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第一章 最強パーティ、一夜にして糞雑魚パーティへ
第37話 決闘開始
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「私、私とても嬉しいですわ……アイザック様」
リーゼッテの目が変わった。
その目は先程の優しく包み込むような暖かな日差しの太陽じゃない。
まるで燃え盛る炎天下だ。こいつ……相当決闘る……!!
「ふう。下ごしらえ終わりましたぜ。後は時間まで煮込むだけなんで……って、あの、どうしたんで? おふた方?」
調理を終えたデュランスが俺とリーゼッテの漂う異様な雰囲気を気取った。
「離れてろデュランス!! 危険だ!」
「えっ? えっ?」
「デュランス、離れていてください。今からここで決闘が行われるのですよ?」
「え? デュ、デュエ……なんですか? デュエ……デュエなに?」
「デュランス。ここは今から……いえ、すでに決闘場です」
「そうだ。もうちょい……後一かニ歩……いやそれは下がりすぎ。もうちょい……うん。そんくらいそんくらい。いいね」
俺とリーゼッテの気迫に押されたデュランスが数歩引き下がり程よい距離を保つ。
「アイザック様。どうぞこちらに」
「ああ」
俺とリーゼッテは前庭に設置されてあるシンプルなテーブルセットに腰掛ける。
普段はデュランスやソニアが使っているのだろう。
「リーゼッテ。シャッフルを頼む」
「畏まりました。ではアイザック様は私のデッキを」
まずはお互いのデッキを交換してシャッフルを始める。
トランプを想像すれば容易いがこの手のゲームは”サマ”が横行している。
少し手先が器用な奴ならシャッフルの際に自分の有利なカードが引けるように札の順番を入れ替えることなど容易い。
だからこそ自分ではなく相手のデッキをシャッフルするのだ。
「しかしリーゼッテ。お前がデュエル&ドラゴンズプレイヤーだったとは驚いたよ」
「昔、巡礼の最中に出会ってすぐに一目惚れを……。ですが私、友達が少なくて……しかもデュエル&ドラゴンズのプレイヤーとなると……」
「ああ。デュエドラはまだまだこれからのジャンルだからな。こんなに面白いのに未だ”静かなブーム”程度なのが歯がゆいぜ」
「同感ですわ」
リーゼッテの淀みないシャッフル、そして上質な陶器のような手に一瞬目を奪われる。
随分手慣れているなこいつ……
「アイザック様がお腰につけてらっしゃるデッキ。一目見てわかりましたわ。決闘者だと。正直胸が踊りました」
「お守り代わりさ。これ持ってたら死ぬに死ねないだろ?」
「死ぬのが惜しいと思えるほどのデッキですのね」
「情報アドバンテージを取られてしまったかな?」
「そんなことはございません」
上品な笑みを浮かべるリーゼッテ。何か探っている? いや純粋な好奇心なはずだ。
俺達二人のデッキを切る音だけがテーブルの上で響く。シャッフルが終わり互いにデッキを交換する。
「ではアイザック様。よろしくお願いいたしますわ」
「よろしくお願いします」
俺とリーゼッテはテーブルを挟んで同時に深々と頭を下げる。決闘前の挨拶は大事だ。
これが出来ない奴に決闘者としての資格はない。ちなみに出来ないやつは……悲しいことに結構いる。
シャッフルを終えた山札からお互いにカードを七枚引く。
「先行は譲るよ。お手並み拝見させてくれ」
「ありがとうございますアイザック様。ではお言葉に甘えて失礼致します」
リーゼッテから笑みが消えた。初手から仕掛けてくるのか? それならばリーゼッテのデッキは早めのデッキなのか?
「では私のターン。 まずは魔力をチャージ。『敬虔なる信者』を召喚してターンエンドですわ」
デュエル&ドラゴンズでは自分のターンに一回だけ魔力カードをチャージできる。
そのチャージした魔力に応じてクリーチャーを召喚したり魔法を唱えることができるのだ。
今回リーゼッテは魔力を1チャージして、その魔力1でクリーチャーを召喚したわけだ。
次のターンにチャージすれば使える魔力は2だ。
そして敬虔なる信者……つまりリーゼッテは……
「クレリックデッキか。流石聖女様だ」
「恐れ入ります」
ペコリと頭を下げるリーゼッテ。
このゲームでは全てのクリーチャーにパワーと体力が設定されている。
パワーは攻撃力。体力はそのまま体力だ。プレイヤーがクリーチャーに殴られるとそのパワー分のライフを失う
プレイヤーの初期ライフは20。20ポイント分クリーチャーから攻撃を受けてライフを全てを失えば敗北というシンプルなルールになっている。
「ここから信者をパワーアップさせていくつもりか。だが今は貧弱だ。太る前に対処させてもらうぞ」
「信仰とは一歩一歩踏みしめていくものです。試練は甘んじて受け入れましょう」
敬虔なる信者はクレリックのクリーチャー。パワーは1体力も1。いわば雑魚クリーチャーだ。
だが自身かクリーチャーが回復する度にパワーと体力がプラス1される能力を持っている。
ライフを回復しつつクリーチャーを強化できる攻防一体の厄介な能力を持っているのだ。
放っておけばパワー10体力10にまで膨れ上がることも珍しくない。それを二体も三体も並べてくるのだからたまらない
ライフが万全の20あったとしても速攻で倒されてしまうだろう。
「へー。やっぱりリーゼッテ様はクレリックのデッキなんですねえ」
「お、おいデュランス! 近い近い近い!」
「いや別に近くてもいいじゃないですか。だいたいなんですか『危険だから下がれ!』って。カードゲームじゃないですか」
「あれは……なんかその場の勢いで……すまん」
「んもー。それじゃ俺も見物させてもらいますよ」
テーブルに備え付けられた椅子に腰を降ろすデュランス。
いいだろう。見ていろ。リーダーの実力をな!
リーゼッテの目が変わった。
その目は先程の優しく包み込むような暖かな日差しの太陽じゃない。
まるで燃え盛る炎天下だ。こいつ……相当決闘る……!!
「ふう。下ごしらえ終わりましたぜ。後は時間まで煮込むだけなんで……って、あの、どうしたんで? おふた方?」
調理を終えたデュランスが俺とリーゼッテの漂う異様な雰囲気を気取った。
「離れてろデュランス!! 危険だ!」
「えっ? えっ?」
「デュランス、離れていてください。今からここで決闘が行われるのですよ?」
「え? デュ、デュエ……なんですか? デュエ……デュエなに?」
「デュランス。ここは今から……いえ、すでに決闘場です」
「そうだ。もうちょい……後一かニ歩……いやそれは下がりすぎ。もうちょい……うん。そんくらいそんくらい。いいね」
俺とリーゼッテの気迫に押されたデュランスが数歩引き下がり程よい距離を保つ。
「アイザック様。どうぞこちらに」
「ああ」
俺とリーゼッテは前庭に設置されてあるシンプルなテーブルセットに腰掛ける。
普段はデュランスやソニアが使っているのだろう。
「リーゼッテ。シャッフルを頼む」
「畏まりました。ではアイザック様は私のデッキを」
まずはお互いのデッキを交換してシャッフルを始める。
トランプを想像すれば容易いがこの手のゲームは”サマ”が横行している。
少し手先が器用な奴ならシャッフルの際に自分の有利なカードが引けるように札の順番を入れ替えることなど容易い。
だからこそ自分ではなく相手のデッキをシャッフルするのだ。
「しかしリーゼッテ。お前がデュエル&ドラゴンズプレイヤーだったとは驚いたよ」
