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第一章 最強パーティ、一夜にして糞雑魚パーティへ
第29話 経緯
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「いいかデュランス。お前の想像通り俺達は新米冒険者じゃない」
俺の言葉にデュランスは目を瞑り、合点がいったように頷く。
「やっぱりそうだったんですね。旦那達の立ち居振る舞いを見てればすぐに勘付きますよ。素人とは思えませんもん」
「そっか。まあ一緒に戦ってればすぐにバレるよなあ」
ネズミ、蝙蝠、百足、そしてネズミの異形。これだけ一緒に戦えばそりゃ誰だって気づくよなあ。
ましてや敵ごと火だるまになって腹にロングソードぶっ刺してりゃ『お前素人じゃねえだろ!』ってなるわな
短い期間とはいえ死線を超えた仲間なんだ。仲間に隠し事はよくないよな。
「でも旦那が俺達と出会った時はレベル1でしたよね? 一体何がどうしてそうなったんですか?」
「そっス! ベルティーナ姉さんだっていかにも大魔道士!って貫禄でレベル1だったから出会った時からすっげえ変だと思ってたっス!」
「あ、あらそう。やっぱオーラ出ちゃってたかしら私。みんなごめんなさい。たぶん私のせいだわ。大魔道士オーラ隠せなかったみたい……ごめんなさい」
「うわめっちゃニヤついてるよこいつ」
「めっちゃニヤついてるのう。完全に気持ちよくなってるやつじゃわい」
「ベルティーナそういうとこあるよね」
気持ちよくなってるベルティーナは放っておいて二人に詳細を説明しとかないとな。同じ仲間として。
「デュランス、ソニア。事情は説明するが、もしも危険だと感じたならパーティから抜けても構わない。それくらい深い案件なんだ」
「何言ってるんですか旦那! 俺とソニアならこの迷宮に足を踏み入れたときから既に覚悟してますよ!」
「そうっス! それにネズミの異形と戦って確信したっス! 私達は姉さんと兄さんとこれからも戦っていきたいって!」
「お前ら……」
デュランスもソニアもこちらを真っ直ぐ見つめながら思いをぶつけてくる。
なんて純真かつ真っ直ぐな子たちなんだ。
どこぞのアラサーダークエルフや偏屈ハーフリングに料理オタクのドワーフにこいつらの爪の垢を飲ませてやりたい!
「わかった。全て話すよ。二人共聞いてくれ」
俺はデュランスとソニアに今までの経緯を説明した。
俺達は十年以上のベテランの冒険者だったこと。最高レベルの20だったこと。
ある朝起きると俺達全員がレベル1に弱体化していたこと。
その謎を解くために再び迷宮に潜ることに決めたこと。
それとは別にそれぞれに迷宮に潜る動機があること。
ベルティーナはレベル15以上のお見合いパーティ参加の為
ギフンは名刀ムラマサの探索、そして愛用しているマジック調理器具『凍結棚』の利用レベルに達するため
オスカーは……色々事情があるが詳しい説明は省いて好奇心の為。
俺はデュエル&ドラゴンズ世界大会に参加するデッキの強化に金が必要になった為に再びパーティを結成したこと。
更にはデュエル&ドラゴンズ世界大会がこの街コースフィンで開催されること。
最近デュエドラ界隈では忌まわしいことにドラゴンデッキが流行っていること
『沼地の毒ドラゴン』『竜王ガルフ』『欲まみれの財宝ドラゴン』どれもが非常に大きなカードパワーを持っている。
大会で優勝する為にはドラゴン用の対策カードを用意しておかなくてはいけないこと。
だが露骨に特定のデッキにだけ刺さるカードを入れればそれだけ本来のデッキの動きが阻害されること
更にはドラゴンデッキ以外のデッキに当たったときにそのカードが腐ってしまうこと
つまり俺の使っている英雄デッキでドラゴンデッキ相手に活躍できて尚且それ以外のデッキと当たっても活躍できるカードが早急に必要だということ
それはズバリ『大物殺しキース』しかないということ
相手のクリーチャーの飛行能力を無効にし、尚且こちらのクリーチャー全体に破壊無効効果を付与するこのカードはまさにその条件を満たしていて
ドラゴンデッキ特有の高いパワーの飛行クリーチャーというお株を奪い、更に破壊無効で地上戦を制圧する。
『大物殺しキース』を四積みすることで大会で当たるであろうドラゴンデッキ使いに対応できるということ
そしてキースは一枚の値段が一万五千ゴールド。四積みとなると六万ゴールドもの大金が必要になること
更に油断できないことに今回の世界大会ではトップレベル、ゴールドドラゴンクラスのプレイヤーの参戦も決まっていること。
ご存知『幻惑のフェアリー使いピエッタ』『揺れる大地の巨人ヴァレート』『輪廻巡りし墓荒らしセーヴィル』
少なくともこいつらの参戦は確定していること。
こいつらを相手に渡り合うには今の俺のデッキではパワー不足だということ。
少なくとも『大物殺しキース』を加えただけでは到底太刀打ちできないということ。
例えばピエッタのエースカード『夢操りのダレン』は相手のクリーチャー全てを手札に戻すという簡潔にして無慈悲な能力を備えている。
キースで付与した破壊不能効果は手札に戻す効果を防げない。
必死で並べたクリーチャーを戻されては体勢を整える前に『妖精の隠れ宿』から生み出される妖精トークンに叩きのめされるのは間違いないだろうということ
揺れる大地の巨人ヴァレートには魔法カード『大地の嘆き』があること
知っての通りあのカードはマナコスト3以下のカードのパワーを0にしてしまう効果があること
小粒を並べる俺の英雄デッキにぶっ刺さっているということ
輪廻巡りし墓荒らしセーヴィルのエースカード『審判を下す者ベリザク』はなんと相手のクリーチャー3体を選択して奪うことの出来るモンスターだということ。
魔法カードや装備カードで鍛えた英雄をそれで奪われてはたまったものじゃないということ
つまり破壊不能を付与したからといって全く安心できないこと
破壊不能には穴があるということ
そしてそんな一つの能力で大勝ちできないような絶妙なバランスで成り立っているデュエル&ドラゴンズは最高のゲームだということ
そのデュエル&ドラゴンズで俺は彼らトッププレイヤーに勝利したい。
その為に今は金が必要で火吹酒と魔法使い亭の亭主であるドレンさんからネズミ問題の解決に乗り出しているということ
俺はそんな今の現状を簡潔にわかりやすく早口で二人に説明した。
途中から二人共『?』って顔をしながら首をひねっていたが仕方がない。状況が状況だからな。
俺の言葉にデュランスは目を瞑り、合点がいったように頷く。
「やっぱりそうだったんですね。旦那達の立ち居振る舞いを見てればすぐに勘付きますよ。素人とは思えませんもん」
「そっか。まあ一緒に戦ってればすぐにバレるよなあ」
ネズミ、蝙蝠、百足、そしてネズミの異形。これだけ一緒に戦えばそりゃ誰だって気づくよなあ。
ましてや敵ごと火だるまになって腹にロングソードぶっ刺してりゃ『お前素人じゃねえだろ!』ってなるわな
短い期間とはいえ死線を超えた仲間なんだ。仲間に隠し事はよくないよな。
「でも旦那が俺達と出会った時はレベル1でしたよね? 一体何がどうしてそうなったんですか?」
「そっス! ベルティーナ姉さんだっていかにも大魔道士!って貫禄でレベル1だったから出会った時からすっげえ変だと思ってたっス!」
「あ、あらそう。やっぱオーラ出ちゃってたかしら私。みんなごめんなさい。たぶん私のせいだわ。大魔道士オーラ隠せなかったみたい……ごめんなさい」
「うわめっちゃニヤついてるよこいつ」
「めっちゃニヤついてるのう。完全に気持ちよくなってるやつじゃわい」
「ベルティーナそういうとこあるよね」
気持ちよくなってるベルティーナは放っておいて二人に詳細を説明しとかないとな。同じ仲間として。
「デュランス、ソニア。事情は説明するが、もしも危険だと感じたならパーティから抜けても構わない。それくらい深い案件なんだ」
「何言ってるんですか旦那! 俺とソニアならこの迷宮に足を踏み入れたときから既に覚悟してますよ!」
「そうっス! それにネズミの異形と戦って確信したっス! 私達は姉さんと兄さんとこれからも戦っていきたいって!」
「お前ら……」
デュランスもソニアもこちらを真っ直ぐ見つめながら思いをぶつけてくる。
なんて純真かつ真っ直ぐな子たちなんだ。
どこぞのアラサーダークエルフや偏屈ハーフリングに料理オタクのドワーフにこいつらの爪の垢を飲ませてやりたい!
「わかった。全て話すよ。二人共聞いてくれ」
俺はデュランスとソニアに今までの経緯を説明した。
俺達は十年以上のベテランの冒険者だったこと。最高レベルの20だったこと。
ある朝起きると俺達全員がレベル1に弱体化していたこと。
その謎を解くために再び迷宮に潜ることに決めたこと。
それとは別にそれぞれに迷宮に潜る動機があること。
ベルティーナはレベル15以上のお見合いパーティ参加の為
ギフンは名刀ムラマサの探索、そして愛用しているマジック調理器具『凍結棚』の利用レベルに達するため
オスカーは……色々事情があるが詳しい説明は省いて好奇心の為。
俺はデュエル&ドラゴンズ世界大会に参加するデッキの強化に金が必要になった為に再びパーティを結成したこと。
更にはデュエル&ドラゴンズ世界大会がこの街コースフィンで開催されること。
最近デュエドラ界隈では忌まわしいことにドラゴンデッキが流行っていること
『沼地の毒ドラゴン』『竜王ガルフ』『欲まみれの財宝ドラゴン』どれもが非常に大きなカードパワーを持っている。
大会で優勝する為にはドラゴン用の対策カードを用意しておかなくてはいけないこと。
だが露骨に特定のデッキにだけ刺さるカードを入れればそれだけ本来のデッキの動きが阻害されること
更にはドラゴンデッキ以外のデッキに当たったときにそのカードが腐ってしまうこと
つまり俺の使っている英雄デッキでドラゴンデッキ相手に活躍できて尚且それ以外のデッキと当たっても活躍できるカードが早急に必要だということ
それはズバリ『大物殺しキース』しかないということ
相手のクリーチャーの飛行能力を無効にし、尚且こちらのクリーチャー全体に破壊無効効果を付与するこのカードはまさにその条件を満たしていて
ドラゴンデッキ特有の高いパワーの飛行クリーチャーというお株を奪い、更に破壊無効で地上戦を制圧する。
『大物殺しキース』を四積みすることで大会で当たるであろうドラゴンデッキ使いに対応できるということ
そしてキースは一枚の値段が一万五千ゴールド。四積みとなると六万ゴールドもの大金が必要になること
更に油断できないことに今回の世界大会ではトップレベル、ゴールドドラゴンクラスのプレイヤーの参戦も決まっていること。
ご存知『幻惑のフェアリー使いピエッタ』『揺れる大地の巨人ヴァレート』『輪廻巡りし墓荒らしセーヴィル』
少なくともこいつらの参戦は確定していること。
こいつらを相手に渡り合うには今の俺のデッキではパワー不足だということ。
少なくとも『大物殺しキース』を加えただけでは到底太刀打ちできないということ。
例えばピエッタのエースカード『夢操りのダレン』は相手のクリーチャー全てを手札に戻すという簡潔にして無慈悲な能力を備えている。
キースで付与した破壊不能効果は手札に戻す効果を防げない。
必死で並べたクリーチャーを戻されては体勢を整える前に『妖精の隠れ宿』から生み出される妖精トークンに叩きのめされるのは間違いないだろうということ
揺れる大地の巨人ヴァレートには魔法カード『大地の嘆き』があること
知っての通りあのカードはマナコスト3以下のカードのパワーを0にしてしまう効果があること
小粒を並べる俺の英雄デッキにぶっ刺さっているということ
輪廻巡りし墓荒らしセーヴィルのエースカード『審判を下す者ベリザク』はなんと相手のクリーチャー3体を選択して奪うことの出来るモンスターだということ。
魔法カードや装備カードで鍛えた英雄をそれで奪われてはたまったものじゃないということ
つまり破壊不能を付与したからといって全く安心できないこと
破壊不能には穴があるということ
そしてそんな一つの能力で大勝ちできないような絶妙なバランスで成り立っているデュエル&ドラゴンズは最高のゲームだということ
そのデュエル&ドラゴンズで俺は彼らトッププレイヤーに勝利したい。
その為に今は金が必要で火吹酒と魔法使い亭の亭主であるドレンさんからネズミ問題の解決に乗り出しているということ
俺はそんな今の現状を簡潔にわかりやすく早口で二人に説明した。
途中から二人共『?』って顔をしながら首をひねっていたが仕方がない。状況が状況だからな。
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