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14 大活躍?
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ベルが意識を失う直前に頭を抱えていた話のことは、伏せるべきだと直感した。
「そうだよな。俺は所謂週休二日だけど、デガとベルは毎日仕事してたな」
カイトも同意見だ。
それから、起きると主張するベルに「寝てなさい」と命令し、念のため冒険者ギルド経由でお医者さんを呼んで診てもらった。
「どこも異常はありませんね。疲れでも出たのでしょう。今日と明日くらいまでは、ゆっくりお休みなさい」
カイトがギルド経由で連れてきてくれた女医さんからも言い渡され、ベルはベッドの住人となった。
「デガさんも休んでくださいね」
「そうするよ」
シーツから顔だけ覗かせたベルが、僕をじっと見て僕にも休息を要求した。
皆を一日も早く蘇生させたいが、焦って仕事に失敗しては意味がない。
僕も自宅でゆっくり過ごすことにした。
……が。
「暇」
「暇だな」
家事を終わらせると、本当にやることが無い。
日本ならスマホやパソコン、テレビにゲーム機があったから、何時間でも潰せるのに。
僕に合わせて休日を取ったカイトと共に、リビングのソファーに座ってだらだらしていた。
「カイトはいつもの休日、どう過ごしてるの?」
「ちょっと凝った料理の材料買い出しに行って、仕込みしたりだな」
だからカイトが休みの日はやたら豪華な食事が出るのか。
「いつもありがとうございます」
「いえいえ」
ソファーの上で正座してカイトに頭を下げると、カイトも僕と同じ動きをした。
「……ふっ」
「何やってんだろうな」
お互いニヤニヤ笑った後、僕は立ち上がって、伸びをした。
「ちょっとでかけてくる」
「どこへだ?」
「町ぶらついてくる」
町へは冒険者ギルドと一部の商店へ買い出しに行くだけで、決まったルートしか歩いていない。医者のいる場所すら知らなかったのだ。
散策がてら、町のことを知っておくのも悪くない、と思い立った。
「夕飯までには帰ってくるんですよ」
「はーい、母さん」
なんとなくノリでカイトを母さんと呼んでみたが、何故かすごくしっくりくる。
「母さんはやめろ。いってらっしゃい」
カイトも口ではやめろといいつつ、顔が笑っていた。
<探知:大成功 狙われている>
<探知:大成功 狙われている>
<探知:大成功 狙われている>
家を出て少し歩いた頃。頭の中で勝手にダイスロールが出た。
あえて立ち止まらず、唯一知っている人目に付き辛い袋小路へ入る。
僕が行き止まりを前に立ち止まった途端、背後から人の足音がした。
<回避:大成功 無傷で攻撃を避ける>
<回避:大成功 無傷で攻撃を避ける>
<回避:大成功 無傷で攻撃を避ける>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 与ダメージ99999>
<手加減:大成功 攻撃無効、相手を気絶させる>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 与ダメージ99999>
<手加減:大成功 攻撃無効、相手を気絶させる>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 与ダメージ99999>
<手加減:大成功 攻撃無効、相手を気絶させる>
冒険者になってひと月にも満たないが、ダイスチートのお陰で戦闘での動きは様になってきてると自負してる。
襲撃者たちの攻撃を全て躱し、素手で相手の後頭部を殴り、気絶させた。
全部で三人。いかにも暗殺者といった風な、黒ずくめの格好をしている。顔も覆面で隠れていて、目元しか見えない。
気絶させたはいいが、僕は今、冒険者道具を持っていない。まさか家の外に出ただけで襲われるとは。
少し考えて、相手の服で体を縛ることを思いついた。
<手先:大成功 襲撃者を服で動けなくする>