「昔、巡礼の最中に出会ってすぐに一目惚れを……。ですが私、友達が少なくて……しかもデュエル&ドラゴンズのプレイヤーとなると……」
「ああ。デュエドラはまだまだこれからのジャンルだからな。こんなに面白いのに未だ”静かなブーム”程度なのが歯がゆいぜ」
「同感ですわ」
リーゼッテの淀みないシャッフル、そして上質な陶器のような手に一瞬目を奪われる。
随分手慣れているなこいつ……
「アイザック様がお腰につけてらっしゃるデッキ。一目見てわかりましたわ。決闘者だと。正直胸が踊りました」
「お守り代わりさ。これ持ってたら死ぬに死ねないだろ?」
「死ぬのが惜しいと思えるほどのデッキですのね」
「情報アドバンテージを取られてしまったかな?」
「そんなことはございません」
上品な笑みを浮かべるリーゼッテ。何か探っている? いや純粋な好奇心なはずだ。
俺達二人のデッキを切る音だけがテーブルの上で響く。シャッフルが終わり互いにデッキを交換する。
「ではアイザック様。よろしくお願いいたしますわ」
「よろしくお願いします」
俺とリーゼッテはテーブルを挟んで同時に深々と頭を下げる。決闘前の挨拶は大事だ。
これが出来ない奴に決闘者としての資格はない。ちなみに出来ないやつは……悲しいことに結構いる。
シャッフルを終えた山札からお互いにカードを七枚引く。
「先行は譲るよ。お手並み拝見させてくれ」
「ありがとうございますアイザック様。ではお言葉に甘えて失礼致します」
リーゼッテから笑みが消えた。初手から仕掛けてくるのか? それならばリーゼッテのデッキは早めのデッキなのか?
「では私のターン。 まずは魔力をチャージ。『敬虔なる信者』を召喚してターンエンドですわ」
デュエル&ドラゴンズでは自分のターンに一回だけ魔力カードをチャージできる。
そのチャージした魔力に応じてクリーチャーを召喚したり魔法を唱えることができるのだ。
今回リーゼッテは魔力を1チャージして、その魔力1でクリーチャーを召喚したわけだ。
次のターンにチャージすれば使える魔力は2だ。
そして敬虔なる信者……つまりリーゼッテは……
「クレリックデッキか。流石聖女様だ」
「恐れ入ります」
ペコリと頭を下げるリーゼッテ。
このゲームでは全てのクリーチャーにパワーと体力が設定されている。
パワーは攻撃力。体力はそのまま体力だ。プレイヤーがクリーチャーに殴られるとそのパワー分のライフを失う
プレイヤーの初期ライフは20。20ポイント分クリーチャーから攻撃を受けてライフを全てを失えば敗北というシンプルなルールになっている。
「ここから信者をパワーアップさせていくつもりか。だが今は貧弱だ。太る前に対処させてもらうぞ」
「信仰とは一歩一歩踏みしめていくものです。試練は甘んじて受け入れましょう」
敬虔なる信者はクレリックのクリーチャー。パワーは1体力も1。いわば雑魚クリーチャーだ。
だが自身かクリーチャーが回復する度にパワーと体力がプラス1される能力を持っている。
ライフを回復しつつクリーチャーを強化できる攻防一体の厄介な能力を持っているのだ。
放っておけばパワー10体力10にまで膨れ上がることも珍しくない。それを二体も三体も並べてくるのだからたまらない
ライフが万全の20あったとしても速攻で倒されてしまうだろう。
「へー。やっぱりリーゼッテ様はクレリックのデッキなんですねえ」
「お、おいデュランス! 近い近い近い!」
「いや別に近くてもいいじゃないですか。だいたいなんですか『危険だから下がれ!』って。カードゲームじゃないですか」
「あれは……なんかその場の勢いで……すまん」
「んもー。それじゃ俺も見物させてもらいますよ」
テーブルに備え付けられた椅子に腰を降ろすデュランス。
いいだろう。見ていろ。リーダーの実力をな!
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