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第15話 平和か否か
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「ん…………どこだ、ここ」
体が覚醒する。
目を開けてみると、知らない天井が見えた。
いったいどこにいるのかわからず、心配になる。
とりあえず、ゆっくりと体を動かしてみた。
筋肉を動かすと体がピリピリして痛みがくる。
筋肉痛だろう。
仕方なく、視線だけ周りを見渡す。
「やっと起きましたね、レンさん!」
「リン……か」
すぐそこにはリンがいた。
俺の目線で気づいて、近寄ってくる。
「傷は……どうだ、大丈夫か?」
「おかげさまで傷なんて一つもありませんよ。ほらばっちりです!」
服をめくって腕を見せてくる。
傷は一つもない。
どうやら俺が治したのは夢ではなかったみたいだ。
本当によかった。
心からそう思った。
「あ、そういえば…………はい、これ」
すると、荷物を渡される。
あの時俺が店においていった荷物だった。
回復薬から食料まで買ったものすべて入っている。
「どうしてそれをリンが持っているんだ?」
「少し前にあそこの店で働いていたので、あの店主さんと私、知り合いだったんですよ。起きた時にちょうど店長さんがいて、ついでにこれを渡してくれって言われたので」
「そういうことか……」
「この傷のこともその店主さんから聞いたんです。レンさんが私のために治してくれったって。辛そうだったのも聞きました。本当にありがとうございます。3回も命を救われるなんて……なんていえばいいのか……」
頭を下げられる。
俺は突然のことに混乱しつつも言う。
「……別に大したことじゃない。ちゃんとした等価交換。お前は俺を守ろうとしてくれた。だから、助けた。それだけだ」
「ふ……レンさんはいつも優しいですね」
「そうか? 俺は自分をまったく優しいとは思ったことはないけどな」
「優しいですよ。尊敬しているくらい」
「…………」
本気のまなざしでそう言われるとこっちが照れる。
俺は少しそっぽを向く。
「…………それで、ここはどこなんだ?」
「普通に私が借りている宿舎ですけど」
「お前の家なのかよ。てっきりその辺の適当な場所かと思ってたんだが……」
「当たり前じゃないですか。レンさんほぼ丸一日寝ていたんですから」
「俺、そんなに……寝ていたのか……」
窓から外の景色を見てみる。
昼のように見えた。
俺があの時戦っていたのも昼だったので本当に1日寝ていたのだろう。
「この家……どうにかならないのか」
「お金がないからしょうがないんですよ……」
それにしてもこの宿は狭い。
ものが全然おけない上に床の品質も低い。
リンは相当安い宿に泊まっているのだろう。
そこはどうにもならないのだから、仕方がない。
「ていうか、俺が寝ている間、変なことしなかっただろうな」
「変なことですか!? 流石にしてませんよ! 私のことなんだと思っているんです。……強いて言えばちょっとだけ寝顔を眺めていたぐらいですから!」
「それも人によってはアウトな気もするが……まあいい。とりあえずは一旦ここから退散するか」
「もう行っちゃうんですか!? まだ居てもいいのに……」
「ここにずっといても悪いからな。自分の家で寝た方が寝心地は絶対いい」
「くぅ……これが低賃金冒険者との差ですか……」
首が少し痛い。
俺の家ならこんな風に寝違えたりしない。
柔らかくて気持ちがいい。
そんな事を考えながら俺は気づく。
もうあの家に帰ってもいいんだということに。
これ以上あいつらにいじめられることはないのだから。
「…………じゃあ俺はもう行くぞ」
「いや、ちょっと待ってください!」
「なんだよ……」
体を起きあげて帰ろうとするが、止められる。
「今日、これから私と一緒にこの町を周りませんか?」
「なんでだよ。いきなりすぎる」
「いきなりなんかじゃありません。レンさんが寝ている間ずっと考えていました。やっと終わったんですよ。レンさんをいじめてくる奴らはもう……いないんです」
「それは……たしかにそうだが……」