こんなときにもダイスチートが使えた。
三人の上半身を脱がして縛り上げ、行き止まりの更に隅の方へ転がし、冒険者ギルドへ急いだ。
「休息日に災難だったな。後はこちらに任せろ」
「よろしくお願いします」
冒険者ギルドの受付で、ギルド長を呼んでほしいと頼んだが、ギルド長は休みを取っていた。
副ギルド長という人が出てきたが、僕の話は通っているらしく、襲撃者の後始末を請負ってくれた。
ちなみに副ギルド長は男らしい物言いをするが、女性だ。
お言葉に甘えて襲撃者のことは全て任せ、僕は家へ急いで帰った。
家を出てすぐ、意識していなかった<探知>のダイスロールが出たのだ。
襲撃者たちに家を知られている可能性がある。
家にいるのは、ベッドで寝ているベルと、荒事のできないカイトのみ。
嫌な予感は的中した。
玄関の扉が全開になっている。
「ベル、カイトっ!」
気配を探ると、ベルの部屋に複数の人間がいた。
途中の廊下で、誰かが倒れている。
カイトだ。
頭から血を流している。
心臓が大きく波打つ。
目の前が真っ赤になった。
<先制:大成功 相手は襲撃に気付かない>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 ……
何度かダイスロールが出たのは知っていたが、気がついたときにはベルの部屋で立ち尽くしていた。
「デガ、さん」
ベルはベッドの上で立ち上がり、魔法で障壁を作って身を守っていた。
「ベル、廊下でカイトが倒れてるんだ。手当を頼む」
僕の両手は誰かの血で染まっていた。
部屋の中には倒れている黒ずくめが七人。
全員、息はある。
ただ、体の下に大量の血を流していたり、腕や足がありえない方向に曲がっていたりする。
「わかりました」
ベルは落ち着いた声色で障壁を解くと、僕のところへやってきた。
「治療」
そして何故か僕に治癒魔法を施した。
「ベル? 僕は……」
「指の骨が折れていましたよ。……これでひとまずは大丈夫です。カイトさんも、きっと無事ですから、少し休んでいてください」
ベルが部屋から出ていくと、僕は突然、体に力が入らなくなった。
崩れるように座り込んだ。
「デガ、目ぇ覚めたのか?」
僕の顔を覗き込んでいるのはカイトだ。
言われて初めて、僕は意識を失っていたことと、たった今覚醒したことを自覚した。
それよりもカイトだ。
「カイト、怪我は?」
「ベルが治してくれたよ。もう平気だ」
カイトは自分の頭を手のひらでぽんぽんと叩いてみせた。
「よかった……ごめん、眠い、かも」
「ああ。大活躍だったらしいな。寝とけ」
「うん……」
大活躍って何のことだろう。
自分がベッドに寝かされていることや、ベルのこと、襲撃者達のその後など、聞きたいことはたくさんあったはずなのに……。
*****
「……には行っちゃ駄目だよ」
夢の中で、声を聞いた。
若い男と年老いた男の声が重なっているような声だ。
「君の目的は……なんだから。余計なことしないで」
何の話だろう。
目的があるなら先に言えよ。濁すな。
「聞こえない? ……だよ」
聞こえない。
「うーん、これ以上は干渉できないのか。仕方ない。そのうち分かるよ」
一体何の話だ。
「この世界を……してくれる救世主、頼むよ」
だから、一体……。
*****
目を開けても暗かった。
<暗視:大成功>
寝かされているベッドのサイドテーブルには、見覚えのある燭台と、使いかけの火付け棒がある。
ここは僕の部屋の、僕のベッドの上だ。
上半身を起こそうとして、腹のあたりに何かが乗っているのに気づいた。
ベルだ。僕の上に突っ伏して寝ている。
「ベル」
声を掛けても起きる気配がない。
どのくらい時間が経ったのだろう。
僕がどうにかシーツから抜け出そうと体を動かすと、ベルがぱっと起き上がった。
「デガさん! お加減いかがですか!?」
「どこも痛くないし、大丈夫……わっ!?」
ベルが僕の頭を抱きしめた。
ローブで体型がよくわからないベルだが、相変わらず胸のあたりは極上の柔らかさですねぇ。
じゃなくて!
