山森守神(ヤマモリノマモリガミ)

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第一章 山の神の怒り

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第一節 山の神の怒り

 舞台は、江戸時代。平和な江戸の村に、赤村鈴ノ介とよばれる17歳の青年が平穏に暮らしていた。彼は、幼い頃に父親を戦で亡くし、母親と二人で暮らしていた。しかし、母親もかなり病弱で、介護なしでは生きていけないほどであった。鈴ノ介は、毎日のように汗水を流し、薪割りの仕事に励んでいた。すると、親方は言う。

「近頃、山を汚されていることで山の神が怒り、我が村を焼きに来るという噂が流れている。」

 しかし、鈴ノ介はその言葉を迷信だと言って信じることは無かった。そもそも、巨人なんて人間の世界には存在しないと言うのに。そう言って、鈴ノ介は薪割りの仕事を終えると、いつもの帰路についた。

 すると、帰り道には異変が起きていた。なにやら、 道端に無数の蛇の死骸が落ちていたのだ。その数はとてつもない量だ。鈴ノ介は、異変に抗いながらも、家へ帰る。そして、鈴ノ介は料理を作り、母親に飯を渡し、今回の蛇の死骸がついてを話した。すると、母は、「これは、山の神が裁きの炎をもたらす前兆だ」と告げた。そう。鈴ノ介の周りには、山の神にまつわる言い伝えが蔓延り、いつ平穏な日常が破壊されるかも分からない状態だ。そして、鈴ノ介は就寝についた。

 翌日。村全体で避難警報が鳴った。村人たちが避難している。驚いて目を覚ます鈴ノ介。家の縁側から外を見る。すると、村の上空には思わぬ光景が。岩山のような体を持ち、身体には草木のような体毛を生やした巨人が、村全体にのしかかるように手を広げ、宙に浮いていたのだ。鈴ノ介は、「やはり、言い伝えは正しかった…。あいつがもしや…。」と息を飲んだ。すると、巨人は動き出した。巨人はゆっくりと着地した。住人たちは、驚く。そして、巨人は唸り声を上げながら、ズシンズシンと歩き出した。村人たちはパニック状態になり、村中を逃げ回る。鈴ノ介は慌てて母親を家から出し、父の遺影を懐にしまい、避難へ向かった。



 ズシンズシンと足音を立て、村を進んでいく巨人。村人たちは一目散に避難する。鈴ノ介も母親と手を繋ぎ、巨人から逃げる。馬に乗った武士たちが、巨人に向け弓矢を射るが、巨人の硬質な身体に弾かれてしまう。そして、巨人は武士を馬ごと踏み潰した。ひたすら歩んでいく巨人。すると、巨人は身体を停止させ、凄まじい雄叫びを上げた。

キシャアアアアーーーーーーッ!!

 巨人の雄叫びが村全体に響く。すると、巨人は口を開け、強力な血漿光線を吐き出した!血漿光線を発射し、辺りの建物や木々を焼き付くしていく。そして、凄まじい爆風に煽られる村人たち。母親が鈴ノ介に「あんたは生きなさい!」と言い、爆風から鈴ノ介を建物の物陰へ隠した。ひたすら、破壊活動を行う巨人。たちまち村は火の海となり、目の前には巨大なキノコ雲が舞い上がった。



 建物の物陰から出てくる鈴ノ介。周囲には爆風や熱線を浴びた者たちの死骸が散らばっている。そんな中、母親を見つける鈴ノ介。母親は、全身が爛れ、息を絶え絶えにしている。母親は、鈴ノ介に対し、「あんた一人でも…生き抜くのよ…」と伝え、息を引き取った。残酷な母親の死に鈴ノ介は絶望した。そこへ、凄まじい量の絶望の雨が降り注ぐ。ゆっくりと姿を消す巨人。そして、鈴ノ介は絶望のあまり、絶叫した。

「うあああーーーーーーーっ!!」



 そして、翌日。鈴ノ介は朝日の照らしつける山に一人登った。鈴ノ介は上着を脱ぎ、小刀を取り出す。母親を守ることも救うことも出来なかった自身を悔やみ、自分なんか要らないと自暴自棄になっていた。鈴ノ介が、自らの首に小刀を突き刺そうとした、次の瞬間だった。

「辛いからといって死ぬのは、一円の価値もないわ。」

 鈴ノ介の手元から、小刀が消えていた。驚いて振り返る鈴ノ介。そこには、黒いショートカットに青い和服、ニーハイソックスを着用し、腰には剣を携えた侍風の小柄な少女が、鈴ノ介の小刀を持って立っていた。少女は、鈴ノ介に対し、死に値する存在ではないと告げる。どうやら、少女は村を襲った例の巨人を追うために、ここへ来ていたという。そう。彼女は巨人を追う剣士・東雲隊の一員だった。鈴ノ介は、「俺は弱い。強くなりたいんだ。あの巨人を倒すために。」と少女に打ち明ける。すると、少女は、「私と一緒に来る?剣士になれば、あなたはあの巨人を倒せるわ。」と伝え、鈴ノ介を東雲隊に勧誘した。



第二節 鈴ノ介と空翔~試練の杜、そして西へ~

 そして、鈴ノ介は殺風景な道を少女とともに歩いていく。少女の名前を聞く鈴ノ介。すると、少女は「鹿野空翔(かのつばさ)よ。空翔って呼んでちょうだい。」と言う。鈴ノ介は、空翔に巨人についてを聞く。空翔は、「あの巨人は山森守神(ヤマモリノマモリガミ)。山の神を自称する妖怪。かなり危険な存在だから、東雲隊の獲物よ。」という。そして、二人は会話をしながら、道を進んでいく。

 鈴ノ介と空翔は、地下の洞窟へと身を潜める。空翔は、懐から米と鍋、椀を取り出す。そして、散らばった棒を集める。「火はない」と言う鈴ノ介だが、空翔は、手を差し伸べ自身の能力で火をつけた。そして、米をくべ、雑炊を造る。雑炊をかき混ぜながら、「食べな。元気が出ないわよ。」と空翔。雑炊をもぐもぐと食べる鈴ノ介。そこで、空翔は鈴ノ介にヒントを与えた。

「山森守神を討伐する東雲隊に入隊するには、試練の杜において、訓練を行う必要があるわ。この試練は、かなり厳しいものだから、覚悟はしておいてね。」

 そう。鈴ノ介は、山森守神討伐のために、試練を受けなければならない。試練の杜と呼ばれる東雲隊の養成所へ出向く必要があるのだ。そこで、剣士として認められれば、鈴ノ介は東雲隊へ正式入隊することが出来るのだ。空翔のアドバイスを元に、鈴ノ介は試練の杜で訓練を受ける決意を固めた。

 翌日。鈴ノ介と空翔は起床し、試練の杜へと向かう。試練の杜。高い木々が生い茂る緑豊かな地だ。そこでは、隊士たちが気合いを入れ、掛け声を上げながら、鍛錬に励んでいた。鈴ノ介は、敷地内にある道場へと上がり込む。そこには、緋村銀次郎(ひむらぎんじろう)と呼ばれる老人が待ち受けていた。鈴ノ介は、銀次郎を師範に、東雲隊入隊のための鍛錬に励むのだった。銀次郎はかなり厳格な性格だ。鈴ノ介は、銀次郎からかなり扱かれた。しかし、鈴ノ介は目標を達成するために、シビアな鍛錬を受け続ける。時には、鍛錬を頓挫してしまうこともあったが、鈴ノ介は、負けじと汗水流し、鍛錬に励むのだった。



 そして、初日の鍛錬を終え、鈴ノ介は帰路につく。鈴ノ介はかなりへろへろになっている。そこへ、空翔が迎えに来ていた。空翔に気遣われ、鈴ノ介はこの間の洞窟で、空翔と夜を共にした。鈴ノ介はかなり汗をかいている。そこで、空翔は鈴ノ介に、山の中の露天風呂へと案内するのだった。早速和服を脱ぐ空翔。鈴ノ介は、空翔の全裸姿に思わず見蕩れてしまった。そして、空翔は「ほら。入ろ。」と手を差し伸べた。鈴ノ介は、空翔の手をとり、二人で風呂に入った。身体の芯から温まる二人。これまでの疲れがとれてきて、かなり安定している模様だ。露天風呂の中で、鈴ノ介はこれからどのようにしていけば、東雲隊に入隊出来るのかということを空翔に問う。空翔は、自分自身を強くすることで、今ある困難を乗り越える事が出来る、だから、自分を信じればいい。と耳打ちした。

 そして、夜。鈴ノ介と空翔は、幻想的に光り輝く夜空を見上げながら、横になった。鈴ノ介は、「俺、鍛錬頑張るよ。東雲隊に入隊するために。」と、空翔に意気込みを言った。「あなたならできるわ。鈴ノ介くん。」と空翔。空翔は、大きなあくびをした。そして、二人は就寝に就くのだった。

 翌日。鈴ノ介は、銀次郎の元で二日目の鍛錬を受けた。以前よりもかなり強固な鍛錬だ。鈴ノ介は、身体を鍛える鍛錬、心術を鍛える鍛錬、剣術を鍛える鍛錬などといった、剣士になる上では欠かせない鍛錬をこなしていく。かなりハードな鍛錬であり、鈴ノ介は汗水流しながら、身体を鍛え上げた。

明くる日も、明くる日も、鍛錬を重ねる鈴ノ介。そして、過酷な鍛錬の末、鈴ノ介は剣士として認められ、山森守神討伐用の刀剣を授けられた。

「おめでとう。鈴ノ介。お前を東雲隊の剣士として認める。」

  こうして、鈴ノ介は東雲隊の剣士となった。銀次郎は、褒美として鍋料理を振舞った。「いいんですか?こんな豪華なものを」と鈴ノ介。銀次郎は「しっかり食べて身体を強くしなければならない。」と耳打ち。鈴ノ介、空翔、銀次郎は三人で食卓を囲い、鍋を食べた。そして、しめに空翔の保持していた米を鍋にくべ、雑炊にした。雑炊を食べ、鈴ノ介はかなり満足した。鍋を食べ終えた一同。そこで、銀次郎は空翔に対し、「これから、鈴ノ介を頼んだぞ。空翔。」と言う。以後、鈴ノ介は、山森守神討伐のために空翔とともに旅をする事になったのだ。

 試練の杜での任務を終えた鈴ノ介は、銀次郎から授かった刀剣を身に帯び、旅の準備をした。そう。これから、鈴ノ介は山森守神討伐のために、遥か西へと旅立つことになったのだ。空翔は言う。

「これから私たちの行く先は、遥か西に存在する荒山(アラヤマ)よ。この荒山が、山森守神の住処。ここに辿り着くまでには、数々の魔物に出会うかもしれないわ。銀次郎さんのところでの鍛錬で得た力、忘れないでね。」

 こうして、東雲隊へ正式入隊した鈴ノ介は、空翔と二人で、遥か西に存在する山森守神の待ち構える荒山(アラヤマ)へと旅する。鈴ノ介は、いかなる脅威をも、銀次郎の鍛錬で得た力を使い、懸命に闘おうと決意したのだ。



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