歯ブラシ三助

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歯ブラシ三助

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『歯ブラシ三助』

ゆうたは、歯磨きが大っきらい。
「口の中、ピカピカなんて、どうでもいいもん!」

お母さんに叱られても、ゆうたは遊ぶのに忙しい。

ところがある日、ゆうたの歯ブラシが、ぽつりといいました。

「おいおい、オレ様をさぼらせる気か?」

ゆうたはびっくりして、目を丸くしました。
「え、しゃべった…?」

三助は元気いっぱいの歯ブラシ。
「オレ様は三助っていうんだ。よろしくな!」

「上の歯、下の歯、右、左、ぐるーりピッカピカ!
さあ、リズムにのるんだ、ゆうた!」

と歌いながら、歯磨きを教えてくれます。

はじめはいやいやだったゆうたも、だんだん楽しくなってきました。
泡がハートの形になったり、汚れた歯がみるみるうちにキラキラ光る。

ゆうたが眠っていると、夢の中に黒ずくめの「バイキン団」が現れました。
「この歯はオレたちのものだー!」

そう叫ぶと、バイキン団は次々とゆうたの歯に飛びついた。

三助とゆうたはタッグを組んで、バイキンをやっつけます。
「くらえ、歯磨きパワー!ブクブク泡ビーム!」

ゆうたは初めて、自分の歯を守りたいと思いました。

朝も夜も、自分から歯磨きできるようになったゆうた。
クラスの女の子に
「ゆうたくんの歯、キラキラだね!」
そう言われたゆうたは、自慢げにニコニコの笑顔を返しました。

三助もニコニコ。
「お前さん、なかなか出来るようになったじゃねえか!」

ある日、お母さんが新しい歯ブラシを買ってきました。
「三助、ぼく、君とまだ歯磨きしたいよ…」

でも三助は笑って言いました。
「へへっ、オレ様の仕事はここまでさ。」

ゆうたは少し涙ぐみます。

次の日、新しい歯ブラシは、しずかにコップの中に立っていました。
でも、ゆうたはもう自分から歯磨きできるようになっています。
「見ててね、三助!」

歯ブラシのコップの中で、ほんのり光る三助の魂。
ゆうたの笑顔に、白い歯がキラリと光った。

——今日もピカピカ、ゆうたの歯!
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