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3章
22話「触れてしまえば絡まる糸の締め付け」
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アレスはエルンシア家の屋敷にて生活を送る様になってから色々と自分なりに勉強をする事に時間を割いていた。今のままでは兄であるランスロットの重荷にしかならないと危惧していた事態を引き起こし兼ねない事に気付いたからだ。
騎士としての仕事がない休日の朝からアレスは自室で1人黙々と本を読破していた。本には貴族としての振る舞いから、貴族としての最低限とも言われている知識について書かれている指南書。
執事の男性にお願いして取り寄せてもらい、兄のランスロットが仕事でいない時に独自にこうして勉強をしている。勿論騎士としての仕事がある平日などには騎士としての鍛錬に重きを置いているのでバランスは微妙に取れてはいないが。
「……」
「アレスお嬢様、お食事のお時間でございます」
「あ、はい。すぐに行きます」
「今日も朝からお勉強でございますか?」
「はい。兄さんの恥にならない程度の振る舞いは身に着けておかないと私の行動1つで兄さんの、しいてはこのエルンシア家の顔に泥を塗る事になりますから」
「お勉強を頑張られるのは大事ではございますが、そろそろ社交界への意識を高める事もお考え下さいね」
「……そうですね」
老女のメイドに言われてアレスは落ち込む。先日兄のランスロットが出た社交界を思い出してしまったのである。
自分もあの煌びやかな場にエルンシア家の娘として出なくてはならない。それも兄の妹という立場で。
ズキッと痛む心と胸に気付かない振りをしてアレスは椅子から立ち上がり食事を食べに部屋を出て行く。食堂で用意されていたのはアレスの大好きなアップルケーキをデザートにした少し豪華な食事。
「今日は豪華ですね」
「あ、アレス様はお聞きじゃないんですか?」
「えっ?」
「本日、ランスロット様とあるご令嬢が会食をされるのですよ。なんでも家柄のいいご令嬢であるらしく。それでコックが気を早めてお祝いの食事にしたのですよ」
「……そう、だったんですね……」
「こら、アレスお嬢様に何を話している。朝にも言いましたよね? 今回の会食は団長として騎士団の支援を名目に組まれているものであると。ランスロット様はまだご結婚はお考えではありませんよ」
「騎士団の支援……あ、一昨日ガルド様が仰っていた会食……?」
「そうですね。ご安心下さいアレスお嬢様。ランスロット様は決してアレスお嬢様の事を哀しませる事はなされないお方ですから」
執事の男性からそう言われて幾分か落ち着きを取り戻したアレスは静かに食事を済ませていく。食後のアップルケーキを紅茶と一緒に味わっている時、アレスは執事の男性に視線を向けて何かを聞きたそうにしているが言葉には出来ないでいる。
執事の男性がそんなアレスに柔らかな微笑みを浮かべて紅茶のカップに一匙のハチミツを入れてあげながら質問する。アレスはその質問の正確さに顔を染めてしまうが。
「アレス様はお勉強でお困り事がありますか?」
「あ、その……分かりますか?」
「はい。ご拝見していればなんとなくは。私の様な老骨で良ければお話をお伺いさせてもらってもよろしいですかな?」
「じ、実は……」
アレスは本だけの知識では身に付いたか分からない事と、社交界で兄であるランスロットの妹としての振る舞いに関しての不安を打ち明ける。執事の男性はそれを聞いた上で的確な提案をアレスにしてみせる。
アレスはその提案を聞いて少し意外な顔をする。その提案は、貴族の友人を作り、その友人に振る舞いのアドバイスを貰うのはどうだろうか? という提案であった。
「私、そんなに人脈がある訳ではありませんし……貴族の方々と面識もありません。友人と呼べる貴族の方はいませんので……」
「差し支えなければ私の方で選別してご紹介は出来ますよ。ランスロット様の事を置いておいても純粋にアレスお嬢様の友人に相応しい方々を選別は出来ます」
