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第1章
第1話 終わりの始まり
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遥か昔、魔界から大勢の魔獣族が脱獄した。
魔界の者の本能とかけ離れた自我が何らかの特異変化によって現れ、魔獣族中心を脅かした。
人間界へ逃れた魔獣族は、人間と交わり、やがて半魔獣族という魔力は殆どない、見た目のみの半魔獣族で溢れかえった。
魔力のないひ弱な半魔獣族は魔ノラという人間界に潜む悪魔の格好の餌食となり、大勢の魔獣族は息絶えた。
しかしそんな中、生き残った半魔獣族達はある天界人が人間界の一部を切り取り造った結界の中でひっそりと暮らし始める。
―――この結界を造った天界人、その者を知る人は誰もいなかった。
桜の花びらが舞う季節。
私、ミヨコは今日から高校生になる。
新しい制服に身を包み、私は家の玄関から外へ出た。
「行ってきます!」
私は元気よくそう言ったけど、山の中でこだまするだけで、答えてくれる人は誰もいない。
「……お父さん、お母さん、私高校生になったよ」
ミヨコは小さくそう呟いた。
両親と離ればなれになってから7年。
私と兄は未だに両親と再会出来ずにいた。
あの事件以来、私と兄はお父さんの故郷であるこの結界の中で暮らしていたが、兄は去年に家を出て人間界へ両親を探しに1人で行ってしまった。
それから私はこの山奥にぽつんと立っている家で1人、暮らしていた。
「お兄ちゃん、待っててね。私もすぐ行くから」
お父さんの故郷であるこの結界の中は、私たちのような半魔獣族達が暮らしている。
人間界では魔ノラという悪魔が住みつき、私たち半ぱ者の魔獣族はその格好の餌食だった。
この結界は、そんな半魔獣族達のためにある天界人が造りあげた領域らしい。
詳しいことを知っている者は誰もいない。
ただ、この結界の中にいれば私たち半魔獣族は安泰なのだ。
それを知ったのは私と兄が結界の中に暮らし始めてすぐの頃、村の人達から聞いた。
そんな中、なぜ私たち家族は人間界で暮らしていたのか。
村の人達も不思議そうに聞いてきたが、理由は私たちにも分からなかった。
村の人にとって、人間界へ行く半魔獣族はきっと変わり者なのだ。
兄がこの村から出る時も誰もが止めたが反対を押し切り、真相を知るため人間界へ行ってしまった。
私と兄は、まだ諦めていない。必ずお父さんとお母さんを見つけて、この結界の中で平和に暮らすんだ。
きっと、見つけ出してみせる。
そう兄と誓ったとき、この村にある学校が建つことが決まった。
獣神高等学校。
なんと、この学校を卒業すれば人間界で安全に暮らせる資格を得ることができるらしい。
普通、兄のように人間界で暮らす半魔獣族は「ノラ」と言われているが、ノラとしてではなく、本当の人間のように暮らせるようになるらしい。
私の代から始まったこの学校は、結界中の学生が集まった。
人間界へ行きたいなんて変人などと言われてるけど、それでも行きたいと思っている人達もいるみたい…。
皆、どんな理由で人間界へ行きたいと思っているんだろう。
知りたい。色んなことを。この学校で沢山学ぶのだ。
そして、私も人間界へ―――
「あ、いけない!お参りしなきゃ!」
私は家の前にある十字架の祠に手を合わせた。
「天使様、見守っていてください。必ずお父さんとお母さんを見つけられるように……」
半分人間とはいえ、魔獣族の私が神に祈りを捧げるなんてちょっと変かもしれないけど、
でも、天界人のお陰で私は今この結界の中で平和に暮らせているのだ。
きっと、天界は私たちの味方なんだ。
「よし、私頑張るぞ!」
さて……、と山の上から遥か下にある村の景色を見ながら私は呟いた。
「お父さん……なんでこんな山奥の一軒家に住んでたの……汗」
私は下の村に続く長い長い階段を今日も息たえだえながら下った。
2話へ続く
魔界の者の本能とかけ離れた自我が何らかの特異変化によって現れ、魔獣族中心を脅かした。
人間界へ逃れた魔獣族は、人間と交わり、やがて半魔獣族という魔力は殆どない、見た目のみの半魔獣族で溢れかえった。
魔力のないひ弱な半魔獣族は魔ノラという人間界に潜む悪魔の格好の餌食となり、大勢の魔獣族は息絶えた。
しかしそんな中、生き残った半魔獣族達はある天界人が人間界の一部を切り取り造った結界の中でひっそりと暮らし始める。
―――この結界を造った天界人、その者を知る人は誰もいなかった。
桜の花びらが舞う季節。
私、ミヨコは今日から高校生になる。
新しい制服に身を包み、私は家の玄関から外へ出た。
「行ってきます!」
私は元気よくそう言ったけど、山の中でこだまするだけで、答えてくれる人は誰もいない。
「……お父さん、お母さん、私高校生になったよ」
ミヨコは小さくそう呟いた。
両親と離ればなれになってから7年。
私と兄は未だに両親と再会出来ずにいた。
あの事件以来、私と兄はお父さんの故郷であるこの結界の中で暮らしていたが、兄は去年に家を出て人間界へ両親を探しに1人で行ってしまった。
それから私はこの山奥にぽつんと立っている家で1人、暮らしていた。
「お兄ちゃん、待っててね。私もすぐ行くから」
お父さんの故郷であるこの結界の中は、私たちのような半魔獣族達が暮らしている。
人間界では魔ノラという悪魔が住みつき、私たち半ぱ者の魔獣族はその格好の餌食だった。
この結界は、そんな半魔獣族達のためにある天界人が造りあげた領域らしい。
詳しいことを知っている者は誰もいない。
ただ、この結界の中にいれば私たち半魔獣族は安泰なのだ。
それを知ったのは私と兄が結界の中に暮らし始めてすぐの頃、村の人達から聞いた。
そんな中、なぜ私たち家族は人間界で暮らしていたのか。
村の人達も不思議そうに聞いてきたが、理由は私たちにも分からなかった。
村の人にとって、人間界へ行く半魔獣族はきっと変わり者なのだ。
兄がこの村から出る時も誰もが止めたが反対を押し切り、真相を知るため人間界へ行ってしまった。
私と兄は、まだ諦めていない。必ずお父さんとお母さんを見つけて、この結界の中で平和に暮らすんだ。
きっと、見つけ出してみせる。
そう兄と誓ったとき、この村にある学校が建つことが決まった。
獣神高等学校。
なんと、この学校を卒業すれば人間界で安全に暮らせる資格を得ることができるらしい。
普通、兄のように人間界で暮らす半魔獣族は「ノラ」と言われているが、ノラとしてではなく、本当の人間のように暮らせるようになるらしい。
私の代から始まったこの学校は、結界中の学生が集まった。
人間界へ行きたいなんて変人などと言われてるけど、それでも行きたいと思っている人達もいるみたい…。
皆、どんな理由で人間界へ行きたいと思っているんだろう。
知りたい。色んなことを。この学校で沢山学ぶのだ。
そして、私も人間界へ―――
「あ、いけない!お参りしなきゃ!」
私は家の前にある十字架の祠に手を合わせた。
「天使様、見守っていてください。必ずお父さんとお母さんを見つけられるように……」
半分人間とはいえ、魔獣族の私が神に祈りを捧げるなんてちょっと変かもしれないけど、
でも、天界人のお陰で私は今この結界の中で平和に暮らせているのだ。
きっと、天界は私たちの味方なんだ。
「よし、私頑張るぞ!」
さて……、と山の上から遥か下にある村の景色を見ながら私は呟いた。
「お父さん……なんでこんな山奥の一軒家に住んでたの……汗」
私は下の村に続く長い長い階段を今日も息たえだえながら下った。
2話へ続く
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