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3章
30話「当面は精霊王達への対話に挑むべき」
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エルフの里を出て移動をする為にルーピン達と合流を果たしたアルスとハルト。しかし、エルフの娘達で新しい仲間でもあるディーリとリリスまで乗る事は出来ない。
ハルトがリリスにどうするのかと問い掛けているとディーリが胸元から何かの笛を取り出した。それを口に咥えて吹くと「リィィン」と鈴の様な音色が響き渡る。
「なんだ……?」
「羽音?」
「こっちよ~」
「来ましたね。エルフ達の友でもあるワイバーンのルドルドと名付けている子です」
『シャー』
「ルドルド、暫く私達の事を乗せてね」
「ワイバーンがエルフの友なんて聞いた事ねぇぞ……」
「うーん、でも長く生きているエルフだから有り得なくはないんじゃない? リリスもなんだかんだで親しいみたいだし」
リリスの視線には優しい色が入っているのをハルトは確認しているし、アルスの前に降り立ったルドルドを抱き締めるディーリが微笑むのをアルスは苦笑しながら見つめている。これで移動手段が明らかになって4人はその土地を旅立つ。
まずは近くにあるだろうガルガルとギルドの支部を探して暫く空の旅になりそうではあった。ルドルドとルーピンの背に乗って全員が空に上がるとエルフの森を後にして南へと飛んだ。
「この近くなら……少し先にガルガルの支部が最近出来たと言われている街があるね」
「ギルドの支部もあるだろうし、情報を集めるのには最適だな。ディーリ、飛ばすが大丈夫か?」
「平気よ。この子ならその子のスピードには付いて行ける」
ルーピンとルドルドが飛ばす空の上を進んでいるとリリスが風の精霊を感じ取っていた。風の精霊の王はジンである。
ジンの気配を微かに感じ取っていたリリスは精霊界にも変化があったのでは? と考えてしまうが真実が分からない今は迂闊な事を口にするのは止めた。次第に街が見えてくるとルーピン達がスピードを落として低速で地面に降りて行く。
街の傍に竜とワイバーンのサイズでも身を隠せる程の茂みを見付けて、そこにルーピン達を好きにさせる。アルファはハルトに抱き締められて街中に入って行く。
「大きいのねここは」
「人間だけじゃない、獣人達も多くいるようですね」
「エルフだって珍しいけれどいない訳じゃない。とりあえず宿を取ろう」
「俺は先に防具屋に行く。少し今の防具が緩い」
「あら? 痩せてしまったのアルス」
「それじゃ後から合流場所を決めてそこで合流しよう。酒場で合流しようか」
「この暑さで痩せるのも頷けます。それでは私も同行致しますのでアルス様と一時的にハルト様とディーリとは別行動取らせてもらいますね」
アルスとリリス、ディーリとハルトのペアでそれぞれが行動をし始める。ハルトはリリスがアルスに同行するのが珍しいな、と感じていた。
それに気付いたディーリがクスクス笑いながらハルトにリリスの意外なる趣味を話し始める。本当に意外なリリスの趣味である。
「リリス、武器や防具を眺めるのが大好きなマニアなのよ」
「えぇ……それは珍しいね?」
「でしょ? 里の武器と防具の全てを把握している程よ。だから人間達が主に使用している武器や防具に興奮してしまわないか心配だわ」
「んーアルスといるから安心出来ないかも」
「へっ?」
「アルスも何気に防具とかには目が無いからね」
「……財布の紐は厳しくしましょうね」
「そうだね」
変な所でディーリとハルトが意気投合している間に、リリスとアルスは防具屋に入って色々と見ていた。リリスがじっくりと見ているのをアルスも同じ様に見ていて2人同時に顔を見合わせて頷く。
そして、奥から店員がやってきてアルスとリリスの防具のオーダーを聞いて顔面蒼白になって、奥の店主に走って知らせに行く。「親方! マニアのご来店です!!」と。