「いいのでしょうか……私は身分としては新人騎士としかないのですが……」
「それでも立派な身分でございますよ。ランスロット様には私から上手くお伝えしておきますので少しお時間を頂戴してもよろしいですかな?」
「はい、よろしくお願いします」
執事の男性の言葉にアレスも安心して頭を下げてお願いする。アレスにとって友人とはアルやリディルとオルベの様に同じ視線を持つ人間の事だけだと思っていたが、貴族の友人ともなると少し、いや高難易度な付き合いが要求される事になるだろうと考えていたからだ。
それでも自力では探す事も、関係を持つ事も出来ないアレスをこのエルンシア家の者達は快く協力を申し出てくれる。アレスにはランスロットと同じ位に頼れる存在の使用人達。
アレスはアップルケーキを食べ終えて自室に戻ってからは着替えをして動きやすい格好になると、支給されている銀剣を腰に下げて屋敷の裏側にある少し開けた庭に出て素振りをし始める。休みの日でもしっかりと基礎を身体に刻む事は騎士としても成長に繋がる、そう信じているからこそ鍛錬は欠かさない。
昼過ぎから始めた素振りを2時間の時間を掛けて行って、それが終わればローレンスと同じ魔術師の先輩から教わった魔法の基礎理論を脳内で組み立てて剣に応用する動作の確認を行う。アレスも魔法を使って後方支援も出来る騎士になりたい、そう先輩に進言して基礎の動作を学んでいたのである。
「ここは……火の力を応用して……えっと……」
「アレスお嬢様、ランスロット様がお帰りになられましたよ」
「あ、すぐに行きます!」
執事の男性が出迎えている背後からバタバタと庭先から屋敷内の正面玄関に走ってきたアレスはランスロットの姿を見て嬉しそうにしながら駆け寄る。ランスロットの方もアレスを見て恰好を確認してから頭をそっと撫でて出迎えを受け入れてくれていた。
「アレスは鍛錬中だったか。どうだ? 分からない所はあるか?」
「その……魔法を剣に乗せる基礎をしていたんですが、火の力の応用がどうしても上手く行かなくて……」
「そうか、それなら俺が見てあげよう。庭先でしていたんだろう?」
「はい、お疲れで申し訳ないんですが見て下さい」
「あとは少し応用の時に使える方法の1つを教えてあげよう」
「いいんですか? ありがとうございます兄さん!」
ランスロットの言葉にアレスは大きく嬉しそうに笑って庭先に一緒に来てくれているランスロットの隣を歩く。ランスロットの前で基礎の魔法剣を実践してそこから何が足りていないのか? 何が引っ掛かりになっているのか? その手解きをランスロットは惜しげもなくアレスに教えて行った。
アレスとの関係も徐々にではあるが変化を見られている。アレスは仕事の時とプライベートの時での接し方はあまり変わりはないが、表情をコロコロとプライベートでは変わるまでにはなっているのが分かる。
ランスロットは時期を見ながらアレスの成長を心から喜び、受け入れていく。そして、そんな兄と妹の時間を過ごす事7年の月日が流れたある日。
「団長、失礼します」
「どうだ? 新人教育は」
「上達が早い子達なので今年の成果はかなりいいかと。それとロルゾ様より伝言です。食堂横に生えている木に子リスが遊びに来るから木の実を用意しているから壊すなと、だとの事です」
「あいつは仕事をしないで何をしているんだ。アレス、ローレンスは見なかったか?」
「ローレンス様は現時刻なら座学の講義を担当されておいでです。終わり次第お呼びしますか?」
「ロゼット様に呼ばれているから戻ったら相談があると伝えておいてくれ」
「分かりました」
アレス20歳、ランスロットは42歳となった頃。アレスは新人騎士ではなくなり今は団長補佐騎士としてランスロットの仕事をサポートする騎士となっていた。
ランスロットは団長としてこの7年間、騎士団を色々な方法で強化や底上げ、そして何より戦力としての成果を上げてきた。結果として隣国のディズ国との緊張感は未だに高まりは見せてないにしろいざって時の要にはなれるまでには騎士団を整えている。
