ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します

シア07

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第30話 危機と希望

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 瞬間移動テレポーテーションをして真剣にギルドの方へ走って行く。
 あの仮面の少女と戦っていたせいで相当離れた距離に行ってしまっていた。
 戻るのにも少し時間が掛かりそうだ。

「クソ……どうして気づかなかったんだ。これが罠だってことに……」

 走りながら思う。 
 彼女がわざわざ俺をこんな場所まで引き付けた理由もそれなんだろう。
 少女よりも先に優先すべきだったのは【極玉】の方だった。
 俺はモンスターを退治しながらギルドに残って、みんなと守るべきだった。

「…………でもな。あそこで守っていたとしてもあの仮面の少女が来ていたら意味ないしな。…………結局、町を襲われた時点で俺たちは詰んでいたってことか」

 これ以上考えてもダメだ。沼にハマる。
 とにかく俺がいますべきはリンたちや冒険者の方に行き、支援することとあの……ボスを殺すことだ。

 ボスを観察する。
 物凄く大きい巨体のものが3体いた。
 場所は少しずつ離れて設置されていて、冒険者たちが交戦していた。
 しかし、ボスを3体も簡単に倒せるわけなく冒険者たちは無限に狩り続けられていた。
 悲鳴が聞こえてくるたび、俺はいたたまれない気持ちになる。
 
「速く行かないと…………」

 俺はさらに瞬間移動テレポーテーションのスピードを上げる。 
 まずはリンの方へと向かった。
 あいつらは声もデカいし、見た目も派手なのでわかりやすい。
 遠くからでも見えた。

「ふぅ…………やっと着いたか」

「あれ、レンさん!? ていうか飛んでる!?」

 俺は空中を飛びながら移動し、一瞬でその場所に着いた。
 リンたちは協力してモンスター退治をしているようだった。 
 着くころには息が切れていて、疲れていた。
 俺はすぐに空中から降りて、その場で膝に手を置いて、過呼吸になる。

「だ、大丈夫ですか!?」

「…………大丈夫だ。問題ない」

 集中力、体力、すべてが削り取られた感じだ。
 そもそもこの瞬間移動テレポーテーションは量子もつれを利用するために体を一瞬量子レベルに分解するのだ。
 だから相当に疲れる上に力を制御するために集中力をも伴う。
 こうなるのも当然だろう。
  
 しかし、俺は疲れているようなそぶりを見せず、言う。

「それよりも今の状況はどうなっているんだ。怪我とかはないか?」

「怪我は今のところない。状況は見たらわかるだろう。倒しても倒してもキリがないんだ。まるでゾンビのようにな」

「……そうか」

 ライオネルが敵を倒しながら答えてくれる。
 あの仮面の少女がいうにはこれらはすべてコピーのモンスターということらしい。
 つまり、無限に作り出せるという事だ。
 倒しても倒してもいるというのならそういうことなのだろう。

「……このモンスターども……邪魔だな」

 俺も近くにモンスターが寄って来たので、軽く分解セパレートしておいた。
 力は出せない。
 こんなところであのエネルギーなんかだして暴走でもしたら取り返しがつかない。
 
「それよりもレンの方はどうなったんだよ? あの仮面の女……倒したのか?」

 俺たちはモンスターを倒しながら会話をする。
 どれだけ攻撃しても終わりがこなそうだ。

「まあ、一応やるにはやった。だが、それは罠だった」

「罠?」

「あそこにボスが見えるだろ。3体のボスだ」

「ああ、見えるな。俺が見た感じだと20階層、21階層、22階層のボスっぽいな。俺たちもあの作戦に参加してたから覚えがあるんだ。まあ、急に出てきたからびびっちまったけどな」

「……あれが彼女たちの秘策だ。俺をこっちに引き付けておいて、ギルドを叩く。俺たちはその策に引っかかった」

「なるほど……そういうことですか」

「……俺はあれをどうにか倒しに行きたい。でも…………お前らだけをここにおいておくわけには行かない」

「なんでですか! 私たちだけでも出来ますよ!」

「無理だろ。見たらわかる」

 本当に見ただけでわかる。
 全員の体力が相当削られている。
 みんな少なからず疲れているのだ。
 後少しでも俺が来るのが遅かったら誰かがやられていたかもしれないくらいに。

「…………」

 悩む。
 もし、ここにおいていってリンや他の仲間が死んだりなんかした日には悔やんでも悔やみきれない。
 だからこいつらを今おいていく選択肢は俺になかった。

「じゃあどうするつもりなんだ。レンがいないとあの辺の冒険者たちじゃ勝てないだろ」

「…………わかっている。本当に厳しい戦いになりそうだな」

「逆に私たちが行きましょうか?」

「それも多分不可能だ。前に言っただろ。ボスっていうのは冒険者たちが陣形をうまく組んで何十人で戦ってやっと倒すものだ。3体も一気に出てきたら破綻する。それに…………一番の主力だったあいつももういない」

 ギアル。
 あいつは能力タレント持ちだ。
 それがいるのといないのじゃ攻略の幅が段違いになる。
 あいつがいないのではほぼほぼ勝てないだろう。

「…………ならどうするのが正解なのよ。このままじゃあ、体力が削られてそのまま死ぬことになると思うけど」

「どうしたらいいんだろう。私にもわからないよ!」

 行き詰まった。
 せっかくここまで来たというのに、これ以上先に進めないのか。
 
 ……もういっそのこと、俺が一瞬であのボスたちを倒してここに戻ってくるのはどうだろう。
 多分、本気を出せばすぐにあれくらいは倒せる。
 だが、距離が離れているうえに人が多すぎる。
 すべての条件が満たされないと厳しい。
 その間にリンたちの誰かが死ぬ可能性は高い。

「残された選択肢はここからエネルギー弾を飛ばすくらいか……」

 距離的には無理じゃない。
 たが、少しでも外せば町もろともギルドも破壊される。
 あの時と同じことになる。

「……それはダメだ。俺には……出来ない」

 また絶望が俺を襲う。
 リンたちの方もさらに疲れて来ていて、少しずつだが追い込まれているように見えた。
 
 しかし、好機は突如として訪れた。

『――――』

 ピーと耳鳴りのような音が町全体に響いた。

「な、なんだ!?」

「鳥の鳴き声みたいに戦ったですけど……」

「これは…………まさか…………」

「間違いないな。スピーカーだぜ!」

 俺はギルドに町全域に聞こえるくらいのスピーカーがあることを思いだす。
 実際に聞いたことは初めてだったが、すぐにわかった。

『――――ごほん。これでつながっているようだな』

 声の主はもちろんギルド長、フィル・エルゼベエト。
 どうやらあの時忙しかったのはこれの準備だったらしい。
 
『モンスター退治に追われていて大変だと思うが、戦いながらでもいいから聞いて欲しい』

 近くの冒険者たちはなんだなんだと騒ぎになっていた。
 町全体がギルド長に注目していた。
 そしてその時、

『今から君たちに私からのありがたい言葉を送ろうと思う。光栄に思うといい』

 そういうのだった。
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