異世界少年~ロリエルフにTS♀して日本に転生! 言葉は分からないけど、過保護で美人なお姉さんに拾われて何とか生きています!

二宮EX

文字の大きさ
1 / 84

第1章 1話 スラムの少年アレン

しおりを挟む


 
「お姉ちゃん~そろそろお家に帰ろうよぉ」
「たまには運動しないと身体に悪いよ? あおいちゃんいつもお部屋篭ってばかりだよね?」

 私の名前は一ノ瀬いちのせ かえで23歳、職業は大手企業で働いている茶髪でロングヘアーの花も恥じらう独身の乙女です。そして私の横を歩いている茶髪のボブカットヘアーのパッチリとした目の愛らしい女の子は、私の妹の一ノ瀬いちのせ あおいちゃんです。年齢は22歳です。私達は現在河川敷の道を散歩しています。

「まだ私若いから大丈夫だよ! 太って無いし……」
「そういう問題じゃ無いのよ? 若いからって、油断してるといつ病気になるのか分からないよ?」
「はいはい、分かりましたよ~そうだ! お姉ちゃん! 帰り道コンビニでチョコアイス買ってよ!」
「もう~しょうが無いなぁ♪」

 私と葵ちゃんは現在一軒家で2人暮しをしています。両親は2年前に2人とも交通事故で他界してしまいました。もう当時は色々あって大変でしたよ。その後、私達姉妹は祖父に引き取られて、生活の方はおじいちゃんのお陰で問題は無かったです。でも、そのおじいちゃんも1年前に癌で亡くなってしまいました。 今でも思い出すだけでも泣いてしまいそうです。

「お姉ちゃん……大丈夫?」
「え? だ、大丈夫だよ! 目に埃が入っただけだから」
「本当に? ふむふむ……えいっ!」
「うわぁっ!? ちょっと、葵ちゃん? 外で抱きつくのは辞めなさいって」

 妹の葵ちゃんが突然私の身体に抱き着いて来ました。こうして、私にちょくちょく甘えて来るのです。でも、私の事を心配して慕ってくれる葵ちゃんが私も大好きです。葵ちゃんは可愛いから、将来変な男が付かないように私が目をしっかりと光らせないと行けませんね。

「お姉ちゃん大好き♡」
「もう~この子ったら、そろそろコンビニ寄って帰ろっか」
「うん!」

 そして私達は再び歩き出したその時でした。

「お、お姉ちゃん!? あそこ見て! 川で小さな子が!」
「えっ!? 葵ちゃん、行くよ! 早く助けなくちゃ!」

 私達は全速力で走りました。内心ヒヤヒヤして冷や汗をかきながら、溺れている小さな子を助けに川へと向かいます。




 ◆アレン視点




「は、腹減った……誰か、僕にご飯を……」

 僕の名前はアレン。現在13歳の孤児の少年だ。両親には捨てられ、スラムの掃き溜めのような場所でゴミを漁ったり雑用をしながら何とか食い繋いできた。だが、もうその生活には限界が来ている。僕は現在、古びたツタの生えたボロい建物を背に力無く座っております。僕の視線の先には、仲睦まじそうに買い物をしている親子の姿があった。

「ママっ! 今日の晩御飯はこれが良い!」
「あらあら、じゃあ今日はこれとこれにしましょうか」
「やったーっ! ママ大好き!」

 僕はその様子を黙々と黙って見ていた。同じ人間なのに……どうして……僕は自分の着ている衣服と親子が着ている衣服を見比べる。

(こんな、服とも呼べないようなボロボロの布を纏っているだけの僕……どうして……どうして僕には何も無いんだよぉ……何で僕にはお父さんやお母さんが居ないの……)

 気付けば僕は目から涙を流していた。

(まだ、涙を流せるだけの水分がこの身体に残って居たのだな……)

 もう、僕は生きる事に疲れたよ。この飢餓の苦しみや辛い生活から早く楽になりたい……

「ママっ! あそこの人ボロボロだよ!」
「見ちゃだめよ! 穢らわしい……あれはスラムの人間よ! 卑しくて品の無い人間なの!」
「でも、何だか可哀想……」

 その親子は、僕に向けて哀れみと侮辱の混じった視線でこちらを見つめている。

(うぅっ……僕だって、僕だって好きにこうなりたかったんじゃないんだよぉっ!!……ちくしょぉ……)

 そして親子は早々にこの場を後にして、僕はその後ろ姿を黙って見ていた。

「お腹空いた……最期にお腹いっぱいにパンやお肉を……」

 僕の視界は段々と霞んで来て、気が付けば地面に身体が横たわっていた。

(あぁ……ついに、僕にもお迎えが来たのだな……我ながら理不尽な人生だったな……もし、神様が本当に居るならば……来世は、お腹いっぱいご飯が食べれますように……)

 こうしてアレンの13年と言う短い人生は、誰にも気付かれる事も無くそっと幕を閉じたのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...