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番外編
由羽希がマネージャーになったら②
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僕と広哉くんは、広哉くんが連れてきてくれたオシャレなカフェでお茶をしていた。
「ゆうくん、次はどんなとこ行きたい?」
キラキラとエフェクトが出ていそうなほどに、僕の視界は輝いていた。もちろん光源は笑顔の広哉くんだ。
広哉くんは、初めての外デートに思いのほか張り切っていた。
本人曰く『どうせやるならかっこよくエスコートするから!』だそうで…僕もなんだか、これはデートなんだということを意識してしまってこそばゆい気持ちになった。
「うーん…植物園とか?」
写真撮らなきゃだしね、と言うと、広哉くんは不機嫌そうな顔になる。
「俺の仕事のためじゃなくて、ゆうくんが行きたいとこを聞いたんだけど?」
「えぇ、それは…うーん…」
そう言われると案外思いつかないものだ。
デートらしいスポットを思い浮かべては、駄目な理由ばかり出てきて決まらない。
(遊園地は人多すぎて無理だし…動物園、も一緒か…)
「あ、そういえば僕、行ってみたいところがあるんだよね。ちょっと遠いけど…」
「じゃあそこに行ってみようか。タクシー呼ぶね」
ぱあっと笑顔になった広哉くんは、早速タクシーを呼ぼうとスマホを触り始めた。
◇◇◇
やがて僕たちはタクシーと合流し、目的地へ向かった。
流れる景色を眺めながら、広哉くんは不思議そうに言った。
「かなり何もないところまで来たけど…どこ行くの?」
「ふふ、見ればわかるよ」
やがて到着した場所を見て、隣から息を飲んだ音が聞こえた。
「ここって…」
「わぁ、すごく綺麗だね。画面越しにしか見た事なかったから来てみたかったんだ」
立ち止まる広哉くんを追い越して、その綺麗な景色に吸い込まれるように歩く。
ここは、LUMINAが初めて出したアルバムの表題曲のミュージックビデオに出てきた場所だ。
低い崖越しに広い海が広がって見える岬。
芝生の緑と澄んだ青が綺麗で、いつか行ってみたいと思っていた。
「ここでさ、五人で踊りながらシャロンくんがセンターで歌うのが目に焼き付いてて…」
「なんか恥ずかしいな…嬉しいけど」
パソコンの目の前で正座して、画面にかじりついていたのを思い出す。あの頃の自分がいまの自分を見たら、なんて言うんだろうか。
「何してんだって言うんだろうなー…」
「え?」
「いや、何でもないよ」
覚悟を決めたからといって消えない後悔は、たまにこうして僕を蝕む。好きな人と来たかった所に来たはずなのに、少し沈んだ声を出してしまった。
それに気づいたのか、広哉くんは僕の隣に来て真剣な声で話し始めた。
「ここで歌ってたときも、ずっとゆうくんのこと考えてた」
「…僕のこと?」
「ゆうくんが観たら笑ってくれるかな、とか色々。俺さ、ゆうくんがいたからずっと頑張れてるんだ」
そう言って向けられた笑顔が、あまりにも綺麗で胸を撃たれた。
僕はシャロンくんにとって重荷だという自認は、今までずっと消えてくれなかった。けど今、そうじゃないのかもしれないと初めて思えた。シャロンくんとしての彼にも僕という存在は役立ってるとそう言ってくれたから。
「僕も、シャロンくんがいてくれたから頑張れてた」
「じゃあ俺ら一緒だね」
顔を見て笑い合う。この笑顔を僕は一生忘れないだろうと、そう思った。
後日LUMINAのインソタに投稿された写真は、ファンの中で大きな反響を呼んだ。
清らかな声で歌った後画面外に向けられたシャロンくんの笑顔と、添えられた文章がファンを大いに喜ばせたからである。
“ずっと僕を支えてくれた人と!”
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
番外編、お楽しみいただけましたでしょうか?
ひとまずこのお話は幕を閉じようと思います。サブキャラたちを主人公にしたお話も考えてますが、それは追々。
「本編その後🔞」も別枠で投稿いたしましたので、そちらもぜひ!