「今日ぐらい一緒にレンさんと遊んでみたいんです。遊んだことなんてないですし、いいじゃないですか!」
「強情な奴だなあ」
「でももし、レンさんが眠くて行きたくないとか面倒くさいとか思っているなら諦めますけど。……ダメ……ですか?」
「…………」
あざとらしく聞いてくる。
俺は深くため息をついた。
「…………仕方ない奴だな。行くぞ」
そう言われてしまったら行くとしかいわざるを得なかった。
リンはもしかしたら俺が押しに弱いことに気づいているのもしれない。
それだとしたら策士すぎる。
「やったあああ! レンさんと二人で遊びにいけるんですね!」
「……いますぐに準備しろ。できるだけ早く帰るからな」
「はい!」
というわけでリンと一緒に遊びにいくことにした。
遊びにいくといってもこの町を探検するだけらしい。
そもそも俺はここに約3年住んでいるが、ほとんどギルドと商店街付近しかいかないので初めての経験である。
少しだけだが、わくわくしている感じはあった。
「まずはあそこから行きましょう!」
「わかったから、あんまりはしゃぐな」
「そんなの無理ですよ。面白そうなんですもん!」
「はいはい、落ち着けって」
リンが楽しそうにはしゃぎながら指を差す。
俺はリンに連れられて、そこに行ってみることにした。
そんなことを何度も何度も繰り返した。
誰もいなそうな近くにある山に行って景色を堪能してみたり。
普段は絶対に行かない服屋に入ってみたり。
商店街で食べ歩きしてみたり。
劇的で、濃い一日だった。
レアルスタルという町を堪能した。
「今日一日、楽しかったですね……」
「まあ、そうだな」
そろそろ夕方に差し迫ろうとしていたころに言われる。
もう遊ぶ時間は終わろうとしていた。
時間的にいえば、本当に少なかったと思う。
それでもここまで印象深く残っているのだから、本当に凄い。
「今日はもう帰るぞ」
「嫌です。……まだ帰りません」
「わがままいうな。時間は時間だろ」
「そうですけど……最後に言っておきたい所があるんです。別に特別な場所ではないですけど」
「どこだ?」
「ギルドです」
「ギルド? なんでだ」
俺は不思議に思い聞いてみる。
リンは空の彼方を向きながら言った。
「やっぱり……私、このままレンさんとの関係を終わるのが嫌なんです。ずっとこれからも冒険がしたい。昨日みたいな大変な事件があっても……きっとレンさんと私なら乗り越えられる気がするんです。だから、ギルドに行って……もう一度クエストでも受けてみようかな……なんて思ってるんですよ、私は」
「リン…………」
「また、レンさんと一緒に冒険がしたい。一回と言わず二回、三回、もっと…………永遠とパーティーを組んでいたいんです。私はただレンさんと一緒にいたいだけですから」
「お前…………もしかして、それを言いたくて誘ったのか?」
「半分正解で、半分不正解です。レンさんと遊びだくて誘ったのもありますから」
「半分もあってるなら上出来だろ」
「女の子が出した問題には全部正解するのが男の子の務めなんですよ」
「なに、大人っぽくそんなこと語っていやがる。リンはまだ子供なんだから、生意気言ってんじゃないぞ」
「あ、私のこと子供扱いしましたね! 私は子供じゃないんですよ! もう立派な大人です!」
「はいはい…………ふぅ…………ギルド、行くか」
「……!? はい!」
最後にギルドに行くことにした。
適当なクエストを受けて、また明日集合する。
特に変わったことではない。
他のパーティーならみんなやっていることだ。
でもなんだか、俺にとってそれは特別な気がしてならなかった。
ギルドに着き、なかに入る。
いつもとは視線の強さが違った。
あのような馬鹿にしているような目ではない。
逆に警戒されているような視線が多く感じる。
昨日の事件があったから当たり前といえば当たり前か。
さらに奥に進んで受付に行こうとする。
そこで一言、俺は声をかけられた。
「……やっと来たか。いやはや来ると思っていたのだが、なかなか来なくて焦ったぞレン」
凛としたたたずまい。
女性にしては強い言葉口調。
黒髪のポニーテールで、黒装束のスーツ姿。
そしてどことなくカリスマの雰囲気をかもし出す。その人は。
「ギルド長……」
「久しいな、元気にしていたか?」
ギルド長、フィル・エルゼベエトだった。
体が覚醒する。
目を開けてみると、知らない天井が見えた。
いったいどこにいるのかわからず、心配になる。
とりあえず、ゆっくりと体を動かしてみた。
筋肉を動かすと体がピリピリして痛みがくる。
筋肉痛だろう。
仕方なく、視線だけ周りを見渡す。
「やっと起きましたね、レンさん!」
「リン……か」
すぐそこにはリンがいた。
俺の目線で気づいて、近寄ってくる。
「傷は……どうだ、大丈夫か?」
「おかげさまで傷なんて一つもありませんよ。ほらばっちりです!」
服をめくって腕を見せてくる。
傷は一つもない。
どうやら俺が治したのは夢ではなかったみたいだ。
本当によかった。
心からそう思った。
「あ、そういえば…………はい、これ」
すると、荷物を渡される。
あの時俺が店においていった荷物だった。
回復薬から食料まで買ったものすべて入っている。
「どうしてそれをリンが持っているんだ?」
「少し前にあそこの店で働いていたので、あの店主さんと私、知り合いだったんですよ。起きた時にちょうど店長さんがいて、ついでにこれを渡してくれって言われたので」
「そういうことか……」
「この傷のこともその店主さんから聞いたんです。レンさんが私のために治してくれったって。辛そうだったのも聞きました。本当にありがとうございます。3回も命を救われるなんて……なんていえばいいのか……」
頭を下げられる。
俺は突然のことに混乱しつつも言う。
「……別に大したことじゃない。ちゃんとした等価交換。お前は俺を守ろうとしてくれた。だから、助けた。それだけだ」
「ふ……レンさんはいつも優しいですね」
「そうか? 俺は自分をまったく優しいとは思ったことはないけどな」
「優しいですよ。尊敬しているくらい」
「…………」
本気のまなざしでそう言われるとこっちが照れる。
俺は少しそっぽを向く。
「…………それで、ここはどこなんだ?」
「普通に私が借りている宿舎ですけど」
「お前の家なのかよ。てっきりその辺の適当な場所かと思ってたんだが……」
「当たり前じゃないですか。レンさんほぼ丸一日寝ていたんですから」
「俺、そんなに……寝ていたのか……」
窓から外の景色を見てみる。
昼のように見えた。
俺があの時戦っていたのも昼だったので本当に1日寝ていたのだろう。
「この家……どうにかならないのか」
「お金がないからしょうがないんですよ……」
それにしてもこの宿は狭い。
ものが全然おけない上に床の品質も低い。
リンは相当安い宿に泊まっているのだろう。
そこはどうにもならないのだから、仕方がない。
「ていうか、俺が寝ている間、変なことしなかっただろうな」
「変なことですか!? 流石にしてませんよ! 私のことなんだと思っているんです。……強いて言えばちょっとだけ寝顔を眺めていたぐらいですから!」
「それも人によってはアウトな気もするが……まあいい。とりあえずは一旦ここから退散するか」
「もう行っちゃうんですか!? まだ居てもいいのに……」
「ここにずっといても悪いからな。自分の家で寝た方が寝心地は絶対いい」
「くぅ……これが低賃金冒険者との差ですか……」
首が少し痛い。
俺の家ならこんな風に寝違えたりしない。
柔らかくて気持ちがいい。
そんな事を考えながら俺は気づく。
もうあの家に帰ってもいいんだということに。
これ以上あいつらにいじめられることはないのだから。
「…………じゃあ俺はもう行くぞ」
「いや、ちょっと待ってください!」
「なんだよ……」
体を起きあげて帰ろうとするが、止められる。
「今日、これから私と一緒にこの町を周りませんか?」
「なんでだよ。いきなりすぎる」
「いきなりなんかじゃありません。レンさんが寝ている間ずっと考えていました。やっと終わったんですよ。レンさんをいじめてくる奴らはもう……いないんです」
「それは……たしかにそうだが……」
「今日ぐらい一緒にレンさんと遊んでみたいんです。遊んだことなんてないですし、いいじゃないですか!」
「強情な奴だなあ」
「でももし、レンさんが眠くて行きたくないとか面倒くさいとか思っているなら諦めますけど。……ダメ……ですか?」
「…………」
あざとらしく聞いてくる。
俺は深くため息をついた。
「…………仕方ない奴だな。行くぞ」
そう言われてしまったら行くとしかいわざるを得なかった。
リンはもしかしたら俺が押しに弱いことに気づいているのもしれない。
それだとしたら策士すぎる。
「やったあああ! レンさんと二人で遊びにいけるんですね!」
「……いますぐに準備しろ。できるだけ早く帰るからな」
「はい!」
というわけでリンと一緒に遊びにいくことにした。
遊びにいくといってもこの町を探検するだけらしい。
そもそも俺はここに約3年住んでいるが、ほとんどギルドと商店街付近しかいかないので初めての経験である。
少しだけだが、わくわくしている感じはあった。
「まずはあそこから行きましょう!」
「わかったから、あんまりはしゃぐな」
「そんなの無理ですよ。面白そうなんですもん!」
「はいはい、落ち着けって」
リンが楽しそうにはしゃぎながら指を差す。
俺はリンに連れられて、そこに行ってみることにした。
そんなことを何度も何度も繰り返した。
誰もいなそうな近くにある山に行って景色を堪能してみたり。
普段は絶対に行かない服屋に入ってみたり。
商店街で食べ歩きしてみたり。
劇的で、濃い一日だった。
レアルスタルという町を堪能した。
「今日一日、楽しかったですね……」
「まあ、そうだな」
そろそろ夕方に差し迫ろうとしていたころに言われる。
もう遊ぶ時間は終わろうとしていた。
時間的にいえば、本当に少なかったと思う。
それでもここまで印象深く残っているのだから、本当に凄い。
「今日はもう帰るぞ」
「嫌です。……まだ帰りません」
「わがままいうな。時間は時間だろ」
「そうですけど……最後に言っておきたい所があるんです。別に特別な場所ではないですけど」
「どこだ?」
「ギルドです」
「ギルド? なんでだ」
俺は不思議に思い聞いてみる。
リンは空の彼方を向きながら言った。
「やっぱり……私、このままレンさんとの関係を終わるのが嫌なんです。ずっとこれからも冒険がしたい。昨日みたいな大変な事件があっても……きっとレンさんと私なら乗り越えられる気がするんです。だから、ギルドに行って……もう一度クエストでも受けてみようかな……なんて思ってるんですよ、私は」
「リン…………」
「また、レンさんと一緒に冒険がしたい。一回と言わず二回、三回、もっと…………永遠とパーティーを組んでいたいんです。私はただレンさんと一緒にいたいだけですから」
「お前…………もしかして、それを言いたくて誘ったのか?」
「半分正解で、半分不正解です。レンさんと遊びだくて誘ったのもありますから」
「半分もあってるなら上出来だろ」
「女の子が出した問題には全部正解するのが男の子の務めなんですよ」
「なに、大人っぽくそんなこと語っていやがる。リンはまだ子供なんだから、生意気言ってんじゃないぞ」
「あ、私のこと子供扱いしましたね! 私は子供じゃないんですよ! もう立派な大人です!」
「はいはい…………ふぅ…………ギルド、行くか」
「……!? はい!」
最後にギルドに行くことにした。
適当なクエストを受けて、また明日集合する。
特に変わったことではない。
他のパーティーならみんなやっていることだ。
でもなんだか、俺にとってそれは特別な気がしてならなかった。
ギルドに着き、なかに入る。
いつもとは視線の強さが違った。
あのような馬鹿にしているような目ではない。
逆に警戒されているような視線が多く感じる。
昨日の事件があったから当たり前といえば当たり前か。
さらに奥に進んで受付に行こうとする。
そこで一言、俺は声をかけられた。
「……やっと来たか。いやはや来ると思っていたのだが、なかなか来なくて焦ったぞレン」
凛としたたたずまい。
女性にしては強い言葉口調。
黒髪のポニーテールで、黒装束のスーツ姿。
そしてどことなくカリスマの雰囲気をかもし出す。その人は。
「ギルド長……」
「久しいな、元気にしていたか?」
ギルド長、フィル・エルゼベエトだった。
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