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第2章
第17話 謎の課題
しおりを挟む「私はこれから個人の仕事があるから行ってくるわ。」
私がそう言うと、みんなは目を丸くして驚いていた。
無理もない。私だって4日連続研修で生徒を誘導しているのだ。本当は疲れている。
でも自分には任務があり、サボるわけには行かない。
1番残念そうに見つめるわんこを説得し、マリアは皆を置いて指定されている場所へ向かった。
指定の場所に辿り着くと、そこは誰も来るはずもない古びたビルの屋上。
そこには3人の同級生がいた。
「遅かったじゃない、マリア。」
3人の内のリーダーの1人がそう言った。
冷たい視線が、マリアに突きつけられる。
「こっちも研修で忙しくてね、時間通りに動いてられないのよ。」
マリアがそう言うと、3人はクスクスと笑った。
「相変わらずじゃない。ケモノの世話も、大変みたいね。」
「聞き捨てならないわ。撤回しなさい。天界の意に反する発言よ。」
私は、リーダーの言い草に噛み付く。
"半魔獣族は人間と同等"と定義されている現在での天界では、魔獣族に関する差別はまだ密かに行われていた。
「そう言うけど、マリアだって内申にひびかなきゃそんな留学受けなかったんじゃないの?内申に関わる事なら何でもこなすものね。」
私は黙って話を聞いていた。
この子達は、ただ私を怒らせて弱みを握りたいだけなのだ。
ここで私が取り乱したりしたら彼女達の思うつぼである。
「私はこんな下らない話をしに来たんじゃないわ。本題に移りましょう。時間が無いの。」
私は話題を変えた。
「……まぁ、いいわ。じゃあ、本題に移るけど、私達の総合課題。何か分かるわね?」
「"あの方"……。元天界王女を探し出す事。でしょ?」
私は即座にそう答えた。彼女達は個人課題の他に、全員に下された課題を持っている。
「そう。でも、分からないのよ。"あの方"がいなくなってからもう10年以上経つのに、何故今になって探さなければいけないのか。」
……やっぱり、皆思っていることは同じのようだ。
いきなり託されたその謎の課題に、疑問や不満を抱える人も少なくない。
「天界のトップは何も教えてくれない。マリア……、何か知ってるんじゃないの?あんた、あの子と仲良かったじゃない。」
「……悪いけど、私は何も聞いてないの。」
ふーん。とリーダーは不満げに答えた。
「やっぱり、マリアでも王族の話までは首を突っ込めないって訳ね。でもいいニュースもあるわ。ラティモア様が"あの方"の手掛かりを見つけたそうよ。」
「え、ラティモア様が!?」
私は驚いて話を聞いた。未だに何一つ手掛かりが見つからなかったのに。
「流石ラティモア様よね。あんなに若いのにたくさんの功績を残してて。」
確かにあの人は謎が多いし変わっているけど、実力は本物のようだ。
私は底の知れない彼には少し苦手意識があるけれど、周りからは絶材な信頼を得ている。
この3人もそんなラティモア様の虜のようだ。
「で、ラティモア様が私達の為に捜索のヒントをくれたのよ。それがラティモア様が見つけた手掛かりの一つなの。」
リーダーはノリノリで話し始めた。
「『"黒いうさぎ"が知っている。』これがヒントらしいの。」
黒い……うさぎ?
「それが何を意味するかは分からないけれど、とりあえず私達はその"黒ウサギ"とやらを探してるわけ。」
私は彼女の話を聞きながら"うさぎ"というキーワードが気になった。
ウサギ…ウサギといえばあの子…。
私は彼女を思い浮かべた瞬間、急に自分の身につけていた腕のバングルが光を放った。
……これは。あの子達の緊急の要請!?
「マリア?どうしたの?」
「ごめんなさい!任務は貴方達だけで任せるわ!」
「はぁ!?ちょっと、どういうこと!?」
私が張った結界には何の反応も無かったのにどうして緊急要請が。
私はリーダーに説明をする術なく、すぐにテレポートをしてわんこ達の元へと急いだ。
18話につづく。
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