不定期エッセイ キッドさんといっしょ。

ダイナマイト・キッド

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町中華に行こうよ

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去年の秋まで勤めてた会社で、物知りの友人Oさんと仲良くなった。
プロレス、鉄道、土地勘、相撲などが私との共通項で、他にも色々と造詣が深い。話をしていて、これほど楽しい人は中々いない。
何しろバカな下ネタが殆ど必要なく、ずーっと何らかの分野について語り合い、ときどき前置きの要らないシャレが通じ、関連付けられる話題があればそちらに飛び……気がつくと数時間というのがザラだった。

その後、私もOさんも同じくらいの時期に退職して暫くが経ち、久しぶりにメシでもという機会が出来た。私は豊橋、Oさんはもう少し西に居るので、東三河のどっかでお店探すかなあと思ってたら
「浜松に町中華あるから行かない?」
とステキなご提案。浜松のどのへんですかと聞いたら遠鉄の「さぎの宮」だとか。
ははーん、遠鉄で見つけたな。
流石は鉄道マニア、そして地理好き。知らない駅で降りて歩き回ってるときに見つけたのかと思いきや、そうでもないらしく。
むしろ逆で、何か面白そうなお店は無いものかと探してたらココに当たって、行ってみたら超よかった。と。

で、実は今までも何度かココまで遠鉄に乗って食べに来ていたそうな。
夜勤明けって時間あるから、9時ぐらいにJR乗って向かうとちょうどいいんだろうなー。
ほんとフルタイムで朝から晩までなんか働くもんじゃない。
昼勤、夜勤、明け、休み。
慣れちゃえば、このサイクルとても良かった。朝9時前に仕事終わって、そっから次の日も含めて殆ど2日休みがあるのだ。今とてもあのサイクルが恋しい。

豊橋駅に集合して一路浜松へ。
257号線で浜松駅の傍らを通り過ぎ、152号線に入ってさらに北上。
線路沿いの街道に赤い小さなお店が見えてくる。
餃子の砂子(すなこ)さんである。
The町中華。
町中華なんて言葉が出来るずっと前から町角で中華屋さんを続けている、本物の昭和レトロ。
駐車場はお店の裏手。何故か壁に窓口があって、おじさんが顔を覗かせる。
なんとドライブスルー。
店の横を通って餃子などを受け取って、そのまま裏手に抜けられるようになっているのだ。
マクドナルドより早かったんじゃねえか。

車を停めて店に入ると、これまた懐かしい。
木製テーブルに紙に書いたメニュー、餃子は冷凍のお持ち帰りもある。
私はチャーシュー麺と餃子にした。
ふと見ればカウンターにプロレスのポスター。
シュレック関根選手の興行があるらしい。
「佐野くん、いいメンバーだねえ」
「ホントだ。後楽園ホール並ですよ」
今度はプロレスの話をしているうちに、注文の品が運ばれてきた。
シンプルで美味しい。これこれ、こういうの!って感じ。
気がつけば店内は混雑、外で待っている人達まで居る。
現場系のお兄さんが多いが、家族連れも。
ササーっと食べ終わって退散。いや美味しかった。
Oさんいわく、このぐらい混んじゃうことも多いので、すんなり入れてよかったと。
なるほど納得である。広くない駐車場には現場系お兄さんのキャラバンやハイエースが上手に停めてある。
「まだ12時チョイ過ぎっすよ」
「なんか適当に走る? 僕の運転じゃないけど」
「竜ヶ岩洞近いし、アイスでも食います?」
「いいねえ」
で、ぐるーっと周って飛龍大橋を渡って竜ヶ岩洞に向かう。

この天竜川を渡るでかーい橋が好きで。
何しろ適当に走ってても平気だし、迷ったところで走ってればどうにかなる。
砂漠の真ん中や外国じゃあるまいし。
ここでも通りがかった駅の出来たあらましや、竜ヶ岩洞の成り立ちなんかを話していた気がする。ひとつフタを開けると幾らでもネタが詰まってるし、ひとつの話が次々と連なっていくから終わりがない。
文化という人の営みが残したものは偉大である。

竜ヶ岩洞に着いて、売店のジェラートを食う。
コレ目当てで来ることも多い。
夜勤明けの平日は空いてていいのだ。休みの日はバスやらバイクやらも来るし洞窟の中が渋滞することもある。
以前に比べれば賑やかくなったけど、以前よりお店が減ったし直売所もなくなってしまった。ちなみに五平餅や浜松餃子も美味しい。
外の売店で飲む甘酒も好きだなあ。

そっから豊橋駅まで走って解散。
なんならOさんの地元まで走っても良かったなあ。
毎回こんな風に話しててもネタ切れしなかったのだから、あのヒトの物知りは底なしである。そして私は、そういうヒトと話をしていると楽しくて仕方がない。
色んなモノゴトをよく知っているヒトと話すことは、その知識や経験を分けてもらっていることでもある。
鴨江の館長さんとか、日本橋のあやらさんとか、ああいう人に私もなりたいし、そばに居られる奴でありたい。

Oさんありがとう、今度はお友達も是非ご一緒に。
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