空晴ラビット 1

やました

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第2章

第20話 天界の衰退

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「待って!マリア!」

アムとマリアは誰もいない学校の廊下を歩いていた。
マリアは何も言わずにアムの手を引っ張る。
そのまま生徒会室にたどり着くと、ようやくマリアは口を開いた。

「さぁ、ここなら何を話しても大丈夫よ。それで、何があったの?」

私は彼女に問いただす。
彼女は、本来ならばここにいるべき存在ではないのだ。

「ご、ゴメンなさい。いきなり来てしまって。でも、もう時間が無いの…!」

アムは再び涙を流した。

「やっぱり、女王の衰退は進んでいるのね……」

私がそう言うと、アムは頷いた。

「苦しいのは分かる……。でも、もう少しだけ待ってて。必ず、私が"あの方"を見つけ出すから。」

私はそっと、アムに抱き着いた。
でもすぐに私は、ハッとしてアムから離れた。

「……?マリア?」

アムはキョトンとしながらこっちを見ている。
……危ない危ない。
私は自身のした行いに赤面した。
本人は自覚はないけれど、幼なじみとはいえこの子は……

『あはは!やっぱりマリアちゃんはウブだね~』

どこからか声が聞こえてきた。
床に魔法陣が出現する。
……この魔法陣は。

「ラティモア様!?」

私は久しぶりに見るラティモア様に驚いた。何故こんな所に。

「こ~ら。駄目じゃないか。"姫様"がこんな所にいちゃ」

彼がそう言うと、アムはビクッと強ばった。

「す、すみません……。ラティモア様。でも、私は姫としてではなくお母様が心配で……!」

アムは必死に抵抗した。

「姫。前にも言ったはずだ。"あの方"が力を使わなければ女王はその反動を受けないと」

「でも、反動がなくともあの方がいる限りお母様はずっと苦しんでいるのです!このままでは天界自体が衰退して……」

アムはずっと、衰退していく母を見てきたのだ。
アムの心は限界にきている。

「……手掛かりは見つけた。もうすぐ彼女にたどり着ける。」

「……え?」

私とアムはビックリして固まった。

「だからもう少し待っていてくれ。必ずあの方を見つけ出し私がこの手で"消滅"させるさ。」

消滅。それが、あの方を探している理由だった。
あの方がいる限り、天界は衰退し続ける。
それを恐れた天界のトップ達は、混乱を避けるために理由を伏せて課題と称し天界中の学生に命令を下した。

「今年の夏中には決着をつけるさ。だから、姫様は大人しく天界へ戻るんだ。いいね。」 

「そんなに早く……?」

ラティモア様はどこまで手がかりを掴んでいるのだろうか。
それに、同級生達が言っていたヒント。あれは一体……。

「『黒いウサギが知っている。』ラティモア様が言ったヒント。これにはなんの意味があるの?」

私はラティモア様に問いただした。

「あぁ、それについては助っ人を依頼したから大丈夫。そのうち分かるさ。」

助っ人……?一体誰を?

「一体何の話?」

アムはキョトンとしている。

「まぁまぁ、とりあえず姫様は天界に戻ろうね。」

「……信じていますよ。必ずあの方を見つけ出すのです。」

「あぁ、承知致しました。姫様。」

アムはラティモア様にそう言うと、テレポートで天界へ帰還した。
生徒会室には私とラティモア様だけが残った。

「本当に夏中に見つけられるのですか?」

私はラティモア様に問いかけた。

「あぁ、正確には違うね……。あの方、いや、"彼女"は、自分から僕の前に現れるさ。」

……あの方が自分から?

「10年以上も姿を消しているあの方が本当に?」

私は信じられなかった。

「あぁ、天界の現女王が限界のように、"あちら"も、もう限界なんだよ。」

ラティモア様はクスッと笑った。

すると、授業終わりを告げるチャイムが生徒会室に鳴り響いた。
私は黙ってラティモア様を見ていたが、その怪しげな笑みに謎の恐怖を覚えていた。



エピローグにつづく。



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