TRPGの世界に召喚されて全滅した仲間を生き返らせて元の世界へ帰るために、チート能力「ダイス目操作」を駆使してこの世界を蹂躙します。

桐山じゃろ

文字の大きさ
6 / 32

06 初仕事へ

しおりを挟む
 貰った冒険者カードには、「冒険者ランクB」と書かれていた。
 あと、なんとなく本名を名乗るのは今更だったので名前は「デガ」にしておいた。

「ランクBってどういうこと?」
 受付さんから説明がなかったので、ベルに尋ねた。
「冒険者ランクはGからSSSまであります。普通は一番下のGからはじまり、冒険者自身の強さや仕事の成功回数などによって変動します」
「Gから……じゃあどうして僕はいきなりBからなの?」
「ギルド長は必ずランクA以上の方が就任します。その方に圧勝したのですから、Sでもおかしくないはずですよ。ギルドの体裁がどうとか言ってましたね」
 何故かベルが憤慨していらっしゃる。全身から黒いオーラまで出てる。それ聖女が出してもいいやつ? 違うよね?
「それで、ランクが違うと何が違うの?」
 僕が重ねて質問すると、ベルは出していた黒いオーラを引っ込めた。
「請けられる仕事の内容が変わります。簡単に言えば、Gだといちばん簡単で安い仕事しか請けられません。ランクが上がるごとに請けられる仕事内容が難しくなり、報酬も上がります」
 だいたい予想通りの内容だった。
「よくわかったよ。ベルはAって凄いね」
 受付さんが名前を見て驚いたり、ギルドの建物の中に居た人の視線を集めるほどだ。冒険者として有名なのだろう。視線に関してはベルが美人なせいもあるかもしれないけど。
 僕の言葉に、ベルは頬を赤く染めて顔を逸らしてしまった。
「これは、わたくしが聖女だからです」
「その聖女についても詳しく聞いていい?」
 これもだいたい予想通りの返答だった。

 この世界には魔力があり、魔法がある。
 魔法には属性が存在し、生まれつきの素養で決定するものだ。
 強力な癒やしの力を発揮する聖属性を持つ人間は十万人に一人とされ、聖属性持ちだと判明すると、強制的に教会預りとなり、大体十五歳前後で聖者や聖女に認定される。
 聖女認定されてから冒険者登録をすると、自動的にAからスタートになるのだそうだ。
 とはいえ、冒険者になる聖女は少ない。殆どは教会に属して人々のために癒やしの力を振るう……って、あれ?

「ベル、ここにいていいの?」
「はい。わたくしは神の声を聞いたので」



 世界に救世主が現れたという神の声を聞き、救世主をサポートする任を授かったベルは、冒険者として経験を積みつつ、各地を旅していたのだとか。

「そっか。じゃあ、改めてよろしく、ベル」
 僕はベルと仲間として握手しようと手を差し出した。
「っ! は、はい、よろしくお願いします」
 ベルは何故か、顔を紅潮させて僕の手を両手で握り返した。手から震えが伝わる。
「ごめん、これは前の世界に居た時の挨拶なんだけど、嫌だった?」
「違いますっ! 握手はこの世界でも挨拶の意味です……ああ、デガさんの手、直に触れてしまったわ……」
「?」
 挨拶でも僕との握手は嫌だったのかな。今後は控えよう。


「ところで、オークの素材やアイテムは換金しますか?」
 気を取り直したらしいベルが、腰に下げているポーチから牙を取り出した。
「そうだった。えっと、これとこれなんだけど」
 僕が牙を十本と斧を取り出すと、ベルが僕の手元を二度見した。
「オークアックス!? レアじゃないですか!」
「これレアだったんだ。幾らで売れるかな」
「二十万はくだらないですよ! 運がいいですね」
 にじゅうまん。大金だけど、一人分の蘇生費用にすら遠い。でも、当面の宿代には困らないな。
「それはよかった。宿代返せるし、今後は僕が払うよ」
「宿代はいいんです。牙も、一匹から十本も出たのですか?」
「うん」
 ダイスがクリティカル出すからね。
「凄い……さすがは救世主様です!」
 救世主関係あるかなぁ。

 冒険者ギルド内には魔物の素材を買い取ってくれるカウンターもあった。
 早速、牙と斧を換金した。
 斧はベルの言った通り二十万マグ、牙は一本五百マグだから十本で五千マグになった。
「今後魔物を倒すときは、冒険者カードを肌見放さず持っていてくださいね。魔物を討伐した記録が残れば、報酬が貰えますので」
 冒険者カードには、魔物の討伐状況が記録されるのだとか。魔法で動いているらしい。不思議。
 カードを持っていたら、オークは一匹五千マグの報酬が出ていたそうだ。当時の僕は冒険者じゃなかったし、そもそもオークが自爆してたから、どちらにしろノーカウントだったんじゃないかな。

「次は仕事を探しましょう。あそこの板に貼ってあります。適当なのを見繕ってきますので、ここで待っていてください」
 そう言ってベルが板の場所へ向かい、「すみません」と言うと、ベルの顔を見た人が慌てて立ち位置を譲った。やっぱり有名人なのかな。
 ベルは悠々と仕事のメモを見比べ、三つほどメモを板から剥がすと、僕のところへ戻ってきた。
「お待たせしました。このあたりは如何でしょう」
「ねえ、ベルって有名人だったりする?」
 メモを見比べながらベルに問うと、ベルは首を傾げた。
「どうでしょうか。ランクAはこの町に五人だけだそうなので、珍しいだけかと」
 完全に有名人だった。

 ベルが持ってきたメモは、対象冒険者ランクB以上、魔物一体の討伐報酬は十万マグ以上と、かなり高額なものばかりだった。
「場所がよくわからないな。ここからどのくらいかかるの?」
「ワイバーンでひとっ飛びです」



<騎乗(翼竜):大成功 懐かれる>



 町を出て三十分後、僕は空にいた。
「意外と、乗り心地良いね」
「デガさんも流石ですね。クウちゃんがこんなに素直に他人を乗せるの、初めて見ました」
 ワイバーンは町を出て少し歩いてから、ベルが竜の形の笛を吹くと、青い体の翼竜が空から降りてきた。
 ベルが使役しているワイバーンで、名前はクウちゃん。
 クウちゃんはベルが僕を紹介すると、「クルルル」と鳴きながら僕の体に頭を擦り付けてきた。懐いた時の仕草だそうだ。
 誰かに使役されているワイバーンが初対面の人間に懐くのは珍しいらしい。

「ワイバーンを使役するのって、常識なの?」
「聖女や聖者が空飛ぶ獣を手懐けることはよくあります。冒険者が馬を飼うのと似たような感覚ですよ」
 だいぶ慣れてきたベル語を翻訳すると、一般的にはかなり珍しいということだ。
「ん? 獣? ワイバーンは魔物じゃないの?」
「魔物ではありません。魔物のワイバーンも居ますが、クウちゃんは竜族です。こう見えても大人しい良い子ですよ」
 ベルがクウちゃんの首筋を撫でると、クウちゃんはキュロロロ、と気持ちよさそうに鳴いた。
「へぇ」
 色々と驚くことが多くて、僕は生返事しか返せなかった。

 クウちゃんに乗ること暫し。僕たちは町の外の森を抜けた荒野に降り立った。
 あちこちに大きな岩が転がり、枯れかけた木や背の高い草がぽつぽつと群生している。
「ひとつめの仕事で指定されている魔物は、この近くにいます。ここからは、用心してくださいね」

<探知:大成功 魔物の背後をとることができる>

「ベル、あっちだ」
 不意に胸元がざわりとした。僕は周囲を見渡して、「ざわり」を強く感じる方へ、なるべく気配を殺して歩く。ベルも静かについてきた。

 岩陰に、頭が三つ、腕が八本もある、ゴリラを茶色くしてふた周り大きくしたような、猿の魔物が座り込んでいた。頭についている目は全て閉じられている。眠っているようだ。
「ハヌマーンです。どうしますか?」

<先制:大成功 相手は襲撃に気付かない>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 即死>

「僕が」
 短く答えてダガーを抜き、ハヌマーンの背後に駆け寄った。
 僕の脳内イメージでは、この後華麗にハヌマーンの三つある頭を一閃で落としていたのだが……。

 僕はハヌマーンのすぐ近くで盛大にコケた。

「わ、わっ」

 転んだ勢いでダガーを持った手がハヌマーンの首元に届き、ダガーが三つの首の中心を突き刺した。
 ハヌマーンは座り込んだ姿勢のまま、びくりと大きく痙攣した。

 えっと、ダガーがちょうど急所に当たって、即死した……のかな。
 かっこ悪い倒し方になったけど、結果オーライだ。

<レベルアップしました! レベル1→21>
<能力値:1980ポイントを割り振ってください>
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...