12 / 12
幸福
Fericire - 2
しおりを挟む
「ろおぉぉざあぁぁぁりぃぃぃあああぁぁぁぁ……」
浴室から出てきたラズヴァンは、おどろおどろしい声を上げながらロザリアに向けて両手を伸ばした。夫が異様な声を出しても、ロザリアの視線は本に注がれたままだ。
「覚束ない足取りをしてどうしたの。死霊の真似かしら?」
「ロザリア! その本をどこかにやってくれ! もう、もう限界だっ!」
ベッドに腰掛ける妻を背後から抱きしめ、ラズヴァンは鼻をロザリアの首筋に擦り付けた。湯上がりのしっとりと濡れた女の肌に、ラズヴァンの唇が落とされる。ロザリアはくすぐったそうに微笑み、夫の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「何よ、構ってほしいの? あと少しだから待ってて」
「あと少しだと……? 全く、いつまで同じ言葉を繰り返すつもりだ!」
ラズヴァンはロザリアにずいっと顔を近づけた。
「あなたがその本を読み始めてからどれくらいが経った? 一週間だぞ! 私を放って一週間だ!!」
「えっ、そんなに経ってた?」
「そうだ! あなたは一度のめり込むとそればかりで、全く他のことを気にしなくなる! 不死者らしく時間の感覚が狂っているようだな!?」
ロザリアの首をかぷりと甘噛みし、ラズヴァンは情欲滾る目で女を見つめた。
「我が妻よ、そろそろ付き合ってくれてもいいだろう? しよう、ロザリア。あなたへの愛をたっぷり溜め込んでいるんだ」
垂れ下がったラズヴァンの前髪が、ロザリアの肌を柔らかくくすぐる。今すぐあなたが欲しいと熱っぽい声で囁いてくる夫を見つめ、ロザリアは迷った。
「でも、本当にあと少しで読み終わるのよね……」
性欲が強いラズヴァンには可哀想なことをしていると分かっているが、彼の抱き方はとにかくねちっこい。一度始めたら中々止まらないだろう。
読み続けた物語の結末がすぐそこにあるのに、別のことをしなければならないのはもどかしい。続きを気にしながらラズヴァンに抱かれるのも、それはそれで彼に失礼ではないか?
「ろーざーりーあー」
駄々をこねるラズヴァンは本当に限界そうだ。
夫か本かどちらか迷った末、ロザリアはまず本を読み切ってしまうことにした。
「分かった、分かったわ。本当にもうちょっとだから我慢して! そうだ、私の血を飲んで待っていてちょうだい。ね?」
ロザリアは白金の髪をかき上げ、夫の前に首筋を晒した。
「ラズヴァンが落ち着かないのは飢えているからでしょ? はい、どうぞ」
「…………」
血を吸いたければ勝手に吸えと言わんばかりのロザリアの行動。面倒くさそうな仕草、浪漫も甘さもないあっさりした妻の態度に、ラズヴァンはぷつんと何かが切れる感覚がした。
吸血。それは自分にとって性交と同じくらい大切なもので、お互いの愛と存在を確かめる神聖な行為だ。本来ならば見つめ合って行うべきなのに、ロザリアはこんな時も本を読もうとするのか……!
「……そうか、よく分かった。ロザリアは私よりも本が大切なのだな」
「ラズヴァン?」
「いいぞ、読み切ってしまえ。ただし、私の好きにさせてもらうからな……!」
ラズヴァンは牙を見せて笑い、ロザリアの服をはだけさせた。ナイトガウンの隙間から男の手が差し込まれる。背後から胸を揉みしだかれ、ロザリアは肩を跳ね上がらせた。
「えっ!? ちょ、ちょっと!」
「なんだ、私の相手をしている暇があるのか? こちらに構わず、早く続きを読めばいいではないか」
そんな風に私を見つめてくるなら、このままあなたを抱いてしまうぞ――。悪戯っぽく笑うラズヴァンは、ロザリアの乳房を掬い上げながら耳に息を吹きかけた。
「ふ、っ……。し、仕方のない人ね。いいわ、勝手にしなさい。私は最後まで読ませてもらうわよ」
くすぐったさに眉を寄せ、ロザリアは次の頁を捲った。
大きな手で胸を揉まれ、親指で乳首を擦られる。敏感な先端をくにくにと指で捏ねられる度、身を捩らせたくなるような快楽が込み上げてくる。甘い声を漏らさないよう、ロザリアは唇を噛みながら俯いた。
「っ、ん。ふぅっ……。ん……は、ぁ……」
ラズヴァンの大きな手が、ゆっくりと肌を撫で摩る。乳輪をぷっくりと腫れ上がるまでなぞられ、乳首を優しくかりかりと引っかかれる。意識がラズヴァンの愛撫に向いて、文字が頭の中に入ってこない。
乳首に与えられる快感がもどかしい。秘部がむずむずして、思わず足をすり合わせてしまう。一週間ぶりの性感は、ロザリアの肉体に情欲の炎を灯しつつあった。
「あ、ぅっ……いじ、わるぅ……」
「ははっ、可愛い声が出ているぞ。その気になってきたんじゃないか?」
「……あ、なた、随分楽しそうね……!」
悔しそうな顔をするロザリアとは反対に、ラズヴァンは満面の笑みを浮かべている。ロザリアが本に視線を戻した時、彼女のナイトガウンがずり下ろされた。
「きゃっ!?」
露わになった上半身に、ラズヴァンの口づけが落ちていく。細い首筋から滑らかな背中までを唇でなぞった後、ラズヴァンはロザリアの肌を丹念に舐め始めた。
男の赤い舌が、女の肌の味を愉しむようにいやらしく這う。耳たぶを優しく唇で挟まれ、穴に舌を挿し入れられる。ロザリアは身を捩ってラズヴァンから逃げようとしたが、彼のがっしりした腕は少しもロザリアを放してくれない。
しっかりと背後から抱きしめられたまま、ひたすら耳を舐められる。ちゅ、ちゅう、ちゅく。粘っこい水音に耳を犯され、ロザリアは本を持つ手を震わせた。
「は、んっ、や……。ま、って……」
足をもじもじとすり合わせ、色素の薄い胸をぴんと勃ち上がらせる妻に、ラズヴァンは一週間ぶりの充足を味わった。
乳輪を指の腹で擦られ、尖った先端を執拗に捏ねられる。声を抑えようとしたタイミングを見計らって、乳首に優しく爪を立てられる。
ラズヴァンの責めは手慣れていて、反応を窺って巧みに触れ方を変えてくる。翻弄されるばかりのロザリアは、自分の奥からとろとろと雫が溢れ出ていくのを感じた。
弄られ続ける胸の先から甘い快楽が広がっていく。逃れようのない性感にロザリアは放してと訴えたが、ラズヴァンは聞けないなと呟いた。
「まだ始まったばかりだろう? ロザリアのここは本当に柔らかくて、いつまでも触っていられる。ふふ、私はこの胸の虜だ……。もっと可愛がってやるからな」
「ぁっ、ん、ぅぅ、ふぅっ……んっ、ぅう!」
「ああ……。勃ってきた。あなたは本当に敏感な体をしている。我慢せずに声を出してもいいんだぞ? 私はロザリアのいやらしい声が聞きたい」
固く尖った乳首を摘まれ、胸から秘部へ切ない痺れが伝播する。
色気のある声で愛してると囁かれ、ロザリアはとうとう極みに追いやられた。
