「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき

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番外編

俺の天使

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※リクエストがありました本編その後🔞はここの連載とは別で書く予定です。

以降アイドルファンの皆様の地雷を踏む表現があるかもしれません…フィクションとしてお楽しみ下さい。





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アイドルグループLUMINAのメンバーとして活動して早数年。

俺はやっと念願を叶えられる。

「もうすぐゆうくんに会える…ふふっ、楽しみだなぁ」

デビューしてからずっと、俺の生きがいはゆうくんの存在そのものだった。

その鮮烈な出会いは、俺がLUMINAとして立った初めてのステージでのこと。
凄まじい歓声の中見渡した観客席は、辺り一面が同じ色で染っていた。

まぁそりゃそうだよな、と思ったけどやっぱり落胆した。デビュー経験があって人気が高いハルがいたから、このグループは幸先良いスタートを切れたのだと分かっていても、他メンバーを「お零れを貰ってるだけ」だと指摘する声に傷つかないのは無理だった。

それでも、全員がハルだけを見ていたわけではなかった。オレンジの中にぽつぽつと光る自分の色を目を凝らして見つけ、目線を送った。
大半は明らかに付き添いだろうという人か、アー写で気に入ってくれたのかなという感じのファンで、まぁ喜んでくれてるかな、という具合の反応だった。

それでも嬉しかったしありがたいと思ったけど、ただ一人静かにこちらを見つめる子に、俺はくぎ付けになった。

(泣いてる…?)

それはあまりに綺麗な涙だった。
そんなに感動するほど推してくれてるのか、というアイドルとしての感動もあったけど、それよりもっと強く広哉の心が揺れた。

あの子はどんな子だろう、あの綺麗な涙を拭いたい、そんな思いが胸中を埋めつくして、恋に落ちたのだと分かった。

それからライブをすれば必ず探したし、お手紙は真っ先に読むようになった。

純粋で可愛くて大好きな俺の天使。遠くで見てるだけじゃ物足りない、あの身体に触れたい。

けれど俺はアイドルだ。事務所から恋愛を禁止されてるわけじゃないが、デビューしたての新米が恋愛なんかにうつつを抜かしていては、他のファンの子に失礼だと思ったし、メンバーやマネージャーもそう言って俺を咎めた。

だから待った。
俺がアイドルではなく広哉としての幸せを求めてもいいと思えるときを。

握手会を開いてこなかったのは、ファンとして現れたゆうくんに平常心で接することが出来る自信がなかったからだ。

(結局、ゆうくんをここに呼ぶために握手会という名目を使ってんだから、アイドル失格だな…)

けど、それでもいいと思った。ゆうくんと一緒にいるためならアイドルを辞めても構わない。

そんな決意で、俺は今ここにいる。
俺が待ち望んだその人は、遅効性の睡眠薬が舞っているこの部屋に入ればそのうち眠ってしまうだろう。そして目覚めたときには俺の手の中だ。

犯罪まがいの行為でも俺は迷わなかった。もう一秒たりとも待てないと思ったんだ。

(ゆうくんが拒んだら、すぐ解放してあげるから…俺に一度だけチャンスをくれ)

外からマネージャーの声が聞こえて、金属音がした。
そしてゆっくりと、扉が開く。


「…君が由羽希くんかな?こんにちは」
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