ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します

シア07

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第28話 覚醒と決着

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 負ける。
 また負ける。
 なにも出来ずにあっけなく負けて、殺される。
 
 恐怖と後悔と嫉妬と嫌悪。
 それが俺の心に入り混じっていた。
 押しつぶされていく。
 絶望に満たされていく。

 そして、体のなかがおかしくなっていった。 
 なにかに汚染されていく。
 
「大丈夫、楽に殺してあげるから」

 そういって少女は俺の方に近づいてきていた。
 ゆっくりとゆっくりと獣を狩るライオンのように、こっちに来る。
 ここでなにもしなかったら本当に殺されてしまう。

「じゃあ、バイバイ」

 鎌が思い切り振られる。
 俺の首を刈り取ろうと狙っていた。
 ゆっくりと目を閉じ、なにもせず、攻撃を待っていた。

 まるで処刑だ。
 あの時の罪がようやくここで尽きる。
 これでよかったのかもしれない。
 殺される運命を願っていたのかもしれない。そう思った。

 だが、同時に他にも思ってしまった。
 
 本当にこのまま死んでいいのかと。
 なにもせず、堕落に殺されるのかと。
 死んで悔いはないのかと。

「…………」

 脳内に一番初めに浮かんだのはリンの姿だった。
 笑顔でにこやかで俺を照らしてくれる光で、俺もリンの後をついて行く。
 しかし、炎が出てきた。一瞬にしてリンの姿が消されていく。
 追い求めてもリンはそこにはいなくて、探しても見つからない。

 そんな未来がこれから訪れるかもしれない。
 リンがいない世界。
 それだけは…………絶対に嫌だ。
 未来を変えないといけない。

 本当に世界は冷酷で、身勝手で、それでいて残酷だ。
 まったく俺の思い通りに行かない。
 どれだけ頑張ってもあがいても俺の思いは打ち砕かれる。
 
 だから、俺は決心した。
 身体中に力を入れる。 
 すべてを破壊するくらいの本気の力を。

「…………!?」

 首を切られる寸前、俺は鎌を腕で振り払った。
 その瞬間、鎌は塵に消える。
 俺の力、分解セパレートで消した。

「力を…………使った?」

「そうだ。俺の力だ。…………だが、いままでの俺とは少し違う」

 俺は目を開けて、真っすぐ少女の方を見る。
 迷いはない。 

「罪も罰も俺が全部背負って見せる。あの時のような、俺の失態はもみ消せない。だからこそ、俺の力は俺が決める。俺が思うように使って、破壊して見せる。証明して見せる」

 俺はそう少女に言う。
 封印していた力を開放する。

 あの時、俺が起こした事件で死んだ人もたくさんいる。
 その罪は見過ごせないし、捨てれない。
 だから、その業を背負ってやる。

 もうミスはしない。
 背負ったまま戦って、勝って証明する。

「……意味がわからないよ。どういう意味かな」

「つまり……俺の力は無限大ってことだ」

 もうなにも怖いものはない。
 怖いとおびえていた自分はいない。
 なんでもできる気がする。
 
「まあいいや。強くなった気でいるみたいだけど、ちゃんと殺してあげる」

「ラウンド2といこうか」

 バトルが再開する。 
 少女が俺を睨んでいる間、俺は腕から新しくエネルギーを作り出す。
 エネルギーといってもただのエネルギーではない。

 俺の量子パーティクル原初の能力、量子創造パーティクルクリエイト
 すべての粒子、原子を創り出せる力。
 それを使えばこの世のすべてを創造できる。

 もちろん、炎も水もそうだ。
 爆弾でさえ俺にならできる。

「立場逆転だな」

「…………余裕そうだね」

「当たり前だろ。負ける未来が見えない。いま降参するなら許さんこともないぞ」

「やめておくよ」

「そうか。じゃあ…………死ね」
 
 そういって少女よりも先に動く。
 わざわざ瞬間移動テレポーテーションは使わず、足からエネルギーを出した。
 秒数にして0.01秒。
 その短時間で俺の体はすでに少女の目の前にあった。

