ゴーストバスター幽野怜Ⅲ〜三つの因縁編〜

蜂峰 文助

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エピローグ

【1】

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 国獄 天地の葬儀は……裏の世界の人々だけで行われた。

 それなのにも関わらず、大勢の人が集まり。

 そして……涙した。


 棺に入った、綺麗な表情で眠る天地を……ゴーストバスターの面々は見送った。


 彼ら彼女らの心を現すかのように、その日は雨だった。

「中学三年か……随分と早い、現世とのお別れやのう……」

「風塵《ふうじん》……紫貴《しき》……」

 一人、外のベンチに座り、降り注ぐ雨を眺めていた怜に声を掛けたのは……ゴーストバスターグループの対抗馬として名高い、『関西除霊師組』の若頭補佐である、風塵 紫貴だった。

 彼の姿を見た瞬間、怜は頭を下げた。

「この間はありがとう……そして今日も……関西除霊師組が、ゴーストバスターグループの人間の葬式に出るのも、波風が立つだろうに……」

 ゴーストバスターグループと、関西除霊師組の関係性も、色々と複雑なのだ。

 ちなみに、この間――――というのは、『霊王丿一』から怜と姫美を救い出した時のことである。

 この風塵 紫貴と、その妹――――風塵 七尾《ななお》が、怜と姫美を解放へと導いたのだ。

『霊王丿一』の、黄金の霊空間を――外からの攻撃で。

「お礼なんていらんよ……まぁ、七尾の方は、欲しそうにしとったけどなぁ」

 そう笑いつつ、怜の横へ腰掛ける紫貴。

「そっか……なら、後でちゃんとお礼言わないとな……」

 横並びとなり。
 うつろな表情で、俯いたままの怜が、そう答えた。

「……ま、今回のあの女の子には、『拳銃の悪霊』の時に、随分世話になったからなぁ。他人事やない……ウチら、関西除霊師組は、情に暑くなけりゃならんと思う。せやから、線香を上げにきた……」

「そうか……ありがとう……」

「ま、ワイらが来たからと言って、あの天地っちゅう子が、喜ぶとも思えへんけどな」

「そんなことはない…………天地は喜んでる。そういう奴だったから……」

「…………さよけ」

 少しの間、沈黙が続く。

 降り続く雨の音が、鮮明に、聞こえる。

 沈黙を破ったのは、紫貴だった。

「正直なところ……ゴーストバスターグループやら、関西除霊師やら、枠組みをどうこう言っとる場合じゃないと、ワイは思う……自分らを閉じ込めとった、あの霊王……『霊王丿一』、アイツを見ても思ったし……それと、あの侍の霊王を見ても思った。ここから先は、人類と霊王との総力戦になると、ワイは思う……」

「…………うん、ボクも……そう思うよ…………あの、自称『霊王丿一』が言ってたことも、気になるし」


 怜は思い出す。

 紫貴と七尾の活躍により、自称『霊王丿一』――――壱零 結の黄金の霊空間から脱出できた際に、彼が言った言葉を。


『あー、なるほどねー。関西除霊師かぁー、なるほどなるほどー、その手があったかぁー。こりゃ一本取られたなぁー』

 自分の霊空間が破られたと言うのに、ケタケタと笑っていた壱零結。

『まぁー、充分粘ることはできたし、まぁーいっか。目覚めたの人間も、何人かいたみたいだしねー。オレの願いを叶えるため、君たち人間には、もっともっと強くなって貰わないとねー』

『……お前の……』怜は問い掛けた。

『ん?』

『お前の目的は、何なんだ?』

『そうだなぁー……強いて言うならー、世界征服ー?』

『はぁ? ふざけてんの?』

『マジマジー、大マジー。で、その為にはー、君たち人間の力が必要って訳ー。この世に、変な法則さえなければー、こんなまどろっこしい方法に頼らなくても良かったんだけどなー』

『法則……?』

『ま、その話はまた今度。早く行かないとー、【銀丿軍隊】と【万物斬撃】に、お仲間さん、全滅させられちゃうかもよー? 早く行ったらー?』

『どの口が……――』

『あ、そうそうー。ここで、しばらくの間、一緒にいた仲のことだしー、お前に一つ、ここから先に起こることの予言をしてあげることにしよう』

『予言……?』

 すると、壱零結は、ニコッと明るく笑って言葉を紡ぎはじめる。

『先ず、これは大原則として覚えておいて欲しいんだけどー。【十丿霊王】にも強弱…………即ち、強い弱いがあるんだよねー。その中でもー、『霊王丿二』から『霊王丿五』までのことを、オレは――――



【厄災の四天王】って呼んでるんだよねー』



『厄災の……四天王……?』

『そ、はっきり言っとくよー。この四体はー、その他の霊王とは全く違う、桁違いの力を持っている。ってことー。この今の世界はー、この四体の霊王の気まぐれで生かされてると言っても、過言じゃないかもー。ま、そんな気まぐれは、オレが許さないんだけどねー』

『さて……』壱零結が続ける。

『そんな訳で、今から半年後ぐらいに目覚める霊王は――――このー、【厄災の四天王】の内の一体なんだよねー』

『っ!!』

『精々、精進しなよー? 今のままだと間違いなく――――全滅あるのみだからさー』そう言った瞬間――――壱零結の姿が、これ迄以上に、黄金色に輝きはじめた。

『オレは期待しているからさー………………現代の、ゴーストバスター達を』

『待てっ! 壱零結!!』

『じゃあねー』

 そんな言葉を言い残し、壱零 結は、姿を消した。



 半年後――――【厄災の四天王】と呼ばれる霊王の一体が、目を覚ます。



 怜は言う。

「アイツの言っていたことが事実なのだとすれば……ボク達は、強くならなくちゃならない……。今よりも……もっともっと…………。もうこれ以上……犠牲者を、出さないためにも……」

「…………せやな……」神妙な表情で頷く、紫貴だった。


「その通りよ! 怜ちゃま!!」するとここで、割り込んでくる声が一つあった。

 冥である。

「このままでは、守るべきものも守れない。他人も……大切な人も……そして、自分自身も……。だから私達は、強くならなくちゃいけない。だから行きましょ! 怜ちゃま!」

「行くって……どこへ……?」

 突然の姉の申し出に、少しキョトンとする怜。

 冥は、そんな彼の疑問に答える。


「私たちの――――師匠の所よ!!」


 師匠――その言葉に……。


「師匠って……まさか……」


 身に覚えが、ある様子だった。

「そ!」冥は頷く。


「二三雄《ふみお》おじさんの所よ!」
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