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心持

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気持ちが伝わるその前に
君は背中を見せていた
街の色が褪せてゆく
ここにいてもいいですか

先客は何時も綺麗
入り込む余地は無い
鞄も靴も洋服も
いつも誰かのものだから

心が届くか確かめて
君の背中を見つめてた
橋の上から流した
どこへゆけばいいですか

帰り道は何時も雨
傘をさす人が憎い
どれだけ濡れても乾いても
いつも一人で歌うから

飛び越えた水溜りに
うつる千切れた青空
鐘が鳴る家に帰る
人々に紛れて君も
僕も消えてゆく
君が消えてゆく

全てが終わるその時に
君は遠くで笑っている
心持が楽だから
なくしたままでいいですか
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