「爆」

 右手から飛び出たエネルギーが爆発する。
 爆発は大きくその場に轟いた。
 爆発した部分から円状に地面が黒ずみ、なにも残っていない。
 つまり逃げられたという事だ。

「ふぅ……危ないね今の。死ぬかと思ったよ」

「お前…………やっぱりバケモノだな」

「酷いなあ。女の子にバケモノなんて言い方……まあ、褒められているみたいだし悪い気はしないけどさ」

 あの攻撃を避けることなんて普通は出来ない。
 そもそも目で追えるはずがない。
 どう訓練したらそうなるのだろう。
 疑問でしかない。

「……今度はこっちから行くよ」

 少女が走り出す。
 俺はキョロキョロと目を動かしながら動向をうかがう。

「来たか……」

 こっちに鎌が向かってくる音がする。
 前の俺ならば瞬間移動テレポーテーションで避けていた。だが、もうその必要がない。

「消えろ」

 体に触れる直前、俺はエネルギーをこめる。
 そして放出。
 鎌とエネルギーはふれあい、消えて行った。

「その攻撃は通用しないぞ。諦めろ」

「……まだまだこれからだよ」

 少女はとまって新しく鎌を出し、また走り出した。

「こりない奴だな」

 どんな攻撃が来るかはわからない。
 だが、脳内に敗北の文字はない。

 鎌がまた飛んでくる。
 俺は同じようにエネルギーを使って破壊した。
 すると、

「後ろか……」

 少女は気づいた時にはすでに俺の背中側にいた。 
 鎌を飛ばしても勝てないと思ったのか、直接来ていたらしい。 
 軽々と首を傾けて鎌をよけ、腕で破壊する。

「あっけないな。これで終わりか」
  
「終わり? 残念、まだ終わりじゃないよ。私の奥義、見せてあげる」

 少女がゆっくりと首を曲げた。
 その奥にはもう一つの鎌があった。
 
「なに!?」

「私が扱える鎌は全部で3つ。これが私の奥義、破壊の三段構えデッドバーントロイス。終わるのは君の方だよ」

 最初に鎌を投げて攻撃、それと同時に逆側にも投げておく。
 そうすればこの攻撃が出来上がるって寸法か。
 なるほどうまいことやれている。鎌だけでこれだけの攻撃パターンを生み出せる。
 それだけで普通の能力タレント持ちや冒険者よりは明らかに強い。

 それに、攻撃を受けそうになることに注意を払うから逆側に攻撃がされているなんてそうそう気づけない。
 リンやシンヤ。その辺りだったら簡単に騙されて、殺されていただろう。
 でも、相手が悪かった。

 俺は体全体に力を込め、近くを爆発させる。
 その爆風で鎌を吹き飛ばした。
 完全に彼女の攻撃を完封した。

「ごほごほ……うわ、今の防がれちゃったか……」

「もう、わかっただろ。お前の奥義とやらも効果なかったんだ。意味はもうない、諦めてこのモンスターたちを止めろ」

 周りを見る。
 さっきよりもさらに死体で広がっていた。
 たくさんの屍があることに憤りを覚える。

「意味はあるよ。…………私にはまだ秘策はあるから」
 
「そうか。どうしても嫌ってことか。……じゃあもう……終わりにしよう」

 俺はそういって今度は足からエネルギーを放出する。
 そのエネルギーで空を飛んだ。
 ある程度高く舞い上がり、腕に力を入れる。

「くたばれクソ野郎」

 エネルギー弾。
 量子創造パーティクルクリエイトによって創りあげられたエネルギーを凝縮、縮小し、球として成り立たせたもの。

 当然誰にも止められるはずがない。
 何故ならあの時、暴走したあの瞬間に出た最強の攻撃なのだから。

 俺はそれを空から下に向けて解き放った。
 その場のすべてを破壊した。
 
 その瞬間、決着はついた。
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