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第2章
第14話 人間界へ
しおりを挟むピピピピ ピピピピ
頭の上の方で目覚ましが鳴っている。
私は目を閉じたまま手探りでそれを止めた。
起きてみると、外はまだ薄暗く静まり返っている。
でも、台所ではいい匂いが漂ってきていた。
私は制服に着替えると、いつもとは違う大きい鞄を持って台所へ出た。
「おはようございます。ラティさん。」
私は、台所に立っているラティさんに挨拶をした。
「おはよう!ついにこの日が来たね。」
ラティさんは朝食を並べながらそう言った。
今日は待ちに待った人間界研修の日。
いつもより早起きな朝と大きな鞄にいつもより豪華な朝食。
それ全てが研修へ行くのだという実感にさせてくれる。
「今日はすいません。早起きをさせてしまって……。」
私は申し訳ない気持ちでラティさんの方を向いた。
「いーの!いーの!今日は特別!しっかり朝ごはん食べてもらわないとね。」
ラティさんは私と住み始めてからだいぶ料理の腕が上がっていた。
というより、すっかり料理にハマりこんでしまったらしい。
「どう?美味しい?」
ラティさんは私の顔を覗き込んだ。
「はい、とっても。美味しいです。」
私がそう言うと満足そうにそっか!と笑った。
「では、行ってきます。1日留守にしますが、戸締りよろしくお願いします。」
私は支度を終えると玄関へ出た。
「うん!気をつけてね。行ってらっしゃい!」
ラティさんに見送られると、私は集合場所である学校前へ向かった。
いつもと変わらない校舎前。
でも、まだ朝方の暗いそこは異様な雰囲気が漂っていた。
「ミヨコちゃーん!おっはよー!」
キュトアちゃんは手を振って私に呼びかけた。
他のみんなも集まっている。
私で最後のようだ。
「さて、これで全員集まったかしら。」
マリアさんは腕時計を見ながらそう言った。
「……少し早いけど出発しましょうか。では、第4班。人間界研修を始めましょう。」
マリアさんがそう言うと、手を差し伸べた。
「目的地までテレポートします。私に掴まりなさい。」
すると、マリアさんの周りに風が舞った。
「はぁーい!♪」
いぬこさんはマリアさんにぎゅうっと抱きつく。
マリアさんは驚いてよろめいた。
「ちょ、そんなに引っ付かなくてもいいわよ!私に触れていればいいの!全く……」
マリアさんはため息をつくと改めて意識を集中させた。
「ふ、触れるだけでいいのね…。」
サフィアちゃんは恐る恐るマリアさんに掴まり、続いてナルちゃんも掴まった。
「ミヨコちゃぁん!早く!掴まらなきゃ!」
怖くて固まっていた私をキュトアちゃんは呼んだ。
「ミヨコさん!もう飛んじゃうわよ!」
マリアさんもそう言うと、私はマリアさんに飛びついた。
すると一瞬にして世界が歪んだ。
ぐるぐると身体が舞うのが分かる。
「し、しんじゃうぅぅ……」
気がつくと私は目を回して倒れていた。
「ミヨコぴょん!だいじょうぶぅ?」
わんこさんはそう言って私の顔を覗き込んだ。
私は起き上がるとマリアさんとわんこさん以外、皆酔ってしまって倒れていた。
「うぅ、わんこさんすごいね……。あんなのに耐えられるなんて。」
私はわんこさんにそう言った。
「まぁ、慣れてるからねぇ」
「え?」
今なんて?
「あ!いや、何でもない!」
わんこさんは慌てながら笑った。
「さぁ、着いたわよ。そこ、早く起きなさい。」
マリアさんはそう言って歩き出した。
……ここが人間界?
マリアさんについていくと大きい建物が並び、人が大勢歩いている場所へ出た。
ざわざわと賑やかなそこは、私がいた人間界とは全然違っている。
横を見ると皆目を輝かせて周りを見ていた。
マリアさんは前に出て私達の方へ振り返る。
「さぁ、研修開始よ。」
私たち、本当に人間界へ来てしまったのだ。
15話につづく。
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