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第692回。勝てない奴の美学
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判官贔屓ってのがこういうときに使う言葉なのかわからないけど、何となくそんな気がするはなし。
昔から主人公より、ちょっと横にいるキャラが好きだった。
ドラゴンボールで言えばベジータが好きだし、Zガンダムのジェリド・メサとかもいい。
最近ビーストウォーズ見てるけどやっぱりダイノボットがカッコいい。
彼らはみんな、確かに強い。
個々の実力は申し分ないんだけど、主人公がそれ以上に強すぎるから一枚落ちて見えてしまう。
でも、じゃあドラゴンボールの主人公がベジータだったら面白いかと言われたらそれは違う気もする。
一つの物語のなかに、自分なりの主人公を見つけて楽しむことを覚えたのはジェリド・メサだった。Zガンダムはジェリド・メサの物語だと思って見るとまた違った味わいがある。
何をやっても結局敵わなくて、最後の最後まで戦うけどやっぱり勝てずに終わる話というのは美しいものだ。自分の努力が認められなかったり、やりきれない怒りの矛先を失ったとき、彼らがささやかな支えになってくれるときもある。
人生にささやかな楽しみを見出すようになることを私はどこかで拒んで、ちっぽけな幸せを後生大事に両手で包んで暮らすような人間であることを認めたくないと思ってきた。
だけど、そんなことでも支えがなきゃしんどい時もあるって思った方が少しは楽になるな、と思う今日このごろ。
ベジータみたいな、育ちが良いうえポテンシャルが高く、さらに努力した結果自信に見合う実力を身につけたにもかかわらず結果認められない、悟空に勝てない、でもそれを最後には認めることで男として一つ大きくなる、という結末は、よく考えたら大変に勇気をもらえるんだよな。
それぐらいやったってダメなときはダメだし、うまくいかないことばかりだし、だけど毎日戦わなきゃならないし。
最初は単純にカッコいいから好きなんだけど、あとになって
なんでこんな好きなんかな?
と考えた時から、その「好き」がリアルになるのかも。
そのキャラが積み重ねてきた戦いや努力、流した血や汗や涙がにじみ出てくる分だけ、そのキャラを愛する自分にもきっと戦いや努力があったのだと思いたい。それは別にビッグバンアタックをぶっ放したり、リックディアスで飛び回ることじゃなくて、なんか些細なことでイライラしながら生活したり、同じ会社のボンクラばっかり得してやがる気がして地に落ちたモチベーションでも早起きして仕事したり、渋滞や通勤ラッシュに耐えたり、勉強も家事も仕事も闘病も、なんでもいいから何かしてる、もしくは何かしたくてもがいてる、したいことが無い、何もない、なんでもいいんだ。
そこまで積み重ねた自分に、何かしら重なる部分があるんじゃないかな…。
自分もそうでありたい、自分もそうなりたい、こんな風に戦ってみたい。
なんか、そういうところで目線を合わせてキャラを選んでるのと、あとでそこに無意識に近づいてたり、離れてしまったことに気が付いたり。
理由も切っ掛けも千差万別だし、同じキャラに同じ好きを持ってる者同士でも理由や切っ掛けが違ってるのは、そこまでの積み重ねが誰一人として同じじゃないからであって。
プロレスで言えば私が大好きな故ダイナマイト・キッド。
まだ名前のところに故ってつくのが信じられないけど、彼はハンディキャップを克服し、むしろものともせず戦った男の中の男だった。
キッドは身長170センチほどしかなくレスラーとしては小型だった。だが、だからこそ
表面張力の限界
と言われるほどの筋肉をまとって、自分より遥かにデッカイ相手ともガンガン戦った。
それに加えて、日本では数々の名選手とライバル関係となり、特に初代タイガーマスクとの死闘は伝説となった。
しかし、如何にキッドと言えどタイガーマスクからピンフォールやギブアップなどの完全な勝利を奪うことは出来なかった。
初代タイガーマスクの人気を作り出したのは、もちろん非凡な才能を磨き上げたタイガーマスクご本人によるところが大きいが、そのライバルたちの力もまた大きい。
初代ブラックタイガー、スティーブ・ライト、ブレット・ハート、小林邦昭さんや寺西勇さんといった日本人の強豪に、私がちょっとだけルチャ・リブレを習ったネグロ・ナバーロさんも居た。アメリカ、イギリス、メキシコ、カナダ、各国の様々な一流選手と戦ったことで自らの価値を高めていったのだ。
そうした高みに上ることは、自分では不可能だと悟るときが必ず来る。
どんな人にも挫折はある。
挫折や敗北を知らない完全無欠のヒーローよりも、そのヒーローに叩きのめされることで味わった挫折と敗北を分かち合える人物に惹かれるのも、また豊かで得難い経験なのではないか。
勝てない、でも、嫌いじゃない。勝ち負けや善悪の枠組みを飛び越えて、その人物が持っている強さ、魅力そのものに迫るというのは良いことだと思うし、そのレベルのキャラクターを産み出した人にとっても、また物語を制作した人、試合を行った本人や関係者、みんなにとって想定の内外は別として、ファンとしてそういう見方があるということで喜んでもらえることがあれば嬉しい。
勝たないとダメ、アレがダメ、コレがあるから云々という人がたまにいるけど、そういうのは指摘してる自分が好きなだけで実に視野が狭い。聞いてて気が滅入るばかりだし、横に広がっていかない。だって好きなのはジャンルや作品ではなく、皮肉屋の自分だから。
そうはならないで居たいし、いつまでも戦い続けていたい。私の好きな戦士たちは、みんなそうやって生きていたから。
昔から主人公より、ちょっと横にいるキャラが好きだった。
ドラゴンボールで言えばベジータが好きだし、Zガンダムのジェリド・メサとかもいい。
最近ビーストウォーズ見てるけどやっぱりダイノボットがカッコいい。
彼らはみんな、確かに強い。
個々の実力は申し分ないんだけど、主人公がそれ以上に強すぎるから一枚落ちて見えてしまう。
でも、じゃあドラゴンボールの主人公がベジータだったら面白いかと言われたらそれは違う気もする。
一つの物語のなかに、自分なりの主人公を見つけて楽しむことを覚えたのはジェリド・メサだった。Zガンダムはジェリド・メサの物語だと思って見るとまた違った味わいがある。
何をやっても結局敵わなくて、最後の最後まで戦うけどやっぱり勝てずに終わる話というのは美しいものだ。自分の努力が認められなかったり、やりきれない怒りの矛先を失ったとき、彼らがささやかな支えになってくれるときもある。
人生にささやかな楽しみを見出すようになることを私はどこかで拒んで、ちっぽけな幸せを後生大事に両手で包んで暮らすような人間であることを認めたくないと思ってきた。
だけど、そんなことでも支えがなきゃしんどい時もあるって思った方が少しは楽になるな、と思う今日このごろ。
ベジータみたいな、育ちが良いうえポテンシャルが高く、さらに努力した結果自信に見合う実力を身につけたにもかかわらず結果認められない、悟空に勝てない、でもそれを最後には認めることで男として一つ大きくなる、という結末は、よく考えたら大変に勇気をもらえるんだよな。
それぐらいやったってダメなときはダメだし、うまくいかないことばかりだし、だけど毎日戦わなきゃならないし。
最初は単純にカッコいいから好きなんだけど、あとになって
なんでこんな好きなんかな?
と考えた時から、その「好き」がリアルになるのかも。
そのキャラが積み重ねてきた戦いや努力、流した血や汗や涙がにじみ出てくる分だけ、そのキャラを愛する自分にもきっと戦いや努力があったのだと思いたい。それは別にビッグバンアタックをぶっ放したり、リックディアスで飛び回ることじゃなくて、なんか些細なことでイライラしながら生活したり、同じ会社のボンクラばっかり得してやがる気がして地に落ちたモチベーションでも早起きして仕事したり、渋滞や通勤ラッシュに耐えたり、勉強も家事も仕事も闘病も、なんでもいいから何かしてる、もしくは何かしたくてもがいてる、したいことが無い、何もない、なんでもいいんだ。
そこまで積み重ねた自分に、何かしら重なる部分があるんじゃないかな…。
自分もそうでありたい、自分もそうなりたい、こんな風に戦ってみたい。
なんか、そういうところで目線を合わせてキャラを選んでるのと、あとでそこに無意識に近づいてたり、離れてしまったことに気が付いたり。
理由も切っ掛けも千差万別だし、同じキャラに同じ好きを持ってる者同士でも理由や切っ掛けが違ってるのは、そこまでの積み重ねが誰一人として同じじゃないからであって。
プロレスで言えば私が大好きな故ダイナマイト・キッド。
まだ名前のところに故ってつくのが信じられないけど、彼はハンディキャップを克服し、むしろものともせず戦った男の中の男だった。
キッドは身長170センチほどしかなくレスラーとしては小型だった。だが、だからこそ
表面張力の限界
と言われるほどの筋肉をまとって、自分より遥かにデッカイ相手ともガンガン戦った。
それに加えて、日本では数々の名選手とライバル関係となり、特に初代タイガーマスクとの死闘は伝説となった。
しかし、如何にキッドと言えどタイガーマスクからピンフォールやギブアップなどの完全な勝利を奪うことは出来なかった。
初代タイガーマスクの人気を作り出したのは、もちろん非凡な才能を磨き上げたタイガーマスクご本人によるところが大きいが、そのライバルたちの力もまた大きい。
初代ブラックタイガー、スティーブ・ライト、ブレット・ハート、小林邦昭さんや寺西勇さんといった日本人の強豪に、私がちょっとだけルチャ・リブレを習ったネグロ・ナバーロさんも居た。アメリカ、イギリス、メキシコ、カナダ、各国の様々な一流選手と戦ったことで自らの価値を高めていったのだ。
そうした高みに上ることは、自分では不可能だと悟るときが必ず来る。
どんな人にも挫折はある。
挫折や敗北を知らない完全無欠のヒーローよりも、そのヒーローに叩きのめされることで味わった挫折と敗北を分かち合える人物に惹かれるのも、また豊かで得難い経験なのではないか。
勝てない、でも、嫌いじゃない。勝ち負けや善悪の枠組みを飛び越えて、その人物が持っている強さ、魅力そのものに迫るというのは良いことだと思うし、そのレベルのキャラクターを産み出した人にとっても、また物語を制作した人、試合を行った本人や関係者、みんなにとって想定の内外は別として、ファンとしてそういう見方があるということで喜んでもらえることがあれば嬉しい。
勝たないとダメ、アレがダメ、コレがあるから云々という人がたまにいるけど、そういうのは指摘してる自分が好きなだけで実に視野が狭い。聞いてて気が滅入るばかりだし、横に広がっていかない。だって好きなのはジャンルや作品ではなく、皮肉屋の自分だから。
そうはならないで居たいし、いつまでも戦い続けていたい。私の好きな戦士たちは、みんなそうやって生きていたから。
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