メイザース・ディストリクト‐魔導犯罪都市快傑譚‐

痕野まつり

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フライシュッツの劫罰

Act1

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第一章:影の落胤



 まったく、こんな最低の仕事はいつぶりだろうか。
 後方をいかつい軍用車に付けられながら、市外のハイウェイを爆走する一台のヴィンテージ車を駆るデュールは、銀髪の隙間から覗く額を冷や汗で濡らしていた。

「クソ! クソ! クソッタレ! あのボケ共、よりにもよって魔導軍なんかにぎつけられやがって。本っ当に最悪だ!」

 暗黒街メイザースでは名うての便利屋たるデュールも、ひとたび街の外での出張となれば一介の配達人に過ぎない。後ろ暗い荷を積む事も珍しくない稼業だけに、治安組織をかわす準備はドレスコード同然に心得ているつもりであった。
 が、そんな常識が必ずしも相手方に務まるとは限らない。もとより表社会に背を向けた者が吹き溜まるこの業界で、脇の甘さを自らの命であがなうような連中は一定数いる。

 今回の任務は、依頼元のカルテルの業務に関わる文書をブローカーから受取り、デュール達のホームタウンでもあるメイザースに持ち帰る事。なんてことはないただのお使いだ。だがそのブローカーは、少し周りに気を配れば避けられる程度の尾行を見逃したがばかりに軍の追跡を許し、いの一番に黄泉路よみじへとコースアウトしていったのだ。

 おかげで今、デュールとその相棒である少女・アンは、群がるアルカディア魔導軍の追跡を一手に引き受ける羽目となっていた。

「チクショウが、あいつ囮のも負わずにくたばりやがって。ねずみ以下だぞ! まったく、オフクロのツラおがみてえぜ!」

 既に遠くなりつつある黒煙をバックミラー越しににらえながら、デュールは千の恨み言と引き換えにアクセルペダルをベタ踏みにした。

「ぼやくなよデュール。今はとにかく逃げ切る事を考えようぜ」

 可憐かれんな色白のかんばせを助手席の窓から覗かせ、真っ白な髪を走行風でたなびかせながら、後方の追手を眺めるアンが能天気に笑う。

「なんでてめえはこんな状況で笑ってられるかねえ!」
「だっておもしれーじゃん。近頃は大した鉄火場てっかばもなかったし、肩慣らしには丁度いいぜ?」
「馬鹿言ってんじゃねえよ。こんなクソ状況、〝走ぐるを上と為すエスケープ・オプティマイズ〟それ一択だ」

 アンとは対照的な浅黒い地肌の顔を真っ青に染め、切れ長の青い三白眼をかっぴらきながら、デュールは必死に追跡の魔の手を振り切らんと更に深くアクセルを踏み抜く。

「つーか、今回の取引は別に軍が出張るような話じゃなかったはずだろ。あのクソブローカー、ぜってえどっかでやらかしやがったんだ」

 爬行はこうする蛇を思わせる隊列で執拗に追ってくる軍用車を背後に感じつつ、デュールは言ったところで詮無せんなき事を吐き散らすが、隣のアンはそんな焦燥もどこ吹く風といった風情だった。

「そんなのあたしに聞かれても知らねーよ。ワケ話して見逃してもらうか?」
「おめでてえ目だぜ、アン。あれが児相にでも見えるってか? とりあえず地図だ地図ッ! アン、そこのボタン押せ」
「うっせーな、ガナるなよ──えっと、これかな?」

 アンの指先が数瞬の迷いを経て、コンソールにいくつか取り付けられていたボタンの一つを押す。するとフロントガラスが一気に墨塗りに暗転してシアターモードになると、すぐさま場違いな程に扇情的な映画の濡れ場が大音量で上映された。

「うわああぁ! 馬鹿馬鹿! 何してんだおめえ!」

 突然視界を塞がれる形となったデュールは今度こそ青醒めながら必死にステアリングを握り込み、車体がスピンしないようにヤマ勘で車の制御を保つ。

「あれ? これじゃない?」
「アホか! どこの世界にポルノ映画でマスかきながらカーチェイスするバカがいるんだ! そっちのボタンじゃなくて一番左のだ!」

 焦りのあまり脳内に未知の物質が分泌されるのを感じながら、デュールは鬼気迫る形相でアンを怒鳴り散らす。

「つうか、エグい趣味してんなあお前。こういうのが好みなのか?」
「海賊放送だ馬鹿野郎! 与太よた抜かしてねえでさっさと切り替えろ!」
「はいはいーりましたよ。ったくうるせえな」

 能天気にボヤきながら、アンは今度こそ言われた通りにボタンを押す。
 場違いな映画が消え失せ再び視界が開けると、フロントガラスにナビ画面がオーグメントで表示される。それによれば、この先数キロも走れば渋滞にぶつかる事を運転者にしらせていた。

「なあ、どうすんだよデュール。ジュータイだってよ」
「言われなくても分かってんだよ。こりゃ下道に降りるしかねえ──って、伏せろ! アン!」

 次の瞬間、耳をろうする金切り音と共に、銃弾の雨が二重の防御術式プロテクト仕様の防弾ガラスをやすやす砕きながら殺到する。散らかるガラス片をしこたま浴びつつも、デュールはたまらず側方へとハンドルを切った。

「チクショウ、あのクソども……。俺の車を穴だらけにしやがって」
「アッハッハッハ。めっちゃ風通し良くなっちまったなあ」

 飛び散ったシートの綿を払い除けながら、ハイになったアンが凶暴な笑みをのぞかせる。

「笑ってんじゃねえぞアホが。つーかこの貫通力マジでシャレになってねえ。こんなの生身で浴びたら粉になっちまう」

 苦々しく奥歯を噛みながら、改めてデュールは状況の悪さをうれう一方で、このピンチをどう切り抜けるかを思案する。このままハイウェイを走り続けたとして、そう待たずに渋滞にぶつかる事になる。無論それをただ待つ気は更々さらさらない。しかし困った事に、下道へと抜けるインターチェンジはその渋滞の先。強引に壁を突き破ってハイウェイから抜け出したい気持ちもあるが、彼らが現在走っているのは高さ数十メートルはある高架だ。いくら防弾仕様のボディに換装しているとは言え、その高さからの自由落下に耐えきれるほどの強度はこの車にはない。有り体に言えば、彼らは現時点で大分詰んでいた。

 とはいえ一応、地図にはもう一つ道が示されていない事もないのだが、そちらはそちらで選ぶのを躊躇させる理由があった──のだが、目敏くもそこに気づいたアンが、先んじてデュールに提案を投げる。

「デュール、分岐のあっち側には行けねえのか?」
「そっちは道が途切れてんだよ。改装工事で道の途中をごっそりくり抜いて、新しい鉄筋をはめ込んでる真っ最中だ」
「だったら飛び越えりゃいいじゃん。アタシに考えがある」

 何を思いついたのか、アンの表情が凶悪な悪戯顔に歪む。彼女がこういう顔になる時は決まって良くない事をやらかす時だ。

「嫌な予感しかしねえな」
「アタシは別にどっちでも構わねえよ?」
「う~ん」

 不穏な予感に背筋をさむからしめながら、るかるかの逡巡しゅんじゅんにデュールは迷い込む。分岐点までの距離はもう幾ばくもない。いっそ来た道を逆走したとて、あちらがその気になって正面衝突を仕掛けでもしたら、フレームの差でこちらがぺしゃんこになるのは目に見えている。

「ああ、もう……クソが。もうどうにでもなれだ」

 観念したデュールの呟きを是と捉えたアンが、不敵な笑みを更に一段釣り上げた。

「そうこなくちゃな。分岐に入ったらとにかく真っ直ぐだ。目一杯だぞ! アタシはその間に魔力を貯めるから」
「既に限界だっつうの!」

 暴虐に疾駆する車体をりながら、これ以上速度は上がらないと分かりつつもデュールはアクセルペダルを押し込む。いよいよ分岐点が差し迫る中、アンの体表を覆うように淡いマナの光が揺れ出す。十分に魔力を練り上げたアンは、おもむろに窓から躍り出てボンネットの上に仁王立ちした。

