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1話 性の精霊との出会い
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僕、水無瀬 遥(みなせ はるか)24歳。
両親の転勤で中学3年から海外に住んでいて、10年ほど経って日本に戻ってきた。
理由はひとつ。
初恋の幼なじみ──一ノ瀬 怜(いちのせ れい)に未練があったからだ。
もう一度会いたくて帰ってきたのに、日本に着くなり“遠い存在になってしまった”ことを思い知らされた。
謎に「また会える」と思ってた。信じてた。
それが全部無理だったと知って──落ち込んだ。
でも、クヨクヨしてるだけじゃダメだと気持ちを切り替えて、カフェの求人を見つけて応募した。
面接は驚くほど順調に進み、気づけば採用。
働き始めて1ヶ月。
一人暮らしにも仕事にもだいぶ慣れた頃だ。
マスターは優しくて、出勤初日に泣いてしまった僕に
「大丈夫だよ」
と笑ってくれたのを今でも覚えている。
今日もいつものようにヨーグルトを食べて、顔を洗って歯磨きをして家を出た。
ルーティンになった道を歩いていると、どこからか子どもたちの声が聞こえた。
「なんだこいつー!星型のハゲだー!」
「へんなのー!しっぽみじけぇー!」
「目の色もなんか違うぞー!きもちわるー!」
嫌な予感がして声の方に行くと、小学生の男の子3人が棒を持って猫をいじめていた。
僕は咄嗟にその間に飛び込む。
「こら!ダメだよ!!猫をいじめたら!」
「「「うわぁぁー!!」」」
怒鳴ると、子どもたちは逃げていった。
地面を見ると──
左目が青、右目が赤のオッドアイ。
額には星型の模様。
白くてしっぽが短く、美しい猫がいた。
「うわぁ…綺麗な猫。大丈夫?君」
額に手を伸ばした時だった。
眩しい光が視界いっぱいに広がる。
「ぅわぁっ…!!」
光がおさまると、猫は消えていた。
「あれ……?」
不思議に思って探すけれど見当たらず、気づけば時間ギリギリ。
「あ、やばい!急がなきゃ!!」
走ってカフェへ向かい、何とか間に合った。
ここは私服にエプロンをつけるスタイルで、僕はシャツと黒ズボンを合わせている。
「おはようございます!」
カウンターには、コーヒーを淹れているマスターがいた。
「おはよう、遥くん」
マスターは28歳。
背が高くて、優しくて、かっこよくて、憧れの人だ。
お爺さんの店を継いだらしく、その姿勢も素敵だと思う。
「今日もよろしくお願いします」
「うん。よろしくね」
仕事に集中したり、手が空いたら談笑したり。
気づけばもう上がりの時間だった。
「いつもありがとう、遥くん。助かってるよ」
「いえいえ!僕こそ!マスター優しくて……ほんと働きやすいです!」
「ふふっ」
「ふふっ……」
同時に頭を下げて笑い合い、空気がふっと和らいだ。
「今日もお疲れ様。気をつけて帰るんだよ」
ぽん、と頭を撫でられる。
「は、はい!お疲れ様でした!」
更衣室でエプロンを外し、帰路につく。
「今日もマスター優しかったな……」
そんな独り言を呟いていた時だった。
──ドスッ!!
「いったっっ!!な、なに?!」
頭を押さえて落ちてきたものを見ると──
あの猫だった。
「あ!今朝の猫!!」
「ばかもの!猫ではない!性の精霊、ラズだ!!」
二本足で仁王立ちしているソレを見て凍りつく。
……喋った……?
ていうか立ってる……???
「猫が喋った!?!?」
「猫ではない!性霊のラズだ!」
……
…………
…………………
「えええぇぇぇえええぇぇええ?!」
両親の転勤で中学3年から海外に住んでいて、10年ほど経って日本に戻ってきた。
理由はひとつ。
初恋の幼なじみ──一ノ瀬 怜(いちのせ れい)に未練があったからだ。
もう一度会いたくて帰ってきたのに、日本に着くなり“遠い存在になってしまった”ことを思い知らされた。
謎に「また会える」と思ってた。信じてた。
それが全部無理だったと知って──落ち込んだ。
でも、クヨクヨしてるだけじゃダメだと気持ちを切り替えて、カフェの求人を見つけて応募した。
面接は驚くほど順調に進み、気づけば採用。
働き始めて1ヶ月。
一人暮らしにも仕事にもだいぶ慣れた頃だ。
マスターは優しくて、出勤初日に泣いてしまった僕に
「大丈夫だよ」
と笑ってくれたのを今でも覚えている。
今日もいつものようにヨーグルトを食べて、顔を洗って歯磨きをして家を出た。
ルーティンになった道を歩いていると、どこからか子どもたちの声が聞こえた。
「なんだこいつー!星型のハゲだー!」
「へんなのー!しっぽみじけぇー!」
「目の色もなんか違うぞー!きもちわるー!」
嫌な予感がして声の方に行くと、小学生の男の子3人が棒を持って猫をいじめていた。
僕は咄嗟にその間に飛び込む。
「こら!ダメだよ!!猫をいじめたら!」
「「「うわぁぁー!!」」」
怒鳴ると、子どもたちは逃げていった。
地面を見ると──
左目が青、右目が赤のオッドアイ。
額には星型の模様。
白くてしっぽが短く、美しい猫がいた。
「うわぁ…綺麗な猫。大丈夫?君」
額に手を伸ばした時だった。
眩しい光が視界いっぱいに広がる。
「ぅわぁっ…!!」
光がおさまると、猫は消えていた。
「あれ……?」
不思議に思って探すけれど見当たらず、気づけば時間ギリギリ。
「あ、やばい!急がなきゃ!!」
走ってカフェへ向かい、何とか間に合った。
ここは私服にエプロンをつけるスタイルで、僕はシャツと黒ズボンを合わせている。
「おはようございます!」
カウンターには、コーヒーを淹れているマスターがいた。
「おはよう、遥くん」
マスターは28歳。
背が高くて、優しくて、かっこよくて、憧れの人だ。
お爺さんの店を継いだらしく、その姿勢も素敵だと思う。
「今日もよろしくお願いします」
「うん。よろしくね」
仕事に集中したり、手が空いたら談笑したり。
気づけばもう上がりの時間だった。
「いつもありがとう、遥くん。助かってるよ」
「いえいえ!僕こそ!マスター優しくて……ほんと働きやすいです!」
「ふふっ」
「ふふっ……」
同時に頭を下げて笑い合い、空気がふっと和らいだ。
「今日もお疲れ様。気をつけて帰るんだよ」
ぽん、と頭を撫でられる。
「は、はい!お疲れ様でした!」
更衣室でエプロンを外し、帰路につく。
「今日もマスター優しかったな……」
そんな独り言を呟いていた時だった。
──ドスッ!!
「いったっっ!!な、なに?!」
頭を押さえて落ちてきたものを見ると──
あの猫だった。
「あ!今朝の猫!!」
「ばかもの!猫ではない!性の精霊、ラズだ!!」
二本足で仁王立ちしているソレを見て凍りつく。
……喋った……?
ていうか立ってる……???
「猫が喋った!?!?」
「猫ではない!性霊のラズだ!」
……
…………
…………………
「えええぇぇぇえええぇぇええ?!」
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