ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します

シア07

文字の大きさ
17 / 38

第16話 末路

しおりを挟む
「クソ……なんで俺が…………」

 リンたちが遊びにいった少し前の時間帯のこと。
 一人の少年を先頭に3人組の男たちがダンジョンを歩いていた。
 特にクエストを受けていない。

 場所は12階層。
 この辺の場所なあ出てくる敵も弱い。
 安心できると考えていたのだろう。
 
「意味がわからない。この俺が…………負けるなんて」

 少年の名前はギアル・フォーゼ。
 火炎ファイアーという能力タレントを授かった持ちの人間だった。

「ギアルさん……」

「あれは仕方ないですよ。あの人があんな力を持っていたなんて、知るわけないんですから」

「うるさい。お前たちは黙っていろ!」

「「…………」」

 イライラが溜まっていた。
 ギアルは力を使って、炎の弾を作り出しそれを壁に何発も放出する。
 もちろんダンジョンの壁はそんなもんじゃ壊れない。
 ただ物凄い音が轟いて終わりだった。

「クソクソクソ…………」

「ギアルさんもうやめてください!」

「そうですよ。やめましょうよ。こんなの!」

「うるせぇ、荷物持ちは黙ってろ。俺に……指図するな!」

 さらに壁に向かって力を使う。
 数十回打ち込んだ時にようやく落ち着いた。
 
「クソが…………」

 ギアルはその場に座る。
 弾を打ちすぎて疲れてしまったのだ。
 他の2人はそれを見ながら、一言も話さない。
 でもきちんとギアルの方を向いていた。
 
「なんで……あんな奴に負けたんだ……俺は……俺は強いはずなのに……」

 体を地面に俯けながら言う。

「負けるはずがないと思ってた。そもそもあんな奴に能力タレントすら使わずに勝てると思ってた。それであのざまだ。あのリンとかいうガキにも本気を使っちまってた。なんて無様なんだ、俺は」

 ギアルは生まれて初めて、完膚なきまでの敗北を味わった。
 ここまでへこむのも無理はない。
 
「なにが俺には足りない。あいつの力とどこが違う。そんなの…………ただの才能じゃないか。生まれた時から違うなんて……不公平だろうが」

 そんなことを言っている時だった。

「ギアルさん危ないです! モンスターですよ!」

「モンスターか。面倒くさい」

 あれだけ大きな音を出していたのだ。
 モンスターに気づかれない方がおかしかった。

 ギアルは立ち上がり、炎の槍を作る。
 それを構えて、きたモンスターにぶつけていく。
 あっけなく近くに来ていたモンスターは死に至った。 

「はぁ……やっぱりこいつらは弱い。こんな簡単に死にやがる」

 なにごともなかったかのようにまた地面に座りだす。
 歯を食いしばって、拳に力が入っていた。
 それを見かねた2人が言う。

「ギアルさん……やっぱり帰りましょうよ。ここにいたらもっと感情が酷くなるだけです」

「そうですよ。いまの戦闘でわかったじゃないですか。ギアルさんは強いんです。12層のモンスターを一瞬でなぎはらうだけなんて。他の冒険者には……」

「うるさい。これくらいならあいつの方がもっとうまくやる」

 言葉を遮るように言う。
 いつものギアルではないと2人は思った。
 言葉遣いが弱弱しくなっていた。

「俺はいつも一番だった。家族でも生まれ育った村も、この町も。本来ならそうだった。でも違った。あいつがいた。俺はあいつに負けた。なにも抵抗できず、無様に負けたんだ」

 圧倒的な実力の差。
 それを生まれて初めて思い知った。
 精神的にギアルはダメージを受けていたのだ。
 受けた傷はどんどんと止まることなく広がっていく。
 
「俺は一番になりたい。この世のなにもかもすべて一番でいたいんだよ。だから、あいつを超えないといけない。でも……勝てないじゃないか」

「ギアルさん……」

「……一番じゃない俺には価値なんてない。もういい。このパーティーは今日をもって解散にしよう」

「「え!?」」

「お前たちも自分の人生を歩め。このまま冒険者になりたかったで他のパーティーに入ればいい。違う場所に引っ越したいならそっちに行けばいい。とにかく、このパーティーは解散にする」
 
「そんな……僕はまだギアルさんのところに居たいです!」

「聞こえなかったのか、解散と言ったんだ。俺のもとに残るだとか、残らないだとかは関係ない」

 炎の弾をつくりだし、それを発射する。
 2人の間ギリギリを通り空いていった。
 まるで、これ以上関わってくるなら容赦はしないと言わんとばかりに。

 2人はその攻撃に驚いて対処ができない。
 
「ふ、勝手に出て行ってくれ。お前らがいれば、12階層くらいなら帰れるだろ」

 ギアルは体育座りをして顔を伏せる。
 もう、なにかする気力はなかった。

 少し経った頃、かさかさと足音が遠くなっていくのが聞こえた。
 どうやらわかってくれたらしい。
 そう思っていた。
 だが。

「痛! なんだ……」

 なにか足に物が当たる。
 顔をあげてみてみると。

「い、石……?」

「このギアルさんの馬鹿あああああああああああ!」

 叫んでいる方に焦点を当てると、石をもった二人組がいた。
 思いっきり俺の方に投げて来る。
 よけようとするが、普通に命中した。
 石をあいつに投げ続けていたからうまくなっているのだろう。

