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第1話 滅びへの旅立ち
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この物語はとある世界のとある王城から始まる。
王城のとある一室に年老いた貴族達と王が、椅子に座り頭を抱え考えていた。目の前の長く広い大きな机には王国の全領地の詳細な地図が広げられている。
「はぁ、どうしたものか?」
王が溜め息とともに貴族達、若かりしころより仕える戦友たちに問いを投げる。
「陛下、この議は早急に対処しなければなりませんが、安易に手を出せば此方が過大な被害を被るは必至ですぞ!」
「そんなことは分かっておる!だが、今も尚こちら側へ魔領が侵食し辺境の民達の土地が奪われておる。その被害は、お前が一番理解しているはずだ!ウォルツ辺境伯!」
「しかし、無策に軍にて進行しても魔物は喰い止められるでしょうが、土地の侵食には手の打ちようが有りません!」
「うむー・・・」
何度も繰りかえしたやり取りをもう一周する。すでに、答えは出ているがその解でことを進めるのを王は許せなかった。なぜなら、土地を捨てねばならないからだ。
「ここにいる我々が決死の覚悟で魔物から切りとった土地ぞ!開拓が進み軌道に乗ろうという時に、卿も嬉しそうに、土地の実のりを報告してくれたではないか!」
「陛下、私も悔しいのです!ですが、王国存亡にかかわる事、魔領に侵食されてはもう作物は育ちません!ここは切り捨てるところですぞ!」
「うぐ、だがしかし!」
すでに数日が経ち、今はもう王とウォルツ辺境伯の言い争いしかないこの会議。もう意味などないのだろ、あるとすれば王と辺境伯の善意の押し付け合い。親しい主君と家来の暑苦しい喧嘩でしかないだろう。こんなことをしてる場合ではない。
すでにウォルツ辺境伯の治める領地は半部以上を魔領に侵食され後がない。このままでは王国全土が侵食され国が滅ぶ。
魔領とはいったい何なのだろうか?
この世界の土地は3種類ある、一つは人々が住む土地、もう一つが魔物が住む土地、最後の一つが、魔が生まれ出でる土地だ。魔領とはこの[魔が生まれ出でる土地]で魔力が地から溢れ、魔物誕生の原因となっている。そこに育つのは、魔物だけではなく木々や草、空気さえも人にとって猛毒である。しかし、人は魔法もってそれから身を守り、魔物を倒し生活圏を広げてきた。
対抗法があるのにもかかわらず、土地を放棄するという答えになぜなるのか?
それは、魔王誕生を恐れてのことで、下手に魔領を荒らせばその影響でより凶悪な魔物が誕生し、それを繰り返しづつければ、人など一息で滅ぼせる魔物が誕生してしまう。
王国だけの問題で無くなって種そのものが途絶えることになる。
室内にどうし様もないという絶望的な空気が満たす。だが、そこへ真新しい新鮮な空気に入れ替えるがごとく、扉が開かれた。
「陛下、早急に許可して頂きたい議がございます!」
「なに事か、殿下!今、陛下は重大な決断をしなければとき、許可なく立入るでないは!」
殿下アイジークハルトが供を連れて入ってきた。王の若かりしころと、同じく堂々した出で立ちで自信に満ちた表情は何ものにも屈しない力強さを伴っていた。
「良い、発言を許可する」
「陛下!」
貴族達を手で制止、己が息子に目を向ける。
「陛下、私と供3人による魔領の調査をお許しください!供の一人、ガウス導師ならば魔領が活性化した原因の特定が可能でしょう。戦闘面も供の一人、王国騎士団団長エレマス殿に、治療と浄化にたけた聖術長ユリース嬢。私、アイジークハルトの魔法剣を持ってすれば調査は可能と考えます」
「うむ……」
王は考える、息子の提案に可能性があるかと。このままでは国が滅び、国ごと他国に亡命しなければ生きることができない。どの道、権力など持てるはずもなく良い様に使われて終わるだろう。ならば、足掻くのも良いかと。
「許可しよう!だが、調査結果を持ち生きて帰えってくるのだ!良いな、これは王命である!」
「は!必ず王国存続の希望を持ち生きて帰還します!」
こうして、勇者4名は王国全国民の希望を背負い大々的に送り出され、悪しき滅びの地、魔領へと旅立った。しかし、彼らは帰還することなく、魔領は大陸全土を侵食したのち、数百の時がながれた。
