山森守神(ヤマモリノマモリガミ)

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第三章 神泉魔境の西方隊

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第五節 神泉魔境~精鋭剣士・西方隊~

 花の都での任務を終えた鈴ノ介たち。東雲隊は、久川政司郎及び、蔵之内舞子の新たなる剣士からなる二人が加わったことで、計四人となった。知恵烏の指示のもと、彼らは新たなる旅の地、神泉魔境へと向かっていく。旅の途中、彼らは山奥にある巨大な宿で体を休めた。

 そして、舞子は「やったぁ!お風呂!お風呂!」と喜んでいる。政司郎は、「本当に風呂が好きなんだな。この女。」と毒を吐く。そして、空翔は「さあ、行きましょうか。舞子さん。」と言い、舞子と風呂へ行く。続いて、汗臭いと感じた鈴ノ介も、風呂へ行くのであった。鈴ノ介と政司郎、そして空翔と舞子はそれぞれ別々に入浴した。政司郎は、鈴ノ介の髪を下ろした姿に思わず驚いた。そして、空翔と舞子は、かなりフレンドリーに風呂で話し合っている。舞子は、入浴をかなり楽しんでいる模様だ。

 風呂を上がり。舞子は鈴ノ介を個室へと誘った。個室で二人きりになる鈴ノ介と舞子。どうやら、舞子は鈴ノ介に対し、ある思いを寄せていた。

「私、鈴ノ介くんみたいな可愛い子、好きなの♡」

 舞子の発言に驚く鈴ノ介。唐突に好きと言われ、初めて他人から好意を抱かれた事に気づいたのだった。更に、舞子は鈴ノ介に対し、丸くて美しく光り輝く尻を露出した。舞子の美しい桃尻を見た鈴ノ介は、思わず興奮してしまう。その様子を、 空翔と政司郎は眺め、怒り抱きながら、呆れる。

「何してんだ、お前ら…。」と政司郎。しかし、舞子と鈴ノ介は、やりとりを続けた。こうして、東雲隊は、他愛もない夜を送るのだった。

 翌日。宿の朝食を食べ終え、 鈴ノ介は髪を括り、空翔たちは着替え、刀剣を身に装備し、旅へ出る。険しい岩山、谷、森、川などを乗り越えていく鈴ノ介たち。これから来るやもしれぬ、魔物たちと戦えるよう、心を強くするのであった。ひたすら、道を歩んでいく鈴ノ介たち。広大な川を抜けた先には、巨大で神々しい峯が連なる神聖な魔境・神泉魔境であった。神泉魔境では、数々が泳ぎ、更には美しい森が拡がっていた。神泉魔境を越えたその先に、いよいよ山森守神の巣となっている荒山(アラヤマ)へと辿り着くのだ。舞子は、思わず神泉魔境の幻想的な雰囲気に興奮する。そして、政司郎は魔物にしか目がなく、「魔物!出てこい!」と叫ぶ。空翔は表情を無にして冷静に進んでいく。神泉魔境に連なる高い峯を目指し、進んでいく一同。美しい神獣などが練り歩く神泉魔境。その奥に、三大子獣が潜んでいる可能性があるというのだ。一同は、峯を目指し歩いていく。

 ひたすら、山を目指して進む鈴ノ介たち。次の瞬間だった。彼らが予想していた通り、山森守神の三大子獣が待ち構えていた。そう。現れたのは、三つの翁のような頭部を持ったドラゴンのような姿をした、三面神(さんめんじん)であった。「こいつも侮れない」と鈴ノ介。そして、一同は刀剣を抜き取った。そして、三面神と激闘を繰り広げる鈴ノ介たち。機敏な動きで、三面神を追い詰めようとするも、三面神もかなりの攻撃力を持っていた。ひたすら、それぞれのシャナを繰り出しながら、三面神に攻め込んでいく鈴ノ介たちであるが、なかなか三面神にダメージを与える事が出来ない。そして、次の瞬間だった。三面神は、羽や口から強力なビーム光線を放ってきた。衝撃波により、鈴ノ介たちは吹き飛ばされてしまうのであった。

 三面神に圧倒される鈴ノ介たち。彼らは力を失い、そのまま倒れてしまう。雄叫びを上げる三面神。三つの頭部が口を開け、倒れている鈴ノ介たちに対し、とどめを刺そうとする。三面神がとどめを刺そうとした次の瞬間であった。突如として、舞い降りてきた女剣士が、強力なシャナを使い、三面神の翼を切り落とした。地面へと落下する三面神。それに驚く鈴ノ介たち。やってきた剣士は、黒いツインテールに花の耳飾りをし、桃のあしらわれた丈の短い和服を身にまとった凛々しい女剣士だった。女剣士は言う。

「みんな!下がってて!こいつは私が仕留めるから!」

 三面神を引きつける女剣士。すると、女剣士は刀剣を構え、三面神に攻め込んだ。翼を再生させる三面神。三面神は怒り狂いながら、亜音速で女剣士に攻めかかった。女剣士は俊敏なスピードで、三面神の攻撃を交わした。ひたすら、三面神と互角に闘いを繰り広げる女剣士。更に、女剣士は亜音速な刀剣術で、三面神の翼、頭部、鉤爪などを斬り落とした。もはや、三面神は敵では無かったのだ。女剣士の巧みな剣術、シャナにより、三面神は倒された。そして、女剣士は鈴ノ介たちに、「怪我はない?みんな。」と手を差し伸べた。思わず鈴ノ介は「ありがとうございます…」と礼を言う。女剣士は言う。

「知っての通りだけど、この山を抜けると目前は、山森守神の巣よ。当然あなた達では敵わない魔物たちが待ち構えているわ。さあ、話があるから、一緒に来てちょうだい。」

 そして、鈴ノ介は女剣士に名前を聞くのであった。すると、女剣士は言う。

「私は、桃葉三穂(ももばみつほ)。この神泉魔境の中で鍛え上げられた剣士・西方隊の者よ。山森守神討伐にあたって、あなたたちを支援するわ。どうぞよろしく。」

 こうして、東雲隊の剣士を支援する西方隊を名乗る桃葉三穂を名乗る少女は、自身の本部へと鈴ノ介たちを導くのであった。

 神泉魔境の山の向こう側に存在する西方隊本部。そこには、個性豊かな剣士たちが揃っていた。知恵烏から、以後東雲隊を支援することを告げられるのであった。

第六節 西方隊の鍛錬

 西方隊本部。個性豊かな剣士たちが、広大な敷地内で触れ合っていた。一人で体を鍛える男剣士、男女で触れ合う剣士、そして剣を研ぐ者たちが。彼らが、西方隊の有能たる剣士だと言うのだ。

 そして、三穂とともに西方隊本部へと向かう鈴ノ介たち。この山を越えた先に、西方隊の本部があるのだ。鈴ノ介は聞く。

「あの…西方隊の皆様は本当に俺たちを助けてくれるんですか?」

 鈴ノ介の言葉に答える三穂。

「そうよ。その為の西方隊だから。先にも言ったけれど、鈴ノ介くんたち四人では山森守神には勝てないわ。だから、私の西方隊の剣士たちを紹介するわ。」

 三穂は約束通り、山森守神討伐に力を貸すと鈴ノ介たちに告げた。鈴ノ介たちは、三穂の親切さというものに触れていく。そして、西方隊本部へと到着する鈴ノ介たち。早速、三穂に連れられ、屋敷の中へと入っていく。すると、そこには、個性豊かな五人の剣士たちが正座して待っていた。三穂は一人ずつ、剣士を紹介していく。

「さて、私の西方隊の剣士たちを紹介するわ。まず、先頭から白菊郷二郎(しらぎくごうじろう)、藤村阿佐美(ふじむらあさみ)、黒石源龍(くろいしげんりゅう)、梅澤女竜(うめざわめる)。彼らが、これからあなたたちを支援することになるわ。」