合流場所の酒場を見付けてハルトとディーリは楽な格好に着替えて動いていた。そして酒場の入口で何やら人だかりが出来ている事に気付いたアルファが先に見に行くと急いで戻ってきた。
「どうしたのアルファ?」
「何かあった?」
『アルスとリリスお姉ちゃんが囲まれているよー!?』
「「……まさか……」」
「おいおい、兄ちゃんの装備どう見てもビブスル国のだろ!? み、見せてくれねぇか!?」
「エルフの姉ちゃんのは……ビブスルの魔女服!! これはこれでこの街でも手に入るが相当の値が張る代物だぜ!?」
人だかりに近付いて言葉を聞いていたディーリとハルトはアルスとリリスがかのドワーフの技術で作られた高級とも言われているビブスル国の防具を買った事を知る。これには大人しいハルトも引き攣った笑顔を浮かべ、ディーリは頭に手を置いて溜め息を盛大に吐き出す。
人々の囲みからディーリがアルスとリリスを引っ張り出すと2人を思い切り睨み付けて一言。
「こんの馬鹿者ーーー!!!」
「わっ!? い、いきなりなんだよディーリ!?」
「い、いたいです!?」
「アルス……リリス……その買った資金はどこから出てきたのかな?」
「俺のはへそくりからだけれど……」
「私のはエルフの里で溜めていた宝石を換金して買いましたけれど……」
「防具マニアのアルスはこの際いいとするわ! でもリリス! アンタは戦闘に参加しないのにその服は必要ないでしょう!! 返してきなさい!!」
「なっ、い、嫌です!! 私だって防具ぐらいまともにしてないと足手まといになってしまいます!!」
「アンタは基本的にルドルドの背に乗っているだけじゃない!! ほら! 返しに行くわよ!!」
「いーやー!!」
リリスを引っ張って防具屋に向かったディーリを見送りアルスは恐る恐るハルトに振り向く。ハルトは既に酒場に入って人数分の食事とアルファの食事をテイクアウトしている最中だった。
ハルトを怒らせるのはあまりよろしくないと考えて、自分も返品してこようかと考えているとテイクアウトを済ませたハルトが隣に並ぶ。そして、空いている側の手をアルスの右手に絡めて軽く引っ張りながら歩き出した。
「は、ハルト……?」
「ん? なぁに?」
「怒ってない……か?」
「別に。アルスのへそくりから出ているなら僕は怒らないよ。ただ……暫くは買い物禁止だよ?」
「うっ」
「へそくりだって有限なんだから。無限じゃないんだよ? 分かっているならこれ以上は言わない」
ハルトの真っ当な言葉にアルスも落ち込みながらも一緒に歩いて行く。宿屋に入ってハルトの部屋に入ってディーリ達を待っている間。
「~♪」
「……」
『アルス、元気ない』
「どうしてハルト、あんなに機嫌良いんだ?」
『分かんない。聞いてみたら~?』
「怖くて聞けねぇ……」
ハルトは機嫌よく簡易キッチンでテイクアウトした料理を皿に盛り付けている状態であった。その機嫌の良さに何気なく居心地が悪いアルスは椅子にただジッと座ってアルファと会話している。
アルファはハルトがこうして旅をする中で機嫌が良さそうにしている時は、大体怒っている時だと理解しているのでアルスの本能がそれを察しているのは残念だと思った。怒られる姿のアルスもまた可愛いとアルファなりに思っているからである。
コトリと皿を置いてまたキッチンに戻るハルトの背後から滲み出る不機嫌オーラに気付いたアルスは、またひやりとした汗が背中に流れるのを感じ取っていた。そして、ディーリとリリスが戻ってきて食事の場となるとアルスは黙ったままお行儀よく食事をする。
「ディーリのバカ……あれだけの価値ある服をお返しするなんて……」
「リリス。今度バカな買い物したら里に帰すから。それだけのバカな買い物よ」
「……それはアルス様にも言えるのでは?」
「俺に飛び火させんな!?」
「アルスはちゃんと”必要”な額の防具を買ったんだし、いいんじゃない?」
「ハルトもご立腹よアルス?」
「うっ……ご、ごめん……」
ディーリとハルトの不機嫌オーラを味わいながらリリスとアルスは味のしない食事を味わう事となった。そして、食後のティータイムで今後の事を話し合う。