王城のとある一室に年老いた貴族達と王が、椅子に座り頭を抱え考えていた。目の前の長く広い大きな机には王国の全領地の詳細な地図が広げられている。
「はぁ、どうしたものか?」
王が溜め息とともに貴族達、若かりしころより仕える戦友たちに問いを投げる。
「陛下、この議は早急に対処しなければなりませんが、安易に手を出せば此方が過大な被害を被るは必至ですぞ!」
「そんなことは分かっておる!だが、今も尚こちら側へ魔領が侵食し辺境の民達の土地が奪われておる。その被害は、お前が一番理解しているはずだ!ウォルツ辺境伯!」
「しかし、無策に軍にて進行しても魔物は喰い止められるでしょうが、土地の侵食には手の打ちようが有りません!」
「うむー・・・」
何度も繰りかえしたやり取りをもう一周する。すでに、答えは出ているがその解でことを進めるのを王は許せなかった。なぜなら、土地を捨てねばならないからだ。
「ここにいる我々が決死の覚悟で魔物から切りとった土地ぞ!開拓が進み軌道に乗ろうという時に、卿も嬉しそうに、土地の実のりを報告してくれたではないか!」
「陛下、私も悔しいのです!ですが、王国存亡にかかわる事、魔領に侵食されてはもう作物は育ちません!ここは切り捨てるところですぞ!」
「うぐ、だがしかし!」
すでに数日が経ち、今はもう王とウォルツ辺境伯の言い争いしかないこの会議。もう意味などないのだろ、あるとすれば王と辺境伯の善意の押し付け合い。親しい主君と家来の暑苦しい喧嘩でしかないだろう。こんなことをしてる場合ではない。
すでにウォルツ辺境伯の治める領地は半部以上を魔領に侵食され後がない。このままでは王国全土が侵食され国が滅ぶ。
魔領とはいったい何なのだろうか?
この世界の土地は3種類ある、一つは人々が住む土地、もう一つが魔物が住む土地、最後の一つが、魔が生まれ出でる土地だ。魔領とはこの[魔が生まれ出でる土地]で魔力が地から溢れ、魔物誕生の原因となっている。そこに育つのは、魔物だけではなく木々や草、空気さえも人にとって猛毒である。しかし、人は魔法もってそれから身を守り、魔物を倒し生活圏を広げてきた。
対抗法があるのにもかかわらず、土地を放棄するという答えになぜなるのか?
それは、魔王誕生を恐れてのことで、下手に魔領を荒らせばその影響でより凶悪な魔物が誕生し、それを繰り返しづつければ、人など一息で滅ぼせる魔物が誕生してしまう。
王国だけの問題で無くなって種そのものが途絶えることになる。
室内にどうし様もないという絶望的な空気が満たす。だが、そこへ真新しい新鮮な空気に入れ替えるがごとく、扉が開かれた。
「陛下、早急に許可して頂きたい議がございます!」
「なに事か、殿下!今、陛下は重大な決断をしなければとき、許可なく立入るでないは!」
殿下アイジークハルトが供を連れて入ってきた。王の若かりしころと、同じく堂々した出で立ちで自信に満ちた表情は何ものにも屈しない力強さを伴っていた。
「良い、発言を許可する」
「陛下!」
貴族達を手で制止、己が息子に目を向ける。
「陛下、私と供3人による魔領の調査をお許しください!供の一人、ガウス導師ならば魔領が活性化した原因の特定が可能でしょう。戦闘面も供の一人、王国騎士団団長エレマス殿に、治療と浄化にたけた聖術長ユリース嬢。私、アイジークハルトの魔法剣を持ってすれば調査は可能と考えます」
「うむ……」
王は考える、息子の提案に可能性があるかと。このままでは国が滅び、国ごと他国に亡命しなければ生きることができない。どの道、権力など持てるはずもなく良い様に使われて終わるだろう。ならば、足掻くのも良いかと。
「許可しよう!だが、調査結果を持ち生きて帰えってくるのだ!良いな、これは王命である!」
「は!必ず王国存続の希望を持ち生きて帰還します!」
こうして、勇者4名は王国全国民の希望を背負い大々的に送り出され、悪しき滅びの地、魔領へと旅立った。しかし、彼らは帰還することなく、魔領は大陸全土を侵食したのち、数百の時がながれた。
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