アレスは団長室に備え付けの補佐騎士様の机に持ってきた書類を置いて椅子に座り整理を始める。ランスロットは懐中時計を取り出して立ち上がるとアレスに一声掛ける。
「それじゃ俺は定期報告会議に行ってくる」
「分かりました。急ぎ以外の仕事は終わらせておきます」
「あぁ、頼んだ」
ランスロットを見送りアレスは1人になった団長室の中で小さく息を吐き出す。この7年間の時間で自分は兄と少しずつではあるが関係を築いてきたし、なんなら兄妹だけの関係ではなくなった。
今の補佐騎士になった事で上司と部下であるのは変わらないが、剣や魔法の師としても兄と師弟関係を結んでいる。だが、アレスの中でずっと燻っている気持ちが未だにアレスを苦しめている。
ランスロットを想う心。アレスは13歳の頃に執事の男性に紹介された貴族の娘であるティナという娘と友人になってから貴族としての立ち振る舞いなどをアドバイスしてもらっていた。
ティナは純粋にアレスと友人として付き合ってくれており、なんなら騎士であるアレスを自慢しているとも聞いている程に純粋な娘である。そのティナからたまにある男性への想いを明かされているアレスは少し考えていた。
「私は身分など関係ない、そう言えない立場の人間です。でも……そんなの愛の前では障害にすらならないと思っています。私の想いをあの方にお伝え出来ればどれだけ私は幸せだろうか、そう考えない事もありません。でも、あの方はまだご自身の夢を追い掛けられている途中。私はそれを影から支えたいのです」
「ティナの想いがいつかその人に伝わるといいね。その時は私は応援するよ」
「ありがとうアレス。でも貴女もいつかはこの様な想いに駆られますのよ?」
「私は……」
「今はまだお兄様の事を支えるので心が手一杯でしょうから焦る必要はございません。貴女にもきっと神々のお導きがありますわ」
ゴールドカラーのショートヘアーを太陽に輝かせながら空を見上げているティナの背後に立つアレスは胸の中にある想いを抱き締める。この想いに触れてしまえばきっと自分はどうしようもなく兄への愛を止めれない人間になる事を自覚しているから。
いつの日かこの想いを超える相手と巡り合えるだろうか? そう考えながら友人のティナと共に太陽を見上げていたアレスはこの先に起こる出来事を知る由もなかった――――。
騎士としての仕事がない休日の朝からアレスは自室で1人黙々と本を読破していた。本には貴族としての振る舞いから、貴族としての最低限とも言われている知識について書かれている指南書。
執事の男性にお願いして取り寄せてもらい、兄のランスロットが仕事でいない時に独自にこうして勉強をしている。勿論騎士としての仕事がある平日などには騎士としての鍛錬に重きを置いているのでバランスは微妙に取れてはいないが。
「……」
「アレスお嬢様、お食事のお時間でございます」
「あ、はい。すぐに行きます」
「今日も朝からお勉強でございますか?」
「はい。兄さんの恥にならない程度の振る舞いは身に着けておかないと私の行動1つで兄さんの、しいてはこのエルンシア家の顔に泥を塗る事になりますから」
「お勉強を頑張られるのは大事ではございますが、そろそろ社交界への意識を高める事もお考え下さいね」
「……そうですね」
老女のメイドに言われてアレスは落ち込む。先日兄のランスロットが出た社交界を思い出してしまったのである。
自分もあの煌びやかな場にエルンシア家の娘として出なくてはならない。それも兄の妹という立場で。
ズキッと痛む心と胸に気付かない振りをしてアレスは椅子から立ち上がり食事を食べに部屋を出て行く。食堂で用意されていたのはアレスの大好きなアップルケーキをデザートにした少し豪華な食事。
「今日は豪華ですね」
「あ、アレス様はお聞きじゃないんですか?」
「えっ?」
「本日、ランスロット様とあるご令嬢が会食をされるのですよ。なんでも家柄のいいご令嬢であるらしく。それでコックが気を早めてお祝いの食事にしたのですよ」
「……そう、だったんですね……」
「こら、アレスお嬢様に何を話している。朝にも言いましたよね? 今回の会食は団長として騎士団の支援を名目に組まれているものであると。ランスロット様はまだご結婚はお考えではありませんよ」
「騎士団の支援……あ、一昨日ガルド様が仰っていた会食……?」
「そうですね。ご安心下さいアレスお嬢様。ランスロット様は決してアレスお嬢様の事を哀しませる事はなされないお方ですから」
執事の男性からそう言われて幾分か落ち着きを取り戻したアレスは静かに食事を済ませていく。食後のアップルケーキを紅茶と一緒に味わっている時、アレスは執事の男性に視線を向けて何かを聞きたそうにしているが言葉には出来ないでいる。
執事の男性がそんなアレスに柔らかな微笑みを浮かべて紅茶のカップに一匙のハチミツを入れてあげながら質問する。アレスはその質問の正確さに顔を染めてしまうが。
「アレス様はお勉強でお困り事がありますか?」
「あ、その……分かりますか?」
「はい。ご拝見していればなんとなくは。私の様な老骨で良ければお話をお伺いさせてもらってもよろしいですかな?」
「じ、実は……」
アレスは本だけの知識では身に付いたか分からない事と、社交界で兄であるランスロットの妹としての振る舞いに関しての不安を打ち明ける。執事の男性はそれを聞いた上で的確な提案をアレスにしてみせる。
アレスはその提案を聞いて少し意外な顔をする。その提案は、貴族の友人を作り、その友人に振る舞いのアドバイスを貰うのはどうだろうか? という提案であった。
「私、そんなに人脈がある訳ではありませんし……貴族の方々と面識もありません。友人と呼べる貴族の方はいませんので……」
「差し支えなければ私の方で選別してご紹介は出来ますよ。ランスロット様の事を置いておいても純粋にアレスお嬢様の友人に相応しい方々を選別は出来ます」
「いいのでしょうか……私は身分としては新人騎士としかないのですが……」
「それでも立派な身分でございますよ。ランスロット様には私から上手くお伝えしておきますので少しお時間を頂戴してもよろしいですかな?」
「はい、よろしくお願いします」
執事の男性の言葉にアレスも安心して頭を下げてお願いする。アレスにとって友人とはアルやリディルとオルベの様に同じ視線を持つ人間の事だけだと思っていたが、貴族の友人ともなると少し、いや高難易度な付き合いが要求される事になるだろうと考えていたからだ。
それでも自力では探す事も、関係を持つ事も出来ないアレスをこのエルンシア家の者達は快く協力を申し出てくれる。アレスにはランスロットと同じ位に頼れる存在の使用人達。
アレスはアップルケーキを食べ終えて自室に戻ってからは着替えをして動きやすい格好になると、支給されている銀剣を腰に下げて屋敷の裏側にある少し開けた庭に出て素振りをし始める。休みの日でもしっかりと基礎を身体に刻む事は騎士としても成長に繋がる、そう信じているからこそ鍛錬は欠かさない。
昼過ぎから始めた素振りを2時間の時間を掛けて行って、それが終わればローレンスと同じ魔術師の先輩から教わった魔法の基礎理論を脳内で組み立てて剣に応用する動作の確認を行う。アレスも魔法を使って後方支援も出来る騎士になりたい、そう先輩に進言して基礎の動作を学んでいたのである。
「ここは……火の力を応用して……えっと……」
「アレスお嬢様、ランスロット様がお帰りになられましたよ」
「あ、すぐに行きます!」
執事の男性が出迎えている背後からバタバタと庭先から屋敷内の正面玄関に走ってきたアレスはランスロットの姿を見て嬉しそうにしながら駆け寄る。ランスロットの方もアレスを見て恰好を確認してから頭をそっと撫でて出迎えを受け入れてくれていた。
「アレスは鍛錬中だったか。どうだ? 分からない所はあるか?」
「その……魔法を剣に乗せる基礎をしていたんですが、火の力の応用がどうしても上手く行かなくて……」
「そうか、それなら俺が見てあげよう。庭先でしていたんだろう?」
「はい、お疲れで申し訳ないんですが見て下さい」
「あとは少し応用の時に使える方法の1つを教えてあげよう」
「いいんですか? ありがとうございます兄さん!」
ランスロットの言葉にアレスは大きく嬉しそうに笑って庭先に一緒に来てくれているランスロットの隣を歩く。ランスロットの前で基礎の魔法剣を実践してそこから何が足りていないのか? 何が引っ掛かりになっているのか? その手解きをランスロットは惜しげもなくアレスに教えて行った。
アレスとの関係も徐々にではあるが変化を見られている。アレスは仕事の時とプライベートの時での接し方はあまり変わりはないが、表情をコロコロとプライベートでは変わるまでにはなっているのが分かる。
ランスロットは時期を見ながらアレスの成長を心から喜び、受け入れていく。そして、そんな兄と妹の時間を過ごす事7年の月日が流れたある日。
「団長、失礼します」
「どうだ? 新人教育は」
「上達が早い子達なので今年の成果はかなりいいかと。それとロルゾ様より伝言です。食堂横に生えている木に子リスが遊びに来るから木の実を用意しているから壊すなと、だとの事です」
「あいつは仕事をしないで何をしているんだ。アレス、ローレンスは見なかったか?」
「ローレンス様は現時刻なら座学の講義を担当されておいでです。終わり次第お呼びしますか?」
「ロゼット様に呼ばれているから戻ったら相談があると伝えておいてくれ」
「分かりました」
アレス20歳、ランスロットは42歳となった頃。アレスは新人騎士ではなくなり今は団長補佐騎士としてランスロットの仕事をサポートする騎士となっていた。
ランスロットは団長としてこの7年間、騎士団を色々な方法で強化や底上げ、そして何より戦力としての成果を上げてきた。結果として隣国のディズ国との緊張感は未だに高まりは見せてないにしろいざって時の要にはなれるまでには騎士団を整えている。
アレスは団長室に備え付けの補佐騎士様の机に持ってきた書類を置いて椅子に座り整理を始める。ランスロットは懐中時計を取り出して立ち上がるとアレスに一声掛ける。
「それじゃ俺は定期報告会議に行ってくる」
「分かりました。急ぎ以外の仕事は終わらせておきます」
「あぁ、頼んだ」
ランスロットを見送りアレスは1人になった団長室の中で小さく息を吐き出す。この7年間の時間で自分は兄と少しずつではあるが関係を築いてきたし、なんなら兄妹だけの関係ではなくなった。
今の補佐騎士になった事で上司と部下であるのは変わらないが、剣や魔法の師としても兄と師弟関係を結んでいる。だが、アレスの中でずっと燻っている気持ちが未だにアレスを苦しめている。
ランスロットを想う心。アレスは13歳の頃に執事の男性に紹介された貴族の娘であるティナという娘と友人になってから貴族としての立ち振る舞いなどをアドバイスしてもらっていた。
ティナは純粋にアレスと友人として付き合ってくれており、なんなら騎士であるアレスを自慢しているとも聞いている程に純粋な娘である。そのティナからたまにある男性への想いを明かされているアレスは少し考えていた。
「私は身分など関係ない、そう言えない立場の人間です。でも……そんなの愛の前では障害にすらならないと思っています。私の想いをあの方にお伝え出来ればどれだけ私は幸せだろうか、そう考えない事もありません。でも、あの方はまだご自身の夢を追い掛けられている途中。私はそれを影から支えたいのです」
「ティナの想いがいつかその人に伝わるといいね。その時は私は応援するよ」
「ありがとうアレス。でも貴女もいつかはこの様な想いに駆られますのよ?」
「私は……」
「今はまだお兄様の事を支えるので心が手一杯でしょうから焦る必要はございません。貴女にもきっと神々のお導きがありますわ」
ゴールドカラーのショートヘアーを太陽に輝かせながら空を見上げているティナの背後に立つアレスは胸の中にある想いを抱き締める。この想いに触れてしまえばきっと自分はどうしようもなく兄への愛を止めれない人間になる事を自覚しているから。
いつの日かこの想いを超える相手と巡り合えるだろうか? そう考えながら友人のティナと共に太陽を見上げていたアレスはこの先に起こる出来事を知る由もなかった――――。
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