アルスは一度精霊王達の事を知る者達を尋ねるべきでは? と考えている事を告げる。それに同意する様にディーリとリリスも精霊王達への対応を考えるべきだと告げる。
「まずは僕達は水の精霊王様であるウンディーネ様には会う事は出来た。でも、話を聞いてもらえないで拒絶された。それには僕達の知識や経験が浅いから仕方なかった事だと思う。他の精霊王様に会う為にも僕達は対話の為の知識を身に付けるべきだろうね」
「それと同時に私とリリスが知る限りのエルフの里に行って精霊王達との対話に挑んでいく必要があるわね」
「その上で私達は今後の事を。そして、生存戦争の事をより深く知り、神々の事をもっと知らなくてはなりません」
「色々と山積みだが……俺達は一度長老達に言われた事をした方がいいと思う」
「あぁ、『原点に戻る』だっけ。ディーリとリリスには少しつまらない時間になってしまうかもしれないけれども」
「そんなの気にしないわ。だって仲間じゃない」
「はい。私達の事は気にしないでお2人の事を優先して下さい。私達は気の長いエルフですよ?」
「ありがとう。それじゃまずはアルスの原点に戻る事になるのかな?」
「それだとしたら……やっぱり故郷に戻って話を聞く事になるんじゃねぇかな。ここから俺の故郷のガルーダに戻るなら軽く2週間は掛かるか」
地図を広げてくれたハルトに礼を述べるアルスに微笑みを向けて、ハルトはガルーダと今の街をピンで差して距離を確かめる。ルーピン達で移動しても距離があるのでアルスのいう通り2週間は掛かるだろう。
ハルトが途中の立ち寄るべき場所を距離から算出してピンを立てて行く。その適切なピンにディーリ達も納得して同意をしてくれた。
こうしてアルスの原点へ戻る為に今一度アルスの故郷であるガルーダに戻る事に決まった。ハルトはディーリとリリスが部屋に戻って行くのを見届けてから、アルスに戻る様に告げようとして気付く。
「アルス……最近寝れてなかった?」
「あ?」
「目の下に薄いけれどクマ、出来ている」
「き、気のせいだろ。それじゃお休み」
「あ、アルス!」
急いで出て行ったアルスに手を伸ばすがハルトの手を除けてアルスはいなくなる。何か嫌な予感がしているハルトはその夜、アルスの部屋に忍び込んでその原因を知る事となった――――。
ハルトがリリスにどうするのかと問い掛けているとディーリが胸元から何かの笛を取り出した。それを口に咥えて吹くと「リィィン」と鈴の様な音色が響き渡る。
「なんだ……?」
「羽音?」
「こっちよ~」
「来ましたね。エルフ達の友でもあるワイバーンのルドルドと名付けている子です」
『シャー』
「ルドルド、暫く私達の事を乗せてね」
「ワイバーンがエルフの友なんて聞いた事ねぇぞ……」
「うーん、でも長く生きているエルフだから有り得なくはないんじゃない? リリスもなんだかんだで親しいみたいだし」
リリスの視線には優しい色が入っているのをハルトは確認しているし、アルスの前に降り立ったルドルドを抱き締めるディーリが微笑むのをアルスは苦笑しながら見つめている。これで移動手段が明らかになって4人はその土地を旅立つ。
まずは近くにあるだろうガルガルとギルドの支部を探して暫く空の旅になりそうではあった。ルドルドとルーピンの背に乗って全員が空に上がるとエルフの森を後にして南へと飛んだ。
「この近くなら……少し先にガルガルの支部が最近出来たと言われている街があるね」
「ギルドの支部もあるだろうし、情報を集めるのには最適だな。ディーリ、飛ばすが大丈夫か?」
「平気よ。この子ならその子のスピードには付いて行ける」
ルーピンとルドルドが飛ばす空の上を進んでいるとリリスが風の精霊を感じ取っていた。風の精霊の王はジンである。
ジンの気配を微かに感じ取っていたリリスは精霊界にも変化があったのでは? と考えてしまうが真実が分からない今は迂闊な事を口にするのは止めた。次第に街が見えてくるとルーピン達がスピードを落として低速で地面に降りて行く。
街の傍に竜とワイバーンのサイズでも身を隠せる程の茂みを見付けて、そこにルーピン達を好きにさせる。アルファはハルトに抱き締められて街中に入って行く。
