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…私、まだ生きてる?
…あれ?私、私は…確か浮気されて。婚約破棄されて、あらぬ罪をかけられて…殺されたはず。
私は日付を確認する。
あの断罪から、三日前?
もしかして、これは二度目の人生ってやつ?
そんなことあるのかわからないけど、本当に二度目の人生なら…。
あの人、ワルジュに、すぐに婚約破棄してもらおう。
…ワルジュとは、私の婚約者であり、全ての元凶。
不貞を働き、自分の地位の陥落を恐れて、私に全てをなすりつけた。

私たちはもともと、政略結婚ではない、本当に愛し合っていた婚約者同士だった。

…そして、断罪の三日前…それは私の誕生日でもある。
神様は、皮肉なものよね。
「ワルジュ様。
おはようございます。」
「あぁ、おはよう。」
ワルジュ様は、一拍置いた後。
「誕生日、おめでとう。
プレゼント、君の好きな、サクラのピアスだ。」

(…、私が好きなのは、スイレンですけどね。)
どうせいいや。婚約破棄するんだし。

それから、私は一日かけて、浮気の証拠を集めた。
叩けばボロが出る、本当に言葉のまんまで、証拠は十分すぎるほど集まってしまった。
(…、あとは。どのようにして地獄を見せるかな。)

「おはようございます。
突然なのですが、パーティーを行ってもよろしいでしょうか?
ワルジュ様に迷惑のかからない程度にやりますので。」
「ん?そのパーティ、僕も参加しても良いかな?」
(きた。
ワルジュ様なら、絶対にこう言うはずだと思った。
…私の交友関係、知りたいですものね。)

パーティーには、ワルジュ様が浮気している方々を呼ぶつもりだ。
なんだか、三人もいるみたいです。
つまり、私とワルジュ様と、浮気していた三人。
その人しか呼ばない、修羅場にするつもりだ。

(…もう私は、ワルジュ様のことなんか好きじゃない。
この感情が…小説とかでいう『ざまぁ』ってやつなのかしら?)

パーティーは約束通り始まり、ワルジュ様も来てくれた。
そこで私は、仕掛ける。

私はマイクを持った。
「ワルジュ様は、私のことをずっと愛すと言ってくれましたの。
…だから、昨日…あ、昨日は私の誕生日で。
サクラのピアスを貰いました、今付けてる物なんですけど。」

(…きっと、浮気する相手の心理って、独占欲が強いタイプの方だと思う。
だから、ここでワルジュ様は私しか愛していない、という事実を突きつければ。
一人くらい、反応する輩がいるだろう。)

案の定、反応してくれた。
「っ!?!?
…ワルジュ様!!私のことを愛してくれるんじゃなかったんですか!?」

その女は発言した後に自分の過ちに気が付いたようだ。
「言ってしまった」という顔をしている。

…ここで私はあえてとぼけてみせる。
「…え?
ワルジュ様が、そんなことを言ったんですか?」
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