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第3章
第21話 尾行
しおりを挟む「はぁ、めんどくさ……」
金髪の少年は人間界を眺め、ため息をついた。
この顔立ちの整った天使の少年、神蔵ナユタは依頼された目的を果たすため人間界の地上へ降り立つ。
「どうして俺がこんなことを……」
ナユタはブツブツとそう言いながら人間用の服装へとその身を変えた。
……さてと、
俺はラティモア様から貰ったメモを取り出した。
そこには少年の顔写真に名前と通学している学校名が書かれていた。
「……これが例の黒ウサギって奴か?」
正直、皆に与えられたあの課題についてはノータッチでいくつもりだった。
俺は個人課題が終わると、真っ先に天界へ戻ったのだが、一番乗りだった俺にラティモア様が違う課題を提案してきたのだ。
ラティモア様に頼まれては断ることも出来ずに仕方なく依頼を受けてしまった。
「ここか」
俺はしばらく歩くとメモに書かれていた学校へたどり着いた。
……本当にここで合ってんのか?
学校の校門には落書き。上を見上げれば窓ガラスが破れている。
いわゆる不良の集う学校だ。
本当にこんな所に黒ウサギがいるのだろうか。
半信半疑だが仕方ない。
俺は魔法陣を出現させると指を鳴らした。
パチンッ
魔法陣が消えると後ろからこの学校の学生らしき不良が歩いて来る。
「お、ナユタじゃん。何してんの?」
その不良はナユタの方を見てそう言った。
俺はコイツのことを知らない。
だが今の魔法で、俺は完全にこの学校の生徒である事になったのだ。
魔法が効いている証拠である。
「いや、何でもない。それより、コイツ知らないか?」
俺は破したメモの顔写真を不良に突きつけた。
「ん~。あ、隣のクラスの……確か名前はキクだったかな」
……キク。メモと一致してる。
「コイツがどうしたんだ?喧嘩でも売られたか?笑 俺も一緒に行ってやろーか」
不良は腕を鳴らしながらそう言った。
「いや、俺一人で行く。邪魔すんな」
俺はそう言うと学校の中へと侵入した。
中に入ると廊下にはゴミやら飲み物の缶が散乱している。
···ここまでとは。
潔癖な俺にとっては一溜りもない。
いや、誰だって嫌なはずだ。
もはやここは無法地帯のようだった。
「早く終わらせてやる……。」
俺は心にそう誓った。
すると、奥の方から甲高い笑い声が聞こえてきた。
見ると、不良達がぞろぞろと廊下を歩いてくる。
たった今そこで喧嘩をしていたようだ。
俺はその中の1人に目が止まった。
「……見つけた」
フードを被っていて見えずらいが、間違いない。
あれが黒ウサギ。
ぞろぞろと不良達が近づいてくる。
俺は黒ウサギとすれ違った。
その瞬間、わずかに黒ウサギと目が合った気がした。
こんなに早く出会うとは思っていなかったが、丁度いい。
俺は通り過ぎて行った黒ウサギを眺める。
「さて、さっさと終わらせるか」
学校のチャイムが鳴り、俺は奴の尾行を始めた。
22話につづく。
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