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5章
35話「過去の戦争で起きた出来事と残る遺恨」
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エドゥル国の女王、李麗の前でアレスの受けた神託をランスロットは包み隠さずに話していく。隣のアレスは不安から俯いてしまうけれども李麗はそれを咎める事もせずに、ランスロットの話を黙って最後まで聞いてくれていた。
そして、ランスロットの話が終わり最後まで聞いていた李麗はその細い腕を組んで少し考える。なにやら李麗に考えというか心当たりのある様な仕草にランスロットもアレスも不安から言葉を出せない。
「その言葉を託してきた者の姿は光に包まれていた……で間違いないのですね?」
「は、はい。顔も外見も分かりはしませんでした」
「ふむ、やはりあの書物の中身と同じ……。相分かりました。ランスロット卿、アレス嬢、少し私と共に来てもらいたい場所がございます。お時間はよろしいですか?」
「大丈夫です。行けます」
「私も大丈夫でございます」
「ならば参りましょう。これから赴く場所はティクスとこのエドゥルの間で交わされた、ある話を纏めた書庫です」
「書庫?」
「ティクス国とエドゥル国の間で交わされた話?」
ランスロットもアレスも李麗と共に王の間から離れてエドゥル国の所蔵している書庫に向かう。そこに向かう途中で李麗が歩くとフワリと優し気な香りがするのをアレスは感じる。
書庫のある場所の通路を歩いていると、李麗から香る優しい香りが空気に広がっている場所に出たのにアレスは気付いた。周囲を見渡すと中庭の様な場所で香りはその中庭の花壇からしているのが分かる。
「……?」
「どうしたアレス」
「ふふっ、あの華の香りが気になりますか?」
「あ、すみません。李麗様の香りと同じだったのでつい気になってしまって……。あのお華、このエドゥル国の国華ですか?」
「そうですね、貴重な華ではあります。昔はこのエドゥルだけではなくティクスにも咲いていたのですけれどね……」
李麗が少し寂し気な表情を浮かべて華が咲く花壇を見つめている。その横顔にアレスは不思議と胸が締め付けられる感じがして心が騒いだのを感じてはいた。
ランスロットは花壇の華を見て少し違和感を感じていた。その華はまるで何年も何十年もこの花壇の中で咲き続けている感じがしたからである。
李麗の細い腕が持ち上がり、花壇の横にいる世話をしている家臣を呼ぶ。その家臣は李麗に呼ばれて駆け寄ってきて頭を下げてランスロット達に礼儀を尽くす。
「呂柴(ろぜ)、あの花壇の華を1輪もろうてもよいか?」
「はい、少々お待ち下さい。すぐにお持ち致します」
「すまぬな。アレス嬢に差し上げよう。あの華は今の貴女には必要かもしれないからね」
「そ、そんな貴重なお華を貰ってもよろしいのですか?! だって国華なのに」
「アレス、あの華はティクスでは神華と呼ばれている魔を払う華でもある。貰っておきなさい。李麗女王、もしかしてアレスは……」
「恐らくランスロット卿の考えている通りかと思いますよ。だからこそ、貴方達は知らないといけません。この世界で起こっていた過去の出来事を」
李麗はそう告げて呂柴が持ってきた華をアレスに差し出す。アレスは少し困惑しながらも華を受け取り大事そうに胸元で華を持っておく。
書庫に入った3人はまず書庫の内部に設置されている椅子に腰掛けて、書庫の管理をしている家臣に李麗がある本を持ってくる様に伝える。その本を家臣が持ってくると机に隣接して置かれている机の上に広げて3人が読みやすい様にすると家臣は一礼して下がった。
「この本はティクスとエドゥル国、そしてディズ国の3国がある大国との戦争をする際に結んだ同盟の内容を残した本になります。ここに書かれている内容を一度御覧なさい」
「それでは失礼して読ませてもらいます。アレスもこっちで読めるか?」
「うん、えっと……」
アレスがランスロット横に移動して本の中身を読んでいく。ランスロットの視線が本のある一部分に差し掛かった時に止まって、同じ場所を何回でも読み直していた。