「はっ、あ、んんっ、ああああああぁぁぁ……!」
愛してる。ラズヴァンの掠れ声が全身に甘く響く。胸の先がじりじりと疼き、奥からごぷりと愛液が溢れ出る。絶頂の余韻にぴく、ぴくと肩を痙攣させるロザリアを、ラズヴァンは仰向けに寝かせた。
ロザリアはまだ本を手放さない。荒い息を吐きながら頁を捲ろうとする妻に、ラズヴァンは強い苛立ちを覚えた。
「全く、あなたの本好きには感心する。そうまでして続きを読みたいか?」
「そ、そうよ……。やっとここまで読んだのに今更手放せないわ。終わりが気になるじゃない!」
「ぐっ……この頑固者め。そんな本はさっさと手放して、この私だけ見ればいいものを!」
ラズヴァンは額に手を遣りながら呻いた。
恨めしい。妻に甘えてもらいたいのに、彼女はこんな時まで本の内容を気にしている。たかが本に嫉妬するのは情けないが、苛々する気持ちを抑えられない。
何としてもこの女を振り向かせてやる。
ラズヴァンはロザリアの腕を退かせ、まろやかな乳房に舌を伸ばした。
「んっ、ふ、ああぁっ……!」
大きな音を立てながらロザリアの胸に吸い付き、ねっとりと舌で舐め上げる。絶頂を迎えたばかりの乳首を舌で巧みに絡め取られ、ロザリアは切ない声を上げた。
「やっ、ああぁぁっ……あ、あっ……。だめっ、ラズヴァン……! びりびりするからなめるのだめっ……。んああぁんっ」
上目遣いに見つめられながら、尖った乳首をほじくるようにぺろぺろと舐め吸われる。どろりとした欲を宿す夫の赤い目に、ロザリアはかっと顔が熱くなるのを感じた。
見られている。
快感に声を上げる様子も、歪む自分の顔も、びんびんに勃ちきった乳首も全部。垂れ下がった黒髪の奥から覗く鋭い眼光に、全身がぞくぞくと震えてしまう。
自分は今からラズヴァンに食われてしまうのだ。夫には自分の弱いところを全て知られていて、どんなに抵抗しても徹底的に気持ちよくさせられる。結局最後は、悲鳴のような嬌声を上げることしかできなくなるのだろう。
被虐的な期待が込み上げてくる。
ラズヴァンが欲しい。こんなことをされて、本なんて読める訳がない。
「んんっ、ん! あぅっ、ら、ラズヴァン。ずるいわ……!」
「仕方ないだろう。私はロザリアのことが大好きなんだ。あなたに見てもらうためなら、私は何だってするぞ」
「ぁ、ふぅうっ……」
むずむずする腹の奥が、もっと気持ちよくしてほしいと訴えてくる。ロザリアが潤む目でラズヴァンを見つめると、彼は優しい顔でロザリアの唇を奪った。
眉を下げ、うっとりと瞳を蕩けさせるラズヴァン。ほんのり赤く染まった目元は、ロザリアへの深い愛情をはっきりと訴えている。
穏やかな顔をしているのに目だけはぎらぎらと輝いていて、強烈な視線に射抜かれると胸の鼓動が速くなる。汗にしっとりと濡れた首筋、夜着越しでも分かる逞しい体の線。男の色気を漂わせるラズヴァンに、ロザリアは改めて彼の格好良さを実感した。
「ラズヴァン……」
ロザリアが彼の頬を撫でると、ラズヴァンは恭しく手の甲にキスを落とした。
「愛しい我が姫よ。ずっとあなたに触れたくて仕方なかったんだ。だからどうか、あなたを可愛がらせてくれ」
夜着を脱いだラズヴァンが、甘えるようにぴたりと体をくっつけてくる。とくとくと脈打つ温かな胸に包まれて、ロザリアは安心感に笑みを浮かべた。
乳首を舌で丹念に掬われ、ころころと舐め転がされる度に体が跳ねてしまう。敏感な胸の先を円を描くようになぞられると切なくて、秘部がじくじくと疼く。ロザリアは声を堪えるのをやめ、ラズヴァンを誘うような甘い嬌声を上げた。
「はうっ、あ、ああ、やあああっ……。あっ、なめられるの、きもち、いい……」
「はあっ、ロザリア、ロザリア……。あなたのここは甘くてとても美味しい。いつまでも味わっていられる……」
込み上げる性感を味わいながら、ちゅう、ちゅうと熱心に乳を吸う夫の頭を撫で梳く。完全に本を手放したロザリアを見て、ラズヴァンはとても嬉しそうな顔をした。
「やっと私だけを見てくれたな」
「こ、こんなことされたら、もう読めないわ……!」
「ははっ、本は逃げないんだ。また明日、私の腕の中でゆっくりと続きを読めばいいじゃないか」
赤いナイトガウンをはだけさせ、ロザリアの瑞々しい腿を撫で摩る。彼女の足を大きく割り開き、ラズヴァンは熱っぽく囁いた。
「ああ、やはり。よく濡れている」
ロザリアの秘部は、大量の蜜にてらてらと濡れ光っている。愛液を纏った秘唇はとても軟らかく、ラズヴァンは膣口に指を沈めてその感触を愉しんだ。
ラズヴァンの中指が難なく飲み込まれていく。入口から程ないところにあるざらざらした膣天井を撫でながら、彼はゆっくり前後に指を動かした。
「ふっ、んふぅっ……。んっ、んんっ……んぅう……」
「ロザリア、いつもより濡れているぞ。あなたも私が欲しかったんじゃないのか? 今撫でているここもふかふかして、私のものに擦られるのを待ち望んでいるようだ」
「やっ、はあぁん……んぁ、はず、かしい……!」
「なぜ恥ずかしがる? ここにはあなたと私しかいないのだから、ロザリアのありのままを見せてくれ。余裕のないあなたも美しい」
親指で陰核をぴんと弾かれる。甲高い声を上げた女を満足そうに見下ろし、ラズヴァンはロザリアの股に顔を近づけた。
「私の愛しいレディ。あなたの蜜を味わいたい。綺麗な声で私の耳を愉しませてくれ」
「あ、あっ、待って……! ふあうっ!?」
ロザリアの陰核にぺとりと舌がくっつけられる。桃色の真珠が震えるのを愉しみながら、ラズヴァンはちろちろと舌先で包皮を剥くように舐め始めた。
「んあはぁぁっ、ああああああぁっ! あっ、いやっ、いやあああああぁぁっ……! だめっ、だめ! 舐めるのだめえっ……。あ、んうぅううっ!」
秘部から迫り上がった強烈な快感に、ロザリアはたちまち顔を蕩けさせた。女の体の中で最も敏感な場所――陰核を夫に虐め抜かれることは、ロザリアにとって遠ざけたくなるような責め苦に近い。
肉豆を舐められると気持ちよくて仕方ないが、反面、強すぎる快感に絶頂を迎えるのが怖くなってしまう。
ラズヴァンは意地悪だ。快楽に啜り泣く自分を見るために、体を重ねる時は必ず陰核を責めてくる。彼の指と舌によって調教された突起はあっという間に腫れ上がり、貪欲に快感を拾い上げるようになってしまった。
「んんっ、だめっ、ああっ、やああああっ! そ、そんなに激しくしないでっ……、う、んうううっ!」
唾液をまぶされながら過敏な陰核を舐め転がされ、最も鋭い快感を得られる先端をちゅ、ちゅと小刻みに吸われる。膣口から次々に溢れ出る蜜を啜られ、唾液と共に陰核へ塗り込められる。力が入った舌に包皮をほじくられ、隠れていた根元にずりずりと舌の表面を擦り付けられる。
