60 / 62
エピローグ
【2】
しおりを挟む天地の葬儀を終え、早々に冥達ゴーストバスターの面々と、関西除霊師の二人は、修行へと旅立った。
高校? 大学? そんなものは特別長期欠席である。
冥、命吉、見舞、三月、遙、風塵紫貴、風塵七尾が向かった先は、『師匠』とやらのいる地――――北海道だった。
北海道の、どこかの山の中に……『師匠』――壱零《いちれい》 二三雄《ふみお》が住む、廃校舎がある。
面々が目指すのは、そこだ。
「ちゅ、ちゅーか……ウチらも、この修行に参加してええの?」
場違い感のある風塵 七尾が、居心地悪そうにそんなことを言った。
「当然でしょ?」冥があっさりと答える。
「ここから先の戦いに、枠組みは関係ない。強い人には、もっと強くなってもらわないと。人類の未来のためにもね……」
「強い?」その言葉に、七尾は強く反応を見せる。
「せやねん! ウチらめっちゃ強いねん! しゃーないなぁ! ウチらのこの強さを、弱っちぃゴーストバスターの連中に貸してやるとしましょか~? ウォーホッホッホッホー!!」
めちゃくちゃ陽気になった。
七尾のことを、あまりよく知らない命吉が、冥に耳打ちして問い掛ける。
「何なんだぁ? あの、ゴリラみたいな笑い方の女はぁ?」
「関西除霊師の風塵七尾さんよ。以前、『拳銃の悪霊』との戦いで共闘して、先日の戦いでは、怜と姫美ちゃんの救出に尽力してくれたわ」
「拳銃の……? あぁ、ってことは、美永の時かぁ」
「そゆこと。まぁ、変わった人ではあるけど、根っから悪い人って訳じゃないから、安心して」
「変わった人……ねぇ……」チラリと、七尾の姿を確認する命吉。
「おい……そこのゴリラァ……」
「うおっ! ビックリしたぁ!!」
驚いた。何故なら、命吉のすぐ真後ろに七尾が接近していたからだ。
鬼のような形相を浮かべている七尾。
「自分……今、ウチの笑い方を、ゴリラみたいとか言うたか? おぉ?」
「はぁ? ……いや、だってぇ……ゴリラみてぇだったもんよぉ」
「ゴリラみたいな風貌した奴が、人の笑い方をゴリラ扱いすんなや!」
「誰がゴリラだぁ!! 誰がぁ!!」
ギャーギャー言い合う命吉と七尾。
そんな二人を、ため息混じりに見つめる見舞と紫貴。
「命吉……本当に、デリカシー0」と見舞。
「なははっ、本人がめっちゃ気にしとるからなぁ、あの笑い方」と、紫貴は笑っている。
目が合う見舞と紫貴。
「別に私達は、あなた達、関西除霊師の参加をどうこう言うつもりはないから、安心して」
「そりゃ、おーきに」
笑い合う二人。
そんなこんなあって、一行は、目的地である廃校舎へと到着。
「何つーか……アレだなぁ……山奥の廃校舎って聞くとよぉ……。どっかの誰かさんの弟を連想しちまうよなぁ……」
「……そうね……」どっかの誰かさんが答える。
「血は争えないって、ことなのかもしれないわね」
そして、冥が代表して、その廃校舎の扉を開けて、中へと入る。
血は争えない……。
その男が根城にしている場所もまた――――
保健室であった。
ベッドに腰掛け、本を読んでいた男は……面々が保健室に到着したのを察すると、その視線を面々の方へと向けた。
「……久しぶりだな……冥」
「ご無沙汰しております、二三雄さん」と、冥は頭を下げた。
「いきなり大勢で押し掛けてきて、何の用だ? こんな隠居人に」
「単刀直入に申します」
冥が言う。
「私達を――――鍛えてください!」
「鍛える……? 何を今更、ワシみたいなロートルが、霊王を三体倒すような強者に何を教えを乞うものがあるというのだ……」
「……分かりません」
「いや、分からんのかい」
「はい……! ですが……私達が、今以上に強くなる為には! 『全ての異能の原点』である、壱零一族の血を引いた、アナタしかいないと思いました!」
「…………買い被り過ぎだ……」
「あの『霊王丿一』と交戦し! 人類で唯一生き延びた人間である! アナタしか――――――いないと思っています!!」
「………………」
「だからどうか――――私達を強くしてください!! お願いします!!」
深く深く頭を下げる冥に続くように、他の面々も「お願いします!!」と、頭を下げた。
念を押すかのように、冥は言う。
「もう……誰も――――――失いたくないんです!!」
そう言う冥の身体が、震えていた。そして、その目からは……。
「…………。分かったよ……ワシが教えられる、全てのことを教えてやろう……。今でなくては、出来ないことも、あるだろうしなぁ……」
「ありがとうございます!」
「ただし――――」
「?」
「ワシは、めちゃくちゃ厳しいから……覚悟しておけよ? 世界を救うということは……そういうことだ」
「…………望む、ところです!!」
そんな訳で、無事、修行の目処が立ったところで……。
「しかし……修行を行う、とは言っても……心なしか、人が足らんような気がするのだが……気の所為か? 冥、お前の弟と剣一郎はどうした?」
「ああ、怜達でしたら、忘れ物を取りに行ってます」
「忘れ物……? 相変わらず、おっちょこちょいなのは、治っておらぬようだな」
「いえ、怜の忘れ物ではなく……」
「?」
「忘れ物をしていたのは――――――
天地です」
0
あなたにおすすめの小説
都市伝説レポート
君山洋太朗
ホラー
零細出版社「怪奇文庫」が発行するオカルト専門誌『現代怪異録』のコーナー「都市伝説レポート」。弊社の野々宮記者が全国各地の都市伝説をご紹介します。本コーナーに掲載される内容は、すべて事実に基づいた取材によるものです。しかしながら、その解釈や真偽の判断は、最終的に読者の皆様にゆだねられています。真実は時に、私たちの想像を超えるところにあるのかもしれません。
霊和怪異譚 野花と野薔薇
野花マリオ
ホラー
その“語り”が始まったとき、世界に異変が芽吹く。
静かな町、ふとした日常、どこにでもあるはずの風景に咲きはじめる、奇妙な花々――。
『霊和怪異譚 野花と野薔薇』は、不思議な力を持つ語り部・八木楓と鐘技友紀以下彼女達が語る怪異を描く、短編連作形式の怪異譚シリーズ。
一話ごとに異なる舞台、異なる登場人物、異なる恐怖。それでも、語りが始まるたび、必ず“何か”が咲く――。
語られる怪談はただの物語ではない。
それを「聞いた者」に忍び寄る異変、染みわたる不安。
やがて読者自身の身にも、“あの花”が咲くかもしれない。
日常にひっそりと紛れ込む、静かで妖しいホラー。
あなたも一席、語りを聞いてみませんか?
完結いたしました。
タイトル変更しました。
旧 彼女の怪異談は不思議な野花を咲かせる
※この物語はフィクションです。実在する人物、企業、団体、名称などは一切関係ありません。
エブリスタにも公開してますがアルファポリス の方がボリュームあります。
表紙イラストは生成AI
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/17:『えれべーたー』の章を追加。2026/1/24の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/16:『せきゆすとーぶ』の章を追加。2026/1/23の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/15:『しばふ』の章を追加。2026/1/22の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/14:『でんしれんじ』の章を追加。2026/1/21の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
【完結】大量焼死体遺棄事件まとめサイト/裏サイド
まみ夜
ホラー
ここは、2008年2月09日朝に報道された、全国十ケ所総数六十体以上の「大量焼死体遺棄事件」のまとめサイトです。
事件の上澄みでしかない、ニュース報道とネット情報が序章であり終章。
一年以上も前に、偶然「写本」のネット検索から、オカルトな事件に巻き込まれた女性のブログ。
その家族が、彼女を探すことで、日常を踏み越える恐怖を、誰かに相談したかったブログまでが第一章。
そして、事件の、悪意の裏側が第二章です。
ホラーもミステリーと同じで、ラストがないと評価しづらいため、短編集でない長編はweb掲載には向かないジャンルです。
そのため、第一章にて、表向きのラストを用意しました。
第二章では、その裏側が明らかになり、予想を裏切れれば、とも思いますので、お付き合いください。
表紙イラストは、lllust ACより、乾大和様の「お嬢さん」を使用させていただいております。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる