109 / 154
13章
106話「巫女と神の強い絆」
しおりを挟む
アルドゥラ達の手に捕まったエテルナ、後ろ手に縛られている為に脱出するにはこの縛っている縄を緩めて腕を自由にしなくてはならない。見張りも存在していない石畳の部屋の床に寝転がっている状態で縄を緩めようと、手を必死に動かし続けていたが一向に緩む気配が見られない。
それでもエテルナは諦める事もなく、緩む事を信じて手を動かし続けていく。そこに足音と気配を感じたエテルナは動きを止めてその気配が誰であるかを確認する為に部屋の入口に視線を向けていた。
そこに入ってきたのはナイフを隠し持ったディーリであったが、エテルナは違和感をすぐに感じ取っていた。洗脳状態のディーリの瞳に光が宿っているのに気付いたからだ。
「……」
「待ってて、今助けるから」
そう話すディーリの手がエテルナの猿轡を外して、ナイフで後ろ手に縛っている縄を切り落とした。エテルナはディーリの状態に何かしらの理由を察して見上げながら身体を起こす。
ディーリはエテルナの身体を支えて立ち上がらせると静かに言い聞かせる。エテルナはそのディーリの言葉を真剣に聞いていた。
「この部屋から出て右側に繋がる通路を通って外に。見張りの兵は私が眠らせるから。いい? 森に出たら迷わずに高台の丘の方に走って。高台まで行けば反神々軍の前線部隊が展開しているから」
「ディーリ様は行かれないのですか?」
「行きたいのは山々だけれど、私はまだ洗脳が解けているとは気付かれてない。エテルナ様を逃がして時期を見計らって私も逃げ出すわ」
「……分かりました。ディーリ様、必ず本陣で再会を」
「えぇ、約束するわ」
ディーリの手引きを受けてエテルナは脱出を実行。エテルナが逃げる為の出口に立っていた神々軍の兵士達はディーリが召喚した眠りの精霊の力でスヤっと眠ってくれたので、ディーリに言われた通り森の中に飛び出したエテルナは迷わずに高台に走った。
高台の麓まで来ると反神々軍の前線部隊であるアルシェードの部隊がエテルナの存在に気付き、すぐに保護してくれる。アルシェードにエテルナはディーリの事を話すとアルシェードは顎下に手を添えて深く考える。
「エテルナ様の話をすぐにルーディス様とハルト君にお伝えするべきだろうと思います。今ダラズ神とレジャ神の両神が最前線の部隊との戦闘を開始せんと、出てきている今ならハルト君の軍略で何かしらの策は取れると思うので」
「アルドゥラ神は私を殺してルーディス様の力を削ぐ事を目論んでいたようです。私に何があったとしてもルーディス様の力を削ぐ事になったとしても、きっとルーディス様は冷静に状況を見て動いて下さると思うんです」
「果たしてそれはどうでしょうか」
「どういう事でしょうか?」
「愛する方の命を奪われて冷静にいられる者は皆無、だと申し上げておきます。特に男は愛する者を守れないのは自分の力を否定する材料にもなりかねませんので」
アルシェードは自分の愛竜を呼ぶとエテルナに乗るように促す。エテルナはアルシェードの言葉に考えながら、愛竜に乗ると背後にアルシェードの身体を感じて身体を楽にした。
アルシェードが仲間達に本陣に行くから、と伝えて前線を離れると本陣に向かって飛び立つ愛竜の背を撫でて本陣までの飛行を頼んでいた。エテルナはアルシェードに振り向き1つ質問をしてみる。
「あのアルシェード様、1つお伺いしてもよろしいですか?」
「私にお答えできる事であれば。なんですか?」
「アルシェード様の奥様は元々はアルス様の奥様だった、とお伺いしています。その様な過去を持っていても愛せる秘訣などございますか?」
「あぁ、レイナと言うんですが妻の名は。レイナは確かにアルス君の元妻ですが、それでも私に対して愛情を示してくれています。それが愛らしいとも思いますし、何より誰よりも私の事を理解してくれている。それが愛する最大の理由ですね」
「信頼関係があるから愛し合っていける、と言う事でしょうか?」
「そうですね。レイナとはアルス君の事で話し合いも重ねてきました。それでもレイナはひたむきに私を愛し続けてくれた。その愛に私は答えていきたいと思っています。夫婦とはお互いに支え合い、信じ合い、そして、愛し合う事で関係を保てると思っています」
アルシェードは1人の愛する妻を持つ男としての言葉を口にしながら、エテルナの質問に真剣に答えていた。エテルナもまたアルシェードの言葉を聞いて色々と自分の中にある疑問に対しての答えを見出していく。
本陣が見えてくるとハルトがすぐにアルシェードだと気付き、出迎えてくれたがエテルナが乗っている事に気付いては駆け寄ってきてエテルナの無事を確認し始める。ルーディスの姿がないのを不安そうにしているエテルナにハルトが今のルーディスがしようとしている事を説明してくれた。
「今ルーディス様は前線部隊の方々の神狩り武器を強化する為の神力を高めに行っています。エテルナ様の気配を感じたら終わり次第飛んでこられると思いますよ」
「私が安易に捕まってしまった為にルーディス様にご心配をお掛けしたのは心苦しいですが、ディーリ様の事もお知らせしたいと思いまして」
「ディーリがどうかしたんですか?」
「ディーリ様は洗脳が解けておいででした。その中でまだ洗脳に掛かった振りをして私を逃がして下さったんです。タイミングが合えば合流も可能かと思います」
「そうだったんですね……なら作戦を変えて……アルシェードさん、この奥の広場にルーディス様がいるのでエテルナ様をお連れ出来ませんか?」
「いいよ、私がお連れしよう」
「お願いします。それじゃエテルナ様、ルーディス様を支えてあげて下さい。貴女がいなくなって冷静を見せていたけれど心は不安だっただろうから」
「はい。ありがとうございますハルト様」
ハルトがエテルナとアルシェードの前からいなくなるとアルシェードの先導でルーディスの元に向かうエテルナ。広場にアルシェードと共に入ると強い神力がたゆまなく広がっていく波紋状の形を作り出していた。
アデレアがエテルナの姿を見てすぐにルーディスの名を呼ぶ。エテルナがアデレアに近寄り抱き上げるとアデレアは嬉しそうにエテルナの胸に抱き着き喜びを示す。
「只今戻りました。アデレア様、ルーディス様の事を支えて下さりありがとうございます」
『エテルナお姉様、お帰りなさい。ご無事で良かった』
「エテルナ様、私は前線に戻ります。念の為にルーディス様と行動を共にされて下さい」
「はい。アルシェード様もありがとうございます。お気を付けて」
アデレアを抱えたままアルシェードを見送ったエテルナはフワリと髪の毛が揺れるのを感じて、振り向くとルーディスが驚きの表情を浮かべて見つめているのに気付く。そっとアデレアを地面に降ろしてルーディスの元に近寄るエテルナは躊躇いもなく、ルーディスの胸元に飛び込んだ。
最初驚きで固まっていたルーディスの腕が徐々に動き、エテルナの身体を包み込んで存在を確かめるとルーディスは喉の奥からの声でエテルナの名を呼ぶ。それがエテルナの心を締め付けるだけの威力を持つとはルーディスは知らない。
『エテルナっ』
「ルーディス様……ごめんなさい、ご心配お掛けしました」
『何もされてないか? アルドゥラ達に酷い事はされてないか?』
「ディーリ様のご助力のお陰で酷い目に遭う前に逃げ出せました。ルーディス様の元に戻れて……良かった」
『良かった……お前が攫われたと分かった時に我を忘れて乗り込もうとしていたが、そうしたらお前の命を危険に晒すと冷静になって奪還のタイミングを伺っていたのだ』
『お兄様の乱れようは凄かったです。ハルト様の助言が無かったら本当に切り込んでいたのではないでしょうか』
アデレアの言葉にルーディスは恥ずかしそうにしているが、エテルナはそれが嬉しかった。自分の為に危険を犯してまで助けに来ようとしてくれていた事、それが何よりも嬉しいと思えた。
アデレアは2人だけの空間にするべく、神力を解放して母アデリスの元に転移した。ルーディスはそれを見届けてからエテルナを強く抱き締めて耳元で囁く。
『今回の事で強く思った。私にとってエテルナは既にかけがえのない大事な存在であると。そして、そのエテルナを奪われる事がどれだけ私を苦しめるかという事を。もう、離さない』
「ルーディス様……私もルーディス様と離れて強く思いました。こんなにもルーディス様の事を想う自分の気持ちに嘘はつけません……ルーディス様の傍にいたい……」
エテルナの言葉にルーディスの心がエテルナを求める。2人は見つめ合い、そして顔を近付けて唇をそっと重ね合わせて想いを重ねていった。
アルスがリリスと共に前線の部隊に合流して最初に行ったのはコルとベリオとの合流だった。ハルトの指示で3人の部隊を合流させて切り込む事になったのである。
リリスはエルフ部隊を指示しながら後方からアルス達を支援する位置に陣取り、コルとベリオは他の前線部隊の後退を支援しながらアルスと合流を果たす。
