【一部完結】大好きな獅子様の番になりたい

あまさき

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2章

外道の所業②

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「当時の国王は、傲慢で考えなし、だけど信念と曲がらない強さを持っている。先王である父を生き写しにしたかのような男でした」

懐かしむような口調で話し出したシリアス様は、床を見つめているのに別の何かを見ているようだった。

「…彼には弟がいました。そしてその弟を、母に似て賢いからと外務相の席に置きました。弟はいつも、奔放な兄の尻拭いをするように外交に勤しみました」

(弟がいた?そんな話きいたことがない…)

「ある時、ヴェルディアの商人がファラディスの民を誘拐し奴隷にする計画を立てたのです。これは、みなさんご存知ですよね。それに大層お怒りになられたカリムが、ヴェルディアへ責任を追及しました」

どこか楽しそうに、でも寂しそうに語る姿を静かに見守る。

「王弟は、兄の所業と自身の至らなさに悲嘆にくれ、外務相としての責任を果たそうと、ファラディスへ赴いたのです」

(そうだったのか…カリム様は王弟の謝罪を受け入れなかったってこと?)

少し違和感を持った。未遂の事件で、しかも謝罪を受けておきながら、国を滅ぼすなんて非道なお方には見えなかったからだ。

「…王弟は、自身の身をもって自国の罪を少しでも償い、何も悪くない民衆への慈悲を求めようと考えました。しかしカリムは…王弟を罰することなく、ヴェルディアを許したのです」
「許した…?」
「はい。カリムは、王弟を…私を、番だと言った」

(シリアス様がヴェルディアの王族…?!)

衝撃が体を走った。カリム様は、番であるシリアス様の願いに免じてヴェルディアに慈悲を与えたのだ。

「あれ、でもヴェルディアは…」
「…はい。私の兄は、私が考えるよりずっと愚かな男だったのです。私がファラディスにいる限り、ヴェルディアへの制裁は下らない、やりたい放題だと…」
「それで、お兄様は…」
「あろうことか、誘拐を企てた商人を表では罰したように見せかけ、裏でその計画を支援しようとした」

空いた口が塞がらない思いとはこういうことか。
あまりの愚王具合に、大国が滅んだ所以を理解した。

「…私は、兄を見限りました。これ以上あの人が王として立てば、他国との外交はおろか、国民に被害が及ぶと思ったから」

「…はっ、違うだろう?」

力なく話したシリアス様を嘲るように、カインが話し出した。

「お前は、俺たちを売ったのだ!!砂竜王に気に入られたのを良いことに、自分を差し置いて王になった兄への復讐でも企んだのだろう!?出鱈目ばかり並べやがって!」
「なっ…!馬鹿なこと言わないでください!あなたの祖先の所業は到底許されたものではない、それだけです!」
「カナリエ殿…」

あんまりな言い分、逆恨みでしかない主張に腹が立った。

「どうだかなぁ!そいつの兄は殺され、家族は苦しい生活を強いられた!良い気味だとでも思ってたんだろうが!」
「お前は、そんな逆恨みで色んな人を巻き込んで僕たちを攫ったのか…?お前も、お前の祖先も、やってることは全く正当なものではない!外道の所業だ…!」

噛み付くようにそう言うと、カインはニヤリと笑った。

「逆恨みだって?…そんなちっぽけな動機の訳あるかよ。お前らには、我がヴェルディアが返り咲くための歯車になってもらうんだからなぁ…!」
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