「い、痛い……なにしやがるお前ら!」

「馬鹿ですかあなたは! どこかに行くとかそうじゃないんです。ギアルさんについて行きたいんです!」

「そうですよ、あまり僕たちの忠誠心を舐めないでください!」

 2人は当たりまえのように言った。
 自信と誇りをもってそう言った。

「なんでだ……なんで、お前たちは俺に着いて来てくれる。こんなにも酷く突き放したのに、どうして……俺なんかと……」

「そんなのギアルさんが好きだからに決まってるでしょう!」

「好きだからずっと一緒に居るんです。そんなこともわからなかったんですか!」

「お前ら…………」

 ギアルのまぶたに涙が少しだけ流れて来る。
 バレないように上を向きながら言った。

「わかった。……今日から新パーティーとして正式に登録した。今度こそ…………天下とるぞ」

「「おお!」」

 そんな時だった。
 前からモンスターが現れる。

「……おい、早速初仕事だ。元気出してやるぞ!」

「「はい!」」

 2人は剣を構え、ギアルは炎を手に出す。
 やってきているのは狼系のモンスター【ウルフガンド】の群れで数十匹いた。
 ギアルは1匹の力は弱いが数でおしきられるとマズイと判断する。
 注意を怠らない。

「来る!」

 どんどんと迫ってくる。
 緊張感が漂う。
 攻撃される、そう思った。

「は?」

 しかし、思惑とは違い奴らはなにもしてこなかった。
 その【ウルフガンド】の群れは俺たちの近くを通り過ぎてどこかに行ってしまった。

「なんだ……今の……」
 
 初めて見たことに違和感を抱く。
 嫌な予感がした。
 冷や汗が身体中に出てくる。

「俺たちにびびって逃げたんですかね!」

「違う……そんなはずはない。まだ、なにもしてないんだぞ」

「じゃあ、いったい……」

「例えばそうだな……他に俺たちよりも強そうな冒険者かモンスターは居て、それから逃げて……いるって……!? マズイ、いますぐにここから離れるぞ」

 ギアルはそこで気づく。
 2人はギアルについて行こうとするが。

「…………遅かったか」

 後ろから爆音とともに巨大な影が現れる。

「な、なんですか、あれ!」

「ドラゴンみたいですけど……」

「俺も見たことないぞ。いったい、どこから来たんだ、こいつ」

 虹色に光った巨体。【レインボードラゴン】というべきか。
 そのモンスターはギアルたちを見つけ、近くにやってくる。

「逃げろ! 今すぐに! あれは俺たちじゃ倒せない」

 すぐに逃げることを選択する。
 体を動かし、その場から離れた。
 だが、奴のスピードはすさまじく一瞬にして追い付かれる。

「クソ……こんなところで終わってたまるか。業火の弓矢フレイムアロー

 弓矢で攻撃してみるものの矢は内側にもいかず、跳ね返される。

「硬すぎる……なんだよこいつ」

 そいて奴の攻撃が口から放出される。
 俺と同じ炎だった。
 だが、威力が違う。それも桁違いに違う。
 青白い炎だった。
 
「逃げろ……こんなの……かなうはずが」

 ギアルの声も虚しく、奴の攻撃によって2人はひとたまりもなく焼かれる。
 黒焦げになった。

「は? 嘘……だろ……」

 ギアルにとって目の前の光景が信じられない。
 せっかく立ち直れたというのに、2人が死んでしまったのならどうしようもない。
 足が動かず、その場に立ち尽くす。 

 そして、最後にギアルも。

 同じ青い炎に焼かれて死んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

追放された荷物持ち、【分解】と【再構築】で万物創造師になる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

黒崎隼人
ファンタジー
勇者パーティーから「足手まとい」と捨てられた荷物持ちのベルク。しかし、彼が持つ外れスキル【分解】と【再構築】は、万物を意のままに創り変える「神の御業」だった! 覚醒した彼は、虐げられていた聖女ルナを救い、辺境で悠々自適なスローライフを開始する。壊れた伝説の剣を直し、ゴミから最強装備を量産し、やがて彼は世界を救う英雄へ。 一方、彼を捨てた勇者たちは没落の一途を辿り……。 最強の職人が送る、痛快な大逆転&ざまぁファンタジー!

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

処理中です...