6 / 107
1章
5話「聖騎士団長のお考え」
しおりを挟む
実力選抜戦が明日に控えている今、ランスロットの姿は国王ケンベルトの私室にあった。
ケンベルトに明日の選抜戦の説明を行い、そして、ある言葉を貰っている最中であった。
「選抜戦が成功すればお前の元で聖騎士団も相当の実力者が集う事になる。それは考え方を変えれば最強を作り上げる事にも繋がる事になるだろう」
「最強は言い過ぎだ。俺は有能な人材を育成して後世の騎士団を作るだけの事をしているだけなんだがな」
「お前は神々に愛された騎士として団を纏めている。それはどう考えても団の頂点に立つお前の指示の元で出来上がる騎士団には期待が集まるのは自然と言う事だ。俺もお前の決意と願いを知っているからこそ応援させてもらいたいんだよ」
「……俺の願いが果たされた時、この大陸はきっと今まで以上の穏やかな時間を過ごす事が叶う筈だ。その為にも俺自身の命が礎になったとしても後悔はしないと思う」
「1国の騎士団が出来る事かは不明かも知れない。だが、やってみる価値はあるもんだ」
ケンベルトの右手に持たれているワイングラス、ランスロットの左手にもワイングラス。2人はカチンとグラスを鳴らすと静かにワインを飲み始める。
ケンベルトの部屋から自宅の屋敷に戻ったランスロットは自室の中で机に向かってカリカリと何かを書いていた。この先見付けてみせると考えている妹への手紙である。
きっとランスロットの事を待ってこの家で1人で過ごす事も多くなるだろう妹へ、少しでも寂しさを紛らわせる事が出来る様にと言葉を残しているのであった。こんな事をしている事に少し恥ずかしさも感じる部分もあるが、それ以上にまだ見ぬ妹への愛情が溢れていた。
「まだ探し出せていないが……必ずこの腕に抱き締めてみせる。俺のたった1人の家族……」
シルバーの髪で顔を隠したランスロットの瞳には強い決意が刻まれていた。そして、夜が明けて選抜戦の当日の朝を迎える。
市民の歩く道を歩いて登城したランスロットはすぐに選抜戦の立ち合いに向かう。今回騎士団総出の選抜戦なので人数が多い。
城の兵士を少し拝借して審判や負傷者の手当てなどのサポートをお願いして、今回の選抜戦の始まりが近付く。ローレンスはサポートに回ってくれているのでランスロットは自分も進んで審判を行っていく予定だった。
「これより騎士団選抜戦の開幕を行う。ルールは簡単だ。総当たり戦を行い、勝ち残った上位の騎士達には今までは考えられなかっただろうが実力ごとの役職に就いてもらい、今後の騎士団の成長に貢献してもらう。勿論才能がある者達の実力を知りたいと思っての選抜戦だ。年齢や経験に左右されず実力のみで勝ち上がってほしい。それが結果としてこの騎士団を強める事を信じている」
ランスロットの宣言に騎士達は息を飲んで真剣に聞き入っていた。これが騎士達の心の中にあった強さに火を灯す事になる。
そして、総勢800人の騎士達の総当たりが始まる。数グループに分かれて勝ち残り戦を行い始める。
ガルド・ロルゾ・ハルウッドはそれぞれ別々のグループでもあったので順調に勝ち残っていく。そんな総当たり戦で一際目を惹いた騎士がいた。
「ローレンスも気になったか」
「はい。新人の騎士だとは聞いておりましたがここまで実力を秘めていたのは意外でございましたな。名を……エンドルと言います。身分はそこまで高くない貴族の出ではありますが、家の力を借りずに騎士団の試験に入ってきたらしいと書かれております。まさかこの若い騎士が総当たり戦で剣が折れても体術で勝ち残るとは」
ローレンスとランスロットの手元の資料に書かれているのは、先の総当たり戦でベテランの騎士達がひしめくグループ内で新人だと思われる騎士が持っていた剣を折られても戦意を失う所か果敢に体術だけでベテラン騎士達から勝利をもぎ取ったエンドルと言う若い騎士の情報が書かれている資料を眺めて話し合っていた。剣を折られても戦意を失わないのは戦場では生き残る事が出来る事に繋がる。
この様な若い騎士達が他のグループでも頭角を出し始めていた。この報告も兼ねてローレンスとランスロットは報告書に詳細を書き残して行く作業も行っている。
そして、数日に及んだ選抜戦は面白い成果を残した。ローレンスとランスロットはロルゾ達が無事に選抜戦を好成績で残った事を初めに、頭角を見せてきた騎士達への役職への配置を全て終わらせて知らせる為の場を用意した。
「皆、選抜戦よく頑張ってくれた。今回の選抜戦は今後の騎士団の底力を強化する為の底上げも兼ねていたが皆の実力を見て私は深い感動を覚えている。そして、皆の真剣な戦いを見てやはり皆と共にこのティクス国を守りたいとも思った。今から呼ぶ者達は明日以降役職への配属通知を行う。今までとは異なる立場や役目に就く者達も多いが、皆で助け合いながら成長していく事を願っている。それでは発表する!」
ランスロットは手に持っていた紙に書かれた騎士達の名を呼び挙げて行く。ロルゾ達が呼ばれたら納得する声も上がり、呼ばれていく名に新人騎士エンドルも含まれていたのは周囲に歓声を起こす事にもなった。
呼ばれた者達以外の騎士達もこの選抜戦で結果を残せなかった事を悔しがる者達が多かったが、誰1人不満を口にする騎士達は存在しなかった。そして、ランスロットはそんな騎士達への感謝を込めてある言葉を告げる。
「今回の選抜戦では惜しくも結果を残せなかった者達も多いだろう。なので、この選抜戦は定期的に行い、そして、実力を高め合ってよりよい騎士団へと成長を促す予定だ。足元を見ていると実力者達に足元を掬われてしまうぞ。皆の強さはこのティクス国の強さにも繋がる。皆のケンベルト国王陛下への忠誠もしっかり見させてもらっている。どうか、今後も皆の力を借りたい」
騎士達はランスロットの優しい言葉に心を打たれている者達も多かったが、自分達がティクス国の力になる、それが何よりも認められた事に感じてより騎士としての誇りに繋がっていたのはランスロットは気付いていない。
選抜戦の片付けは騎士達が自発的に行い、数時間で終わった。役職通知を作っていたローレンスとランスロットはロルゾ達が団長室に来て当たり前の様に手伝いをし始めた事に苦笑を浮かべていた。
「お前達は休んでいいんだぞ」
「これが俺達の休みなんだよ。剣を握るのが本職だが、こうした事務作業もしっかりするのが騎士としても必要だろう」
「ガルドは今回余裕なかったもんな。あのエンドルだっけか、あいつと当たったんだろう? どうだった?」
「私も聞きたいですね。やはり気概が違いましたか?」
「皆さん、話はいいですが手伝うなら素早く手伝って下さい? ランスロット様はこの後陛下に謁見しに行かれるのですから」
ローレンスの言葉に3人は言葉を摘むんでササッと手伝いをしていく。ランスロットはそんな4人に心で感謝して仕事を手早く終わらせに取り掛かった。
団長室から玉座の間に向かったランスロットを見送った4人は選抜戦の事を話し合っていた。ガルドはエンドルの事を話して他の3人に意外な顔をさせたり、ロルゾが風を読んで攻撃に工夫をしていた事を話したり、そんな時間を過ごしていた。
玉座の間に入ったランスロットはケンベルトにしっかり選抜戦の成果を報告する。その場に同席していた大臣達にも好感触の反応を得ていたので、間違いでは無かったとランスロットは心の中で安堵する。
「それでは今後は新体制の騎士団をしっかり率いてくれ。期待しているぞランスロット」
「必ず陛下の為に役立たせてみせます。このティクス国の騎士団として」
頭を上げて退室していくランスロットを見送ったケンベルトは静かに瞳を伏せる。この先このティクス国を襲う出来事は騎士団の存在を揺るがす事もあるだろう、それをランスロットに乗り越えさせるのは信頼しているだけではない。
「俺としても……あいつに任せる事しか出来ない事が歯痒いな……」
「陛下、いつかはランスロット卿の力が必ず必要となります。そう、我が国が神聖国と呼ばれている以上は……」
「俺達が神に愛されている事に驕らなければきっと神々はこの国を守って下さる。その時にランスロットの存在はある意味貴重になるのだろうな……」
ケンベルトの脳裏には若い頃のランスロットの姿があった。そして、自分の国王と言う立場をもってランスロットの事を危険な目に合わす事も考えられる事に苦しさを覚えていた。
騎士団の新体制を率いて行く事をランスロットは不思議と嫌ではなかった。寧ろ自分が考えた事の成果が友人で主であるケンベルトの国作りに力になれる事が嬉しかった。
少なくともランスロットは今1人の人間としてこの生活を送っている。それが未来をどんな形で引き寄せるかはまだ分からない。
ランスロットの足は騎士団の中で神々への祈りを捧げている礼拝堂に向かった。ランスロット自身が神々への祈りを欠かさない事は周知の事実でもあった。
礼拝堂に入ったランスロットは中央にまで足を進めて片膝を地面に着いて胸に手を添えて、1人静かに祈りを捧げる。今回の成功も神々の導きがあったからだと感謝を示す祈りを。
「……」
『神々の声を聞きし者よ……』
「っ、これ、は……」
『我々は貴方に加護を与えます……そして、貴方の望む希望を与えます……』
「俺の希望……」
『近い内に運命が動きます……そして、その運命に打ち勝って下さい……その先に貴方の希望が見えます』
脳裏に直接聞こえてくる声にランスロットは真剣に聞き入る。これが神託だと理解はしているし、初めての神託ではなかった。
声が聞こえなくなるとランスロットは今一度深い祈りを捧げて立ち上がり礼拝堂を後にする。運命が動く、それは自分の願いに絡んだ運命だろうとランスロットは目星を付ける。
「俺は聖騎士団長ランスロット……人々の希望になって、このティクス国の剣として戦うまでだ」
強い言葉に隠された強い覚悟。そして、同時にランスロットの未来が動く。
この先にある運命の戦いをランスロットは勝ち抜く事が必要だ。そして、その先に自分の希望になる存在との出逢いがある。
それがランスロットの心に強い希望となって火を灯し、そして運命に抗う為の力になっていく。諦めない、それが人間の魂の力だとするのであればランスロットの力とは――――。
ケンベルトに明日の選抜戦の説明を行い、そして、ある言葉を貰っている最中であった。
「選抜戦が成功すればお前の元で聖騎士団も相当の実力者が集う事になる。それは考え方を変えれば最強を作り上げる事にも繋がる事になるだろう」
「最強は言い過ぎだ。俺は有能な人材を育成して後世の騎士団を作るだけの事をしているだけなんだがな」
「お前は神々に愛された騎士として団を纏めている。それはどう考えても団の頂点に立つお前の指示の元で出来上がる騎士団には期待が集まるのは自然と言う事だ。俺もお前の決意と願いを知っているからこそ応援させてもらいたいんだよ」
「……俺の願いが果たされた時、この大陸はきっと今まで以上の穏やかな時間を過ごす事が叶う筈だ。その為にも俺自身の命が礎になったとしても後悔はしないと思う」
「1国の騎士団が出来る事かは不明かも知れない。だが、やってみる価値はあるもんだ」
ケンベルトの右手に持たれているワイングラス、ランスロットの左手にもワイングラス。2人はカチンとグラスを鳴らすと静かにワインを飲み始める。
ケンベルトの部屋から自宅の屋敷に戻ったランスロットは自室の中で机に向かってカリカリと何かを書いていた。この先見付けてみせると考えている妹への手紙である。
きっとランスロットの事を待ってこの家で1人で過ごす事も多くなるだろう妹へ、少しでも寂しさを紛らわせる事が出来る様にと言葉を残しているのであった。こんな事をしている事に少し恥ずかしさも感じる部分もあるが、それ以上にまだ見ぬ妹への愛情が溢れていた。
「まだ探し出せていないが……必ずこの腕に抱き締めてみせる。俺のたった1人の家族……」
シルバーの髪で顔を隠したランスロットの瞳には強い決意が刻まれていた。そして、夜が明けて選抜戦の当日の朝を迎える。
市民の歩く道を歩いて登城したランスロットはすぐに選抜戦の立ち合いに向かう。今回騎士団総出の選抜戦なので人数が多い。
城の兵士を少し拝借して審判や負傷者の手当てなどのサポートをお願いして、今回の選抜戦の始まりが近付く。ローレンスはサポートに回ってくれているのでランスロットは自分も進んで審判を行っていく予定だった。
「これより騎士団選抜戦の開幕を行う。ルールは簡単だ。総当たり戦を行い、勝ち残った上位の騎士達には今までは考えられなかっただろうが実力ごとの役職に就いてもらい、今後の騎士団の成長に貢献してもらう。勿論才能がある者達の実力を知りたいと思っての選抜戦だ。年齢や経験に左右されず実力のみで勝ち上がってほしい。それが結果としてこの騎士団を強める事を信じている」
ランスロットの宣言に騎士達は息を飲んで真剣に聞き入っていた。これが騎士達の心の中にあった強さに火を灯す事になる。
そして、総勢800人の騎士達の総当たりが始まる。数グループに分かれて勝ち残り戦を行い始める。
ガルド・ロルゾ・ハルウッドはそれぞれ別々のグループでもあったので順調に勝ち残っていく。そんな総当たり戦で一際目を惹いた騎士がいた。
「ローレンスも気になったか」
「はい。新人の騎士だとは聞いておりましたがここまで実力を秘めていたのは意外でございましたな。名を……エンドルと言います。身分はそこまで高くない貴族の出ではありますが、家の力を借りずに騎士団の試験に入ってきたらしいと書かれております。まさかこの若い騎士が総当たり戦で剣が折れても体術で勝ち残るとは」
ローレンスとランスロットの手元の資料に書かれているのは、先の総当たり戦でベテランの騎士達がひしめくグループ内で新人だと思われる騎士が持っていた剣を折られても戦意を失う所か果敢に体術だけでベテラン騎士達から勝利をもぎ取ったエンドルと言う若い騎士の情報が書かれている資料を眺めて話し合っていた。剣を折られても戦意を失わないのは戦場では生き残る事が出来る事に繋がる。
この様な若い騎士達が他のグループでも頭角を出し始めていた。この報告も兼ねてローレンスとランスロットは報告書に詳細を書き残して行く作業も行っている。
そして、数日に及んだ選抜戦は面白い成果を残した。ローレンスとランスロットはロルゾ達が無事に選抜戦を好成績で残った事を初めに、頭角を見せてきた騎士達への役職への配置を全て終わらせて知らせる為の場を用意した。
「皆、選抜戦よく頑張ってくれた。今回の選抜戦は今後の騎士団の底力を強化する為の底上げも兼ねていたが皆の実力を見て私は深い感動を覚えている。そして、皆の真剣な戦いを見てやはり皆と共にこのティクス国を守りたいとも思った。今から呼ぶ者達は明日以降役職への配属通知を行う。今までとは異なる立場や役目に就く者達も多いが、皆で助け合いながら成長していく事を願っている。それでは発表する!」
ランスロットは手に持っていた紙に書かれた騎士達の名を呼び挙げて行く。ロルゾ達が呼ばれたら納得する声も上がり、呼ばれていく名に新人騎士エンドルも含まれていたのは周囲に歓声を起こす事にもなった。
呼ばれた者達以外の騎士達もこの選抜戦で結果を残せなかった事を悔しがる者達が多かったが、誰1人不満を口にする騎士達は存在しなかった。そして、ランスロットはそんな騎士達への感謝を込めてある言葉を告げる。
「今回の選抜戦では惜しくも結果を残せなかった者達も多いだろう。なので、この選抜戦は定期的に行い、そして、実力を高め合ってよりよい騎士団へと成長を促す予定だ。足元を見ていると実力者達に足元を掬われてしまうぞ。皆の強さはこのティクス国の強さにも繋がる。皆のケンベルト国王陛下への忠誠もしっかり見させてもらっている。どうか、今後も皆の力を借りたい」
騎士達はランスロットの優しい言葉に心を打たれている者達も多かったが、自分達がティクス国の力になる、それが何よりも認められた事に感じてより騎士としての誇りに繋がっていたのはランスロットは気付いていない。
選抜戦の片付けは騎士達が自発的に行い、数時間で終わった。役職通知を作っていたローレンスとランスロットはロルゾ達が団長室に来て当たり前の様に手伝いをし始めた事に苦笑を浮かべていた。
「お前達は休んでいいんだぞ」