「ゆうくん、次はどんなとこ行きたい?」
キラキラとエフェクトが出ていそうなほどに、僕の視界は輝いていた。もちろん光源は笑顔の広哉くんだ。
広哉くんは、初めての外デートに思いのほか張り切っていた。
本人曰く『どうせやるならかっこよくエスコートするから!』だそうで…僕もなんだか、これはデートなんだということを意識してしまってこそばゆい気持ちになった。
「うーん…植物園とか?」
写真撮らなきゃだしね、と言うと、広哉くんは不機嫌そうな顔になる。
「俺の仕事のためじゃなくて、ゆうくんが行きたいとこを聞いたんだけど?」
「えぇ、それは…うーん…」
そう言われると案外思いつかないものだ。
デートらしいスポットを思い浮かべては、駄目な理由ばかり出てきて決まらない。
(遊園地は人多すぎて無理だし…動物園、も一緒か…)
「あ、そういえば僕、行ってみたいところがあるんだよね。ちょっと遠いけど…」
「じゃあそこに行ってみようか。タクシー呼ぶね」
ぱあっと笑顔になった広哉くんは、早速タクシーを呼ぼうとスマホを触り始めた。
◇◇◇
やがて僕たちはタクシーと合流し、目的地へ向かった。
流れる景色を眺めながら、広哉くんは不思議そうに言った。
「かなり何もないところまで来たけど…どこ行くの?」
「ふふ、見ればわかるよ」
やがて到着した場所を見て、隣から息を飲んだ音が聞こえた。
「ここって…」
「わぁ、すごく綺麗だね。画面越しにしか見た事なかったから来てみたかったんだ」
立ち止まる広哉くんを追い越して、その綺麗な景色に吸い込まれるように歩く。
ここは、LUMINAが初めて出したアルバムの表題曲のミュージックビデオに出てきた場所だ。
低い崖越しに広い海が広がって見える岬。
芝生の緑と澄んだ青が綺麗で、いつか行ってみたいと思っていた。
「ここでさ、五人で踊りながらシャロンくんがセンターで歌うのが目に焼き付いてて…」
「なんか恥ずかしいな…嬉しいけど」
パソコンの目の前で正座して、画面にかじりついていたのを思い出す。あの頃の自分がいまの自分を見たら、なんて言うんだろうか。
「何してんだって言うんだろうなー…」
「え?」
「いや、何でもないよ」
覚悟を決めたからといって消えない後悔は、たまにこうして僕を蝕む。好きな人と来たかった所に来たはずなのに、少し沈んだ声を出してしまった。
それに気づいたのか、広哉くんは僕の隣に来て真剣な声で話し始めた。
「ここで歌ってたときも、ずっとゆうくんのこと考えてた」
「…僕のこと?」
「ゆうくんが観たら笑ってくれるかな、とか色々。俺さ、ゆうくんがいたからずっと頑張れてるんだ」
そう言って向けられた笑顔が、あまりにも綺麗で胸を撃たれた。
僕はシャロンくんにとって重荷だという自認は、今までずっと消えてくれなかった。けど今、そうじゃないのかもしれないと初めて思えた。シャロンくんとしての彼にも僕という存在は役立ってるとそう言ってくれたから。
「僕も、シャロンくんがいてくれたから頑張れてた」
「じゃあ俺ら一緒だね」
顔を見て笑い合う。この笑顔を僕は一生忘れないだろうと、そう思った。
後日LUMINAのインソタに投稿された写真は、ファンの中で大きな反響を呼んだ。
清らかな声で歌った後画面外に向けられたシャロンくんの笑顔と、添えられた文章がファンを大いに喜ばせたからである。
“ずっと僕を支えてくれた人と!”
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
番外編、お楽しみいただけましたでしょうか?
ひとまずこのお話は幕を閉じようと思います。サブキャラたちを主人公にしたお話も考えてますが、それは追々。
「本編その後🔞」も別枠で投稿いたしましたので、そちらもぜひ!
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みんなの感想(4件)
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四葩(よひら)様
コメントありがとうございます️❣️
二人が真の意味で幸福になるために、ゆうくんの不安を拭う回は書きたいなぁと思っていたので、それに気付いていただけて嬉しいです✨
これまで送っていただいた全てのコメントに力をいただきました!本当にありがとうございました🥹💕
四葩(よひら)様
コメントありがとうございます✨️
ゆうくんのことになると余裕がなくなる広哉くんです🤭
ゆうくんはいつも広哉くんのことを見ているので、気分を乗せるのもお易い御用ですね❣️
これからの展開も楽しんで貰えるように頑張ります💪
あらまぁ、これはヤンデレかしら?
アイドルファンではないですが、個人的に執着凄い攻めくん、アリです😆👍♡
ほの暗い瞳、良いですね✨
この後のお話は広哉くんから許可がおりるのでしょうか(笑)
四葩(よひら)様
コメントありがとうございます✨️
作者の好み全開の執着攻めになってます…!笑
好きになっていただけて嬉しいです💕
なかなかに強敵ですが、頑張ってOKをもぎ取ってこようと思います💪❤️🔥