強すぎる快感に腹の肉が痙攣し、唸るような喘ぎ声を上げてしまう。顔を真っ赤にして歯を食いしばるロザリアを見つめながら、ラズヴァンは指を抜き挿しする速度を上げた。
ぐちゅ、ずちゅっ、ちゅぶ。ラズヴァンの指が膣を掻き回す度、粘っこく卑猥な水音が寝室に響く。大量に溢れ出た愛液が後孔にまで垂れ、その様子を食い入るように観察される。羞恥とおかしくなりそうな官能に、ロザリアは目を瞑りながらひたすら喘ぎ泣いた。
「ひうっ! はぁん、はうっ、あっ! ああああっ……! もうだめっ、いく、いくぅっ! いっ、く、んあ、っ――あんっ、あああああああぁぁぁぁぁぁ!」
肉芽を吸われるのと同時に、膨らんだ陰核の裏側を優しく指でノックされ、がくがくと女の腰が震える。電流を流されたかのような鋭い絶頂を迎えたロザリアは、快感の涙を流しながらぐったりと全身を弛緩させた。
ロザリアの奥から特に濃い蜜が溢れ出てくる。濃厚な愛液を舐め取りながら、ラズヴァンはロザリアの膣に挿れる指を増やしていった。
「はぁ……ロザリア。私の舌と手で気持ちよくなったロザリアの蜜は、とても魅惑的な味がする。この白い蜜を啜るのが好きなんだ」
「んんっ、ふぅ……。ら、ラズヴァン。いったばかりなの、やっ、もうなめないでよお……! あん、いやぁっ。ふあ、やああああああああっ……!」
「ふふ、舐めても舐めても次々に新しい蜜が溢れ出てくる。私の愛しいレディ、もっとあなたが欲しい」
ぽってりと腫れた陰核にキスを落とされる。被虐の予感にびくりと震えたロザリアは慌てて足を閉じようとしたが、ラズヴァンがそれを許さなかった。
ラズヴァンの奇術によって生み出された薔薇の蔓が、ロザリアのふくらはぎに絡みつき、彼女の足を大きく開かせる。妻の足を束縛したラズヴァンは、うっとりと顔を蕩けさせた。
「駄目だロザリア、逃げるな。一週間溜め込み続けた私の愛を受け取ってくれ!」
「やっ、またぁっ……!? だめっ、ひゃだっ、もうやだ! もういったからっ、ねえ! はなれてってば……。あんんっ、あっ、あふぅっ、あっ、ああああああぁぁぁっ!?」
尖りきった芽をちゅっと吸引され、ロザリアはまた呆気なく絶頂した。身じろぐことさえも、足を閉じようとすることも許されない。蔓に拘束されながら、夫の寵愛をしつこく受け続けるだけ。
膣に指を差し込まれ、奥を撫でられながら優しく吸われると、気持ち良すぎて何が何だか分からなくなってしまう。急所に施される舌責めに、ロザリアは自分がどれだけ辛いか泣きながら訴えた。
「いやああああああっっ! ひゃだ、らずっ、ラズヴァンのばか! もういったのに! こういうことになるからっ、あなたに舐められるのいやなのにぃ……! ふ、いくっ! またぁっ、またいっちゃうぅぅ……」
「ああ、いいぞ。いくらでも気持ちよくなってくれ。ロザリアがおかしくなるところを見せてくれ……!」
肥大した陰核を摘まれ、指で捏ねられたり、男の肉棒のようにしこしこと扱かれる。じゅこじゅこ、じゅぶ。わざと大きな音を立たせながら、ラズヴァンはロザリアの秘部が泡立つまで指を出し入れした。
解れきった膣壁を左右に優しく擦られる。弱いところをしつこく撫でさすられ、背筋がぞわぞわするほどの深い快楽に落ちていく。頭がぐちゃぐちゃになりそうな衝撃が近づいてきているのを感じ取り、ロザリアはだめ、だめと繰り返し叫んだ。
「あああっ、あああっ! もうむりっ、もういけないのっ、なんどもいきたくないのにいいぃっ……ひっ、いくっ、いっちゃ……。や、あああああぁぁぁぁっっ!」
真白い尻をぶるぶると痙攣させ、ロザリアは一際大きな絶頂を味わった。女の悲鳴と共に秘部から勢い良く飛沫が吹き出す。ロザリアの潮を一滴残らず舐め取ってから、ラズヴァンはぎゅっと妻の体を抱きしめた。
「ああ、本当に可愛い……。よく頑張ったな、ロザリア」
「うぅ、うぅぅ……。い、いじわる……。ラズヴァンの馬鹿! 私をいじめ抜いて、さぞ楽しかったでしょうね……!」
「虐める? 何を言う、私が愛しのレディを虐める訳がないだろう。これは純然たる騎士の奉仕だ。ふふ、大好きだぞロザリア」
蔓の束縛を解き、ラズヴァンは幸せそうに微笑んだ。
「あなたが濡らしすぎるせいで私の指がふやけてしまった。……さて、ロザリア。どうしてほしい? 望みがあれば聞いてあげよう」
「……っ、そ、れは……」
何かしてほしいことがあるんじゃないかと囁かれ、ロザリアはもじもじと足を擦り合わせた。
陰核で鋭い絶頂を迎えると、腹の奥の疼きがもっと強くなる。ラズヴァンの指でも届かない、もっと深いところにある場所。自分のうつろがきゅうきゅうと収縮して、ラズヴァンの男根にたくさん擦られたい、彼の子種が欲しいと必死に訴えてくる。
「わ、たし……」
ロザリアは顔を赤らめ、自分に伸し掛かる男から視線を逸らした。
ラズヴァンは優しいが、体を重ねる時だけは少し意地悪だ。彼は自分に散々絶頂の快楽を植え付けた末、最後は必ず己のことを求めさせる。
あなたが欲しい、その立派なもので私を気持ちよくしてほしいと頼まなければ、ラズヴァンはその先に進んでくれない。
分かっている。ラズヴァンはたったひとりの伴侶に、自分のことを強く求めてほしいのだ。しかし自分から男の肉棒が欲しいと頼み込むのは、浅ましい気がしていつも恥ずかしくなる。
口を噤むロザリアの股に、ラズヴァンは逞しい男根を押し当てた。いきり勃った肉竿が、ふっくらと広がった陰唇をずりずりとこすり上げる。つぷ、と音を立てて竿の先端が沈んでも、ラズヴァンは腰を突き入れようとしない。
ロザリアと繋がりたいという獣欲を押さえつけ、ラズヴァンは余裕たっぷりの笑みで彼女を焦らした。
「してほしいことがなければ、別にそれでもいいぞ。あなたには少々無茶をさせてしまったからな。後は控えめにしておこうか」
「……っ、ラズヴァン……」
「どうせならあなたの中で達したいところだが、愛するレディに虐めていると思われてしまうのは心外だからな。だから私は、あなたの陰核で扱かせてもらうとしよう。これでも充分気持ちいいからな」
敏感な突起が男のものにずるずると摩擦される。鈍い快感を味わいながら、ロザリアはか細い声を出した。
「いじわるしないで、ラズヴァン……。私が欲しいものが何なのか、分かるでしょう?」
果実のような赤い瞳が潤む。ロザリアは夫の目を真っ直ぐに見つめ、情熱的に彼を求めた。
「ラズヴァン、お願い……私の中にこれを挿れて、いいところをたくさん擦って。ラズヴァンを受け入れたいの……」
逞しい背に両腕を回し、精一杯ラズヴァンを抱きしめる。彼がしたように、ロザリアも足元から薔薇の蔓を生み出して男の体に巻き付かせた。
「ラズヴァン、大好き。あなたが欲しい」
「……やっと、やっと私を求めてくれたな。私はそうやってロザリアに甘えてほしかったんだ。なのにあなたは、私を放って本のことばかり……!」
ラズヴァンが拗ねた様子で、かぷ、かぷと首を甘噛みしてくる。ロザリアは彼の頭を撫でながら、謝罪の言葉を口にした。
「ごめんなさい、ラズヴァン。私のために本を探してくれたのはラズヴァンなのに、あなたに素っ気なくしてしまった。今思えば、とても悪いことをしたわ……」
「ああ。正直、寂しくて堪らなかった! ロザリアは私の運命、そして永遠の花嫁だ。あなたに触れていないと生きた心地がしなくなる」
夫の切ない声に胸が締め付けられる。
そう、私たちは二つで一つ。お互いを愛と血で満たし合う生き物だから、片時も離れてはいけないのに。
ロザリアはラズヴァンの頬を撫で、甘い声色で囁いた。
「ね、ラズヴァン。許してくれる?」
「……ロザリアが一週間分の埋め合わせをしてくれるなら」
「もちろんよ。あなたの心が満たされるまで、ずっと一緒にいましょう」
その言葉に、ラズヴァンの目がきらきらと輝く。彼はロザリアを抱え上げ、自分の上に跨るように言った。
「互いを見つめ合いながらしたい。いいだろう?」
そう囁く男に頷き、ロザリアはそっと腰を沈めた。
そそり立ったラズヴァンの剛直が、難なくロザリアの内に飲み込まれていく。挿れられただけで気持ちがいい。女のうつろを隙間なく埋め広げられる快楽に、ロザリアは満ち足りた声を上げた。
「はあああああぁぁんっ……。ああ、おっ、きい……」
「ロザリア、私のレディ……! ああ、ようやく……。ようやくあなたを抱くことができた。ずっとこうしたかったんだ……!」
「ぁっ、はあぁっ、んふ、うっ……。あ、ラズヴァン……ラズヴァン……!」
腰をゆるゆると動かしながら、対面座位の形でお互いを求め合う。ふたりは相手の後頭部に手を遣りながら、激しく舌を絡ませた。
ラズヴァンが生み出した薔薇の蔓が、ロザリアの胸を巧みに揉みしだき、乳首を撫でくすぐる。陰核の根元にすら細い蔓に巻き付かれ、ロザリアは艶やかな声で啜り泣いた。
「ふあぅっ、あはぁっ! はあぁっ、あぁ……。あ、ん、んあっ、あっ……ああんっ……。ああっ……」
「ロザリア……。ああ、全く。なんて淫らな顔をするんだ? そんな顔をされたら、止められなくなるぞ……!」
「はひっ!? んやああああっ……! だめっ……ラズヴァン、はやい……! あはあぁっ、あなたのっ、おくにとどいてるうっ! ふぁ、ああっ! あんっ、あああああぁぁっ……」
逞しい腕にしっかりと抱き上げられたまま、激しく腰を打ち付けられる。無防備な状態で下から穿たれ、ロザリアは真白い首を反らして絶頂した。
ロザリアが達しても、ラズヴァンの動きは止まらない。結合部から聞こえるぐちゅぐちゅという水音、鼻にかかった女の声が寝室に響き渡る。綻びきった膣内をしつこく擦られる喜びを感じながら、ロザリアは規則的な嬌声を上げ続けた。
腰を打ち付けられる度にじんわりと奥が熱を持って、身を捩りたくなるような重い快楽が迫り上がる。海の底に引きずり込まれるかのような、抗い難く大きな絶頂感。自分がばらばらになってしまいそうな深い肉の悦びに、ロザリアはただラズヴァンに縋り付くことしかできなかった。
「ひぅっ、んんっ、んあっ、あはぁっ! だめ、だめだめっ……。ラズヴァン、わたし、もう……!」
「ロザリアっ、可愛いロザリア! 愛してる、あなたが好きすぎてどうしようもないんだっ……! ロザリア、あなたの全てを私にくれ!」
「んあっ、んくぅっ、ラ、ズヴァン……。わたしもっ、私もあいしてるわっ……! ああっ、う、んううぅぅぅ……!」
あと少しで達するという瞬間、首にラズヴァンの牙が食い込む。肉の快感と吸血の快楽を同時に与えられ、ロザリアは壮絶な絶頂を迎えた。
「ひっ――あああああああああああああぁぁぁぁ……!」
ロザリアは肉棒を咥え込みながら潮を溢れさせた。濃厚な雫がどっと溢れ、結合部からラズヴァンの腰までをどろどろに濡らしていく。ラズヴァンに血を吸われながら、ロザリアは自分を満たす男の愛に酔いしれた。
「ぁ、らず、ゔぁ……」
くたりと力を抜いた妻を掻き抱き、ラズヴァンは何度も彼女の唇を塞いだ。彼の求愛に応えるように、ひくひくとロザリアの膣が痙攣する。
「ロザリア……ロザリア。かわいい。あなたは本当に綺麗だ……どんなあなたも愛している……!」
「ふふ……ラズヴァン。あなたも格好いいわ……。ねえ、愛しい騎士様。私に血をちょうだい」
男の首に牙を沈める。腔内に広がる芳醇な血の味に、ロザリアはうっとりと唇を歪めた。ラズヴァンの血は甘く、この世の何よりも美味だ。彼の血を味わうと全身に力が漲っていく。
血を啜りながら、ラズヴァンの胸をかりかりと引っ掻く。ぴくりと肩を跳ねさせた男に、ロザリアは上品な笑い声をこぼした。
「ろ、ロザリア?」
「まだ足りないでしょう? 続きをしましょ、ラズヴァン。今度は私があなたを可愛がる番よ」
彼の乳首を舐め、そっと逞しい体を押し倒す。蠱惑的な微笑みを浮かべて自分の上に乗る妻に、ラズヴァンは顔を真っ赤にした。
……明日からは、ラズヴァンの腕の中で本を読もう。そしてあの冒険記を、始めからラズヴァンに読み聞かせてあげよう。
あの本は面白いから、きっとラズヴァンも気に入ってくれる。物語の結末を見届けるのは二人一緒でもいいはずだ。
ラズヴァンの言う通り、本は逃げない。続きを読むのは明日だって、次の日だって、いつだっていい。
だから。
今はただ、この甘えん坊の夫と過ごしていよう。
「大好きよラズヴァン。愛してるわ!」
男の頬に唇をくっつける。ふにゃふにゃと顔を緩ませるラズヴァンを見下ろし、ロザリアは満面の笑みを浮かべた。
*
翌朝。天井から射し込む光に誘われ、ラズヴァンはゆっくりと目を開けた。
瑞々しい薔薇の香りが鼻をくすぐる。ラズヴァンが目を擦ると、ロザリアが上に跨っているのが見えた。
「おはよう、ラズヴァン。よく眠れた?」
掌から薔薇を生み出したロザリアは、寝癖がついたラズヴァンの髪にそっと赤い花を挿した。寝台に散らばる真紅の花びらが、かぐわしい匂いを漂わせている。愛に満ちた花の香りにラズヴァンが微笑むと、ロザリアが耳元で囁いてきた。
「私の愛する騎士様、早く起きて。あなたのためにお風呂を用意しておいたわよ」
大好きよラズヴァン、今日も素敵だわ……。ロザリアの澄んだ声が、ラズヴァンの心に染み渡っていく。
描いていた幸せな未来が、今ここにある。優しく自分を起こそうとする妻を抱き寄せ、ラズヴァンは多幸感に目を瞑った。
今日も素晴らしい一日が始まる。
明日も、その先も、ずっと幸せな日々が続いていく。
さて、今日はどんなやり方でロザリアに甘えようか?
彼女に膝枕をしてもらいながら、庭の兎を眺めていようか……。
そんなことを考えながら、ラズヴァンは妻の額にキスを落とした。
浴室から出てきたラズヴァンは、おどろおどろしい声を上げながらロザリアに向けて両手を伸ばした。夫が異様な声を出しても、ロザリアの視線は本に注がれたままだ。
「覚束ない足取りをしてどうしたの。死霊の真似かしら?」
「ロザリア! その本をどこかにやってくれ! もう、もう限界だっ!」
ベッドに腰掛ける妻を背後から抱きしめ、ラズヴァンは鼻をロザリアの首筋に擦り付けた。湯上がりのしっとりと濡れた女の肌に、ラズヴァンの唇が落とされる。ロザリアはくすぐったそうに微笑み、夫の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「何よ、構ってほしいの? あと少しだから待ってて」
「あと少しだと……? 全く、いつまで同じ言葉を繰り返すつもりだ!」
ラズヴァンはロザリアにずいっと顔を近づけた。
「あなたがその本を読み始めてからどれくらいが経った? 一週間だぞ! 私を放って一週間だ!!」
「えっ、そんなに経ってた?」
「そうだ! あなたは一度のめり込むとそればかりで、全く他のことを気にしなくなる! 不死者らしく時間の感覚が狂っているようだな!?」
ロザリアの首をかぷりと甘噛みし、ラズヴァンは情欲滾る目で女を見つめた。
「我が妻よ、そろそろ付き合ってくれてもいいだろう? しよう、ロザリア。あなたへの愛をたっぷり溜め込んでいるんだ」
垂れ下がったラズヴァンの前髪が、ロザリアの肌を柔らかくくすぐる。今すぐあなたが欲しいと熱っぽい声で囁いてくる夫を見つめ、ロザリアは迷った。
「でも、本当にあと少しで読み終わるのよね……」
性欲が強いラズヴァンには可哀想なことをしていると分かっているが、彼の抱き方はとにかくねちっこい。一度始めたら中々止まらないだろう。
読み続けた物語の結末がすぐそこにあるのに、別のことをしなければならないのはもどかしい。続きを気にしながらラズヴァンに抱かれるのも、それはそれで彼に失礼ではないか?
「ろーざーりーあー」
駄々をこねるラズヴァンは本当に限界そうだ。
夫か本かどちらか迷った末、ロザリアはまず本を読み切ってしまうことにした。
「分かった、分かったわ。本当にもうちょっとだから我慢して! そうだ、私の血を飲んで待っていてちょうだい。ね?」
ロザリアは白金の髪をかき上げ、夫の前に首筋を晒した。
「ラズヴァンが落ち着かないのは飢えているからでしょ? はい、どうぞ」
「…………」
血を吸いたければ勝手に吸えと言わんばかりのロザリアの行動。面倒くさそうな仕草、浪漫も甘さもないあっさりした妻の態度に、ラズヴァンはぷつんと何かが切れる感覚がした。
吸血。それは自分にとって性交と同じくらい大切なもので、お互いの愛と存在を確かめる神聖な行為だ。本来ならば見つめ合って行うべきなのに、ロザリアはこんな時も本を読もうとするのか……!
「……そうか、よく分かった。ロザリアは私よりも本が大切なのだな」
「ラズヴァン?」
「いいぞ、読み切ってしまえ。ただし、私の好きにさせてもらうからな……!」
ラズヴァンは牙を見せて笑い、ロザリアの服をはだけさせた。ナイトガウンの隙間から男の手が差し込まれる。背後から胸を揉みしだかれ、ロザリアは肩を跳ね上がらせた。
「えっ!? ちょ、ちょっと!」
「なんだ、私の相手をしている暇があるのか? こちらに構わず、早く続きを読めばいいではないか」
そんな風に私を見つめてくるなら、このままあなたを抱いてしまうぞ――。悪戯っぽく笑うラズヴァンは、ロザリアの乳房を掬い上げながら耳に息を吹きかけた。
「ふ、っ……。し、仕方のない人ね。いいわ、勝手にしなさい。私は最後まで読ませてもらうわよ」
くすぐったさに眉を寄せ、ロザリアは次の頁を捲った。
大きな手で胸を揉まれ、親指で乳首を擦られる。敏感な先端をくにくにと指で捏ねられる度、身を捩らせたくなるような快楽が込み上げてくる。甘い声を漏らさないよう、ロザリアは唇を噛みながら俯いた。
「っ、ん。ふぅっ……。ん……は、ぁ……」
ラズヴァンの大きな手が、ゆっくりと肌を撫で摩る。乳輪をぷっくりと腫れ上がるまでなぞられ、乳首を優しくかりかりと引っかかれる。意識がラズヴァンの愛撫に向いて、文字が頭の中に入ってこない。
乳首に与えられる快感がもどかしい。秘部がむずむずして、思わず足をすり合わせてしまう。一週間ぶりの性感は、ロザリアの肉体に情欲の炎を灯しつつあった。
「あ、ぅっ……いじ、わるぅ……」
「ははっ、可愛い声が出ているぞ。その気になってきたんじゃないか?」
「……あ、なた、随分楽しそうね……!」
悔しそうな顔をするロザリアとは反対に、ラズヴァンは満面の笑みを浮かべている。ロザリアが本に視線を戻した時、彼女のナイトガウンがずり下ろされた。
「きゃっ!?」
露わになった上半身に、ラズヴァンの口づけが落ちていく。細い首筋から滑らかな背中までを唇でなぞった後、ラズヴァンはロザリアの肌を丹念に舐め始めた。
男の赤い舌が、女の肌の味を愉しむようにいやらしく這う。耳たぶを優しく唇で挟まれ、穴に舌を挿し入れられる。ロザリアは身を捩ってラズヴァンから逃げようとしたが、彼のがっしりした腕は少しもロザリアを放してくれない。
しっかりと背後から抱きしめられたまま、ひたすら耳を舐められる。ちゅ、ちゅう、ちゅく。粘っこい水音に耳を犯され、ロザリアは本を持つ手を震わせた。
「は、んっ、や……。ま、って……」
足をもじもじとすり合わせ、色素の薄い胸をぴんと勃ち上がらせる妻に、ラズヴァンは一週間ぶりの充足を味わった。
乳輪を指の腹で擦られ、尖った先端を執拗に捏ねられる。声を抑えようとしたタイミングを見計らって、乳首に優しく爪を立てられる。
ラズヴァンの責めは手慣れていて、反応を窺って巧みに触れ方を変えてくる。翻弄されるばかりのロザリアは、自分の奥からとろとろと雫が溢れ出ていくのを感じた。
弄られ続ける胸の先から甘い快楽が広がっていく。逃れようのない性感にロザリアは放してと訴えたが、ラズヴァンは聞けないなと呟いた。
「まだ始まったばかりだろう? ロザリアのここは本当に柔らかくて、いつまでも触っていられる。ふふ、私はこの胸の虜だ……。もっと可愛がってやるからな」
「ぁっ、ん、ぅぅ、ふぅっ……んっ、ぅう!」
「ああ……。勃ってきた。あなたは本当に敏感な体をしている。我慢せずに声を出してもいいんだぞ? 私はロザリアのいやらしい声が聞きたい」
固く尖った乳首を摘まれ、胸から秘部へ切ない痺れが伝播する。
色気のある声で愛してると囁かれ、ロザリアはとうとう極みに追いやられた。
「はっ、あ、んんっ、ああああああぁぁぁ……!」
愛してる。ラズヴァンの掠れ声が全身に甘く響く。胸の先がじりじりと疼き、奥からごぷりと愛液が溢れ出る。絶頂の余韻にぴく、ぴくと肩を痙攣させるロザリアを、ラズヴァンは仰向けに寝かせた。
ロザリアはまだ本を手放さない。荒い息を吐きながら頁を捲ろうとする妻に、ラズヴァンは強い苛立ちを覚えた。
「全く、あなたの本好きには感心する。そうまでして続きを読みたいか?」
「そ、そうよ……。やっとここまで読んだのに今更手放せないわ。終わりが気になるじゃない!」