「どうする気だよ!」
「なーに、ウチら専用のエスケープロードってやつよ」

 そう言い放つと、アンはボンネットを足場に低く身を構え、次の瞬間爆発したかのように前方へと跳躍する。

「うわっ!」

 跳躍の反動を受けた車体が沈み込み、バンパーがアスファルトを擦って火花を散らす。危うく制御を失いかけながらも、デュールは気合で速度とハンドルを維持した。

「ったく、ホムンクルスめ。本当に無茶苦茶だ」

 魔導の粋を極めて鋳造ちゅうぞうされた人工生命、ホムンクルス。人ならざる魔的な可憐さがメイザースの好き者らを魅了し、着の身着のままに売り飛ばされかけたところを、紆余曲折うよきょくせつあって拾い上げた日の記憶がデュールの脳裏で一瞬蘇る。当時はまあ可愛いものだったが、〝死ね〟と〝殺すぞ〟を親の名前より口にしたデュールの語彙に染まったアンの口調の荒むことはなはだしく、今やすっかりメイザース仕様の跳ねっ返りと化している。

 更には悪知恵の働かせ方もデュールそっくりに仕上がっており、焼けるアスファルトに降り立った悪戯顔に、デュールの直感が早くも警鐘を鳴らした。

「あいつ……まさかっ!」 

 嫌な予感が的中しつつある事実を悟ったデュールは、今更のようにシートベルトを掛ける。
 超人的な大ジャンプの果てに前方へと降り立ったアンは、練り上げたマナを一気に地面へと流し込んで術式を発動させた。

「おーら……よっ!」

 するとその途端、分断された道路の端が不自然に反り上がり、ジャンプ台さながらに隆起した。アンの十八番である錬成術式アルケミーによる即席の地形改変。その後アンはしたり顔でこちらに振り向くと、進行方向にむけてビシッと親指を差し向けた。
 跳べ──と。

「ああ、今確信したぜ、アン。あいつマジでバカなんだ。そうに違いねえ」

 状況に覚悟を強制されたデュールは懐から数枚の呪符を千切って外に放る。そして可能な限り車体を真っ直ぐに調整しながら、急ごしらえのジャンプ台に向かってトップスピードで突っ込んでいった。
 猛牛の嘶きのようなエンジン音を上げ、車が空気を切り裂きながらジャンプ台に差し掛かる。直前、先行していたアンが二度目の跳躍で屋根に飛びつき──そして車は大地の摩擦から開放された世界へと躍り出る。

 轢断された高架の真下で待ち受けているのは、硬く無機質なコンクリートの奈落。落ちれば即死は免れない。限界速度で飛び出し、空力を受けながら目減りし続ける推進力。恐る恐る対岸の道を覗き込むと、やはり着地するにはわずかに距離が足りていない。だがアンのどんぶり勘定にすべてを委ねるほどデュールの頭もおめでたくはない。先ほど外に放った呪符の出番とばかりに、デュールもまた術式を起動させた。

「──我が血sprung,の元にmeinem,集えblut

 紡がれる詠唱、迸るマナの輝き、跳躍の直前にばら蒔かれていた呪符に刻まれた術式が、物理の理を超えて超常の奇跡となって顕現する。
 呪符を媒介とした転送術式によって召喚されたのは大量の爆薬。それらが追い駆せる軍の車列もろとも巻き込んで一斉に起爆したのだ。

「うおっ!」

 後方からの強烈なGが、空中で失われかけていた車体の推進力を後押しし、わずかに足りなかった着地までの距離を稼ぐには十分な働きを──否、むしろやりすぎた。過剰な爆風の煽りを受けた車体が空中で大きく姿勢を崩す。

「うわああああああ──ぶぉッ!」

 絶叫するデュールの鼻っ柱を、衝撃と共に作動したエアバッグがぶん殴る。
 高架下への落下こそ免れたものの、空中で前傾した車体は対岸でほぼ垂直の姿勢で路面に激突する。ボンネットがへし折れ、スモークを吹き出した車が火花を蒔き散らして横転する。前後左右にめくるめく視界は、非慣性系の摂理とグルになって五臓六腑を打ち据えた。

「ぐあ……」

 もう滅茶苦茶であった。もはや車としての体裁を保てないほどにひしゃげ果てているであろう愛車を思うと、デュールは自身の生存を素直に喜べない。しかしそんな事は毛ほども気に掛けず、一足先に安全圏へと着地していたアンが運転席のドアを強引に引っ剥がした。

「おおい、生きてるか?」

 エアバッグに顔を埋め、対ショック姿勢のまま一言も発さずデュールはしばし震えていた。だが直ぐにデュールはナイフでシートベルトを切り落とし、憤懣ふんまんやる方ない憮然ぶぜんとした様子で車外へと這い出る。

「へっへ、まあ車はダメになっちまったが、うまくいってよかったじゃねえか」

 のほほんと言ってのけるアンを前に、デュールは何とも言えない気持ちで眉根を寄せた。

「冗談じゃねえ。こんなの二度と御免だ」

 壮絶なカーチェイスの果て、崩落したハイウェイの修復工事のスケジュールが後ろ倒しになった事はもはや説明するまでもない。とは言えその事実で痛む懐の持ち合わせのない彼らの懸念は、逃げ切るために移動の足を犠牲にした事だけだった。

「なあ、これどうやって帰るんだ?」
「まあ、歩くしかないな」
「だっる……もちっと上手く着地できなかったのかよ」
「無茶苦茶言ってんじゃねえよ、テメエが傾斜の角度ミスったせいだろ」
「アタシにそんな計算ができると思ってんのか?」
「こいつ……」

 喉元まで出かかった言葉をなんとか収め、デュールは改めて対岸でスクラップになっている軍用車の残骸を見遣る。

「それにしても、あいつらは結局何を追っかけてたんだか」

 荷物の中身は知らないが、を思えば、いの一番に駆けつけてきそうなのは、どちらかと言えば公安か麻薬取締班マトリの実働部隊である。が、先程から見ての通りアレは魔導軍の部隊だ。あのブローカーは軍に喧嘩でも売っていたのだろうか……。

「知らね。アタシらには関係ねーだろ」

 もはや過ぎた事と、既に割り切っていたアンが興味なさげに返答した。もっとも、デュールとしても下手に探りを入れて虎の尾を踏みたくはない。ならこの場はさっさと退散してしまうに限る。

「さて、仕上げだ」

 仕事終わりの一服。懐から取り出したタバコに火を付け、深い息と共に紫煙を吐き出すと同時にデュールは指を弾く。するとあらかじめ車に貼り付けてあった呪符が術式を展開し、直後にピンの抜けた手榴弾が召喚される。
 三秒後、轟音を張り上げて弾け飛んだ弾体は漏れ出した燃料を巻き込み、巨大な火柱となってデュールの愛車を天まで突き上げていった。

「あ~あ、とんだ野暮仕事だったな。さっさと帰って一杯やりてえぜ」

 腹の底に響き渡る轟音を感じながら、デュールはもう一つ紫煙を吐き出した。車の補填、依頼主は渋らずに持ってくれるだろうか──。

「アタシも腹減っちまったよ」
「仕方ねえ。適当に歩いたところでヒッチハイクするか」
「プラカードなんて持ってねえだろ? 言っとくけどこんな路上でストリップしてドライバー釣るなんて真似、アタシはゴメンだからな」
「お前……そういうのどこで覚えてくるんだよ」

 どうやら悪い友達と付き合っているらしいと、一丁前に親心らしきものを覚えるデュール。もっとも彼らの根城であるメイザースに悪くない人間がいるのかは甚だ疑問ではあるが、それは今更な話である。とはいえ時は金なり。余計な茶々が入って車もオジャンとなった今、こんな場所でいつまでもアンの頓珍漢に付き合っていてもデフレが進む一方だ。
 そんなわけで手っ取り早く足を捕まえる必要に駆られていたデュールは、何ら悪びれる様子も見せずに懐から銃を取り出した。

「メイザース流で行く。ラブレターなんかよりよっぽど覿面てきめんだぜ」
「はっ、悪党め」

 ──願わくは、これから彼らに脅迫ヒッチハイクされる無辜のドライバーに、安らぎがあらん事を。
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