「ベ、ベル? そ、そうだ、カイトは?」
「カイトさんはご無事です。今は冒険者ギルドで事情説明しています」
「そっか……。ベルは、どこか怪我しなかった?」
「わたくしは平気です。デガさん、ありがとうございました」
「お礼言われるようなことしたかな」
僕がもごもごと呟くと、ベルは僕を抱きしめる腕にますます力を込めた。
「そうだよな。俺は所謂週休二日だけど、デガとベルは毎日仕事してたな」
カイトも同意見だ。
それから、起きると主張するベルに「寝てなさい」と命令し、念のため冒険者ギルド経由でお医者さんを呼んで診てもらった。
「どこも異常はありませんね。疲れでも出たのでしょう。今日と明日くらいまでは、ゆっくりお休みなさい」
カイトがギルド経由で連れてきてくれた女医さんからも言い渡され、ベルはベッドの住人となった。
「デガさんも休んでくださいね」
「そうするよ」
シーツから顔だけ覗かせたベルが、僕をじっと見て僕にも休息を要求した。
皆を一日も早く蘇生させたいが、焦って仕事に失敗しては意味がない。
僕も自宅でゆっくり過ごすことにした。
……が。
「暇」
「暇だな」
家事を終わらせると、本当にやることが無い。
日本ならスマホやパソコン、テレビにゲーム機があったから、何時間でも潰せるのに。
僕に合わせて休日を取ったカイトと共に、リビングのソファーに座ってだらだらしていた。
「カイトはいつもの休日、どう過ごしてるの?」
「ちょっと凝った料理の材料買い出しに行って、仕込みしたりだな」
だからカイトが休みの日はやたら豪華な食事が出るのか。
「いつもありがとうございます」
「いえいえ」
ソファーの上で正座してカイトに頭を下げると、カイトも僕と同じ動きをした。
「……ふっ」
「何やってんだろうな」
お互いニヤニヤ笑った後、僕は立ち上がって、伸びをした。
「ちょっとでかけてくる」
「どこへだ?」
「町ぶらついてくる」
町へは冒険者ギルドと一部の商店へ買い出しに行くだけで、決まったルートしか歩いていない。医者のいる場所すら知らなかったのだ。
散策がてら、町のことを知っておくのも悪くない、と思い立った。
「夕飯までには帰ってくるんですよ」
「はーい、母さん」
なんとなくノリでカイトを母さんと呼んでみたが、何故かすごくしっくりくる。
「母さんはやめろ。いってらっしゃい」
カイトも口ではやめろといいつつ、顔が笑っていた。
<探知:大成功 狙われている>
<探知:大成功 狙われている>
<探知:大成功 狙われている>
家を出て少し歩いた頃。頭の中で勝手にダイスロールが出た。
あえて立ち止まらず、唯一知っている人目に付き辛い袋小路へ入る。
僕が行き止まりを前に立ち止まった途端、背後から人の足音がした。
<回避:大成功 無傷で攻撃を避ける>
<回避:大成功 無傷で攻撃を避ける>
<回避:大成功 無傷で攻撃を避ける>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 与ダメージ99999>
<手加減:大成功 攻撃無効、相手を気絶させる>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 与ダメージ99999>
<手加減:大成功 攻撃無効、相手を気絶させる>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 与ダメージ99999>
<手加減:大成功 攻撃無効、相手を気絶させる>
冒険者になってひと月にも満たないが、ダイスチートのお陰で戦闘での動きは様になってきてると自負してる。
襲撃者たちの攻撃を全て躱し、素手で相手の後頭部を殴り、気絶させた。
全部で三人。いかにも暗殺者といった風な、黒ずくめの格好をしている。顔も覆面で隠れていて、目元しか見えない。
気絶させたはいいが、僕は今、冒険者道具を持っていない。まさか家の外に出ただけで襲われるとは。
少し考えて、相手の服で体を縛ることを思いついた。
<手先:大成功 襲撃者を服で動けなくする>
こんなときにもダイスチートが使えた。
三人の上半身を脱がして縛り上げ、行き止まりの更に隅の方へ転がし、冒険者ギルドへ急いだ。
「休息日に災難だったな。後はこちらに任せろ」
「よろしくお願いします」
冒険者ギルドの受付で、ギルド長を呼んでほしいと頼んだが、ギルド長は休みを取っていた。
副ギルド長という人が出てきたが、僕の話は通っているらしく、襲撃者の後始末を請負ってくれた。
ちなみに副ギルド長は男らしい物言いをするが、女性だ。
お言葉に甘えて襲撃者のことは全て任せ、僕は家へ急いで帰った。
家を出てすぐ、意識していなかった<探知>のダイスロールが出たのだ。
襲撃者たちに家を知られている可能性がある。
家にいるのは、ベッドで寝ているベルと、荒事のできないカイトのみ。
嫌な予感は的中した。
玄関の扉が全開になっている。
「ベル、カイトっ!」
気配を探ると、ベルの部屋に複数の人間がいた。
途中の廊下で、誰かが倒れている。
カイトだ。
頭から血を流している。
心臓が大きく波打つ。
目の前が真っ赤になった。
<先制:大成功 相手は襲撃に気付かない>
<命中:大成功 クリティカルヒット>
<攻撃:大成功 ……
何度かダイスロールが出たのは知っていたが、気がついたときにはベルの部屋で立ち尽くしていた。
「デガ、さん」
ベルはベッドの上で立ち上がり、魔法で障壁を作って身を守っていた。
「ベル、廊下でカイトが倒れてるんだ。手当を頼む」
僕の両手は誰かの血で染まっていた。
部屋の中には倒れている黒ずくめが七人。
全員、息はある。
ただ、体の下に大量の血を流していたり、腕や足がありえない方向に曲がっていたりする。
「わかりました」
ベルは落ち着いた声色で障壁を解くと、僕のところへやってきた。
「治療」
そして何故か僕に治癒魔法を施した。
「ベル? 僕は……」
「指の骨が折れていましたよ。……これでひとまずは大丈夫です。カイトさんも、きっと無事ですから、少し休んでいてください」
ベルが部屋から出ていくと、僕は突然、体に力が入らなくなった。
崩れるように座り込んだ。
「デガ、目ぇ覚めたのか?」
僕の顔を覗き込んでいるのはカイトだ。
言われて初めて、僕は意識を失っていたことと、たった今覚醒したことを自覚した。
それよりもカイトだ。
「カイト、怪我は?」
「ベルが治してくれたよ。もう平気だ」
カイトは自分の頭を手のひらでぽんぽんと叩いてみせた。
「よかった……ごめん、眠い、かも」
「ああ。大活躍だったらしいな。寝とけ」
「うん……」
大活躍って何のことだろう。
自分がベッドに寝かされていることや、ベルのこと、襲撃者達のその後など、聞きたいことはたくさんあったはずなのに……。
*****
「……には行っちゃ駄目だよ」
夢の中で、声を聞いた。
若い男と年老いた男の声が重なっているような声だ。
「君の目的は……なんだから。余計なことしないで」
何の話だろう。
目的があるなら先に言えよ。濁すな。
「聞こえない? ……だよ」
聞こえない。
「うーん、これ以上は干渉できないのか。仕方ない。そのうち分かるよ」
一体何の話だ。
「この世界を……してくれる救世主、頼むよ」
だから、一体……。
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目を開けても暗かった。
<暗視:大成功>
寝かされているベッドのサイドテーブルには、見覚えのある燭台と、使いかけの火付け棒がある。
ここは僕の部屋の、僕のベッドの上だ。
上半身を起こそうとして、腹のあたりに何かが乗っているのに気づいた。
ベルだ。僕の上に突っ伏して寝ている。
「ベル」
声を掛けても起きる気配がない。
どのくらい時間が経ったのだろう。
僕がどうにかシーツから抜け出そうと体を動かすと、ベルがぱっと起き上がった。
「デガさん! お加減いかがですか!?」
「どこも痛くないし、大丈夫……わっ!?」
ベルが僕の頭を抱きしめた。
ローブで体型がよくわからないベルだが、相変わらず胸のあたりは極上の柔らかさですねぇ。
じゃなくて!
「ベ、ベル? そ、そうだ、カイトは?」
「カイトさんはご無事です。今は冒険者ギルドで事情説明しています」
「そっか……。ベルは、どこか怪我しなかった?」
「わたくしは平気です。デガさん、ありがとうございました」
「お礼言われるようなことしたかな」
僕がもごもごと呟くと、ベルは僕を抱きしめる腕にますます力を込めた。
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