「大きいのねここは」
「人間だけじゃない、獣人達も多くいるようですね」
「エルフだって珍しいけれどいない訳じゃない。とりあえず宿を取ろう」
「俺は先に防具屋に行く。少し今の防具が緩い」
「あら? 痩せてしまったのアルス」
「それじゃ後から合流場所を決めてそこで合流しよう。酒場で合流しようか」
「この暑さで痩せるのも頷けます。それでは私も同行致しますのでアルス様と一時的にハルト様とディーリとは別行動取らせてもらいますね」
アルスとリリス、ディーリとハルトのペアでそれぞれが行動をし始める。ハルトはリリスがアルスに同行するのが珍しいな、と感じていた。
それに気付いたディーリがクスクス笑いながらハルトにリリスの意外なる趣味を話し始める。本当に意外なリリスの趣味である。
「リリス、武器や防具を眺めるのが大好きなマニアなのよ」
「えぇ……それは珍しいね?」
「でしょ? 里の武器と防具の全てを把握している程よ。だから人間達が主に使用している武器や防具に興奮してしまわないか心配だわ」
「んーアルスといるから安心出来ないかも」
「へっ?」
「アルスも何気に防具とかには目が無いからね」
「……財布の紐は厳しくしましょうね」
「そうだね」
変な所でディーリとハルトが意気投合している間に、リリスとアルスは防具屋に入って色々と見ていた。リリスがじっくりと見ているのをアルスも同じ様に見ていて2人同時に顔を見合わせて頷く。
そして、奥から店員がやってきてアルスとリリスの防具のオーダーを聞いて顔面蒼白になって、奥の店主に走って知らせに行く。「親方! マニアのご来店です!!」と。
合流場所の酒場を見付けてハルトとディーリは楽な格好に着替えて動いていた。そして酒場の入口で何やら人だかりが出来ている事に気付いたアルファが先に見に行くと急いで戻ってきた。
「どうしたのアルファ?」
「何かあった?」
『アルスとリリスお姉ちゃんが囲まれているよー!?』
「「……まさか……」」
「おいおい、兄ちゃんの装備どう見てもビブスル国のだろ!? み、見せてくれねぇか!?」
「エルフの姉ちゃんのは……ビブスルの魔女服!! これはこれでこの街でも手に入るが相当の値が張る代物だぜ!?」
人だかりに近付いて言葉を聞いていたディーリとハルトはアルスとリリスがかのドワーフの技術で作られた高級とも言われているビブスル国の防具を買った事を知る。これには大人しいハルトも引き攣った笑顔を浮かべ、ディーリは頭に手を置いて溜め息を盛大に吐き出す。
人々の囲みからディーリがアルスとリリスを引っ張り出すと2人を思い切り睨み付けて一言。
「こんの馬鹿者ーーー!!!」
「わっ!? い、いきなりなんだよディーリ!?」
「い、いたいです!?」
「アルス……リリス……その買った資金はどこから出てきたのかな?」
「俺のはへそくりからだけれど……」
「私のはエルフの里で溜めていた宝石を換金して買いましたけれど……」
「防具マニアのアルスはこの際いいとするわ! でもリリス! アンタは戦闘に参加しないのにその服は必要ないでしょう!! 返してきなさい!!」
「なっ、い、嫌です!! 私だって防具ぐらいまともにしてないと足手まといになってしまいます!!」
「アンタは基本的にルドルドの背に乗っているだけじゃない!! ほら! 返しに行くわよ!!」
「いーやー!!」
リリスを引っ張って防具屋に向かったディーリを見送りアルスは恐る恐るハルトに振り向く。ハルトは既に酒場に入って人数分の食事とアルファの食事をテイクアウトしている最中だった。
ハルトを怒らせるのはあまりよろしくないと考えて、自分も返品してこようかと考えているとテイクアウトを済ませたハルトが隣に並ぶ。そして、空いている側の手をアルスの右手に絡めて軽く引っ張りながら歩き出した。
「は、ハルト……?」
「ん? なぁに?」
「怒ってない……か?」
「別に。アルスのへそくりから出ているなら僕は怒らないよ。ただ……暫くは買い物禁止だよ?」
「うっ」
「へそくりだって有限なんだから。無限じゃないんだよ? 分かっているならこれ以上は言わない」
