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番外編
由羽希がマネージャーになったら①
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僕が広哉くんの部屋に越してきて一ヶ月。今日は久々に外でのデートです。
(といっても、広哉くんはお仕事だけどね)
遡ること数時間、今日の朝のことだった。
『すみません由羽希くん!今日は広哉のために、マネージャーになってくれませんか?』
突然、LUMINAのマネージャーさんから僕の携帯に電話がかかってきて、そう言われた。
「んん?どういうことですか?」
『それが…今日は広哉、休日だったでしょう?ですが上の気まぐれで、外出してインソタ用の写真を撮れと…僕は他のメンバーの仕事に付かないといけなくて』
「それは大変ですね」
『広哉は広哉で、せっかくの由羽希くんとの時間を潰されるのが嫌だと言って聞かなくて…』
「ああー…」
少し申し訳ない気持ちになって頭を抱えた。
「すみません…僕と一緒なら行く、とか言ったんですよね?」
『さすがよく分かっているね…!今日は広哉の臨時マネージャーということでお願いできないかな?』
「分かりました。しっかりマネージャーしてきますね」
『ありがとうありがとう…!じゃあ、後はお願いするね!』
ブツッと音がして電話が切れた。
アイドルというのは休日にまで仕事が入り込むことがあるから大変だ。
(広哉くんがなんだか拗ね気味なのはこれのせいだったか…)
広哉くんは、僕と表立ってデートができないからという理由で、この一ヶ月にあった休み全て自宅で過ごしている。
その時間を潰されそうになったのが許せなかったのか、寝室に籠ってしまっているのだ。
「広哉くん、今日は僕とお出かけしよう?」
「…マネージャーのやつ、本当にゆうくんに連絡するなんて…たまの休みくらい家でイチャイチャしたいじゃん」
ゆうくんは違うの?と上目遣いで言われて、なぜか罪悪感が募る。しかし僕はそれを振り払って、彼に言い聞かせるように言った。
「僕は広哉くんとデートできるの、嬉しいよ」
「でもマネージャーとじゃイチャイチャは出来ないじゃん」
「それは帰ってきてからすればいいでしょ?」
絆されつつある広哉くんに、もう一押しだと確信する。
「僕、広哉くんとデートしてみたいなぁ」
わざとらしく放った言葉に広哉くんがピクッと反応する。僅かに間を置いて、広哉くんは仕方ないなぁと言いながら立ち上がった。
「ゆうくん、服選んで」
「ふふ、分かった」
付き合ってから少し経つけれど、広哉くんの甘えたがりは上限を知らない。僕は憧れや恋慕の他に母性(父性?)も芽生えつつある。それを言ったら甘えてくれなくなりそうだから言わないけど。
服を着て髪をセットして、準備を終えた僕たちはリビングで向かい合った。
「よし、改めまして、今日の僕は由羽希マネージャーです!沢山写真撮ろうね!」
(といっても、広哉くんはお仕事だけどね)
遡ること数時間、今日の朝のことだった。
『すみません由羽希くん!今日は広哉のために、マネージャーになってくれませんか?』
突然、LUMINAのマネージャーさんから僕の携帯に電話がかかってきて、そう言われた。
「んん?どういうことですか?」
『それが…今日は広哉、休日だったでしょう?ですが上の気まぐれで、外出してインソタ用の写真を撮れと…僕は他のメンバーの仕事に付かないといけなくて』
「それは大変ですね」
『広哉は広哉で、せっかくの由羽希くんとの時間を潰されるのが嫌だと言って聞かなくて…』
「ああー…」
少し申し訳ない気持ちになって頭を抱えた。
「すみません…僕と一緒なら行く、とか言ったんですよね?」
『さすがよく分かっているね…!今日は広哉の臨時マネージャーということでお願いできないかな?』
「分かりました。しっかりマネージャーしてきますね」
『ありがとうありがとう…!じゃあ、後はお願いするね!』
ブツッと音がして電話が切れた。
アイドルというのは休日にまで仕事が入り込むことがあるから大変だ。
(広哉くんがなんだか拗ね気味なのはこれのせいだったか…)
広哉くんは、僕と表立ってデートができないからという理由で、この一ヶ月にあった休み全て自宅で過ごしている。
その時間を潰されそうになったのが許せなかったのか、寝室に籠ってしまっているのだ。
「広哉くん、今日は僕とお出かけしよう?」
「…マネージャーのやつ、本当にゆうくんに連絡するなんて…たまの休みくらい家でイチャイチャしたいじゃん」
ゆうくんは違うの?と上目遣いで言われて、なぜか罪悪感が募る。しかし僕はそれを振り払って、彼に言い聞かせるように言った。
「僕は広哉くんとデートできるの、嬉しいよ」
「でもマネージャーとじゃイチャイチャは出来ないじゃん」
「それは帰ってきてからすればいいでしょ?」
絆されつつある広哉くんに、もう一押しだと確信する。
「僕、広哉くんとデートしてみたいなぁ」
わざとらしく放った言葉に広哉くんがピクッと反応する。僅かに間を置いて、広哉くんは仕方ないなぁと言いながら立ち上がった。
「ゆうくん、服選んで」
「ふふ、分かった」
付き合ってから少し経つけれど、広哉くんの甘えたがりは上限を知らない。僕は憧れや恋慕の他に母性(父性?)も芽生えつつある。それを言ったら甘えてくれなくなりそうだから言わないけど。
服を着て髪をセットして、準備を終えた僕たちはリビングで向かい合った。
「よし、改めまして、今日の僕は由羽希マネージャーです!沢山写真撮ろうね!」
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