私の恋人は異母兄で聖騎士団団長の凄い人

影葉 柚希

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13章(ラスト)

101話「ティクス国の平穏」

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 国王ロックが数年の時間を掛けて、同盟国や近隣諸国に留学する事が発表されてからも国は比較的に穏やかな時間を過ごしている状態が続いていた。それは国王の治政がしっかりと出来ている事を証明されていると言ってもいい事であった。
 ロックは手始めにエドゥル国へと留学に出て行ったのをロゼットとランスロットは見送ったが、2人は国王不在の間の政治や防衛に関しての問題点を炙り出す事に取り掛かった。政治に関してはガーベルや他の大臣達が人材的に優秀な事もあって、政治の面ではある程度問題点の炙り出しは少なくて済むだろうと思われるが、防衛に関してはランスロットは少しある事を考えていた。
「それでは副団長を選出する、という事ですかな?」
「あぁ、その副団長の育成にも俺は関わって行こうと思っている。ローレンスは既に副団長候補には心当たりがあるのだろう?」
「えぇ、既に本人に伝えてもいいかと思いますが?」
「カセルも軍師騎士として実力はあるのだが、幾分人当たりが少し個性的な事もあって上手く橋渡しをする事を考えると、ハルウッドが妥当なんだが本人が受けてくれればいいんだがな」
「そこは大丈夫かと思います。ハルウッドが自分の実力を把握しているのであれば、素直に引き受けてはくれるかと思いますよ」
 ローレンスとランスロットはそんな風に話しているが、ローレンスとランスロットはハルウッドが家庭を持ったかrわこそ、引き受けてくれると思っている部分がある。実際、今の親衛騎士のままでいいとはランスロット達は考えていないのである。
 家庭を持つという事は家族を養うって意味でも昇進は望まないといけない事である。そして、それは同時にハルウッドの能力を正当に評価をする事も必要だという事。
 ランスロットはそんな仲間達の能力をそろそろ正当に評価する事も考えて、仕事の合間にロゼットと共に昇進についての振り分けを考えていく作業をしていた。そして、今回のロックの留学に同行している騎士達にもその知らせが行く様にと手配はしていた。
「ガルドとロルゾには給料を底上げして、ローレンスは元々希望していた書庫の管理を任せて……」
「ランスロット、お茶を持ってきたよ」
「あぁ、ありがとうアレス。夕食はどうだった?」
「うん、今日は食べ終えれたよ。最近イシュタルとパーシヴァルも大人しく寝てくれているから、食事もしっかり食べれる様になってきたかな」
「今日は帰りが遅くなってすまない。昇進の振り分けを考えていたら遅くなってしまっていた」
「ううん、気にしないで? あ、ガルド様とロルゾ様の昇給はないの?」
「本人達の至っての希望で昇進より給料を上げてくれとの申告があったからな。多分給料を上げてやる必要もあったんだろうが、最近までバタバタしていたから中々昇給の話も出来なかった」
 ランスロットの手元を覗き込んできたアレスに苦笑を浮かべているランスロットは、静かに資料をまとめて机の上に置くとアレスが持ってきてくれた紅茶を飲み始める。アレスがそんなランスロットが仕事を屋敷に持ち帰ってきたのは驚きはなかった。
 本来なら仕事を持ち帰り屋敷で行う事だってある筈の団長であるランスロットは、アレスが屋敷で共に暮らし始めてから一度も持ち帰った事は無かった。だが、今回は昇進や昇給についての振り分けなどの仕事は落ち着いてやりたいなと考えたのだろう、持ち帰ってこうして作業をしているのがいい証拠だ。
「ねぇ、ランスロットはどうして屋敷で仕事をしないの?」
「アレスやお婆様に迷惑を掛けたいと思っている訳でもないし、屋敷では団長の顔をしたくないんだよ。アレスの男としての顔として過ごしていたいんだ」
「……ありがとうランスロット。いつも私達を一番に考えてくれて」
「いや、普段からもっとアレスやお婆様の為に気を使えればいいんだけれどな。もっと育児にも力を入れて行きたい」
「本当にランスロットは素敵なお父さんになって嬉しいなぁ」
 アレスの言葉にランスロットはキョトンとする。自分の中で素敵な父親だと認識していないのもあってキョトンとしてしまったのだが。
 そんなランスロットにアレスは首を傾げて見つめていると、そっとランスロットの頬に手を添えて優しく触れる。アレスにとってパートナーのランスロットのイクメンっぷりは自慢の出来るパートナーであると思っている。
「俺は父親として素敵か?」
「うん。団長としての仕事も忙しいのに育児の為に休みの時間さえも使ってくれるなんて、素敵なお父さんだと思うよ? それに、育児だって私1人に任さないのも私に負担が行かない為にでしょ?」
「そうだが、アレス1人に任せるのは無責任だと思っている。父親でありパートナーでもある俺が関わらせてくれているアレスの心の広さには感謝しているんだ」
「ふふっ、私はランスロットの血を引く子供を産めただけでも私は嬉しいんだから。あの子達の為なら多少の無理だって出来ちゃう」
 アレスの微笑みを見上げているとランスロットの中に不意に沸き上がる感情があった。ガルドも言っていたが、妻になった女と妻になる前に母親になった女は微笑みの美しさがある、と。
 その美しさに男は再度女に惚れ直すのだと。そう思い出してアレスの微笑みに胸が締め付けられて苦しくなる感情をランスロットは味わっていた。
 無性にアレスが愛おしい、そう感じてしまいランスロットはアレスを抱き締める。ランスロットに抱き締められてアレスは微笑みを浮かべてスリスリと甘えてくる。
「大好きだよランスロット……誰よりも大好き」
「愛しているとは言ってくれてないのか?」
「ふふっ、もう少しランスロットが落ち着いたらいくらでも言ってあげる。ランスロットがもう少しで落ち着くの理解しているから。そろそろ新人騎士募集の時期でしょ? それが終わったら傍にいてくれるだろうから」
「本当、出来た女だよアレスは。勿体ない程の女に成長しているんだな」
 アレスの成長を感じているランスロットにアレスは嬉しそうに甘えていく。だが、ランスロットにはまだアレスにしてやりたい事は沢山あった。
 その為にも今は団長としての仕事を早々に終わらせていく必要があるのも理解はしている。もう少ししたらアレスにもその事を伝える気ではいるのがランスロットであった。
――――
「失礼します。新人騎士募集の募集文をお持ちしました」
「あぁ、ありがとう。オルベ、ローレンスは優しくしてくれているか?」
「はい。とても充実した講義を受けて勉強にもなっています。でも、本当にいいんですか? ローレンス様の後継者が僕で」
「ローレンスとロゼットの2人から推薦があったからな。オルベにはローレンスの知識を物に出来ると思っている。君なら大丈夫だろうと信じている」
「その期待にお応え出来る様に頑張ります!」
「無理はしないようにな。募集文の方もご苦労様」
「はい! それじゃ失礼します」
 オルベはローレンスの直接指導を受けながら占星術師としての才能を受け継ぎつつある。そして、その占いの力を使って騎士団の縁の下の力持ちとして成長してもらえればなとランスロットは考えていた。
 定期的にレイシアルやエンドル、アルフォッドからロックの事についての定期的報告も手紙で送られてきているが、ロックは王としての勉強に打ち込みながら毎日をしっかり過ごしている事は分かっていた。今は同盟を組んだカナディルダ国に留学しているとレイシアルから手紙で知らされていた。
「陛下の方も順調のようだ。留学に行かれて既に半年か……まだまだ先なのだろうな帰国は」
「おーい、ランスロットはいるかー?」
「空いているぞ?」
「手がふさがっているんだ、開けてくれ」
 団長室の外から聞こえてきたロルゾの声に椅子に座っていたランスロットはドアを開けに立ち上がりドアの元に向かう。開けると両手一杯に荷物を持っているロルゾが立っていた。
 ランスロットはその荷物を一部預かり一緒に団長室に運び込むと送り主や宛先を見て納得する。全てがアレス宛ての貢物である事が大体分かってしまったからだ。
「これ全部か?」
「いや、検品が終わったのだけだ。まだ贈られてきている。でも、ようやく結婚式を挙げる事が準備段階に入って良かったな?」
「あぁ、アレスにも俺が前々からデザインしていたドレスのデッサンを見てもらって受け入れてもらえたからな。ただ、ドレスが出来上がるのが新人騎士の試験後になるのは予定外だったが」
「仕方ないだろうよ。新人騎士の試験中は殆ど騎士達への物資支給で布とか大量に持ち込まれるし、それでドレス用の布が足りない可能性もあったんだからさ」
「まぁ、試験が終われば俺もある程度落ち着く事になるし……もうひと踏ん張りだ」
「頑張ろうな、念願の新婚になるまでもう少しだ」
 ロルゾの言葉にランスロットは微笑みを浮かべていた。アレスとの結婚式を考えていたランスロットはドレスのデッサンを頼まれていたのもあって、デッサンをちょくちょく描いていたのをアレスに見せて選んでもらったドレスを仕立てる為に、職人に注文したら試験後の数日中には完成するとの返事を貰ったのである。
 その試験が終わるまで軽く2か月はある。この2か月間をアレスは待てると言ってくれていたので、その時に備えて結婚式の招待客などへの招待状を作成する為の時間だと考えて行動に移していたのである。
「でもよ、アレス宛てに贈られているのは分かるが、どうしてランスロット宛ての品物はないんだぁ?」
「さぁな。そこは俺にも分からない」
「アレスの方が人気が出始めた、とかか?」
「かもしれないな。だが、人の女に色目を使う奴は撃退する」
「おーこわこわ。大丈夫かよ」
「なんとかなるだろう」
 アレス宛ての贈り物をロルゾが送り主の名前を控えている間にランスロットは中身を確認する。殆どの贈り主がティナや他の貴族達や市民の女性達からのが多かった。
 まぁ、中には独身貴族の男性からの贈り物はロルゾが静かに処分してくれているので、ランスロットは比較的にノンストレスで検品を済ませていく。そんな訳でティクス国の聖騎士団は今日ものんびりと過ごしていた平穏な時間であった――――。
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