不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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キッドさんの四国上陸 その1

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第一話「ビックリするほど晴れた空」の巻

空に星が光るくらい晴れていても、夜空を明るいとは思わないもので
滋賀県のマクドに入る前、ふと夜空を見上げた佐野は思わず声を上げた
佐野「すげえ、すげえ星!」 
助手席の平松も空を見る。幾戦もの星が瞬いている。冬が近づいている事もあるが、元々空気が澄んでいるのだろう。 夜空をさえぎるほどの光も、汚れもないのは素晴らしいことだ
こういう田舎って好きだな

京都府を抜ける頃、いよいよ本格的に夜明けを迎えた。白々してきた空は東のほうに雲が見えた。 そこに朝日が赤みを帯びて昇ってくる…我々は太陽と反対に進んでいるので、眩しくは無い
そのまま大阪府内に突入。周りに車も増えてきた
大阪府大阪市の梅田新道で、国道1号と2号が交差する
しかしちょうど四国の地図にも東海地方の地図にも大阪は詳しく出ていないのでメモ代わりのケータイ画面を何度も確認する佐野
この頃のケータイ地図は今にして思えばホントに不便というか、使える代物ではとてもなかった。というか今が異様に便利なんだろうけどもね

そして辺りはすっかり明るくなり、空も青く光りだしたころ…ここだ。梅田新道だ
心斎橋まで雨の御堂筋を辿れば欧陽菲菲だ
無事、国道2号線に乗る
ココからが本番…と言いたいところだが、実際は半分も来ていない
なんたってまだ兵庫県も見えていないのだ
相変わらず平松は熟睡。朝倉もまだ行けそうだ
佐野も来るべき中国~四国地方のために地図の準備を始める
この日に備えて地図のアチコチにコツコツ目印の付箋を貼り付けていたのだ。誰か褒めて

大阪府を抜けると、兵庫県に入る。尼崎、西宮、芦屋、神戸と順調に走る
佐野「ま~平松も寝てるし」 
朝倉「そうだな。少し走ったらまた休憩だ…そこで交代し「起きてるよ」 
うぉっ!
いつの間にか起き出した平松。丁度良いので駐車場のあるコンビニを探す
が、街中を走っているため中々ない。あっても出にくそうだったりして難儀していると
その名もズバリ「大物公園」。アニメキャラで言うと 
「野原しんのすけ」 
「野比のび太」 
といった大器晩成型の人間がタムロしているのだろうか。 
いや、ひょっとしたら 
「自分は大器晩成と信じ続け、40過ぎても無職独身のアブラハゲオヤジ」 
の憩いの場所だったりして… うひゃあ…
(でもそっちのが行って見たい) 

しばらく走って神戸市内に入り、やっとセブンイレブンを見つける
トイレがてら朝倉にピザまんを買ってあげた佐野。手渡された朝倉に 
「ピザでも食ってろデブ!」 
と2chの慣用句を叩きつけられても泣かない
ついでに、とさらに栄養ドリンクを飲む佐野。もうタウリンとかは過摂取じゃなかろうか
その姿を朝倉が撮影
ドリンク飲んでろデブ! 
などと言わない様に。それは泣くので

ココから運転を平松に交代
平「頑張るよ!全然四国までいけるし!」 
朝「そんなに遅刻の罪悪感を感じなくても」 
佐「あはははは!」 
平「ああ確かに感じてるよ!いま自分で言おうと思ったのに……」 
自虐は自分で言うから成り立つのである

神戸市を抜けてさらに走る
道はしばらく2号線だけだし、さし当たって迷う気遣いは無い
しかし、思えば遠くへ来たものだ…まだ本州だし、世界にはもっと広い国や街同士が遠く離れた国もあるだろう
アメリカやロシアなんか隣の大都市へ行くのに一日がかりなんてざらだし。でもさあ、地図見てテレビ見て、それで納得できるかと言えば、どうだろう。たとえ狭い島国のアスファルトや低い山道であっても、たった数100キロであっても、自分たちで走りぬけたほうが実感できる 
もちろん徒歩や自転車でさえないし、ガソリンのムダだしくだらないと思う人も居るだろう
受験だ、仕事だ、それぞれもっと大事なことがある奴だって、きっといっぱいいるだろう
でも私たちは今これが楽しいし、受験もない。仕事や学校も都合をつけてる
ソレが出来るうちに、やらなきゃ損だ
2020年になってコレを読み返すと、つくづくそう思うね
行きたい場所は行けるうちに、だ

周りはすっかり明るい朝になった
本当に雲ひとつ無い日本晴れ。天晴れ!というやつだ
山並みがくっきり見える
先ほど明け方に見えていた雲もドコへやら
360度、どこを見渡しても青空…車内ではイエローカードの爽やかで疾走感あふれる音色が響いていた
イエローカードも晴れた空に良く似合う! 
懐かしいなイエローカード。当時好きだったんだよな


道路の青看板に「明石海峡大橋」の文字が見えてきた
我々は瀬戸大橋を通るので、一旦明石海峡大橋の下をくぐり、帰りには明石海峡大橋を渡るのだ。なんだこの日程!?

海沿いの斜面にJR神戸線のコゲ茶色が映える。家々が立ち並び、日差しは暖かく、透き通るような青空もあいまって、まるで絵葉書の中を進んでいるようだった

情緒の無いことも言っとくと 
「反対方向(太陽が昇るほう)を向いてたら、眩しかっただろうなあ…」 
と平松君が言っていた

明石海峡大橋は唐突に姿を現した
カーブの向こう側、斜面に隠されるように…ほんの少しアタマが見えた
そして近づくほどに巨大さを増してきた。でかい
なおかつ美しい
様式美というか、このカタチは実用的なものだろう。それがまた美しい

天候に恵まれている事もあって、本当に景色がきれいだった
この橋を明日渡るのかあ、と感慨にふけっていたが、よく考えたら明日はもう帰るのだ。慌しい日程を今更実感する一行であった

やいやい…(三河弁。やれやれ、の意味) 


つづく。
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