「いよいよ、本格的に神様が出て来たな」
「でも、兵はまだ元気。こっちも負けない」
「俺達が喉元まで切り込めばいいらしい。ドラゴン達も動きを合わせるとの事だ。一気に戦況を有利に持ち込むぞ!」
「「おう!」」
アルスはアクア色の髪の毛を風に揺らしながら空を見上げて瞳を細める。自分達の行動1つで戦局を変えて行ける、それはアルスの望む事でもあった。
コルとベリオが各仲間達に指示をしているのを眺めていたアルスは殺気を感じて前方を見つめる。ダラズ神とレジャ神が遠方からアルス達を睨み付けているのをアルスは目視で確認していた。
ニヤリ、と笑ってアルスは仲間達を鼓舞する為に声を上げる。アルスの言葉に全体の士気が上がっていく。
「俺達の行動こそが正義だ! 偽りの敵に制裁を下すぞ!」
「おー!」
「こんな所で俺達は負けない! 勝って本当の意味での自由を手に入れるぞ!」
「手に入れるぞー!」
「勝ってやるー!」
兵士達の興奮状態を見たアルスとコルとベリオは気合いが入る。このまま敵陣に切り込める、そんな士気状態にアルスは勝利の確信を持つのだった――――。
それでもエテルナは諦める事もなく、緩む事を信じて手を動かし続けていく。そこに足音と気配を感じたエテルナは動きを止めてその気配が誰であるかを確認する為に部屋の入口に視線を向けていた。
そこに入ってきたのはナイフを隠し持ったディーリであったが、エテルナは違和感をすぐに感じ取っていた。洗脳状態のディーリの瞳に光が宿っているのに気付いたからだ。
「……」
「待ってて、今助けるから」
そう話すディーリの手がエテルナの猿轡を外して、ナイフで後ろ手に縛っている縄を切り落とした。エテルナはディーリの状態に何かしらの理由を察して見上げながら身体を起こす。
ディーリはエテルナの身体を支えて立ち上がらせると静かに言い聞かせる。エテルナはそのディーリの言葉を真剣に聞いていた。
「この部屋から出て右側に繋がる通路を通って外に。見張りの兵は私が眠らせるから。いい? 森に出たら迷わずに高台の丘の方に走って。高台まで行けば反神々軍の前線部隊が展開しているから」
「ディーリ様は行かれないのですか?」
「行きたいのは山々だけれど、私はまだ洗脳が解けているとは気付かれてない。エテルナ様を逃がして時期を見計らって私も逃げ出すわ」
「……分かりました。ディーリ様、必ず本陣で再会を」
「えぇ、約束するわ」
ディーリの手引きを受けてエテルナは脱出を実行。エテルナが逃げる為の出口に立っていた神々軍の兵士達はディーリが召喚した眠りの精霊の力でスヤっと眠ってくれたので、ディーリに言われた通り森の中に飛び出したエテルナは迷わずに高台に走った。
高台の麓まで来ると反神々軍の前線部隊であるアルシェードの部隊がエテルナの存在に気付き、すぐに保護してくれる。アルシェードにエテルナはディーリの事を話すとアルシェードは顎下に手を添えて深く考える。
「エテルナ様の話をすぐにルーディス様とハルト君にお伝えするべきだろうと思います。今ダラズ神とレジャ神の両神が最前線の部隊との戦闘を開始せんと、出てきている今ならハルト君の軍略で何かしらの策は取れると思うので」
「アルドゥラ神は私を殺してルーディス様の力を削ぐ事を目論んでいたようです。私に何があったとしてもルーディス様の力を削ぐ事になったとしても、きっとルーディス様は冷静に状況を見て動いて下さると思うんです」
「果たしてそれはどうでしょうか」
「どういう事でしょうか?」
「愛する方の命を奪われて冷静にいられる者は皆無、だと申し上げておきます。特に男は愛する者を守れないのは自分の力を否定する材料にもなりかねませんので」
アルシェードは自分の愛竜を呼ぶとエテルナに乗るように促す。エテルナはアルシェードの言葉に考えながら、愛竜に乗ると背後にアルシェードの身体を感じて身体を楽にした。
アルシェードが仲間達に本陣に行くから、と伝えて前線を離れると本陣に向かって飛び立つ愛竜の背を撫でて本陣までの飛行を頼んでいた。エテルナはアルシェードに振り向き1つ質問をしてみる。
「あのアルシェード様、1つお伺いしてもよろしいですか?」
「私にお答えできる事であれば。なんですか?」
「アルシェード様の奥様は元々はアルス様の奥様だった、とお伺いしています。その様な過去を持っていても愛せる秘訣などございますか?」
「あぁ、レイナと言うんですが妻の名は。レイナは確かにアルス君の元妻ですが、それでも私に対して愛情を示してくれています。それが愛らしいとも思いますし、何より誰よりも私の事を理解してくれている。それが愛する最大の理由ですね」
「信頼関係があるから愛し合っていける、と言う事でしょうか?」
「そうですね。レイナとはアルス君の事で話し合いも重ねてきました。それでもレイナはひたむきに私を愛し続けてくれた。その愛に私は答えていきたいと思っています。夫婦とはお互いに支え合い、信じ合い、そして、愛し合う事で関係を保てると思っています」
アルシェードは1人の愛する妻を持つ男としての言葉を口にしながら、エテルナの質問に真剣に答えていた。エテルナもまたアルシェードの言葉を聞いて色々と自分の中にある疑問に対しての答えを見出していく。
本陣が見えてくるとハルトがすぐにアルシェードだと気付き、出迎えてくれたがエテルナが乗っている事に気付いては駆け寄ってきてエテルナの無事を確認し始める。ルーディスの姿がないのを不安そうにしているエテルナにハルトが今のルーディスがしようとしている事を説明してくれた。
「今ルーディス様は前線部隊の方々の神狩り武器を強化する為の神力を高めに行っています。エテルナ様の気配を感じたら終わり次第飛んでこられると思いますよ」
「私が安易に捕まってしまった為にルーディス様にご心配をお掛けしたのは心苦しいですが、ディーリ様の事もお知らせしたいと思いまして」
「ディーリがどうかしたんですか?」
「ディーリ様は洗脳が解けておいででした。その中でまだ洗脳に掛かった振りをして私を逃がして下さったんです。タイミングが合えば合流も可能かと思います」
「そうだったんですね……なら作戦を変えて……アルシェードさん、この奥の広場にルーディス様がいるのでエテルナ様をお連れ出来ませんか?」
「いいよ、私がお連れしよう」
「お願いします。それじゃエテルナ様、ルーディス様を支えてあげて下さい。貴女がいなくなって冷静を見せていたけれど心は不安だっただろうから」
「はい。ありがとうございますハルト様」
ハルトがエテルナとアルシェードの前からいなくなるとアルシェードの先導でルーディスの元に向かうエテルナ。広場にアルシェードと共に入ると強い神力がたゆまなく広がっていく波紋状の形を作り出していた。
アデレアがエテルナの姿を見てすぐにルーディスの名を呼ぶ。エテルナがアデレアに近寄り抱き上げるとアデレアは嬉しそうにエテルナの胸に抱き着き喜びを示す。
「只今戻りました。アデレア様、ルーディス様の事を支えて下さりありがとうございます」
『エテルナお姉様、お帰りなさい。ご無事で良かった』
「エテルナ様、私は前線に戻ります。念の為にルーディス様と行動を共にされて下さい」
「はい。アルシェード様もありがとうございます。お気を付けて」
アデレアを抱えたままアルシェードを見送ったエテルナはフワリと髪の毛が揺れるのを感じて、振り向くとルーディスが驚きの表情を浮かべて見つめているのに気付く。そっとアデレアを地面に降ろしてルーディスの元に近寄るエテルナは躊躇いもなく、ルーディスの胸元に飛び込んだ。
最初驚きで固まっていたルーディスの腕が徐々に動き、エテルナの身体を包み込んで存在を確かめるとルーディスは喉の奥からの声でエテルナの名を呼ぶ。それがエテルナの心を締め付けるだけの威力を持つとはルーディスは知らない。
『エテルナっ』
「ルーディス様……ごめんなさい、ご心配お掛けしました」
『何もされてないか? アルドゥラ達に酷い事はされてないか?』
「ディーリ様のご助力のお陰で酷い目に遭う前に逃げ出せました。ルーディス様の元に戻れて……良かった」
『良かった……お前が攫われたと分かった時に我を忘れて乗り込もうとしていたが、そうしたらお前の命を危険に晒すと冷静になって奪還のタイミングを伺っていたのだ』
『お兄様の乱れようは凄かったです。ハルト様の助言が無かったら本当に切り込んでいたのではないでしょうか』
アデレアの言葉にルーディスは恥ずかしそうにしているが、エテルナはそれが嬉しかった。自分の為に危険を犯してまで助けに来ようとしてくれていた事、それが何よりも嬉しいと思えた。
アデレアは2人だけの空間にするべく、神力を解放して母アデリスの元に転移した。ルーディスはそれを見届けてからエテルナを強く抱き締めて耳元で囁く。
『今回の事で強く思った。私にとってエテルナは既にかけがえのない大事な存在であると。そして、そのエテルナを奪われる事がどれだけ私を苦しめるかという事を。もう、離さない』
「ルーディス様……私もルーディス様と離れて強く思いました。こんなにもルーディス様の事を想う自分の気持ちに嘘はつけません……ルーディス様の傍にいたい……」
エテルナの言葉にルーディスの心がエテルナを求める。2人は見つめ合い、そして顔を近付けて唇をそっと重ね合わせて想いを重ねていった。
アルスがリリスと共に前線の部隊に合流して最初に行ったのはコルとベリオとの合流だった。ハルトの指示で3人の部隊を合流させて切り込む事になったのである。
リリスはエルフ部隊を指示しながら後方からアルス達を支援する位置に陣取り、コルとベリオは他の前線部隊の後退を支援しながらアルスと合流を果たす。
「いよいよ、本格的に神様が出て来たな」
「でも、兵はまだ元気。こっちも負けない」
「俺達が喉元まで切り込めばいいらしい。ドラゴン達も動きを合わせるとの事だ。一気に戦況を有利に持ち込むぞ!」
「「おう!」」
アルスはアクア色の髪の毛を風に揺らしながら空を見上げて瞳を細める。自分達の行動1つで戦局を変えて行ける、それはアルスの望む事でもあった。
コルとベリオが各仲間達に指示をしているのを眺めていたアルスは殺気を感じて前方を見つめる。ダラズ神とレジャ神が遠方からアルス達を睨み付けているのをアルスは目視で確認していた。
ニヤリ、と笑ってアルスは仲間達を鼓舞する為に声を上げる。アルスの言葉に全体の士気が上がっていく。
「俺達の行動こそが正義だ! 偽りの敵に制裁を下すぞ!」
「おー!」
「こんな所で俺達は負けない! 勝って本当の意味での自由を手に入れるぞ!」
「手に入れるぞー!」
「勝ってやるー!」
兵士達の興奮状態を見たアルスとコルとベリオは気合いが入る。このまま敵陣に切り込める、そんな士気状態にアルスは勝利の確信を持つのだった――――。
0
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
祖国に棄てられた少年は賢者に愛される
結衣可
BL
祖国に棄てられた少年――ユリアン。
彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。
その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。
絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。
誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。
棄てられた少年と、孤独な賢者。
陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら兄たちに溺愛されました~
液体猫(299)
BL
毎日AM2:10分に予約投稿。
*執着脳筋ヤンデレイケメン×儚げ美人受け
【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸に、クリスがひたすら生きる物語】
大陸の全土を治めるアルバディア王国の第五皇子クリスは謂れのない罪を背負わされ、処刑されてしまう。
けれど次に目を覚ましたとき、彼は子供の姿になっていた。
これ幸いにと、クリスは過去の自分と同じ過ちを繰り返さないようにと自ら行動を起こす。巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞っていく。
かわいい末っ子が兄たちに可愛がられ、溺愛されていくほのぼの物語。やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな気持ちで、新たな人生を謳歌するマイペースで、コミカル&シリアスなクリスの物語です。
主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ
⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌
⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる