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第1章 1話 スラムの少年アレン
しおりを挟む「お姉ちゃん~そろそろお家に帰ろうよぉ」
「たまには運動しないと身体に悪いよ? 葵ちゃんいつもお部屋篭ってばかりだよね?」
私の名前は一ノ瀬 楓23歳、職業は大手企業で働いている茶髪でロングヘアーの花も恥じらう独身の乙女です。そして私の横を歩いている茶髪のボブカットヘアーのパッチリとした目の愛らしい女の子は、私の妹の一ノ瀬 葵ちゃんです。年齢は22歳です。私達は現在河川敷の道を散歩しています。
「まだ私若いから大丈夫だよ! 太って無いし……」
「そういう問題じゃ無いのよ? 若いからって、油断してるといつ病気になるのか分からないよ?」
「はいはい、分かりましたよ~そうだ! お姉ちゃん! 帰り道コンビニでチョコアイス買ってよ!」
「もう~しょうが無いなぁ♪」
私と葵ちゃんは現在一軒家で2人暮しをしています。両親は2年前に2人とも交通事故で他界してしまいました。もう当時は色々あって大変でしたよ。その後、私達姉妹は祖父に引き取られて、生活の方はおじいちゃんのお陰で問題は無かったです。でも、そのおじいちゃんも1年前に癌で亡くなってしまいました。 今でも思い出すだけでも泣いてしまいそうです。
「お姉ちゃん……大丈夫?」
「え? だ、大丈夫だよ! 目に埃が入っただけだから」
「本当に? ふむふむ……えいっ!」
「うわぁっ!? ちょっと、葵ちゃん? 外で抱きつくのは辞めなさいって」
妹の葵ちゃんが突然私の身体に抱き着いて来ました。こうして、私にちょくちょく甘えて来るのです。でも、私の事を心配して慕ってくれる葵ちゃんが私も大好きです。葵ちゃんは可愛いから、将来変な男が付かないように私が目をしっかりと光らせないと行けませんね。
「お姉ちゃん大好き♡」
「もう~この子ったら、そろそろコンビニ寄って帰ろっか」
「うん!」
そして私達は再び歩き出したその時でした。
「お、お姉ちゃん!? あそこ見て! 川で小さな子が!」
「えっ!? 葵ちゃん、行くよ! 早く助けなくちゃ!」
私達は全速力で走りました。内心ヒヤヒヤして冷や汗をかきながら、溺れている小さな子を助けに川へと向かいます。
◆アレン視点
「は、腹減った……誰か、僕にご飯を……」
僕の名前はアレン。現在13歳の孤児の少年だ。両親には捨てられ、スラムの掃き溜めのような場所でゴミを漁ったり雑用をしながら何とか食い繋いできた。だが、もうその生活には限界が来ている。僕は現在、古びたツタの生えたボロい建物を背に力無く座っております。僕の視線の先には、仲睦まじそうに買い物をしている親子の姿があった。
「ママっ! 今日の晩御飯はこれが良い!」
「あらあら、じゃあ今日はこれとこれにしましょうか」
「やったーっ! ママ大好き!」
僕はその様子を黙々と黙って見ていた。同じ人間なのに……どうして……僕は自分の着ている衣服と親子が着ている衣服を見比べる。
(こんな、服とも呼べないようなボロボロの布を纏っているだけの僕……どうして……どうして僕には何も無いんだよぉ……何で僕にはお父さんやお母さんが居ないの……)
気付けば僕は目から涙を流していた。
(まだ、涙を流せるだけの水分がこの身体に残って居たのだな……)
もう、僕は生きる事に疲れたよ。この飢餓の苦しみや辛い生活から早く楽になりたい……
「ママっ! あそこの人ボロボロだよ!」
「見ちゃだめよ! 穢らわしい……あれはスラムの人間よ! 卑しくて品の無い人間なの!」
「でも、何だか可哀想……」
その親子は、僕に向けて哀れみと侮辱の混じった視線でこちらを見つめている。
(うぅっ……僕だって、僕だって好きにこうなりたかったんじゃないんだよぉっ!!……ちくしょぉ……)
そして親子は早々にこの場を後にして、僕はその後ろ姿を黙って見ていた。
「お腹空いた……最期にお腹いっぱいにパンやお肉を……」
僕の視界は段々と霞んで来て、気が付けば地面に身体が横たわっていた。
(あぁ……ついに、僕にもお迎えが来たのだな……我ながら理不尽な人生だったな……もし、神様が本当に居るならば……来世は、お腹いっぱいご飯が食べれますように……)
こうしてアレンの13年と言う短い人生は、誰にも気付かれる事も無くそっと幕を閉じたのであった。
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