生きろ

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第4章 世代交代〜適応の偏り

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第4章

第三世代が生まれる頃、集落には明確な偏りが現れ始めた。
身体の特徴、病気の出やすさ、作業への向き不向き。どれも偶然の延長に見えたが、重なるにつれて無視できなくなった。

ある区画では子供がよく育ち、別の区画では出生数が同じでも生存数が少なかった。
原因は特定されなかった。土壌か、空気か、微生物か。調査は行われたが、決定的な違いは見つからなかった。

彼は、自分の子供の中でも差が出ていることに気づいていた。
同じ環境で育てたはずなのに、外作業に向く者と、すぐ体調を崩す者がいた。

集落では、次第に配置換えが行われるようになった。
「向いている場所」に人を動かす。合理的で、効率的で、誰も反対しなかった。

その結果、人の流れは固定されていった。
よく生き残る者が集まる場所と、そうでない場所。

彼は、ある日ふと気づいた。
最初の世代では見られなかった身体の癖や、独特の歩き方が、子供たちの間で共有されていることに。

それは異常ではなかった。
ただ、違っていた。

知識の継承にも差が出た。
道具の扱い、作業の手順、言葉の使い方。教えなくてもできる子供がいる一方で、何度繰り返しても身につかない子供もいた。

彼は、それを努力不足とは考えなかった。
努力が結果を左右しないことを、この星で学んでいた。

集落は安定していると報告された。
人口は増え、資源の循環も成立していた。

だが彼の中には、別の感覚があった。
広がっているのに、狭くなっていく。
増えているのに、選択肢が減っていく。

夜、遠くの区画から聞こえる音が変わったことに気づいた。
言葉の抑揚、笑い声の高さ。微妙な違いだが、確実に違っていた。

彼は、それを記録しなかった。
記録する理由が、もうなかった。

この星は、人を選ばない。
ただ、残すだけだ。
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