ハルトの真っ当な言葉にアルスも落ち込みながらも一緒に歩いて行く。宿屋に入ってハルトの部屋に入ってディーリ達を待っている間。
「~♪」
「……」
『アルス、元気ない』
「どうしてハルト、あんなに機嫌良いんだ?」
『分かんない。聞いてみたら~?』
「怖くて聞けねぇ……」
ハルトは機嫌よく簡易キッチンでテイクアウトした料理を皿に盛り付けている状態であった。その機嫌の良さに何気なく居心地が悪いアルスは椅子にただジッと座ってアルファと会話している。
アルファはハルトがこうして旅をする中で機嫌が良さそうにしている時は、大体怒っている時だと理解しているのでアルスの本能がそれを察しているのは残念だと思った。怒られる姿のアルスもまた可愛いとアルファなりに思っているからである。
コトリと皿を置いてまたキッチンに戻るハルトの背後から滲み出る不機嫌オーラに気付いたアルスは、またひやりとした汗が背中に流れるのを感じ取っていた。そして、ディーリとリリスが戻ってきて食事の場となるとアルスは黙ったままお行儀よく食事をする。
「ディーリのバカ……あれだけの価値ある服をお返しするなんて……」
「リリス。今度バカな買い物したら里に帰すから。それだけのバカな買い物よ」
「……それはアルス様にも言えるのでは?」
「俺に飛び火させんな!?」
「アルスはちゃんと”必要”な額の防具を買ったんだし、いいんじゃない?」
「ハルトもご立腹よアルス?」
「うっ……ご、ごめん……」
ディーリとハルトの不機嫌オーラを味わいながらリリスとアルスは味のしない食事を味わう事となった。そして、食後のティータイムで今後の事を話し合う。
アルスは一度精霊王達の事を知る者達を尋ねるべきでは? と考えている事を告げる。それに同意する様にディーリとリリスも精霊王達への対応を考えるべきだと告げる。
「まずは僕達は水の精霊王様であるウンディーネ様には会う事は出来た。でも、話を聞いてもらえないで拒絶された。それには僕達の知識や経験が浅いから仕方なかった事だと思う。他の精霊王様に会う為にも僕達は対話の為の知識を身に付けるべきだろうね」
「それと同時に私とリリスが知る限りのエルフの里に行って精霊王達との対話に挑んでいく必要があるわね」
「その上で私達は今後の事を。そして、生存戦争の事をより深く知り、神々の事をもっと知らなくてはなりません」
「色々と山積みだが……俺達は一度長老達に言われた事をした方がいいと思う」
「あぁ、『原点に戻る』だっけ。ディーリとリリスには少しつまらない時間になってしまうかもしれないけれども」
「そんなの気にしないわ。だって仲間じゃない」
「はい。私達の事は気にしないでお2人の事を優先して下さい。私達は気の長いエルフですよ?」
「ありがとう。それじゃまずはアルスの原点に戻る事になるのかな?」
「それだとしたら……やっぱり故郷に戻って話を聞く事になるんじゃねぇかな。ここから俺の故郷のガルーダに戻るなら軽く2週間は掛かるか」
地図を広げてくれたハルトに礼を述べるアルスに微笑みを向けて、ハルトはガルーダと今の街をピンで差して距離を確かめる。ルーピン達で移動しても距離があるのでアルスのいう通り2週間は掛かるだろう。
ハルトが途中の立ち寄るべき場所を距離から算出してピンを立てて行く。その適切なピンにディーリ達も納得して同意をしてくれた。
こうしてアルスの原点へ戻る為に今一度アルスの故郷であるガルーダに戻る事に決まった。ハルトはディーリとリリスが部屋に戻って行くのを見届けてから、アルスに戻る様に告げようとして気付く。
「アルス……最近寝れてなかった?」
「あ?」
「目の下に薄いけれどクマ、出来ている」
「き、気のせいだろ。それじゃお休み」
「あ、アルス!」
急いで出て行ったアルスに手を伸ばすがハルトの手を除けてアルスはいなくなる。何か嫌な予感がしているハルトはその夜、アルスの部屋に忍び込んでその原因を知る事となった――――。
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