それはアレスも同じなのか同じポイントで視線が止まる。本に書かれていた同盟の内容は次の様に残されている。
・同盟に至って3国に聖なる武器の管理を負うものとする。
・同盟解消後も聖なる武器の使用は控える事
・再度この脅威になる者と戦う際には同盟を組む事。
・聖なる武器の使い手と守護者は国々で定める者でなくてはならない。
この様に書かれていた。この内容に一番に気になるのは聖なる武器を3国で管理している事になる。
ランスロットの情報では確かにティクスには聖なる武器が存在はしていた。だが、現在確認されている聖なる武器は5つの内の3つであり、その中で保管がされているのが確認されているのは1つだけ。
他の2つはある事件を機に存在が分からない状態になっているのである。その内の1つである「アルボリス」はランスロットとアレスの生家であるエルンシア家が代々保管し守護したが、こちらもまたある事件を機に行方が分からなくなっている。
「これは今でも有効なのですか? 聖なる武器を3国が保管し管理しているは私も知っている部分もありますが、守られているとは到底思えない状態でございますが……」
「形だけならばまだ有効です。ですが、蓋を開ければ中身はもぬけの殻状態。ですが、そこはいいのです。お2人が知らないといけないのはこの3国が何故”同盟を組んだ”か? の事実です」
「ディズ国、ティクス国、エドゥル国……今は色々と外交問題もあって国交は弱いですけれど、過去では同盟を組むまでの関係であった……では違うのですか?」
「いや……脅威になる者と戦う際にはと書かれている。過去に何かあったのは確かな筈だ」
ランスロットの右手が次の紙を捲る、それをアレスも視線を落として確認するが李麗はそこで静かに瞳を伏せた。過去に起こった戦争は語るのは容易い。
でも、それだけの事実を知らないで語られた言葉だけを知るのは危ういと李麗は考えたのである。そして、2人はこの先に待つだろう試練を乗り越える為に苦難の選択肢を選び続けなくてはいけない事になる事も。
「お2人はティクスとエドゥルが何故国交を断絶したかご存知かえ?」
「それは……兄さん……」
「正式に両国の考えがすれ違いを起こし、最悪の結果を生む事を危惧して距離を置いたと私はケンベルト国王からお伺いしております。その最悪の結果とは即ち……戦争」
「……表向きはな」
「えっ……」
「それはどういう……」
李麗は自分の中にある真実を話し始める。それは2国の間で交わされたある約束が果たされる為の真実。
「ティクス国先代の王と私は懇意にしていたのは知っているな? その王同士の……婚姻が条件であったのだ。この2国の断絶は」
「それって……えっ、どういう……」
「ケンベルト陛下のお父上と李麗女王の結婚が条件で、このティクスとエドゥルは国交を断絶したって事になる。だが、それはあまりにも影響が……」
「そう、出るだろうと予想はされていた。だが、それしか方法が無かった。ディズ国がよもやディズ国が保管しているアキュートスを使って禁術とされている魔法を会得して、私達に戦争を仕掛けようとしていたのを止めるには2国の影での同盟が必要だったのだ」
真実は酷く残酷でもあるとランスロットの右手が震える。確かに、ケンベルトから先代の王である父親が急に国を捨てて何処かに行ってしまったとは聞いていた。
だが、それは国同士の同盟の為に自分を餌にして同盟を組み、ディズ国への牽制も兼ねて国を捨てたのであればケンベルトがそれを知ればとランスロットの心は震える。アレスもまた事の重大さに気付き顔を蒼白にしていた。
李麗の耳に家臣の声が届く。どうやらケンベルトの父親で現李麗の夫が来たらしい。
「君達がケンベルトの騎士団の団長兄妹か。初めてお目に掛かる。元ティクス国王のルーディルだ。今はエドゥル国王として李麗の補佐をしている」
「初めまして、ティクス国聖騎士団長を努めますランスロット・エルンシアです。こちらは妹のアレスと申します。ルーディル様、この事はケンベルト陛下はご存知で……?」
「知らぬだろう。恐らく国内で知っている者はおるまい……。私はディズ国から当時のティクスを守る為に国を捨てて逃げた弱き王として刻まれている筈だからな。もはや覚えている者も少ないだろう」
「ランスロット卿、アレス嬢、お願いがあるのです。これはティクスとディズ、エドゥルが同盟国だったからこそ止めなくてはならない事でもある」
李麗はアレスの受けた神託については心当たりがあると告げて、条件としてランスロットとアレスにティクスとエドゥルの国交回復の橋渡しを頼んできた。それはランスロットやアレスには願って止まない条件でもある。
ルーディルと李麗に頼まれた事を纏める時間を欲しい、そうランスロットは返事をしてからアレスと共に2人の前から辞する。アレスと2人で家に戻る途中でアレスはランスロットの顔をチラッと見てみた。
真剣な横顔、そして、何かを考えている時の瞳を見てアレスは思う。自分もこの人の役に立てる存在でありたい、と。
「アレス」
「はい」
「これは兄としてでも、男のランスロットの言葉ではない。聖騎士団長ランスロットの言葉として聞いてほしい」
「分かりました。なんでしょうか」
「……ティクス国にすぐに戻り、この事をケンベルト陛下にお伝えしろ」
「……団長は?」
「俺はもう少しこの国に残り、国交修復の準備に取り掛かる。俺達が上手く事を進めなくては両国はすれ違いで誤った道に進むかも知れない。それだけは避けねばならないからな」
「……」
「アレス?」
「ならこれは私は騎士としてのアレスではなく、妹としてのアレスとして進言します。……離れたくない……嫌な予感がして……」
「嫌な……予感?」
「胸騒ぎがずっとしている……近くまで何かが来ている、そう感じている……私、こんな感覚前にもあったから間違いないと思うっ」
アレスが震える身体をなんとか諫めているとランスロットの腕がアレスを包み込んだ。そして、その2人は家に着いてからは会話をするでもなくただ寄り添ってアレスの不安を薄めようとするランスロットの温もりだけがアレスを救い続けている状態になっていた。
だが、アレスはこの感じをかなり前ではあるが一度感じている。だから、間違いではないと断言出来ていた。このまま離れたらきっと2度と逢えない……その確信がアレスにはあったがランスロットの前でそれは言えなかった――――。
そして、ランスロットの話が終わり最後まで聞いていた李麗はその細い腕を組んで少し考える。なにやら李麗に考えというか心当たりのある様な仕草にランスロットもアレスも不安から言葉を出せない。
「その言葉を託してきた者の姿は光に包まれていた……で間違いないのですね?」
「は、はい。顔も外見も分かりはしませんでした」
「ふむ、やはりあの書物の中身と同じ……。相分かりました。ランスロット卿、アレス嬢、少し私と共に来てもらいたい場所がございます。お時間はよろしいですか?」
「大丈夫です。行けます」
「私も大丈夫でございます」
「ならば参りましょう。これから赴く場所はティクスとこのエドゥルの間で交わされた、ある話を纏めた書庫です」
「書庫?」
「ティクス国とエドゥル国の間で交わされた話?」
ランスロットもアレスも李麗と共に王の間から離れてエドゥル国の所蔵している書庫に向かう。そこに向かう途中で李麗が歩くとフワリと優し気な香りがするのをアレスは感じる。
書庫のある場所の通路を歩いていると、李麗から香る優しい香りが空気に広がっている場所に出たのにアレスは気付いた。周囲を見渡すと中庭の様な場所で香りはその中庭の花壇からしているのが分かる。
「……?」
「どうしたアレス」
「ふふっ、あの華の香りが気になりますか?」
「あ、すみません。李麗様の香りと同じだったのでつい気になってしまって……。あのお華、このエドゥル国の国華ですか?」
「そうですね、貴重な華ではあります。昔はこのエドゥルだけではなくティクスにも咲いていたのですけれどね……」
李麗が少し寂し気な表情を浮かべて華が咲く花壇を見つめている。その横顔にアレスは不思議と胸が締め付けられる感じがして心が騒いだのを感じてはいた。
ランスロットは花壇の華を見て少し違和感を感じていた。その華はまるで何年も何十年もこの花壇の中で咲き続けている感じがしたからである。
李麗の細い腕が持ち上がり、花壇の横にいる世話をしている家臣を呼ぶ。その家臣は李麗に呼ばれて駆け寄ってきて頭を下げてランスロット達に礼儀を尽くす。
「呂柴(ろぜ)、あの花壇の華を1輪もろうてもよいか?」
「はい、少々お待ち下さい。すぐにお持ち致します」
「すまぬな。アレス嬢に差し上げよう。あの華は今の貴女には必要かもしれないからね」
「そ、そんな貴重なお華を貰ってもよろしいのですか?! だって国華なのに」
「アレス、あの華はティクスでは神華と呼ばれている魔を払う華でもある。貰っておきなさい。李麗女王、もしかしてアレスは……」
「恐らくランスロット卿の考えている通りかと思いますよ。だからこそ、貴方達は知らないといけません。この世界で起こっていた過去の出来事を」
李麗はそう告げて呂柴が持ってきた華をアレスに差し出す。アレスは少し困惑しながらも華を受け取り大事そうに胸元で華を持っておく。
書庫に入った3人はまず書庫の内部に設置されている椅子に腰掛けて、書庫の管理をしている家臣に李麗がある本を持ってくる様に伝える。その本を家臣が持ってくると机に隣接して置かれている机の上に広げて3人が読みやすい様にすると家臣は一礼して下がった。
「この本はティクスとエドゥル国、そしてディズ国の3国がある大国との戦争をする際に結んだ同盟の内容を残した本になります。ここに書かれている内容を一度御覧なさい」
「それでは失礼して読ませてもらいます。アレスもこっちで読めるか?」
「うん、えっと……」
アレスがランスロット横に移動して本の中身を読んでいく。ランスロットの視線が本のある一部分に差し掛かった時に止まって、同じ場所を何回でも読み直していた。
それはアレスも同じなのか同じポイントで視線が止まる。本に書かれていた同盟の内容は次の様に残されている。
・同盟に至って3国に聖なる武器の管理を負うものとする。
・同盟解消後も聖なる武器の使用は控える事
・再度この脅威になる者と戦う際には同盟を組む事。
・聖なる武器の使い手と守護者は国々で定める者でなくてはならない。
この様に書かれていた。この内容に一番に気になるのは聖なる武器を3国で管理している事になる。
ランスロットの情報では確かにティクスには聖なる武器が存在はしていた。だが、現在確認されている聖なる武器は5つの内の3つであり、その中で保管がされているのが確認されているのは1つだけ。
他の2つはある事件を機に存在が分からない状態になっているのである。その内の1つである「アルボリス」はランスロットとアレスの生家であるエルンシア家が代々保管し守護したが、こちらもまたある事件を機に行方が分からなくなっている。
「これは今でも有効なのですか? 聖なる武器を3国が保管し管理しているは私も知っている部分もありますが、守られているとは到底思えない状態でございますが……」
「形だけならばまだ有効です。ですが、蓋を開ければ中身はもぬけの殻状態。ですが、そこはいいのです。お2人が知らないといけないのはこの3国が何故”同盟を組んだ”か? の事実です」
「ディズ国、ティクス国、エドゥル国……今は色々と外交問題もあって国交は弱いですけれど、過去では同盟を組むまでの関係であった……では違うのですか?」
「いや……脅威になる者と戦う際にはと書かれている。過去に何かあったのは確かな筈だ」
ランスロットの右手が次の紙を捲る、それをアレスも視線を落として確認するが李麗はそこで静かに瞳を伏せた。過去に起こった戦争は語るのは容易い。
でも、それだけの事実を知らないで語られた言葉だけを知るのは危ういと李麗は考えたのである。そして、2人はこの先に待つだろう試練を乗り越える為に苦難の選択肢を選び続けなくてはいけない事になる事も。
「お2人はティクスとエドゥルが何故国交を断絶したかご存知かえ?」
「それは……兄さん……」
「正式に両国の考えがすれ違いを起こし、最悪の結果を生む事を危惧して距離を置いたと私はケンベルト国王からお伺いしております。その最悪の結果とは即ち……戦争」
「……表向きはな」
「えっ……」
「それはどういう……」
李麗は自分の中にある真実を話し始める。それは2国の間で交わされたある約束が果たされる為の真実。
「ティクス国先代の王と私は懇意にしていたのは知っているな? その王同士の……婚姻が条件であったのだ。この2国の断絶は」
「それって……えっ、どういう……」
「ケンベルト陛下のお父上と李麗女王の結婚が条件で、このティクスとエドゥルは国交を断絶したって事になる。だが、それはあまりにも影響が……」
「そう、出るだろうと予想はされていた。だが、それしか方法が無かった。ディズ国がよもやディズ国が保管しているアキュートスを使って禁術とされている魔法を会得して、私達に戦争を仕掛けようとしていたのを止めるには2国の影での同盟が必要だったのだ」
真実は酷く残酷でもあるとランスロットの右手が震える。確かに、ケンベルトから先代の王である父親が急に国を捨てて何処かに行ってしまったとは聞いていた。
だが、それは国同士の同盟の為に自分を餌にして同盟を組み、ディズ国への牽制も兼ねて国を捨てたのであればケンベルトがそれを知ればとランスロットの心は震える。アレスもまた事の重大さに気付き顔を蒼白にしていた。
李麗の耳に家臣の声が届く。どうやらケンベルトの父親で現李麗の夫が来たらしい。
「君達がケンベルトの騎士団の団長兄妹か。初めてお目に掛かる。元ティクス国王のルーディルだ。今はエドゥル国王として李麗の補佐をしている」
「初めまして、ティクス国聖騎士団長を努めますランスロット・エルンシアです。こちらは妹のアレスと申します。ルーディル様、この事はケンベルト陛下はご存知で……?」
「知らぬだろう。恐らく国内で知っている者はおるまい……。私はディズ国から当時のティクスを守る為に国を捨てて逃げた弱き王として刻まれている筈だからな。もはや覚えている者も少ないだろう」
「ランスロット卿、アレス嬢、お願いがあるのです。これはティクスとディズ、エドゥルが同盟国だったからこそ止めなくてはならない事でもある」
李麗はアレスの受けた神託については心当たりがあると告げて、条件としてランスロットとアレスにティクスとエドゥルの国交回復の橋渡しを頼んできた。それはランスロットやアレスには願って止まない条件でもある。
ルーディルと李麗に頼まれた事を纏める時間を欲しい、そうランスロットは返事をしてからアレスと共に2人の前から辞する。アレスと2人で家に戻る途中でアレスはランスロットの顔をチラッと見てみた。
真剣な横顔、そして、何かを考えている時の瞳を見てアレスは思う。自分もこの人の役に立てる存在でありたい、と。
「アレス」
「はい」
「これは兄としてでも、男のランスロットの言葉ではない。聖騎士団長ランスロットの言葉として聞いてほしい」
「分かりました。なんでしょうか」
「……ティクス国にすぐに戻り、この事をケンベルト陛下にお伝えしろ」
「……団長は?」
「俺はもう少しこの国に残り、国交修復の準備に取り掛かる。俺達が上手く事を進めなくては両国はすれ違いで誤った道に進むかも知れない。それだけは避けねばならないからな」
「……」
「アレス?」
「ならこれは私は騎士としてのアレスではなく、妹としてのアレスとして進言します。……離れたくない……嫌な予感がして……」
「嫌な……予感?」
「胸騒ぎがずっとしている……近くまで何かが来ている、そう感じている……私、こんな感覚前にもあったから間違いないと思うっ」
アレスが震える身体をなんとか諫めているとランスロットの腕がアレスを包み込んだ。そして、その2人は家に着いてからは会話をするでもなくただ寄り添ってアレスの不安を薄めようとするランスロットの温もりだけがアレスを救い続けている状態になっていた。
だが、アレスはこの感じをかなり前ではあるが一度感じている。だから、間違いではないと断言出来ていた。このまま離れたらきっと2度と逢えない……その確信がアレスにはあったがランスロットの前でそれは言えなかった――――。
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