「これが俺達の休みなんだよ。剣を握るのが本職だが、こうした事務作業もしっかりするのが騎士としても必要だろう」
「ガルドは今回余裕なかったもんな。あのエンドルだっけか、あいつと当たったんだろう? どうだった?」
「私も聞きたいですね。やはり気概が違いましたか?」
「皆さん、話はいいですが手伝うなら素早く手伝って下さい? ランスロット様はこの後陛下に謁見しに行かれるのですから」
ローレンスの言葉に3人は言葉を摘むんでササッと手伝いをしていく。ランスロットはそんな4人に心で感謝して仕事を手早く終わらせに取り掛かった。
団長室から玉座の間に向かったランスロットを見送った4人は選抜戦の事を話し合っていた。ガルドはエンドルの事を話して他の3人に意外な顔をさせたり、ロルゾが風を読んで攻撃に工夫をしていた事を話したり、そんな時間を過ごしていた。
玉座の間に入ったランスロットはケンベルトにしっかり選抜戦の成果を報告する。その場に同席していた大臣達にも好感触の反応を得ていたので、間違いでは無かったとランスロットは心の中で安堵する。
「それでは今後は新体制の騎士団をしっかり率いてくれ。期待しているぞランスロット」
「必ず陛下の為に役立たせてみせます。このティクス国の騎士団として」
頭を上げて退室していくランスロットを見送ったケンベルトは静かに瞳を伏せる。この先このティクス国を襲う出来事は騎士団の存在を揺るがす事もあるだろう、それをランスロットに乗り越えさせるのは信頼しているだけではない。
「俺としても……あいつに任せる事しか出来ない事が歯痒いな……」
「陛下、いつかはランスロット卿の力が必ず必要となります。そう、我が国が神聖国と呼ばれている以上は……」
「俺達が神に愛されている事に驕らなければきっと神々はこの国を守って下さる。その時にランスロットの存在はある意味貴重になるのだろうな……」
ケンベルトの脳裏には若い頃のランスロットの姿があった。そして、自分の国王と言う立場をもってランスロットの事を危険な目に合わす事も考えられる事に苦しさを覚えていた。
騎士団の新体制を率いて行く事をランスロットは不思議と嫌ではなかった。寧ろ自分が考えた事の成果が友人で主であるケンベルトの国作りに力になれる事が嬉しかった。
少なくともランスロットは今1人の人間としてこの生活を送っている。それが未来をどんな形で引き寄せるかはまだ分からない。
ランスロットの足は騎士団の中で神々への祈りを捧げている礼拝堂に向かった。ランスロット自身が神々への祈りを欠かさない事は周知の事実でもあった。
礼拝堂に入ったランスロットは中央にまで足を進めて片膝を地面に着いて胸に手を添えて、1人静かに祈りを捧げる。今回の成功も神々の導きがあったからだと感謝を示す祈りを。
「……」
『神々の声を聞きし者よ……』
「っ、これ、は……」
『我々は貴方に加護を与えます……そして、貴方の望む希望を与えます……』
「俺の希望……」
『近い内に運命が動きます……そして、その運命に打ち勝って下さい……その先に貴方の希望が見えます』
脳裏に直接聞こえてくる声にランスロットは真剣に聞き入る。これが神託だと理解はしているし、初めての神託ではなかった。
声が聞こえなくなるとランスロットは今一度深い祈りを捧げて立ち上がり礼拝堂を後にする。運命が動く、それは自分の願いに絡んだ運命だろうとランスロットは目星を付ける。
「俺は聖騎士団長ランスロット……人々の希望になって、このティクス国の剣として戦うまでだ」
強い言葉に隠された強い覚悟。そして、同時にランスロットの未来が動く。
この先にある運命の戦いをランスロットは勝ち抜く事が必要だ。そして、その先に自分の希望になる存在との出逢いがある。
それがランスロットの心に強い希望となって火を灯し、そして運命に抗う為の力になっていく。諦めない、それが人間の魂の力だとするのであればランスロットの力とは――――。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる