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東京Diggingland 1.
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日本が旧東京都とその周辺都市を除く各自治体の独立宣言によって分裂し、東京都および旧首都圏都市連合が周辺の独立宣言表明自治体との対立を続けるさなか。東京ヘッドクオーターは各地方都市に分散して建造された火力、水力、原子力ほかあらゆる発電所からの電力送給が断絶する見通しを立て、独自の電源開発と送給が急務となった。
そもそもの発端は例によってパーソナルセンター主導の首都圏リスクヘッジと経営者としての目線に立った行政……早い話が緊縮財政続行によるコストカット主義にあった。
都内および首都圏近郊に巨大なエネルギーを扱う施設が存在すること自体が多大なリスクであり、建造・運営・維持管理にも莫大な費用がかかる。エネルギーを産み出し続けることは、それだけのコストも副産物として発生している。それを、なんとか抑制できないか。いつもの「国家ぐるみのケチ」がここにも表出して来たというわけだ。
国家の根幹を支えるエネルギー生産事業にあってですら、パーソナルセンターにしてみれば巨額の予算をつぎ込む事業に過ぎない。エネルギー供給による経常利益の黒字化に向けたコストカットの憂き目には抗えない。
各電力会社の子会社、関連会社の技術者はパーソナルセンターに安く雇い直された上に長く酷使されたことで続々と消耗していった。そのうえ過疎地に恩着せがましく、反対意見は利権とキレイごとでねじ伏せ、当地の雇用(当然、パーソナルセンターによるもの)とエネルギー供給の優先的安定化をお題目に建造されたそれらの発電所が、皮肉にも各地方都市の独立宣言を後押しする形となった。
かつての東京、そしてその周辺都市が集まった旧首都圏都市連合に安く流されていた電力も燃料も、そのまま流用されてしまったのだ。中央政権における数多くの自業自得の一つであったが、東京HQとしては堪ったものでは無い。
そこで、過去に東京湾の浦安市周辺に存在し隆盛を極めた遊園地そのほか複合リゾート施設跡地の地下深くを地底・海底を跨ぐ広大なコロニーとし、そこに一般廃棄物焼却プラントを建造。旧首都圏都市連合から集約し搬入されるゴミを燃やすことで廃棄物処理を、そして併設された廃熱ボイラーによる発電で電力供給の、さらには地底開発で公共事業による雇用創出と焼却プラントの立地問題をも解決することを目論んだ
「東京Diggingland(T.D.L)計画」
を実行する。
当然、地質・水質の汚染、災害対策に巨額の事業費、人件費など新たな問題が発生するわけだが、今度は国家が機能不全に陥ったことで法律が遵守されなくなり、労働時間の上限や多額のコンサルタント料を含む過剰な安全対策などが事実上無効化。
ここまで国家のケチを主導してきたパーソナルセンターにとっても、これまでのように安全対策に余分なコストを掛けず、人材の派遣や管理に集中出来る事から普段より割のいい仕事として募集をすることになるなど一大プロジェクトは異例の事態となり、結果として工事現場一帯は俄かに活気づき、道具や資材のメーカー、販売店の出先機関、管轄する役所の出張所も設置され残された宿泊施設や近郊の歓楽街も賑わいを見せた。
地上部では遊園地の開発と同時に整備された周辺インフラをそっくり流用することも出来るうえ、今や廃棄物を運んできて捨てておくぐらいの使い道しかないとまで言われたかつての夢の国は、東京湾直下の巨大コロニーとして、より深く暗い夢を見せる国となった。
内戦状態にあっても各地からコロニー建設にあたって出稼ぎ労働者は幾らでもやってくるうえ、何もかもケチでがめつい法律によって雁字搦めだったことが少なからず解消され、労働者にとっても使役する側にとっても、数年前までは幾らかマシな状況になっていたのだ。少なくとも目先の稼ぎは増える、という程度で……。
東京Digginglandが急ピッチで建造されると同時に遊園地跡の広場には船着き場と集積所が設けられ、隣の夢の島から採掘した廃棄物と周辺から運搬された廃棄物が積み上げられてゆく。船着き場には廃棄物を満載したゴミタンカーが行き交い、焼却プラントの稼働に備えた。
そもそもの発端は例によってパーソナルセンター主導の首都圏リスクヘッジと経営者としての目線に立った行政……早い話が緊縮財政続行によるコストカット主義にあった。
都内および首都圏近郊に巨大なエネルギーを扱う施設が存在すること自体が多大なリスクであり、建造・運営・維持管理にも莫大な費用がかかる。エネルギーを産み出し続けることは、それだけのコストも副産物として発生している。それを、なんとか抑制できないか。いつもの「国家ぐるみのケチ」がここにも表出して来たというわけだ。
国家の根幹を支えるエネルギー生産事業にあってですら、パーソナルセンターにしてみれば巨額の予算をつぎ込む事業に過ぎない。エネルギー供給による経常利益の黒字化に向けたコストカットの憂き目には抗えない。
各電力会社の子会社、関連会社の技術者はパーソナルセンターに安く雇い直された上に長く酷使されたことで続々と消耗していった。そのうえ過疎地に恩着せがましく、反対意見は利権とキレイごとでねじ伏せ、当地の雇用(当然、パーソナルセンターによるもの)とエネルギー供給の優先的安定化をお題目に建造されたそれらの発電所が、皮肉にも各地方都市の独立宣言を後押しする形となった。
かつての東京、そしてその周辺都市が集まった旧首都圏都市連合に安く流されていた電力も燃料も、そのまま流用されてしまったのだ。中央政権における数多くの自業自得の一つであったが、東京HQとしては堪ったものでは無い。
そこで、過去に東京湾の浦安市周辺に存在し隆盛を極めた遊園地そのほか複合リゾート施設跡地の地下深くを地底・海底を跨ぐ広大なコロニーとし、そこに一般廃棄物焼却プラントを建造。旧首都圏都市連合から集約し搬入されるゴミを燃やすことで廃棄物処理を、そして併設された廃熱ボイラーによる発電で電力供給の、さらには地底開発で公共事業による雇用創出と焼却プラントの立地問題をも解決することを目論んだ
「東京Diggingland(T.D.L)計画」
を実行する。
当然、地質・水質の汚染、災害対策に巨額の事業費、人件費など新たな問題が発生するわけだが、今度は国家が機能不全に陥ったことで法律が遵守されなくなり、労働時間の上限や多額のコンサルタント料を含む過剰な安全対策などが事実上無効化。
ここまで国家のケチを主導してきたパーソナルセンターにとっても、これまでのように安全対策に余分なコストを掛けず、人材の派遣や管理に集中出来る事から普段より割のいい仕事として募集をすることになるなど一大プロジェクトは異例の事態となり、結果として工事現場一帯は俄かに活気づき、道具や資材のメーカー、販売店の出先機関、管轄する役所の出張所も設置され残された宿泊施設や近郊の歓楽街も賑わいを見せた。
地上部では遊園地の開発と同時に整備された周辺インフラをそっくり流用することも出来るうえ、今や廃棄物を運んできて捨てておくぐらいの使い道しかないとまで言われたかつての夢の国は、東京湾直下の巨大コロニーとして、より深く暗い夢を見せる国となった。
内戦状態にあっても各地からコロニー建設にあたって出稼ぎ労働者は幾らでもやってくるうえ、何もかもケチでがめつい法律によって雁字搦めだったことが少なからず解消され、労働者にとっても使役する側にとっても、数年前までは幾らかマシな状況になっていたのだ。少なくとも目先の稼ぎは増える、という程度で……。
東京Digginglandが急ピッチで建造されると同時に遊園地跡の広場には船着き場と集積所が設けられ、隣の夢の島から採掘した廃棄物と周辺から運搬された廃棄物が積み上げられてゆく。船着き場には廃棄物を満載したゴミタンカーが行き交い、焼却プラントの稼働に備えた。
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