空晴ラビット 1

やました

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第2章

エピローグ

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エピローグ

「また明日ね!ミヨコちゃん!」

キュトアちゃん達に見送られると、私はいつものようにまたね!と言って歩き出した。
いつもと変わらない帰り道。
今日の夕飯は何にしよう。
そう言えば昨日はラティさんにご馳走を作ってもらっちゃったし、何か作ってあげたいな。

ラティさんはすっかり家の住人になってしまったけど、一人でいる時よりは料理を作るモチベーションが上がるから結果的に良かったかもしれない。

家の玄関までたどり着くと、家のポストに紙が挟まっているのに気が付いた。

「お兄ちゃんからだ!」

紙を取り出すと、私はミヨコへと書かれた字を見てすぐに分かった。
紙の後ろを見てみると、『近い内に帰る』とだけ書かれていた。
……お兄ちゃんらしいな。

魔ノラの一件で心配になったのだろう。丁度いい。兄には色々聞きたいこともある。
私は紙を見ながら家に入ると、ラティさんはいつものようにおかえり!と玄関へ出てきた。

「……あ。ただいま、ラティさん」

そう言えばお兄ちゃんにラティさんと一緒に住んでるの言っていなかった……。どうしよう。怒るかな。

「ミヨコちゃん?どーしたの?」

ラティさんは廊下に立たずんでいる私を不思議そうに見ている。

「いえ、なんでもないです!」

私はお兄ちゃんからの手紙をポケットに詰め込み晩御飯の支度を始めた。









「相変わらず来づらいなここは。」

多い茂る草花をかき分け、キクはある場所へと向かっていた。

森を抜け出し少しだけ広い場所へたどり着くと、そこにはまるで秘密基地のような小さな家が建っていた。

キクはそのドアをノックすると、小さい郵便受けから家の主がこちらを覗き込んだ。

「あぁ、待っていたよ。」

家の主はそう言ってドアを開けた。
そこには小学生ほどの外見の少年が立っていた。
紫色に輝く髪、その頭には角があり、背中には悪魔である証の羽が生えている。
しかし、その羽は悪魔と思えぬ程に白くなっていた。

「……相変わらず変わった羽だな。」

キクがそう言うと、少年は顔色を変えた。

「あ?」

ドスの効いたその声は少年とは思えぬほどのものだった。
彼にとって、その話題は禁句なのだ。

「やぁ、キクくん。いらっしゃい。」

キクは声のする方へ顔を向けた。
奥の台所の方で珈琲を飲む男性が座っている。

「……お久しぶりです。ウィルさん。」

キクがそう言うと、黒髪に綺麗に整った顔の男性はニコッと微笑んだ。

「……二人は奥の部屋にいるよ。」

ウィルさんがそう言うと奥の部屋を指さした。

「……ありがとうございます」

俺はそう言うと奥の部屋へと進んだ。
しかし、その足取りは重く、その部屋に入るのに躊躇った。
……でも、決着を付けなければならない。その為に俺はここに来たのだ。

俺は、静かにその部屋にノックをした。しかし、返事はない。
でも、そんなことは想定済みだった。

キクは黙って部屋に入ると、そこには殆ど家具が置かれていない殺風景な部屋が広がっていた。

その部屋には唯一ベットがあり、そこには男性が眠っている。その横で椅子に座り、祈りを捧げている女性がいた。
白いベールを被り、顔は見えない。

その異様な光景に俺は気味の悪さを感じる。
女性は、入ってきた俺に気づいていないようだ。

「……久しぶり。」

俺がそう言うと、女性は祈りを止めてこちらを見た。

「あら。いらっしゃい。ごめんね、気づかなかったわ……」

女性はそう言って微笑んだ。
しかし、女性はすぐ祈りを再開した。

俺はこの"悲しい光景"をしばらく見つめていると黙って部屋を後にした。

「相談があるんだ。ウィルさん。」

先程の台所へ出ると、少年が珈琲を出してくれていた。

「あぁ、なんだい。キク。」

ウィルさんの優しい微笑んだ顔を見ると、先程の悲しさがどこかへ吹き飛んでいた。

「あのさ、」

俺は重たい口を開いて話し始める。

ウィルさんはそんな俺を見つめ珈琲を飲みながら話を聞いていた。


空晴ラビット1 完









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