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1学期

2話 この学校でいいの、か…?

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足を踏み入れると大河は、教卓の前に立つ。

「今日からこの学校に編入することになった大河だ。みんな仲良くするんだぞ」

そう先生は言うと、挨拶を促してくる。

(……イヤイヤイヤイヤ なんで一笑がいるんだ?!)

少し放心状態になる大河。

先生が話しかけるとようやくもとに戻った。

「今日カ、らこのガッコウに…編入するこ、とになったお、岡田…大河、です…」

流石に長らく知らない人と話していなかった大河は見事にコミュ障を発動した…

その後、挨拶をすると新しいクラスメイト達がざわざわとする。



「ねえ、あの人が編入生?さすがにコミュ障すぎない?w」



「うわ、だっさ」



「ないわー」



新しいクラスメイト達はやはり大河のことをよく思っていないようだった。

しかしそれとは反対に喜んでいるクラスメイトの姿もある。



「大…河?」



そう。小里川一笑だった。



小里川一笑は、この学校の5大美女の1人なのだ。

そして大河の幼馴染だったのだ。

しかし、いじめにより大河は学校に姿を見せなく、一笑が訪問しても顔を見せなかったのだ。

実に1年半―――。



「やっぱり、大河…だよね?」



「えぇぇ!?ち、一笑?!」



その2人の言葉が教室に響くと、クラスメイト達はざわめく。



「え?!一笑さんの知り合い?!!」



「あいつ、よりによって一笑さんと…」



「チッ」



特に男子達は苛立っている。そう、一笑は学校の5大美女なのだ。

そんな一笑と知り合いと知れば狙っている男子達は大河が馴れ馴れしくしていることに苛立ったのだ。

そんな男子達の言動を聞く大河は、初日から不安を覚える。



(これからが不安でしかないんですけど?!)



「じゃあ大河は、窓側の後ろの…山川の隣に座れ」



そう先生は言うと、空いている後ろの席を指差す。

大河は緊張しながらも席に向かい、ゆっくりと座った。

途中で男子達から歓迎と言う名の殺気を浴びながら―――。



「よ、よろしく 山川…さん。」



「よろしく。」



黒髪のロング髪で無愛想で、落ち着いている。そして美しく5大美女の1人

それがこの山田花蓮やまだかれん

無愛想だが、それがまた男子の人気を博している。

だが彼女はそんな事などどうでも良く、親が厳しい為

学校に行き、勉強ができればそれだけで良いという人間であった。



(無愛想だな。見た目は可愛いのに―――。)



「ではホームルームを終わりにする 礼。」



チャイムが鳴り終わるなり、大河の周りに人がぞろぞろと集まる。



「一笑さんとはどういう関係??」



「お前、一笑さんとどうなんだよ!」



「ええええぇ、」



「コラッ! お前なんて言っちゃ駄目でしょ!」



同級生に注意する一笑。しかめ顔がまた可愛らしい。

シルクのような銀髪のショート髪でしっかり者、文武両道で優しい それが一笑。

まさに高嶺の花のような存在の彼女、一笑が気楽に接しているのだ。

クラスメイトが気にならないわけないだろう。



「ごめ、ん そんな、い、いっきに話しかけられると…」



「ほら、大河が困っちゃったじゃない!」



そう言ってフンフン言っている一笑。



(かわいすぎるぅぅぅぅうぅ!!!!!)



その一言しか言えなかった。

そして休憩時間が終わる少し前まで俺はトイレに駆け込んだ。

そして教室に戻り俺は席に恐る恐るつく。



「あなた、そんなに人気なの?」



花蓮が大河に問いかける。



「人気…という、より不人…気?」



そう言って苦笑する大河。



―――シーン…―――



(話続かねぇぇぇええぇえ…)



「えーっと、多分みんな一笑と気軽に喋ってるのが気に入らないの、、かも」



「そう。」



花蓮は相変わらず無愛想である。

コミュ障発動中の大河と無愛想の花蓮が隣というのはまさに地獄絵図である。

(はあ、俺この学校で大丈夫かな…)

そう思った大河であった。

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