異世界少年~ロリエルフにTS♀して日本に転生! 言葉は分からないけど、過保護で美人なお姉さんに拾われて何とか生きています!

二宮EX

文字の大きさ
11 / 84

11話 甘えん坊さん

しおりを挟む
 

 ◆エルちゃん視点



 僕は今、新たな壁に直面していた。お姉さん達に紙と書く物を渡されたのである。

「何かを教えてくれているんだろうとは思うのだけど、意味がわからぬ」
「――――――。」
「お姉さんの名前?」

 僕はお姉さんの膝の上に座って謎の文字と向き合っています。お姉さんの横には、お姉さんの知り合いの美人な女性が座っており、2人から何かを教えて貰っています。

「しかし。紙なんて高級品じゃないか……僕の為にそんなに使うなんて勿体無い! この沢山の紙を売ればお肉や魚が沢山買えてしまうのでは……」

 僕は紙を使う事に少し躊躇していた。だって、しょうがないじゃないですか! スラム出身の貧乏人がこんなに沢山の紙を使える筈無いのです!

「―――か―――え――――――で―――」
「んぅ? かって?」
「――――――!? ――――――!!」

 お姉さんの名前なのかな? お姉さんは自分と紙を交互に指を差しています。ん~そして。この文字は一体……

「―――――――――♪」
「何じゃこりわ……」

 机の上には複数枚の紙がありますが、そのうちの一枚の紙にこんな文字が書かれています。1、2、3、4、5、6、7、8、9……

「呪文かな? っ!? これわ!」
「――――――?」
「ふふっ……分かってしまったぞ。この文字を組み合わせると108、即ち高級パンだ! 甘いクリームの入ったパンの袋に書いてあったから間違いない!」

 僕は紙に108と汚い文字で書いて、お姉さん達に見せました。お姉さん達は首を傾げて居たけど、すぐに2人とも笑顔になり僕の頭を撫で撫でしてくれました。

「この短時間でひとつ言葉を覚えてしまった僕……もしかして天才なのでは!? お姉さん達も褒めてくれたから、恐らく高級パンで合ってる筈」
「―――――――――♪」
「よし! この調子でどんどん言葉を覚えて行くぞ!」




 ◆かえで視点




「108……楓、何かの暗号かしら」
「字は汚くて少し見づらいけど、これは間違い無く108だね。何だろう……」

 私と明美はエルちゃんが書いた、108と言う数字が何なのか頭を悩まさせていました。しかし、エルちゃんは何やらやり切ったぞ! と言うような顔でこちらを見ております。

「ドヤ顔のエルちゃん可愛い♡ 108が何なのか分からないけど、とりあえずよしよし♪」

 最早108と言うより、エルちゃんの可愛いらしいドヤ顔で明美はもう戦闘不能です。そして明美が、エルちゃんの頭を撫で撫でしていると目を細めて、気持ち良さそうにしています。

「エルちゃん? どうしたの? 涎垂らしちゃって、え? 108?」
「――――――!」

 エルちゃんは紙に書いてある108と言う数字を指さして、涎を垂らしております。気の所為でしょうか……エルちゃんの目がキラキラと輝いて見えます。108と言う食べ物は聞いた事はありませんけど、もしかしたらエルちゃんの故郷では、108と言う食べ物があるのかもしれません。

「スマホで検索して見たけど、108と言う食べ物何て無いわよ」
「やっぱりそうよね……あ、そろそろお昼ね。ご飯の準備しなくちゃ。明美、エルちゃんの面倒見ててくれる?」
「任せてよ! エルちゃんと遊んで待っているわね。楓の手料理が食べられるなんて♪ ごちになります!」

 私は膝の上に座っているエルちゃんを床に降ろしてから、ご飯の支度をしようと台所へ向かいました。

「エルちゃん? 明美お姉さんと遊んで少し待っててね~」
「――――――?」
「あらあらぁ~甘えん坊さんね♡」

 エルちゃんが私の足にピトッと抱き着いて来て、私を上目遣いでじーっと見ています。思わず顔がニヤけてしまいそうです♪

「楓ずるい! エルちゃん~ほーら、美味しいお菓子が沢山あるわよ~♪」
「――――――!?」

 明美が自分のカバンから、ゴソゴソとお菓子を取り出してエルちゃんを釣ろうとしています。まあ、そんなお菓子程度で私が負ける筈がありません……え? ちょっと、エルちゃん!?

