートさんとジャックさんが。確かに昨日お断りをしたはずだけど…

「ローガンさんあれ…」
「はい。勝手に来て勝手に待っている様です。先ほどサリナお嬢様にも帰る様に言われていたのですが…正直困っていまして」

ふとリックさんが視界に入ると完全に騎士の顔になっている。帯剣して無くてよかった。流血事件が起こるよ。

「はぁ…ちょい話して来る。ここで待っていて」

2人の元へ。

「おはようございます。昨日はありがとうございました。確か昨日お迎えはお断りしたと思うんですが」
「俺迎えに行くって言った!兄貴は勝手についてきたんだよ!」
「お2人共お仕事は? 私働く男性が好きです」

「「・・・」」

よし!このまま帰って!

「俺さユキちゃんに頼まれたサリナ嬢様の贈り物の件、ばぁさんに話して来たんだぜ。お礼に送らせてくれてもいいだろう」
「お礼はした筈ですが⁈」

黙り込んだジャックさん。ごめんね気持ちは受け取れないよ。

「そうか。あの子供の練習用はユキちゃんの為だったんだ。俺さばぁさんに呼ばれて急遽子供用を3台納屋から出してセットしたんだよ。
普通の織り機では初心者はほんの少ししか織れないからね。それなら俺もユキちゃんのお願いを手伝ったからご褒美もらえるよな!」

ピートさんはにやけ顔で寄って来て背後から殺気が飛ぶ。思わず後ろを振り返り首を振ってミリアさんとリックさんを止める。

「ピートさん両手を上に上げて!」
「何故?」
「いいから!」

ジャックさん同様ピートさんに抱き付き“ぎゅー”っとした。ジャックさんよりは華奢だけどやっぱり農作業しているせいか肢体はがっちりしている。

「ユキちゃん!」

ピートさんが両手を背中にまわし抱きしめた。

「「「!!」」」
「兄貴ユキちゃん離せ!俺は“ぎゅ”だけだったぞ!」
「女性に抱き付かれて何もしないお前がバカなんだよ」

ピートさんの腕の力が強くなり苦しくなる。ピートさんの背中をパンチするが、所詮は猫パンチ程度の威力で効かない。私が藻掻いているのに気づいたリックさんが駆け寄り、ピートさんを引き離しリックさんの腕の中に保護された。

「リックさん怒らないで。私が悪いから」
「たっ…ユキは優しすぎる。こいつらがつけ上がるだけだ!」

ピートさんとジャックさんに向かって

「お礼はしました。送迎は必要ないですからお仕事に戻って下さい」
「これで最後だから行きだけでも送らせてくれ」

2人は引き下がらず埒が明かない。結局私が折れて今二人の荷馬車に乗せられて隣町のお2人の親戚の機織り場へ向かい、帰りはローガンさんが来てくれることになりました。
リックさんは超不機嫌でミリアさんは呆れ顔です。押しに弱い私が悪いのは分かっているから許して欲しい…

約1時間で機織り場に着いた。作業場の前には品のいいおばぁちゃんが居て迎えてくれた。

「領主様から聞いているよ。今日教えるマーガレットです。よろしくね可愛いお嬢さん」

優しそうなおばぁちゃんで安心し、自己紹介すると、先に機織り場を見せてくれる様だ。
おっと忘れていた2人の元に行き

「ありがとうございました。いい思い出になりました。明日お会いできるか分からないのでご挨拶させて下さい。これからもお…」
「待って!俺ら明日お見送りに行くから」
「いいですよ!お忙しいのに」
「そんなつれない事言わないでよユキちゃん」

すると殺気を抑えないリックさんが来て

「いい加減しつこいのは我慢ならん。力づくで排除するぞ」

リックさんの本気の殺気に何かを感じ取った二人は退散していった。すると苦笑いしたおばちゃんが

「ごめんね。うちの男どもは執着心が強くてね。爺さんもそうでね、私もしつこく言い寄られて最後は根負けしたの。ユキちゃんは頼れるお兄さんとお姉さんがいる様だから大丈夫そうだね」
「あははは…」

もう笑うしかない。
やっと2人が帰り機織り場を見せてもらった。小屋の中には8機の機織りがあり、私と歳の近い少女から中年女性がパタンパタンとリズミカルに織っている。
機織り機は元の世界の物に似ている。見てる間に綺麗な布がどんどん織りあがって行く。
説明を一通り終えたおばぁちゃんは隣の部屋に案内してくれ、そこにはさっきの織り機より一回り小さい織り機がある。
3人並んで織子さんが一人ひとり付いてくれ織物を始める。
私に付いてくれたのはおばぁちゃん。何を作りたいか聞かれ

「ハンカチ大の敷物を3枚作りたいです。今日中にできますか?」

少し考えたおばぁちゃんは

「簡単な柄の物ならできるよ」

お願いし早速織りだします。
初めは間違えてばかりで何度もやり直してけど、半時間も経てば慣れてきて順調に織れるようになってきた。
リックさんはのみ込みが早く意外な才能発揮で難しい柄も織れている。反対にミリアさんは苦手みたいで苦戦している様だ。
各々自分のペースで織り時間が経つのも忘れるぐらい集中していたら、知らない間にお昼になっていた。おばぁちゃんがお昼を用意してくれ織子さんと一緒に頂きます。

女性の中に美丈夫のリックさん。他の女性は頬を赤らめ、たどたどしくリックさんに話しかけている。王都を離れて思うけど王城の男性はみんな格好いい。

バース領の男性も男前ばかりだが比ではないのだ。
少しすると若い男性が一人茶菓子を持って入って来た。どことなくピートさんとジャックさんに似ている。
彼はおばぁちゃんの孫のマルクさんでピートさんとジャックさんとは従弟になるそうで紹介してくれた。
マルクさんは織れた布を加工場に運ぶ担当。
マルクさんは目を見開きミリアさんの横に椅子を置いて話しかけている。どうやらマルクさんはミリアさんを気に入った様で口説き始めている。ミリアさんは私と違い押しに弱くはなくはっきりと

「マルクさん。もしかして口説いてます?それなら無駄ですよ。私王都に彼氏いますから!」

絶句し項垂れたマルクさん。…がめげずにミリアさんにアプローチしている。するとおばぁちゃんが

「あの子もロドリス家の血を継いでしつこいんだよ」

微笑みながら冷たくあしらうミリアさんとめげないマルクさん。真逆で見ていておかしかった。
休憩を終えてまた作業に戻り、黙々と夕方まで織り続け何とかハンカチ大の敷物を3枚仕上げた。
大満足!器用なリックさんは綺麗なタペストリーをお織り上げ、おばぁちゃんにスカウトされていた。ミリアさんは…ここまで不器用だとは思わなかった。でも苦戦しながらなんとか1枚仕上げていた。
お茶を頂きながら雑談していいたらローガンさんが迎えに来てくれ、織り場の方々にお礼を述べて子爵邸に戻った。
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