59 / 62
エピローグ
【1】
しおりを挟む国獄 天地の葬儀は……裏の世界の人々だけで行われた。
それなのにも関わらず、大勢の人が集まり。
そして……涙した。
棺に入った、綺麗な表情で眠る天地を……ゴーストバスターの面々は見送った。
彼ら彼女らの心を現すかのように、その日は雨だった。
「中学三年か……随分と早い、現世とのお別れやのう……」
「風塵《ふうじん》……紫貴《しき》……」
一人、外のベンチに座り、降り注ぐ雨を眺めていた怜に声を掛けたのは……ゴーストバスターグループの対抗馬として名高い、『関西除霊師組』の若頭補佐である、風塵 紫貴だった。
彼の姿を見た瞬間、怜は頭を下げた。
「この間はありがとう……そして今日も……関西除霊師組が、ゴーストバスターグループの人間の葬式に出るのも、波風が立つだろうに……」
ゴーストバスターグループと、関西除霊師組の関係性も、色々と複雑なのだ。
ちなみに、この間――――というのは、『霊王丿一』から怜と姫美を救い出した時のことである。
この風塵 紫貴と、その妹――――風塵 七尾《ななお》が、怜と姫美を解放へと導いたのだ。
『霊王丿一』の、黄金の霊空間を――外からの攻撃で。
「お礼なんていらんよ……まぁ、七尾の方は、欲しそうにしとったけどなぁ」
そう笑いつつ、怜の横へ腰掛ける紫貴。
「そっか……なら、後でちゃんとお礼言わないとな……」
横並びとなり。
うつろな表情で、俯いたままの怜が、そう答えた。
「……ま、今回のあの女の子には、『拳銃の悪霊』の時に、随分世話になったからなぁ。他人事やない……ウチら、関西除霊師組は、情に暑くなけりゃならんと思う。せやから、線香を上げにきた……」
「そうか……ありがとう……」
「ま、ワイらが来たからと言って、あの天地っちゅう子が、喜ぶとも思えへんけどな」
「そんなことはない…………天地は喜んでる。そういう奴だったから……」
「…………さよけ」
少しの間、沈黙が続く。
降り続く雨の音が、鮮明に、聞こえる。
沈黙を破ったのは、紫貴だった。
「正直なところ……ゴーストバスターグループやら、関西除霊師やら、枠組みをどうこう言っとる場合じゃないと、ワイは思う……自分らを閉じ込めとった、あの霊王……『霊王丿一』、アイツを見ても思ったし……それと、あの侍の霊王を見ても思った。ここから先は、人類と霊王との総力戦になると、ワイは思う……」
「…………うん、ボクも……そう思うよ…………あの、自称『霊王丿一』が言ってたことも、気になるし」
怜は思い出す。
紫貴と七尾の活躍により、自称『霊王丿一』――――壱零 結の黄金の霊空間から脱出できた際に、彼が言った言葉を。
『あー、なるほどねー。関西除霊師かぁー、なるほどなるほどー、その手があったかぁー。こりゃ一本取られたなぁー』
自分の霊空間が破られたと言うのに、ケタケタと笑っていた壱零結。
『まぁー、充分粘ることはできたし、まぁーいっか。目覚めたの人間も、何人かいたみたいだしねー。オレの願いを叶えるため、君たち人間には、もっともっと強くなって貰わないとねー』
『……お前の……』怜は問い掛けた。
『ん?』
『お前の目的は、何なんだ?』
『そうだなぁー……強いて言うならー、世界征服ー?』
『はぁ? ふざけてんの?』
『マジマジー、大マジー。で、その為にはー、君たち人間の力が必要って訳ー。この世に、変な法則さえなければー、こんなまどろっこしい方法に頼らなくても良かったんだけどなー』
『法則……?』
『ま、その話はまた今度。早く行かないとー、【銀丿軍隊】と【万物斬撃】に、お仲間さん、全滅させられちゃうかもよー? 早く行ったらー?』
『どの口が……――』
『あ、そうそうー。ここで、しばらくの間、一緒にいた仲のことだしー、お前に一つ、ここから先に起こることの予言をしてあげることにしよう』
『予言……?』
すると、壱零結は、ニコッと明るく笑って言葉を紡ぎはじめる。
『先ず、これは大原則として覚えておいて欲しいんだけどー。【十丿霊王】にも強弱…………即ち、強い弱いがあるんだよねー。その中でもー、『霊王丿二』から『霊王丿五』までのことを、オレは――――
【厄災の四天王】って呼んでるんだよねー』
『厄災の……四天王……?』
『そ、はっきり言っとくよー。この四体はー、その他の霊王とは全く違う、桁違いの力を持っている。ってことー。この今の世界はー、この四体の霊王の気まぐれで生かされてると言っても、過言じゃないかもー。ま、そんな気まぐれは、オレが許さないんだけどねー』
『さて……』壱零結が続ける。
『そんな訳で、今から半年後ぐらいに目覚める霊王は――――このー、【厄災の四天王】の内の一体なんだよねー』
『っ!!』
『精々、精進しなよー? 今のままだと間違いなく――――全滅あるのみだからさー』そう言った瞬間――――壱零結の姿が、これ迄以上に、黄金色に輝きはじめた。
『オレは期待しているからさー………………現代の、ゴーストバスター達を』
『待てっ! 壱零結!!』
『じゃあねー』
そんな言葉を言い残し、壱零 結は、姿を消した。
半年後――――【厄災の四天王】と呼ばれる霊王の一体が、目を覚ます。
怜は言う。
「アイツの言っていたことが事実なのだとすれば……ボク達は、強くならなくちゃならない……。今よりも……もっともっと…………。もうこれ以上……犠牲者を、出さないためにも……」
「…………せやな……」神妙な表情で頷く、紫貴だった。
「その通りよ! 怜ちゃま!!」するとここで、割り込んでくる声が一つあった。
冥である。
「このままでは、守るべきものも守れない。他人も……大切な人も……そして、自分自身も……。だから私達は、強くならなくちゃいけない。だから行きましょ! 怜ちゃま!」
「行くって……どこへ……?」
突然の姉の申し出に、少しキョトンとする怜。
冥は、そんな彼の疑問に答える。
「私たちの――――師匠の所よ!!」
師匠――その言葉に……。
「師匠って……まさか……」
身に覚えが、ある様子だった。
「そ!」冥は頷く。
「二三雄《ふみお》おじさんの所よ!」
0
あなたにおすすめの小説
都市伝説レポート
君山洋太朗
ホラー
零細出版社「怪奇文庫」が発行するオカルト専門誌『現代怪異録』のコーナー「都市伝説レポート」。弊社の野々宮記者が全国各地の都市伝説をご紹介します。本コーナーに掲載される内容は、すべて事実に基づいた取材によるものです。しかしながら、その解釈や真偽の判断は、最終的に読者の皆様にゆだねられています。真実は時に、私たちの想像を超えるところにあるのかもしれません。
霊和怪異譚 野花と野薔薇
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。
表紙イラストは生成AI
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる