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聖戦前編
89話「神聖の瞳」
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魔族軍軍師レイガスはハルトにこう提案する。同じ人間のエネルギーを力にしている魔族だからこそ分かる3神の動きに沿っての作戦内容を。
「まず3神はお互いの力を共鳴させる事で神力を強めています。その共鳴を解除する事が大前提ではありますが、分断するのであれば……ダラズ神は武器を、レジャ神は装飾品を破壊して神経を逆撫ですればよろしいかと思われます」
「なるほど……。共鳴の解除をするにはルーディス神様のお力をお借りする必要がありますね。神々の力は神々の力で対抗するといいみたいですし」
「共鳴の解除が済んだらまずはダラズ神の武器である「ボルドの剣」を破壊に取り掛からねばなりません。そのボルドの剣を破壊するには神狩り武器を解放して生み出される神狩りの波動を利用して攻撃を与えれば破壊は出来る筈でございます」
「ならベリオさんとコル君の部隊を行かせて、アルスとアルシェードさんの部隊はサポートに回ってもらいましょう。魔法部隊の援軍も必要かもしれないから動けるように配置して……」
「まずはダラズ神から撃破して参りましょう。3神の内、1神でも欠ければアルドウラ神も警戒はするでしょうが、根本的な問題を気付かれる事も可能性的に少ないとは思いますので」
「根本的な問題……もしかして……」
「人間達が3神を見限り始めた事です。この反乱軍に協力する人間達が増えてきている事を知らない訳じゃないでしょうが、どれだけの力を失っているかまでは気付けてないでしょうからな」
「そうですね、それに気付かれる前に一気に打倒していく必要がある。早さが反乱軍の主力とも言える以上、攻撃のペースを上げるのも必要ですね」
レイガスはそれだけ話して先の展開を読んでいるハルトの頭脳に少しだけ舌を巻いて評価をしていた。こうも全体的な状況を把握しつつも個人個人の動きを細かに配置していく戦略は中々難しいと言うのに、ハルトはそれを人間の身でありながらこなしている。
これが敵に回していたら自分といい勝負をしているだろうとレイガスは内心で考えていた。テントを出たハルトはルーディス神の元に向かう、共鳴の力を解除する為の力を借りる為に。
エテルナの祈りを受けて力を補充していたルーディス神の元にはティドールとエテルナの姿もあった。ハルトが3人に近寄るとルーディス神にハルトは共鳴解除の方法について意見を求める。
「それで、魔族の軍師が共鳴を解除すれば分断の方法があると申したのか?」
「分断の方法まではお伺いしています。問題は共鳴の解除にはルーディス神様のお力が必要である事。ルーディス神様はこの共鳴解除について何かご存知であればお教え願えませんか?」
「共鳴に関して言うのであれば……4神の頃にしていた共鳴よりも脆くて弱いと言う事だろうな。私の存在を欠かせてからは3神同士の力を監視すら出来てないようだ」
「監視……4神の頃も監視と言う名の共鳴をしていた、と考えてもいいのですか?」
「監視ではなく中和していたのだ。あまりにもお互いの力が強力過ぎたせいでな」
「中和……。今は監視と言うのはルーディス神様がいなくなったから……?」
「そうだ。私の力を受け合っていたアルドウラが私の代理をしても力の強化を図れない所を見ると上手く力が共鳴しておらぬのだろう。4神の時は私の管轄下で神々の力を維持していた部分も多かったのでな」
ルーディス神の言葉にハルトは顎に指を添えて考え込む、その姿にルーディス神は瞳を細めて懐かしむ様に過去の記憶を思い出そうとしていたが、ハルトの面影に誰かの面影が重なったのをルーディス神は感じ取る。その面影に心当たりのあるルーディス神は静かにハルトの横顔を見つめていた。
エテルナがルーディス神の服を握り締めて不安そうに見上げているのに気付いたルーディス神はエテルナの肩を抱いて安心させる様に見下ろして微笑む。だが、ルーディス神は気付いてしまった、ハルトの面影に重なった人物の事を思い出した自分の記憶に残る最後の瞬間を。
ハルトは顔を上げてルーディス神に視線を送るが、その姿にルーディス神は小さく微笑みを浮かべてハルトに告げる。それを聞いたエテルナとティドール、ハルトは少しの間言葉を失う。
「ハルトの前世もこうして聖戦を勝ち抜こうとしていたな」
「えっ、それって僕の前世の人がルーディス神の力になったって事ですか?」
「で、ですが聖戦は過去の歴史の中では語り継がれておりません。何故その様な事がお分かりになるのですか?」
「もしかして、ハルト君の何かがルーディス神様のお心に触れたのでしょうか?」
「あれは歴史に残される事のない過去の聖戦、4神の力と魔界の魔神の戦いの時だった。残されなかったのは意図的である。当時の神々だけが覚えていればいい、そう残されし人間達と共に話し合った結果の事よ。その聖戦時にハルトの前世、アルガディスも同じ様に策を練り私達の力になっていた。その策を練る姿にハルトにアルガディスの面影を感じるのだ」
ルーディス神は右手に水晶を生み出すと、聖戦時の頃に残されたのだろうアルガディスの姿を模した肖像画を映し出す。それを覗き込んで見ていた3人は言葉が出ない。
見事に女版のハルトがそこには残されているのだ。ルーディス神はその肖像画のアルガディスについて思い出す事をしていたが最後に思い出す彼女の最後に眉を寄せた。
エテルナがその様子に気付いてハルトとルーディス神を見比べる。どうにかルーディス神の心を守りたいエテルナの気遣いにルーディス神も微笑みを浮かべていた。
「アルガディスは4神の加護を受けた守護者としても有能であり、その美貌にはレジャも心を寄せていた程だ。だが、アルガディスは命を落としたのは……愛する者の裏切りによっての落命だったのだ。愛する者に裏切られてその命を散らす寸前まで、裏切った相手を信じ抜いた魂を私達は転生に至るまで保護していたのだが、ある時に転生したのに気付いてその魂を追わなかった。そうか、ハルトがアルガディスの転生した姿だったか」
「愛する者の裏切り……それはどうしてそんな事が?」
「話は簡単だ。アルガディスの命を奪い、その肉体を永遠のまま保存して愛したかった。それが命を奪った者の願いでもあったのだ。死が2人を引き裂くのを恐れてな」
ルーディス神もその事を話をしてから溜め息を吐き出す。アルガディスの最後を聞いたハルトはアルスの事を想う。
自分はこの人生で最愛の愛する存在を得た。それは前世のアルガディスを彷彿させるだけかも知れないが間違ってもアルスがハルトを裏切るなんて考えられない。
ハルトの中でルーディス神への言葉が定まりつつあるが、ルーディス神の方が先に言葉を口にする。アルガディスの生まれ変わりであるならば授けるべき力を話す。
「アルガディスの生まれ変わりなのは間違いない。ならば授けねばならない力がある」
「一体、そのお力ってなんなのでしょうか?」
「神々の力を受けて初めて使える「神聖の瞳」と呼ばれる力だ。これは簡単に言えば瞳に神々の力を宿し、未来を視る事が出来る。アルガディスの瞳にも同じ力を私が宿していた。必要かハルト?」
「その力を受け入れるのに何か代価を支払う必要があるんじゃないですか?」
「そうだな。簡単に言えば……お前の失われている右目の力を私に捧げよ。アルスの力が宿りしその右目の力と引き換えに神聖の瞳を与える」
アルスの力が宿っている右目の力、それを捧げれば未来を視る力が手に入る……ハルトは少しの間考えてルーディス神に近寄り右目を隠している眼帯を取り外した。ルーディス神に捧げるとの意思表示にルーディス神も頷き、右目に手を翳して力を吸い取り自分の中に力として取り込むと息を吸い込んで吐き出す。
そして、ルーディス神も力を与える為に右手をハルトの右目付近に翳してスペルを詠唱、それが完成すると同時にハルトの右目に段々と光が戻り始めているのをハルト自身が気付いた。力を宿した右目からルーディス神の右手が離れるとハルトは自分の両手を見下ろして気付く、右目には別の世界が映っている事に。
「これが、神聖の瞳の力……異なる世界が視える……」
「最初は慣れぬとは思うが、使いこなせ。お前なら、アルガディスの生まれ変わりのハルトならば扱える筈だ」
「ハルト様、大丈夫ですか?」
「ハルト君、分かるかな? 私達が」
「……お2人の未来が視えます。ティドールさんにはガルロの恋人さんとの会談が。エテルナさんにはルーディス神様との幸せな未来が視える……」
ハルトの言葉に2人は顔を見合わせて言葉を飲み込んだ。ハルトは顔を持ち上げて空を見上げる。
空には真っ青な空が広がり、鳥たちが群れを成して飛んで行く。その青空の下を竜騎士達が乗る竜達が飛び回っている光景が流れ込んで来ていた。
ハルトの中で未来が確信へと変わっていく、そして同時に気付く。この神聖の瞳は自分の未来は視えない事に。
「未来は限られた一部のみが視える、のですね?」
「あぁ。だからアルガディスの未来は視えなかった。だが、彼女はこう言っていた「未来を切り開くのは自分です。私はその手助けをする為にこの力を得たんです」とな……。ハルトはどうその力と向き合っていくのだろうな」
「僕は……。この力で聖戦の終わりをもたらして、新しい世界で人々を導く何かになれれば、それで充分だと思います。それだけでも幸せな未来だって思うから」
アルスの未来を守る為なら、自分の未来を引き換えにしてでも力を得てやる。その決意をルーディス神も知っている。
だからこそ、ハルトにアルガディスの面影が宿ったのを知ったのだろう。同時にアルガディスの最後にルーディス神は心を馳せる。
「(アルガディス、お前が望んだ未来はまだ実現していないのかも知れないが……お前の魂は、想いは確かに引き継がれているぞ)」
アルガディスの微笑みを思い出してエテルナの肩を抱くルーディス神は静かに微笑んだ。ハルトとアルスがこの微笑みを見て何を思うかは別として。
「まず3神はお互いの力を共鳴させる事で神力を強めています。その共鳴を解除する事が大前提ではありますが、分断するのであれば……ダラズ神は武器を、レジャ神は装飾品を破壊して神経を逆撫ですればよろしいかと思われます」
「なるほど……。共鳴の解除をするにはルーディス神様のお力をお借りする必要がありますね。神々の力は神々の力で対抗するといいみたいですし」
「共鳴の解除が済んだらまずはダラズ神の武器である「ボルドの剣」を破壊に取り掛からねばなりません。そのボルドの剣を破壊するには神狩り武器を解放して生み出される神狩りの波動を利用して攻撃を与えれば破壊は出来る筈でございます」
「ならベリオさんとコル君の部隊を行かせて、アルスとアルシェードさんの部隊はサポートに回ってもらいましょう。魔法部隊の援軍も必要かもしれないから動けるように配置して……」
「まずはダラズ神から撃破して参りましょう。3神の内、1神でも欠ければアルドウラ神も警戒はするでしょうが、根本的な問題を気付かれる事も可能性的に少ないとは思いますので」
「根本的な問題……もしかして……」
「人間達が3神を見限り始めた事です。この反乱軍に協力する人間達が増えてきている事を知らない訳じゃないでしょうが、どれだけの力を失っているかまでは気付けてないでしょうからな」
「そうですね、それに気付かれる前に一気に打倒していく必要がある。早さが反乱軍の主力とも言える以上、攻撃のペースを上げるのも必要ですね」
レイガスはそれだけ話して先の展開を読んでいるハルトの頭脳に少しだけ舌を巻いて評価をしていた。こうも全体的な状況を把握しつつも個人個人の動きを細かに配置していく戦略は中々難しいと言うのに、ハルトはそれを人間の身でありながらこなしている。
これが敵に回していたら自分といい勝負をしているだろうとレイガスは内心で考えていた。テントを出たハルトはルーディス神の元に向かう、共鳴の力を解除する為の力を借りる為に。
エテルナの祈りを受けて力を補充していたルーディス神の元にはティドールとエテルナの姿もあった。ハルトが3人に近寄るとルーディス神にハルトは共鳴解除の方法について意見を求める。
「それで、魔族の軍師が共鳴を解除すれば分断の方法があると申したのか?」
「分断の方法まではお伺いしています。問題は共鳴の解除にはルーディス神様のお力が必要である事。ルーディス神様はこの共鳴解除について何かご存知であればお教え願えませんか?」
「共鳴に関して言うのであれば……4神の頃にしていた共鳴よりも脆くて弱いと言う事だろうな。私の存在を欠かせてからは3神同士の力を監視すら出来てないようだ」
「監視……4神の頃も監視と言う名の共鳴をしていた、と考えてもいいのですか?」
「監視ではなく中和していたのだ。あまりにもお互いの力が強力過ぎたせいでな」
「中和……。今は監視と言うのはルーディス神様がいなくなったから……?」
「そうだ。私の力を受け合っていたアルドウラが私の代理をしても力の強化を図れない所を見ると上手く力が共鳴しておらぬのだろう。4神の時は私の管轄下で神々の力を維持していた部分も多かったのでな」
ルーディス神の言葉にハルトは顎に指を添えて考え込む、その姿にルーディス神は瞳を細めて懐かしむ様に過去の記憶を思い出そうとしていたが、ハルトの面影に誰かの面影が重なったのをルーディス神は感じ取る。その面影に心当たりのあるルーディス神は静かにハルトの横顔を見つめていた。
エテルナがルーディス神の服を握り締めて不安そうに見上げているのに気付いたルーディス神はエテルナの肩を抱いて安心させる様に見下ろして微笑む。だが、ルーディス神は気付いてしまった、ハルトの面影に重なった人物の事を思い出した自分の記憶に残る最後の瞬間を。
ハルトは顔を上げてルーディス神に視線を送るが、その姿にルーディス神は小さく微笑みを浮かべてハルトに告げる。それを聞いたエテルナとティドール、ハルトは少しの間言葉を失う。
「ハルトの前世もこうして聖戦を勝ち抜こうとしていたな」
「えっ、それって僕の前世の人がルーディス神の力になったって事ですか?」
「で、ですが聖戦は過去の歴史の中では語り継がれておりません。何故その様な事がお分かりになるのですか?」
「もしかして、ハルト君の何かがルーディス神様のお心に触れたのでしょうか?」
「あれは歴史に残される事のない過去の聖戦、4神の力と魔界の魔神の戦いの時だった。残されなかったのは意図的である。当時の神々だけが覚えていればいい、そう残されし人間達と共に話し合った結果の事よ。その聖戦時にハルトの前世、アルガディスも同じ様に策を練り私達の力になっていた。その策を練る姿にハルトにアルガディスの面影を感じるのだ」
ルーディス神は右手に水晶を生み出すと、聖戦時の頃に残されたのだろうアルガディスの姿を模した肖像画を映し出す。それを覗き込んで見ていた3人は言葉が出ない。
見事に女版のハルトがそこには残されているのだ。ルーディス神はその肖像画のアルガディスについて思い出す事をしていたが最後に思い出す彼女の最後に眉を寄せた。
エテルナがその様子に気付いてハルトとルーディス神を見比べる。どうにかルーディス神の心を守りたいエテルナの気遣いにルーディス神も微笑みを浮かべていた。
「アルガディスは4神の加護を受けた守護者としても有能であり、その美貌にはレジャも心を寄せていた程だ。だが、アルガディスは命を落としたのは……愛する者の裏切りによっての落命だったのだ。愛する者に裏切られてその命を散らす寸前まで、裏切った相手を信じ抜いた魂を私達は転生に至るまで保護していたのだが、ある時に転生したのに気付いてその魂を追わなかった。そうか、ハルトがアルガディスの転生した姿だったか」
「愛する者の裏切り……それはどうしてそんな事が?」
「話は簡単だ。アルガディスの命を奪い、その肉体を永遠のまま保存して愛したかった。それが命を奪った者の願いでもあったのだ。死が2人を引き裂くのを恐れてな」
ルーディス神もその事を話をしてから溜め息を吐き出す。アルガディスの最後を聞いたハルトはアルスの事を想う。
自分はこの人生で最愛の愛する存在を得た。それは前世のアルガディスを彷彿させるだけかも知れないが間違ってもアルスがハルトを裏切るなんて考えられない。
ハルトの中でルーディス神への言葉が定まりつつあるが、ルーディス神の方が先に言葉を口にする。アルガディスの生まれ変わりであるならば授けるべき力を話す。
「アルガディスの生まれ変わりなのは間違いない。ならば授けねばならない力がある」
「一体、そのお力ってなんなのでしょうか?」
「神々の力を受けて初めて使える「神聖の瞳」と呼ばれる力だ。これは簡単に言えば瞳に神々の力を宿し、未来を視る事が出来る。アルガディスの瞳にも同じ力を私が宿していた。必要かハルト?」
「その力を受け入れるのに何か代価を支払う必要があるんじゃないですか?」
「そうだな。簡単に言えば……お前の失われている右目の力を私に捧げよ。アルスの力が宿りしその右目の力と引き換えに神聖の瞳を与える」
アルスの力が宿っている右目の力、それを捧げれば未来を視る力が手に入る……ハルトは少しの間考えてルーディス神に近寄り右目を隠している眼帯を取り外した。ルーディス神に捧げるとの意思表示にルーディス神も頷き、右目に手を翳して力を吸い取り自分の中に力として取り込むと息を吸い込んで吐き出す。
そして、ルーディス神も力を与える為に右手をハルトの右目付近に翳してスペルを詠唱、それが完成すると同時にハルトの右目に段々と光が戻り始めているのをハルト自身が気付いた。力を宿した右目からルーディス神の右手が離れるとハルトは自分の両手を見下ろして気付く、右目には別の世界が映っている事に。
「これが、神聖の瞳の力……異なる世界が視える……」
「最初は慣れぬとは思うが、使いこなせ。お前なら、アルガディスの生まれ変わりのハルトならば扱える筈だ」
「ハルト様、大丈夫ですか?」
「ハルト君、分かるかな? 私達が」
「……お2人の未来が視えます。ティドールさんにはガルロの恋人さんとの会談が。エテルナさんにはルーディス神様との幸せな未来が視える……」
ハルトの言葉に2人は顔を見合わせて言葉を飲み込んだ。ハルトは顔を持ち上げて空を見上げる。
空には真っ青な空が広がり、鳥たちが群れを成して飛んで行く。その青空の下を竜騎士達が乗る竜達が飛び回っている光景が流れ込んで来ていた。
ハルトの中で未来が確信へと変わっていく、そして同時に気付く。この神聖の瞳は自分の未来は視えない事に。
「未来は限られた一部のみが視える、のですね?」
「あぁ。だからアルガディスの未来は視えなかった。だが、彼女はこう言っていた「未来を切り開くのは自分です。私はその手助けをする為にこの力を得たんです」とな……。ハルトはどうその力と向き合っていくのだろうな」
「僕は……。この力で聖戦の終わりをもたらして、新しい世界で人々を導く何かになれれば、それで充分だと思います。それだけでも幸せな未来だって思うから」
アルスの未来を守る為なら、自分の未来を引き換えにしてでも力を得てやる。その決意をルーディス神も知っている。
だからこそ、ハルトにアルガディスの面影が宿ったのを知ったのだろう。同時にアルガディスの最後にルーディス神は心を馳せる。
「(アルガディス、お前が望んだ未来はまだ実現していないのかも知れないが……お前の魂は、想いは確かに引き継がれているぞ)」
アルガディスの微笑みを思い出してエテルナの肩を抱くルーディス神は静かに微笑んだ。ハルトとアルスがこの微笑みを見て何を思うかは別として。
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