「ぐっ……この頑固者め。そんな本はさっさと手放して、この私だけ見ればいいものを!」
ラズヴァンは額に手を遣りながら呻いた。
恨めしい。妻に甘えてもらいたいのに、彼女はこんな時まで本の内容を気にしている。たかが本に嫉妬するのは情けないが、苛々する気持ちを抑えられない。
何としてもこの女を振り向かせてやる。
ラズヴァンはロザリアの腕を退かせ、まろやかな乳房に舌を伸ばした。
「んっ、ふ、ああぁっ……!」
大きな音を立てながらロザリアの胸に吸い付き、ねっとりと舌で舐め上げる。絶頂を迎えたばかりの乳首を舌で巧みに絡め取られ、ロザリアは切ない声を上げた。
「やっ、ああぁぁっ……あ、あっ……。だめっ、ラズヴァン……! びりびりするからなめるのだめっ……。んああぁんっ」
上目遣いに見つめられながら、尖った乳首をほじくるようにぺろぺろと舐め吸われる。どろりとした欲を宿す夫の赤い目に、ロザリアはかっと顔が熱くなるのを感じた。
見られている。
快感に声を上げる様子も、歪む自分の顔も、びんびんに勃ちきった乳首も全部。垂れ下がった黒髪の奥から覗く鋭い眼光に、全身がぞくぞくと震えてしまう。
自分は今からラズヴァンに食われてしまうのだ。夫には自分の弱いところを全て知られていて、どんなに抵抗しても徹底的に気持ちよくさせられる。結局最後は、悲鳴のような嬌声を上げることしかできなくなるのだろう。
被虐的な期待が込み上げてくる。
ラズヴァンが欲しい。こんなことをされて、本なんて読める訳がない。
「んんっ、ん! あぅっ、ら、ラズヴァン。ずるいわ……!」
「仕方ないだろう。私はロザリアのことが大好きなんだ。あなたに見てもらうためなら、私は何だってするぞ」
「ぁ、ふぅうっ……」
むずむずする腹の奥が、もっと気持ちよくしてほしいと訴えてくる。ロザリアが潤む目でラズヴァンを見つめると、彼は優しい顔でロザリアの唇を奪った。
眉を下げ、うっとりと瞳を蕩けさせるラズヴァン。ほんのり赤く染まった目元は、ロザリアへの深い愛情をはっきりと訴えている。
穏やかな顔をしているのに目だけはぎらぎらと輝いていて、強烈な視線に射抜かれると胸の鼓動が速くなる。汗にしっとりと濡れた首筋、夜着越しでも分かる逞しい体の線。男の色気を漂わせるラズヴァンに、ロザリアは改めて彼の格好良さを実感した。
「ラズヴァン……」
ロザリアが彼の頬を撫でると、ラズヴァンは恭しく手の甲にキスを落とした。
「愛しい我が姫よ。ずっとあなたに触れたくて仕方なかったんだ。だからどうか、あなたを可愛がらせてくれ」
夜着を脱いだラズヴァンが、甘えるようにぴたりと体をくっつけてくる。とくとくと脈打つ温かな胸に包まれて、ロザリアは安心感に笑みを浮かべた。
乳首を舌で丹念に掬われ、ころころと舐め転がされる度に体が跳ねてしまう。敏感な胸の先を円を描くようになぞられると切なくて、秘部がじくじくと疼く。ロザリアは声を堪えるのをやめ、ラズヴァンを誘うような甘い嬌声を上げた。
「はうっ、あ、ああ、やあああっ……。あっ、なめられるの、きもち、いい……」
「はあっ、ロザリア、ロザリア……。あなたのここは甘くてとても美味しい。いつまでも味わっていられる……」
込み上げる性感を味わいながら、ちゅう、ちゅうと熱心に乳を吸う夫の頭を撫で梳く。完全に本を手放したロザリアを見て、ラズヴァンはとても嬉しそうな顔をした。
「やっと私だけを見てくれたな」
「こ、こんなことされたら、もう読めないわ……!」
「ははっ、本は逃げないんだ。また明日、私の腕の中でゆっくりと続きを読めばいいじゃないか」
赤いナイトガウンをはだけさせ、ロザリアの瑞々しい腿を撫で摩る。彼女の足を大きく割り開き、ラズヴァンは熱っぽく囁いた。
「ああ、やはり。よく濡れている」
ロザリアの秘部は、大量の蜜にてらてらと濡れ光っている。愛液を纏った秘唇はとても軟らかく、ラズヴァンは膣口に指を沈めてその感触を愉しんだ。
ラズヴァンの中指が難なく飲み込まれていく。入口から程ないところにあるざらざらした膣天井を撫でながら、彼はゆっくり前後に指を動かした。
「ふっ、んふぅっ……。んっ、んんっ……んぅう……」
「ロザリア、いつもより濡れているぞ。あなたも私が欲しかったんじゃないのか? 今撫でているここもふかふかして、私のものに擦られるのを待ち望んでいるようだ」
「やっ、はあぁん……んぁ、はず、かしい……!」
「なぜ恥ずかしがる? ここにはあなたと私しかいないのだから、ロザリアのありのままを見せてくれ。余裕のないあなたも美しい」
親指で陰核をぴんと弾かれる。甲高い声を上げた女を満足そうに見下ろし、ラズヴァンはロザリアの股に顔を近づけた。
「私の愛しいレディ。あなたの蜜を味わいたい。綺麗な声で私の耳を愉しませてくれ」
「あ、あっ、待って……! ふあうっ!?」
ロザリアの陰核にぺとりと舌がくっつけられる。桃色の真珠が震えるのを愉しみながら、ラズヴァンはちろちろと舌先で包皮を剥くように舐め始めた。
「んあはぁぁっ、ああああああぁっ! あっ、いやっ、いやあああああぁぁっ……! だめっ、だめ! 舐めるのだめえっ……。あ、んうぅううっ!」
秘部から迫り上がった強烈な快感に、ロザリアはたちまち顔を蕩けさせた。女の体の中で最も敏感な場所――陰核を夫に虐め抜かれることは、ロザリアにとって遠ざけたくなるような責め苦に近い。
肉豆を舐められると気持ちよくて仕方ないが、反面、強すぎる快感に絶頂を迎えるのが怖くなってしまう。
ラズヴァンは意地悪だ。快楽に啜り泣く自分を見るために、体を重ねる時は必ず陰核を責めてくる。彼の指と舌によって調教された突起はあっという間に腫れ上がり、貪欲に快感を拾い上げるようになってしまった。
「んんっ、だめっ、ああっ、やああああっ! そ、そんなに激しくしないでっ……、う、んうううっ!」
唾液をまぶされながら過敏な陰核を舐め転がされ、最も鋭い快感を得られる先端をちゅ、ちゅと小刻みに吸われる。膣口から次々に溢れ出る蜜を啜られ、唾液と共に陰核へ塗り込められる。力が入った舌に包皮をほじくられ、隠れていた根元にずりずりと舌の表面を擦り付けられる。
強すぎる快感に腹の肉が痙攣し、唸るような喘ぎ声を上げてしまう。顔を真っ赤にして歯を食いしばるロザリアを見つめながら、ラズヴァンは指を抜き挿しする速度を上げた。
ぐちゅ、ずちゅっ、ちゅぶ。ラズヴァンの指が膣を掻き回す度、粘っこく卑猥な水音が寝室に響く。大量に溢れ出た愛液が後孔にまで垂れ、その様子を食い入るように観察される。羞恥とおかしくなりそうな官能に、ロザリアは目を瞑りながらひたすら喘ぎ泣いた。
「ひうっ! はぁん、はうっ、あっ! ああああっ……! もうだめっ、いく、いくぅっ! いっ、く、んあ、っ――あんっ、あああああああぁぁぁぁぁぁ!」
肉芽を吸われるのと同時に、膨らんだ陰核の裏側を優しく指でノックされ、がくがくと女の腰が震える。電流を流されたかのような鋭い絶頂を迎えたロザリアは、快感の涙を流しながらぐったりと全身を弛緩させた。
ロザリアの奥から特に濃い蜜が溢れ出てくる。濃厚な愛液を舐め取りながら、ラズヴァンはロザリアの膣に挿れる指を増やしていった。
「はぁ……ロザリア。私の舌と手で気持ちよくなったロザリアの蜜は、とても魅惑的な味がする。この白い蜜を啜るのが好きなんだ」
「んんっ、ふぅ……。ら、ラズヴァン。いったばかりなの、やっ、もうなめないでよお……! あん、いやぁっ。ふあ、やああああああああっ……!」
「ふふ、舐めても舐めても次々に新しい蜜が溢れ出てくる。私の愛しいレディ、もっとあなたが欲しい」
ぽってりと腫れた陰核にキスを落とされる。被虐の予感にびくりと震えたロザリアは慌てて足を閉じようとしたが、ラズヴァンがそれを許さなかった。
ラズヴァンの奇術によって生み出された薔薇の蔓が、ロザリアのふくらはぎに絡みつき、彼女の足を大きく開かせる。妻の足を束縛したラズヴァンは、うっとりと顔を蕩けさせた。
「駄目だロザリア、逃げるな。一週間溜め込み続けた私の愛を受け取ってくれ!」
「やっ、またぁっ……!? だめっ、ひゃだっ、もうやだ! もういったからっ、ねえ! はなれてってば……。あんんっ、あっ、あふぅっ、あっ、ああああああぁぁぁっ!?」
尖りきった芽をちゅっと吸引され、ロザリアはまた呆気なく絶頂した。身じろぐことさえも、足を閉じようとすることも許されない。蔓に拘束されながら、夫の寵愛をしつこく受け続けるだけ。
膣に指を差し込まれ、奥を撫でられながら優しく吸われると、気持ち良すぎて何が何だか分からなくなってしまう。急所に施される舌責めに、ロザリアは自分がどれだけ辛いか泣きながら訴えた。
「いやああああああっっ! ひゃだ、らずっ、ラズヴァンのばか! もういったのに! こういうことになるからっ、あなたに舐められるのいやなのにぃ……! ふ、いくっ! またぁっ、またいっちゃうぅぅ……」
「ああ、いいぞ。いくらでも気持ちよくなってくれ。ロザリアがおかしくなるところを見せてくれ……!」
肥大した陰核を摘まれ、指で捏ねられたり、男の肉棒のようにしこしこと扱かれる。じゅこじゅこ、じゅぶ。わざと大きな音を立たせながら、ラズヴァンはロザリアの秘部が泡立つまで指を出し入れした。
解れきった膣壁を左右に優しく擦られる。弱いところをしつこく撫でさすられ、背筋がぞわぞわするほどの深い快楽に落ちていく。頭がぐちゃぐちゃになりそうな衝撃が近づいてきているのを感じ取り、ロザリアはだめ、だめと繰り返し叫んだ。
「あああっ、あああっ! もうむりっ、もういけないのっ、なんどもいきたくないのにいいぃっ……ひっ、いくっ、いっちゃ……。や、あああああぁぁぁぁっっ!」
真白い尻をぶるぶると痙攣させ、ロザリアは一際大きな絶頂を味わった。女の悲鳴と共に秘部から勢い良く飛沫が吹き出す。ロザリアの潮を一滴残らず舐め取ってから、ラズヴァンはぎゅっと妻の体を抱きしめた。
「ああ、本当に可愛い……。よく頑張ったな、ロザリア」
「うぅ、うぅぅ……。い、いじわる……。ラズヴァンの馬鹿! 私をいじめ抜いて、さぞ楽しかったでしょうね……!」
「虐める? 何を言う、私が愛しのレディを虐める訳がないだろう。これは純然たる騎士の奉仕だ。ふふ、大好きだぞロザリア」
蔓の束縛を解き、ラズヴァンは幸せそうに微笑んだ。
「あなたが濡らしすぎるせいで私の指がふやけてしまった。……さて、ロザリア。どうしてほしい? 望みがあれば聞いてあげよう」
「……っ、そ、れは……」
何かしてほしいことがあるんじゃないかと囁かれ、ロザリアはもじもじと足を擦り合わせた。
陰核で鋭い絶頂を迎えると、腹の奥の疼きがもっと強くなる。ラズヴァンの指でも届かない、もっと深いところにある場所。自分のうつろがきゅうきゅうと収縮して、ラズヴァンの男根にたくさん擦られたい、彼の子種が欲しいと必死に訴えてくる。
「わ、たし……」
ロザリアは顔を赤らめ、自分に伸し掛かる男から視線を逸らした。
ラズヴァンは優しいが、体を重ねる時だけは少し意地悪だ。彼は自分に散々絶頂の快楽を植え付けた末、最後は必ず己のことを求めさせる。
あなたが欲しい、その立派なもので私を気持ちよくしてほしいと頼まなければ、ラズヴァンはその先に進んでくれない。
分かっている。ラズヴァンはたったひとりの伴侶に、自分のことを強く求めてほしいのだ。しかし自分から男の肉棒が欲しいと頼み込むのは、浅ましい気がしていつも恥ずかしくなる。
口を噤むロザリアの股に、ラズヴァンは逞しい男根を押し当てた。いきり勃った肉竿が、ふっくらと広がった陰唇をずりずりとこすり上げる。つぷ、と音を立てて竿の先端が沈んでも、ラズヴァンは腰を突き入れようとしない。
ロザリアと繋がりたいという獣欲を押さえつけ、ラズヴァンは余裕たっぷりの笑みで彼女を焦らした。
「してほしいことがなければ、別にそれでもいいぞ。あなたには少々無茶をさせてしまったからな。後は控えめにしておこうか」
「……っ、ラズヴァン……」
「どうせならあなたの中で達したいところだが、愛するレディに虐めていると思われてしまうのは心外だからな。だから私は、あなたの陰核で扱かせてもらうとしよう。これでも充分気持ちいいからな」
敏感な突起が男のものにずるずると摩擦される。鈍い快感を味わいながら、ロザリアはか細い声を出した。
「いじわるしないで、ラズヴァン……。私が欲しいものが何なのか、分かるでしょう?」
果実のような赤い瞳が潤む。ロザリアは夫の目を真っ直ぐに見つめ、情熱的に彼を求めた。
「ラズヴァン、お願い……私の中にこれを挿れて、いいところをたくさん擦って。ラズヴァンを受け入れたいの……」
逞しい背に両腕を回し、精一杯ラズヴァンを抱きしめる。彼がしたように、ロザリアも足元から薔薇の蔓を生み出して男の体に巻き付かせた。
「ラズヴァン、大好き。あなたが欲しい」
「……やっと、やっと私を求めてくれたな。私はそうやってロザリアに甘えてほしかったんだ。なのにあなたは、私を放って本のことばかり……!」
ラズヴァンが拗ねた様子で、かぷ、かぷと首を甘噛みしてくる。ロザリアは彼の頭を撫でながら、謝罪の言葉を口にした。
「ごめんなさい、ラズヴァン。私のために本を探してくれたのはラズヴァンなのに、あなたに素っ気なくしてしまった。今思えば、とても悪いことをしたわ……」
「ああ。正直、寂しくて堪らなかった! ロザリアは私の運命、そして永遠の花嫁だ。あなたに触れていないと生きた心地がしなくなる」
夫の切ない声に胸が締め付けられる。
そう、私たちは二つで一つ。お互いを愛と血で満たし合う生き物だから、片時も離れてはいけないのに。
ロザリアはラズヴァンの頬を撫で、甘い声色で囁いた。
「ね、ラズヴァン。許してくれる?」
「……ロザリアが一週間分の埋め合わせをしてくれるなら」
「もちろんよ。あなたの心が満たされるまで、ずっと一緒にいましょう」
その言葉に、ラズヴァンの目がきらきらと輝く。彼はロザリアを抱え上げ、自分の上に跨るように言った。
「互いを見つめ合いながらしたい。いいだろう?」
そう囁く男に頷き、ロザリアはそっと腰を沈めた。
そそり立ったラズヴァンの剛直が、難なくロザリアの内に飲み込まれていく。挿れられただけで気持ちがいい。女のうつろを隙間なく埋め広げられる快楽に、ロザリアは満ち足りた声を上げた。
「はあああああぁぁんっ……。ああ、おっ、きい……」
「ロザリア、私のレディ……! ああ、ようやく……。ようやくあなたを抱くことができた。ずっとこうしたかったんだ……!」
「ぁっ、はあぁっ、んふ、うっ……。あ、ラズヴァン……ラズヴァン……!」
腰をゆるゆると動かしながら、対面座位の形でお互いを求め合う。ふたりは相手の後頭部に手を遣りながら、激しく舌を絡ませた。
ラズヴァンが生み出した薔薇の蔓が、ロザリアの胸を巧みに揉みしだき、乳首を撫でくすぐる。陰核の根元にすら細い蔓に巻き付かれ、ロザリアは艶やかな声で啜り泣いた。
「ふあぅっ、あはぁっ! はあぁっ、あぁ……。あ、ん、んあっ、あっ……ああんっ……。ああっ……」
「ロザリア……。ああ、全く。なんて淫らな顔をするんだ? そんな顔をされたら、止められなくなるぞ……!」
「はひっ!? んやああああっ……! だめっ……ラズヴァン、はやい……! あはあぁっ、あなたのっ、おくにとどいてるうっ! ふぁ、ああっ! あんっ、あああああぁぁっ……」
逞しい腕にしっかりと抱き上げられたまま、激しく腰を打ち付けられる。無防備な状態で下から穿たれ、ロザリアは真白い首を反らして絶頂した。
ロザリアが達しても、ラズヴァンの動きは止まらない。結合部から聞こえるぐちゅぐちゅという水音、鼻にかかった女の声が寝室に響き渡る。綻びきった膣内をしつこく擦られる喜びを感じながら、ロザリアは規則的な嬌声を上げ続けた。
腰を打ち付けられる度にじんわりと奥が熱を持って、身を捩りたくなるような重い快楽が迫り上がる。海の底に引きずり込まれるかのような、抗い難く大きな絶頂感。自分がばらばらになってしまいそうな深い肉の悦びに、ロザリアはただラズヴァンに縋り付くことしかできなかった。
「ひぅっ、んんっ、んあっ、あはぁっ! だめ、だめだめっ……。ラズヴァン、わたし、もう……!」
「ロザリアっ、可愛いロザリア! 愛してる、あなたが好きすぎてどうしようもないんだっ……! ロザリア、あなたの全てを私にくれ!」
「んあっ、んくぅっ、ラ、ズヴァン……。わたしもっ、私もあいしてるわっ……! ああっ、う、んううぅぅぅ……!」
あと少しで達するという瞬間、首にラズヴァンの牙が食い込む。肉の快感と吸血の快楽を同時に与えられ、ロザリアは壮絶な絶頂を迎えた。
「ひっ――あああああああああああああぁぁぁぁ……!」
ロザリアは肉棒を咥え込みながら潮を溢れさせた。濃厚な雫がどっと溢れ、結合部からラズヴァンの腰までをどろどろに濡らしていく。ラズヴァンに血を吸われながら、ロザリアは自分を満たす男の愛に酔いしれた。
「ぁ、らず、ゔぁ……」
くたりと力を抜いた妻を掻き抱き、ラズヴァンは何度も彼女の唇を塞いだ。彼の求愛に応えるように、ひくひくとロザリアの膣が痙攣する。
「ロザリア……ロザリア。かわいい。あなたは本当に綺麗だ……どんなあなたも愛している……!」
「ふふ……ラズヴァン。あなたも格好いいわ……。ねえ、愛しい騎士様。私に血をちょうだい」
男の首に牙を沈める。腔内に広がる芳醇な血の味に、ロザリアはうっとりと唇を歪めた。ラズヴァンの血は甘く、この世の何よりも美味だ。彼の血を味わうと全身に力が漲っていく。
血を啜りながら、ラズヴァンの胸をかりかりと引っ掻く。ぴくりと肩を跳ねさせた男に、ロザリアは上品な笑い声をこぼした。
「ろ、ロザリア?」
「まだ足りないでしょう? 続きをしましょ、ラズヴァン。今度は私があなたを可愛がる番よ」
彼の乳首を舐め、そっと逞しい体を押し倒す。蠱惑的な微笑みを浮かべて自分の上に乗る妻に、ラズヴァンは顔を真っ赤にした。
……明日からは、ラズヴァンの腕の中で本を読もう。そしてあの冒険記を、始めからラズヴァンに読み聞かせてあげよう。
あの本は面白いから、きっとラズヴァンも気に入ってくれる。物語の結末を見届けるのは二人一緒でもいいはずだ。
ラズヴァンの言う通り、本は逃げない。続きを読むのは明日だって、次の日だって、いつだっていい。
だから。
今はただ、この甘えん坊の夫と過ごしていよう。
「大好きよラズヴァン。愛してるわ!」
男の頬に唇をくっつける。ふにゃふにゃと顔を緩ませるラズヴァンを見下ろし、ロザリアは満面の笑みを浮かべた。
*
翌朝。天井から射し込む光に誘われ、ラズヴァンはゆっくりと目を開けた。
瑞々しい薔薇の香りが鼻をくすぐる。ラズヴァンが目を擦ると、ロザリアが上に跨っているのが見えた。
「おはよう、ラズヴァン。よく眠れた?」
掌から薔薇を生み出したロザリアは、寝癖がついたラズヴァンの髪にそっと赤い花を挿した。寝台に散らばる真紅の花びらが、かぐわしい匂いを漂わせている。愛に満ちた花の香りにラズヴァンが微笑むと、ロザリアが耳元で囁いてきた。
「私の愛する騎士様、早く起きて。あなたのためにお風呂を用意しておいたわよ」
大好きよラズヴァン、今日も素敵だわ……。ロザリアの澄んだ声が、ラズヴァンの心に染み渡っていく。
描いていた幸せな未来が、今ここにある。優しく自分を起こそうとする妻を抱き寄せ、ラズヴァンは多幸感に目を瞑った。
今日も素晴らしい一日が始まる。
明日も、その先も、ずっと幸せな日々が続いていく。
さて、今日はどんなやり方でロザリアに甘えようか?
彼女に膝枕をしてもらいながら、庭の兎を眺めていようか……。
そんなことを考えながら、ラズヴァンは妻の額にキスを落とした。
2
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
憐れな妻は龍の夫から逃れられない
向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。
田舎の幼馴染に囲い込まれた
兎角
恋愛
25.10/21 殴り書きの続き更新
都会に飛び出した田舎娘が渋々帰郷した田舎のムチムチ幼馴染に囲い込まれてズブズブになる予定 ※殴り書きなので改行などない状態です…そのうち直します。
男嫌いな王女と、帰ってきた筆頭魔術師様の『執着的指導』 ~魔道具は大人の玩具じゃありません~
花虎
恋愛
魔術大国カリューノスの現国王の末っ子である第一王女エレノアは、その見た目から妖精姫と呼ばれ、可愛がられていた。
だが、10歳の頃男の家庭教師に誘拐されかけたことをきっかけに大人の男嫌いとなってしまう。そんなエレノアの遊び相手として送り込まれた美少女がいた。……けれどその正体は、兄王子の親友だった。
エレノアは彼を気に入り、嫌がるのもかまわずいたずらまがいにちょっかいをかけていた。けれど、いつの間にか彼はエレノアの前から去り、エレノアも誘拐の恐ろしい記憶を封印すると共に少年を忘れていく。
そんなエレノアの前に、可愛がっていた男の子が八年越しに大人になって再び現れた。
「やっと、あなたに復讐できる」
歪んだ復讐心と執着で魔道具を使ってエレノアに快楽責めを仕掛けてくる美形の宮廷魔術師リアン。
彼の真意は一体どこにあるのか……わからないままエレノアは彼に惹かれていく。
過去の出来事で男嫌いとなり引きこもりになってしまった王女(18)×王女に執着するヤンデレ天才宮廷魔術師(21)のラブコメです。
※ムーンライトノベルにも掲載しております。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
義兄様と庭の秘密
結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる