空晴ラビット 1

やました

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第2章

第19話 涙の天使

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「頼んだよ。これは君にしか頼めないことなんだ。」

ラティモアがそう言うと、少年はメモを受け取った。

「……はい、分かりました。」

少年は目的を果たしに人間界へ向かう。それをラティモアは呑気に手を振って見送った。

「ん~、さてと。そろそろミヨコちゃん帰ってくるかな~。疲れてるだろうから俺が何か作ってやらなきゃな!」

ラティモアはウキウキしながらその場から離れた。







「あ~いい天気だね!」

「こんな日は外でお昼ご飯に限るねぇ~」

キュトアちゃんとわんこさんはそう言って空を眺めている。
その横でサフィアちゃんとナルちゃんは黙々とお弁当を食べていた。
私達が今いる場所は校舎の中にある庭園。お弁当を食べるには快適な場所だった。

「な~に呑気な事言ってんのよ!人間界研修が一時中止になって報告書書かなきゃいけないのに……。」

マリアさんはブツブツと言いながら食べている。

「ゴメンなさい、マリアさん忙しいのに……。どうしても皆一緒に食べたくて。」

私がそう言うとマリアさんははにかみながら まぁ、いいけど。と答えた。

私達が研修中に魔ノラに襲われた一件で、研修自体が一時中止となり、クラスではざわめきが広がっていた。
私達も先生方に色々質問され、報告書も書かされたけど、結界がはられていた区間で何故私達が半魔獣族だと魔ノラにバレたのかは謎であった。

「そぉいえばさ!マリアとミヨコのお兄さん、何の話をしていたの?」

わんこさんはマリアさんに引っ付きながら質問した。

「っ……。何でもないわ。気にしないで。」

「えー!!気になるー!!」

わんこさんがそう言うとキュトアちゃんも便乗して私もー!と手を上げた。

……それは私も気になるけど。何だか聞かない方がいい気もする。マリアさんは困ったように私の方を見た。

「……ミヨコさん、あれからお兄さんと連絡取れてないの?」

「……はい。家に帰ってくる時しか話せないので…。」

マリアさんはそう、とため息をついた。

すると、どこからともなく声が聞こえてきた。

『マ……リ……マリ……ア……』

周りを見渡したけど、誰もいない。

「……声?どこから??」

キュトアちゃん達もその声に気づいた。
その声はどんどん大きくなっていく。


「マリアぁ!!」

すると空に魔法陣が出現し、そこから人が落ちてきた。

「え、え!?人!?人が降ってきたぁ!?」 

皆はビックリして立ち上がった。

落ちてきたその人はアリアさんを下敷きにして落下した。ピンクの髪に白くて大きな羽と服がキラキラと周りに反射している。
そして彼女の瞳には大粒の涙が零れていた。

「う、うぅ~、マリア~どうしよう~間に合わないかもしれない~」

天使と思しき少女は泣きながらマリアにしがみついた。

「な、アム!?アムールなの!?」

もしかしてマリアさんの知り合い?
私達は落ちてきた彼女をまじまじと見ていると、それに気づいたのか天使の少女は私達の方を振り返った。

「きゃあ!魔獣!?」

彼女はビックリして悲鳴をあげた。

「ちょっと……!そんな驚くことないでしょ!」

マリアさんは少し焦りながら彼女を叱った。

「あぅ……ご、ゴメンなさい。魔獣族を見るのは初めてだったので……」

彼女は私達の方へちょこんと座り謝罪した。

「……だれ?」

ナルちゃんはサフィアちゃんの後ろに隠れ、ビクビクしながらそう呟いた。

「…この子は私の同級生で幼馴染みなの。」

「アムール・シュガーテイルです。よろしくお願いします。」

彼女は深々と頭を下げ、自身の名前をなのった。
とてもかわいらしい名前。でも、それに負けないほどの美少女だった。

「かっわいいー!アムールちゃんか!私もアムちゃんって呼んでいい?」

キュトアちゃんは彼女の手を取り握手をした。
彼女は照れながら笑った。

「えへへ、ありがとうございます。」


「じゃあ、悪いけど私とアムは少し席を外すわね。書類も書かなきゃいけないし。」

マリアさんがそう言うとアムさんの手を引っ張り歩き出した。

「あわわ、待って~マリア~」

アムさんは慌てながらついて行く。

「じゃ、じゃあまたね~みんな~」

アムさんは歩きながら振り返り、私達に手を振った。
その光景も何とも可愛らしい。

「ひぇ~すっごいかわいい子だったね。」

わんこさんはポカンとしながらそう呟いた。
キュトアちゃんは新しい友達が出来て嬉しそう。

「そうだね~天使はみんなあんな感じなのかな?」

確かにマリアさん同様、天使のオーラは何か特別なものを感じさせる。
これが天使の特徴なのだろうか。
でも、アムさんはマリアさんとは違ってマイペースな雰囲気のようだった。

それに、さっきは皆気づかなかったみたいだけど、どうして彼女は泣いていたのだろう……?



キーンコーンカーンコーン

すると授業前の予鈴が鳴った。

「大変!急がないと!」

私達は出しっぱなしだったお弁当を片付けて急いで教室へ戻った。


20話につづく。
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