「――――――♪」
「金髪のロリエルフが釣れたわ♡ エルちゃんったら、食いしん坊さんね~」
「なっ!? 私よりチョコチップクッキーを選ぶの……」

 エルちゃんは私から離れて、走って明美の所へと行ってしまいました。私よりチョコチップクッキーを選んだ事に、私は少しショックを隠せませんでした。

「ふふっ……これくらいで狼狽える私じゃない……気分を切り替えて、美味しいご飯でも作って上げようかな~エルちゃん喜ぶわね」

 私は冷蔵庫を開けて何を作ろうか考えて居ました。幸い沢山買って置いてあるので、食材は豊富です。

「無難に野菜炒めと味噌汁にしましょうか。さて、作りますか!」




 ◆明美あけみ視点




「エルちゃん、これはね。クッキーって言うお菓子だよ~美味しい?」
「――――――♪」
「ふふっ……そんなに慌てて食べなくても大丈夫だよ~」

 エルちゃんは口いっぱいに、クッキーを頬張って幸せそうな顔で食べています。リスみたいで本当可愛いの!

「――――――!」
「ん? 私にもクッキーくれるの? ありがとね♪ よしよし」
「――――――♪」

 エルちゃんの頭を優しく撫で撫でしてから、私は頭から手を離すと何とエルちゃんが私の手を掴んで来て、何やら切実な顔で何かを言っているみたいです。

「ん? 撫で撫でして欲しいのかな?」
「――――――!」

 エルちゃんは私の手を自分の頭に乗せて、撫でろと言わんばかりに私を見つめています。もうこの子お持ち帰りしたいです! 可愛いの暴力です! 私はエルちゃんの要望通りに頭を優しく撫で撫でしてあげたら、目をトロンとしてうっとりとしています。

「エルちゃん、明美お姉さんの膝の上においで~もっと頭撫で撫でしてあげるから」
「――――――?」

 エルちゃんは少し迷ってから、私の膝の上にやって来て私を背もたれにするような感じで、ぐてっとして座ります。

 私の膝の上に小さな天使が舞い降りました!

「あいっ!」
「あら、じゃあお言葉に甘えて1つ貰っちゃおうかな~パクっ」

 エルちゃんが小さなおててで、クッキーを掴み私の口元に持って来て食べさせてくれました! 私もお返しにエルちゃんの口元にクッキーを持って行ったら、もぐもぐと食べてくれて嬉しいです♪

「何だかセクハラ上司や嫌味課長のせいで、ストレス溜まってたけどエルちゃんのおかげで、全て吹き飛んだ気分よ♪ この現代社会に癒しは必要不可欠ね」
「――――――。」
「あら? エルちゃんお眠でちゅか? ご飯までまだ時間あるから、お姉さんが膝枕してあげるよ♪」

 私はエルちゃんを横にしてから、頭を膝の上に乗せて撫で撫でしてあげてたら、いつの間にか小さな寝息がすぅすぅ……と聞こえて来ました。私はエルちゃんの寝顔を存分に堪能しました。こんなに穏やかな気持ちになれたのは久しぶりですね。

「エルちゃん、ありがとね♪ そして、今後とも宜しくね♪ ちょくちょく遊びに来るから」
「ムニャムニャ……すぅ……すぅ」

 そして約1時間が経過して、楓が料理を運んで来て机の上に並べております。楓はエルちゃんが寝ている事に気付いてから、クスクスと笑っておりました。

「明美ずるいよ~そこ変わって欲しいな」
「楓はこれからいつも一緒だから良いじゃない~ほら、見てこの寝顔。大きくなったら間違い無く美人さんになるわね~どうする? エルちゃんがもし彼氏でも連れて来たら」
「え……何処ぞの馬の骨か何かにエルちゃんは渡しませんよ? 変な人に引っ掛からないように私がしっかりと目を光らせるから」
「あっ……はい」

 楓は恐らく、この先段々と過保護になって行くのだろうなと予感しています。でも私も楽しみがまた一つ増えました。エルちゃんがどういう風に成長して行くのか近くで見守って行きたいと思います。楓や葵ちゃんも両親が亡くなってからかなり落ち込んでいたから、一時期は心配してたけどエルちゃんのおかげで今の楓はとても嬉しそう。

「楓、エルちゃんの事で困ったことがあれば遠慮無く言ってね! 私もちょくちょく顔を出すから」
「うん! いつもありがとね。明美」

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にいますが会社員してます

neru
ファンタジー
30を過ぎた松田 茂人(まつだ しげひと )は男女比が1対100だったり貞操概念が逆転した世界にひょんなことから転移してしまう。 松田は新しい世界で会社員となり働くこととなる。 ちなみに、新しい世界の女性は全員高身長、美形だ。 PS.2月27日から4月まで投稿頻度が減ることを許して下さい。 ↓ PS.投稿を再開します。ゆっくりな投稿頻度になってしまうかもですがあたたかく見守ってください。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...