 鈴ノ介たちは、恐る恐る西方隊の剣士たちに挨拶をした。すると、白髪頭の白菊郷二郎は、鈴ノ介たちに言う。

「そなたたちが、山森守神を倒そうとしているものだな。先の桃葉三穂はこの西方隊の隊長、そしてこの俺が西方隊の副隊長を務めるものだ。さて、そなたにはやってもらいたい事がある。ここまで旅をして来たならば分かるかもしれんが、この地を越えた先にはすぐに山森守神の巣だ。奴の根城へ行くにはかなりのリスクが伴う。だから、そなた達は鍛錬をしてもらうぞ。この西方隊員とともにな。」

 こうして、鈴ノ介たちは山森守神討伐にあたり、神泉魔境を拠点に西方隊の剣士とともに鍛錬をすることとなった。心して鍛錬に臨んでいく鈴ノ介たち。この鍛錬は、山森守神討伐のために、かなりリスクの伴うもので、より身体を鍛え上げなければならないというのだ。鈴ノ介たちは、これまでの鍛錬よりも、かなり過酷なものであると、覚悟を決めた。

 翌日。神泉魔境にて、鈴ノ介たちは、西方隊の指揮のもと、鍛錬に励む事になった。まずは、西方隊の副隊長である、郷二郎との鍛錬だ。彼の課した鍛錬は、山森守神討伐の剣士の基礎である、反射神経を極める鍛錬だ。

「知っての通りだが、山森守神はかなり俊敏な動きを誇る。まずは、反射神経を極めるのだ。」

 鈴ノ介ら四人は、郷二郎の指示の元、反射神経を極める鍛錬を開始した。巨大な大砲を左右に配置し、火の玉が連続して飛んでくるというものだ。大砲から放たれる火の玉を、ひたすら、鈴ノ介たちは交わし続けた。汗水流しながら、飛んでくる火の玉を交わしていく鈴ノ介たち。ひたすらに足腰を鍛え上げ、反射神経を良くしていく。更に、火球の速さも増していく。鈴ノ介たちは、息を切らしながらも飛んでくる火球を交わし続け、反射神経を極めた。

 更に翌日。郷二郎は、先日の反射神経を極める鍛錬でどれだけの力を手にしたか、見定めた。鞭を用意する郷二郎。長い鞭を振りかざし、鈴ノ介、空翔、政司郎、舞子の順番で、交わす力があるのかを見定めた。四人とも、郷二郎の鞭を素早く交わした。更に鞭を二本用意し、鈴ノ介らは、それをも鍛え上げた反射神経で巧みに交わした。「鍛えた甲斐があったな。」と郷二郎。こうして、反射神経を極める鍛錬は終わった。続いては、足を極める鍛錬だ。

 反射神経を極める鍛錬からの翌日。今回は、藤紫の和服を着込んだ、女のような装いをした青年剣士・藤紫阿佐美が、鈴ノ介たちの師範となった。

「さあ!今回は、足を極める鍛錬だよ!君たちは、前回、白菊副隊長との鍛錬で、反射神経を極めたね!さて、この神泉魔境の敷地内を、どれだけの速さで駆け抜けられるかを、見るよ!さあ、やってみよう!」

 オネエらしい阿佐美だが、かなり気さくな性格だ。さっそく、足を極める鍛錬を開始する。まずは、神泉魔境の野原をシャトルランの如く、行き来することだ。鈴ノ介たちは、駆け足で、野原を行き来する。四人とも、いいペースで走り抜ける。ひたすら、駆け足で走り抜ける鈴ノ介たち。息を切らしながらも、目標達成のために、足を一生懸命鍛え上げる。阿佐美の指示の元、ひたすらに平野を駆け抜ける鈴ノ介。どうやら、足も鍛え上げられているようだ。

 更に翌日。前日に足をどれだけ鍛えたかを見定めるため、神泉魔境の大河を駆け抜けるといった鍛錬をした。一同は、ひたすらに神泉魔境の大河の周りを駆け抜ける。阿佐美の後に続いて、大河を駆け抜けた。阿佐美はかなり速い足だ。鈴ノ介たちも、負けじと阿佐美に追いつくよう、駆け抜ける。息を切らしながらも、神泉魔境の広大な大河を、一目散に駆け抜けた。鍛錬が終わり、帰る頃。阿佐美は言う。「う~ん…。どっから来たっけ?」と。帰り道を忘れてしまったようだ。阿佐美はやや頼りない面が目立っていた。帰り道を覚えていた空翔が、案内をした。

 そして、翌日。次は山森守神討伐の上で尤も欠かせない、剣術を極める鍛錬だ。今回の師範は、赤い和服を身にまとった、幽霊の如く、前髪で目の隠れた女剣士、梅沢女竜(うめざわめる)だ。女竜は、早速木刀を手渡し、自身に剣先を当てるように言う。

「今回の剣術の鍛錬は、山森守神討伐の上では尤も欠かせないわ。この鍛錬で重要なのは、あなた達の剣術をより磨き上げることよ。さあ、私を攻めておいで。」

 鈴ノ介たちは、木刀を握り女竜に木刀を振るう。しかし、女竜はその攻撃を一瞬にして交わす。山森守神は、巨体ながらも反射神経に優れているという点があるために、一生懸命剣術を鍛え上げなければならないというのだ。ひたすら、剣術を極めていく鈴ノ介たち。女竜をひたすらに攻撃しようとするが、女竜の俊敏な動きに、なかなか鈴ノ介たちは木刀を当てられない。女竜は、「そんなんじゃ、山森守神を倒せないわ。」とやや厳しいことを言う。しかし、鈴ノ介らは諦めなかった。政司郎と舞子が、女竜の脚を狙い撃つ。女竜は驚いた。

「(かなり鍛え上げられたのね。動体視力が。並の私でも追いつけないわ。)」

 そして、バランスを崩した女竜の首元に向け、鈴ノ介と空翔が、木刀で追い討ちした。鈴ノ介たちの剣術は、かなり鍛えられていた。女竜は、「なかなかやるわね。明日は実技よ。あなたたちの鍛えた剣術が、どれだけの力を発揮しているかを見定めるわ。」という。こうして、鈴ノ介たちは明日、鍛え上げた剣術をどれだけ発揮できるかを、女竜の監視のもと行うことになった。

 翌日。女竜の指揮のもと、鈴ノ介たちは剣術の鍛錬の実技を行うこととなった。目の前に、巨大な岩が用意されている。女竜は「この岩を鍛え上げた剣術で切り割るのよ。」と指示する。鈴ノ介たちは、順番に岩に向かって自身の刀剣を振りかざす。しかし、岩はかなり硬く刃がなかなか通らない。何度も刃を振るい、命懸けで、岩を切り割ろうとする鈴ノ介たち。女竜は「肝心なのは、心と筋力。おのれの力を刃に込めるのよ。」と鈴ノ介たちに耳打ちした。すると、鈴ノ介たちは、心を清らかにした。己の力と、筋力を心と刃に込め、剣を勢いよく振るった。そして、次の瞬間。四人とも、岩を真っ二つに切り落とした!苦戦の末、四人は剣術を極める鍛錬を突破するのだった。

 その後も、西方隊の指示のもと、神泉魔境を拠点に、数々の鍛錬を受ける鈴ノ介たち。個性豊かな西方隊の剣士ともども、山森守神討伐のために、数々の鍛錬に励み、自身の身体や心、そして剣術など、闘いの上で重要な基礎などを、身につけ、己と心を鍛えていくのであった。巡り巡る鍛錬の日々の末、東雲隊と西方隊の剣士は統合。最後の戦いに向けて身体を極める為に、料理を食べ、身体の芯を鍛え上げていく。そして、翌日。鈴ノ介らは、西方隊の剣士たちと手を組み、共に山森守神を討伐することで同意。九人の剣士たちは、最後の旅路となる荒山へと旅立つ。

 ついに来たる、最後の闘い。果たして、彼らの勝負の行方はーーー。

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