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2章
ありがとう
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そうして、この長いようで短かった戦いの全てが終わりを告げた。
ライネ先輩はヴァレンタイン家からの廃籍、そして終身幽閉の刑に処された。ヴァレンタイン家は禁書関連の管理不行き届きが指摘され、警察隊に関しての全権を取り上げられ、降爵処分となった。
カインは元来我が国の者ではないため、賠償として求められた金額相当の強制労働が決まっている。その後のことは彼次第だ。
そして、僕とレオス様、ルドルフ様は、王城で釈放されたシアを待っていた。
「あれ、カナ…?」
「シア!!」
僕らが居ることに驚いた表情をしたシアに、僕は思いきり飛びついた。
「うっ…ぐすっ…シアぁ…よかった…!」
「え、えぇー…?泣きすぎだよぉ」
大泣きしながらへばりつく僕をしっかり受け止めたシアは、その優しい手で僕の頭を撫でてくれた。
すごく久々に感じる親友との会話に、今まで無意識に止めていた何かが溢れ出すように涙が止まらない。
「ありがとね、信じてくれて。カナのおかげだ」
「違うよ、シアが好かれてるからだ。みんなが君を信じているのは、君がそういう人だからだよ」
「カナ…」
ありがとう、そう小さく呟いてシアは僕をぎゅっと抱きしめた。しかしそれはものの数秒のことで、すぐにシアはスっと両手を上げた。
「っと…あんまりくっついてると、後ろの獅子様がこわーいお顔を向けてきそうだ」
「え?」
シアの体に腕を回したまま振り返ると、引きつった笑顔をしたレオス様が立っている。
「いやいや、感動の再会に水を差すわけないじゃないか、親友くん?」
「あはは!カナ、君の旦那様怖いねぇ?」
「だっ!旦那様じゃないよ!?まだ!!」
怖いを訂正しなよ、と笑われて慌てる僕をシアがからかう。僕の幸せがやっと全部帰ってきた、そう思うと胸がいっぱいになった。
するとシアが、少し緊張した面持ちで僕に耳打ちしてきた。
「ねぇねぇ、なんでルドルフ様がいるの…?」
「なんでって、そりゃ…」
そこまで言って、僕はあることを思いついた。いつもからかわれている仕返しだ。
「あー、ルドルフ様?シアが『ルドルフ様が来てくれて嬉しい、けどなんで来たんだろう?』と言ってます!なんでですかー?」
「え、ちょ、カナ!?」
真っ赤な顔をしたシアに肩を捕まれ揺さぶられるも、僕は全く反省も後悔もしていない。だって、ルドルフ様もお顔を真っ赤にして満更でもなさそうなんだ。
(少しくらい、強引に手助けしてあげてもいいよね?)
そんな僕の考えが正しいと肯定するかのように、ルドルフ様は口を開いた。
「シア殿のことを助けたいと思ったからです…無事でよかった」
「へ!?」
ふわりと笑ったルドルフ様を見て、シアは沸騰寸前だ。
そんな二人のこれからを思って、僕とレオス様は顔を見合せて笑った。
「そういえば、今回シア殿を巻き込んでしまったことを謝罪したいとのことで、カリム様たちが来ているんだ。また後日でも良いと言ってはいたが…どうする?」
「カリム様、って…砂竜王ですか!?い、今すぐ行きましょう!!」
酷く焦った様子のシアだが、これが普通の反応だ。四竜と相見えるなんてそうそう無い機会だし、それに半ば慣れてしまった僕は知らぬ間に大物になってしまったかもしれない。遠くを眺めながらそんなことを思った。
◇◇◇
王城の客間に、僕とレオス様とシア、カリム様とシリアス様が向かい合って座っていた。
緊張した面持ちのシアを真剣な表情で見据え、カリム様は話し出した。
「そなたがシア=アリエスタ殿だな。此度の件、我々の因縁に巻き込む形になってしまい申し訳ない。詫びと言ってはなんだが、何か困ったことがあれば我がファラディスの力をもって必ず私が力になると誓おう」
「そ、そんな、お詫びには値しません。ですが、その…お言葉ありがたく頂戴いたします」
恐縮しながらもしっかりと答えたシアに、カリム様は満足そうに頷いた。
「うむ。して、シア殿。それからレオス殿もカナリエ殿も。此度の件に関わっているある人物から、ひとつ申し出があってな」
「なんでございましょう?」
「お主が殺されかけたという魔獣の件だ。アレが悪さをしたと知ったフォルのやつがな、国へ招待したいと言い出しおったのだ」
その言葉を聞いて、こちら側に座っている面々は思わずギョッとした。
「フォルって…炎竜様ですか!?」
「そうだが?」
「そうだが、って!炎竜様といえば、巨大観光地フォリアの作り手にして、衆前には全く出てこないと噂の方ではありませんか…!あぁほら、カナもシア殿もショート寸前ですよ!」
レオス様が仰ったとおり、フォル様といえば四竜の中でも孤高中の孤高、そしてなんと言ってもそのカリスマ性が名高いお方だ。
(そんな方に招待された、って…)
「まぁそんなに気負わずとも良い。我らも共に行く故、安心しろ。シア殿も婚約者なり何なりを連れてきても良いとのことだったから、そこはよしなに、な」
なんだか上機嫌のカリム様は、シリアス様との仲直り以降ラブラブ度が増したそうで、そんな中飛び込んだ旅行話に浮かれているらしい。
(ま、まぁでも…レオス様と旅行は楽しみかも!)
婚約記念に旅行ということで両親には押し通すことにしよう。隣で呆けているシアの代わりにルドルフ様にも声をかけて…楽しい旅行になりそうだ。
「楽しみですね!レオス様!」
「…カナが楽しみなら、それでいいか」
微笑んで頭を撫でてくれたレオス様に、僕は顔を綻ばせる。
沢山の障害を乗り越えた先に待っていた明るい未来が、ひとつ明確な形をもって僕らの目の前に現れた。これから先のどんな幸福も、レオス様と共に噛み締めて生きていきたい。
「たくさん思い出を作ってきましょうね!レオス様!」
僕の大好きな暖かい手をぎゅっと握って、そう告げたのだった。
【魔術師の運命編 終】
ライネ先輩はヴァレンタイン家からの廃籍、そして終身幽閉の刑に処された。ヴァレンタイン家は禁書関連の管理不行き届きが指摘され、警察隊に関しての全権を取り上げられ、降爵処分となった。
カインは元来我が国の者ではないため、賠償として求められた金額相当の強制労働が決まっている。その後のことは彼次第だ。
そして、僕とレオス様、ルドルフ様は、王城で釈放されたシアを待っていた。
「あれ、カナ…?」
「シア!!」
僕らが居ることに驚いた表情をしたシアに、僕は思いきり飛びついた。
「うっ…ぐすっ…シアぁ…よかった…!」
「え、えぇー…?泣きすぎだよぉ」
大泣きしながらへばりつく僕をしっかり受け止めたシアは、その優しい手で僕の頭を撫でてくれた。
すごく久々に感じる親友との会話に、今まで無意識に止めていた何かが溢れ出すように涙が止まらない。
「ありがとね、信じてくれて。カナのおかげだ」
「違うよ、シアが好かれてるからだ。みんなが君を信じているのは、君がそういう人だからだよ」
「カナ…」
ありがとう、そう小さく呟いてシアは僕をぎゅっと抱きしめた。しかしそれはものの数秒のことで、すぐにシアはスっと両手を上げた。
「っと…あんまりくっついてると、後ろの獅子様がこわーいお顔を向けてきそうだ」
「え?」
シアの体に腕を回したまま振り返ると、引きつった笑顔をしたレオス様が立っている。
「いやいや、感動の再会に水を差すわけないじゃないか、親友くん?」
「あはは!カナ、君の旦那様怖いねぇ?」
「だっ!旦那様じゃないよ!?まだ!!」
怖いを訂正しなよ、と笑われて慌てる僕をシアがからかう。僕の幸せがやっと全部帰ってきた、そう思うと胸がいっぱいになった。
するとシアが、少し緊張した面持ちで僕に耳打ちしてきた。
「ねぇねぇ、なんでルドルフ様がいるの…?」
「なんでって、そりゃ…」
そこまで言って、僕はあることを思いついた。いつもからかわれている仕返しだ。
「あー、ルドルフ様?シアが『ルドルフ様が来てくれて嬉しい、けどなんで来たんだろう?』と言ってます!なんでですかー?」
「え、ちょ、カナ!?」
真っ赤な顔をしたシアに肩を捕まれ揺さぶられるも、僕は全く反省も後悔もしていない。だって、ルドルフ様もお顔を真っ赤にして満更でもなさそうなんだ。
(少しくらい、強引に手助けしてあげてもいいよね?)
そんな僕の考えが正しいと肯定するかのように、ルドルフ様は口を開いた。
「シア殿のことを助けたいと思ったからです…無事でよかった」
「へ!?」
ふわりと笑ったルドルフ様を見て、シアは沸騰寸前だ。
そんな二人のこれからを思って、僕とレオス様は顔を見合せて笑った。
「そういえば、今回シア殿を巻き込んでしまったことを謝罪したいとのことで、カリム様たちが来ているんだ。また後日でも良いと言ってはいたが…どうする?」
「カリム様、って…砂竜王ですか!?い、今すぐ行きましょう!!」
酷く焦った様子のシアだが、これが普通の反応だ。四竜と相見えるなんてそうそう無い機会だし、それに半ば慣れてしまった僕は知らぬ間に大物になってしまったかもしれない。遠くを眺めながらそんなことを思った。
◇◇◇
王城の客間に、僕とレオス様とシア、カリム様とシリアス様が向かい合って座っていた。
緊張した面持ちのシアを真剣な表情で見据え、カリム様は話し出した。
「そなたがシア=アリエスタ殿だな。此度の件、我々の因縁に巻き込む形になってしまい申し訳ない。詫びと言ってはなんだが、何か困ったことがあれば我がファラディスの力をもって必ず私が力になると誓おう」
「そ、そんな、お詫びには値しません。ですが、その…お言葉ありがたく頂戴いたします」
恐縮しながらもしっかりと答えたシアに、カリム様は満足そうに頷いた。
「うむ。して、シア殿。それからレオス殿もカナリエ殿も。此度の件に関わっているある人物から、ひとつ申し出があってな」
「なんでございましょう?」
「お主が殺されかけたという魔獣の件だ。アレが悪さをしたと知ったフォルのやつがな、国へ招待したいと言い出しおったのだ」
その言葉を聞いて、こちら側に座っている面々は思わずギョッとした。
「フォルって…炎竜様ですか!?」
「そうだが?」
「そうだが、って!炎竜様といえば、巨大観光地フォリアの作り手にして、衆前には全く出てこないと噂の方ではありませんか…!あぁほら、カナもシア殿もショート寸前ですよ!」
レオス様が仰ったとおり、フォル様といえば四竜の中でも孤高中の孤高、そしてなんと言ってもそのカリスマ性が名高いお方だ。
(そんな方に招待された、って…)
「まぁそんなに気負わずとも良い。我らも共に行く故、安心しろ。シア殿も婚約者なり何なりを連れてきても良いとのことだったから、そこはよしなに、な」
なんだか上機嫌のカリム様は、シリアス様との仲直り以降ラブラブ度が増したそうで、そんな中飛び込んだ旅行話に浮かれているらしい。
(ま、まぁでも…レオス様と旅行は楽しみかも!)
婚約記念に旅行ということで両親には押し通すことにしよう。隣で呆けているシアの代わりにルドルフ様にも声をかけて…楽しい旅行になりそうだ。
「楽しみですね!レオス様!」
「…カナが楽しみなら、それでいいか」
微笑んで頭を撫でてくれたレオス様に、僕は顔を綻ばせる。
沢山の障害を乗り越えた先に待っていた明るい未来が、ひとつ明確な形をもって僕らの目の前に現れた。これから先のどんな幸福も、レオス様と共に噛み締めて生きていきたい。
「たくさん思い出を作ってきましょうね!レオス様!」
僕の大好きな暖かい手をぎゅっと握って、そう告げたのだった。
【魔術師の運命編 終】
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こんにちわ〜😁
一気に読んできました😆投稿楽しみに待っています。
私もいいねをいっぱい押しました👍
日向夏様
コメントありがとうございます✨️
一気読み、いいねとっても嬉しいです💕
待ってるというお声がとっても力になります✨️
これからも頑張りますのでよろしくお願いします💪
Adam_TOKYO様
コメントありがとうございます❣️
全話10個も…!とても嬉しいです🥹💕
2章もレオスとカナリエのイチャイチャをたくさん書いていくつもりですので、楽しんでいただけると嬉しいです!
その応援にお応えできるようこれからも精進して参ります!よろしくお願いします️✨️