ギルド最弱と呼ばれているけれど、実は数年前、大厄災を起こした最強の能力者でした。最高のヒロインと一緒に隠していたチートの力を使って無双します

シア07

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第34話 真のボス

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「ふぅ…………」

 俺は空中に浮かびながら一息つく。
 ボスを倒した。
 もうギルドを壊そうとする敵はいない。
 俺が…………町を守ったんだ。

「それにしても、あっけなかったな」

 正直にいえばあんまり強くはなかった。
 多分、鎌の少女の方が強い。
 3体のボスとはいっても一体一体をしっかり処理してしまえば脅威ではない。
 これくらいなら、本気でやらなくても勝てたかもしれない。

「ていうか、ギアルってどうして死んだんだ? こいつらくらいならギアルでも勝てただろ」

 ギアルも俺と同じ能力タレント持ちだ。 
 戦った感じではあまり強くはなかったが、ダンジョン攻略において要とされるぐらい必要な存在だと聞く。 
 現在24階層まで攻略できているのは奴のおかげだろう。
 この程度のボスならば戦えるはずだ。

「まあ……油断したんだろうな。もったいない奴だ」

 あいつがどうなろうと俺は知ったことではない。
 リンを襲った。
 その事実はきっと生きていても一生恨んでいたし、憎悪していたはずだ。

 だけど、奴は俺と同じ冒険者で、同じ能力タレント持ちであった。仲間もいたし、力はみなから認められていた。
 ギルドから見たら受けた損害は酷い。
 俺もそれは少し惜しいと思った。
 
「…………それに力があるからな。それに憧れて冒険者になるやつだったり……なんて奴はいないか」

 俺はそんな考えをすてて、下を向く。
 穴があいている下を。

「……まだやることは残っている。俺の最後の仕事だ」

 俺は下に降りていく。
 あの女に話を聞かないといけない。

「やっぱ、隠れていやがったのか」

「…………」

 生きていた。
 鎌の少女といい、こいつらは生存能力が高すぎる。
 傷一つないことからあのエネルギー弾の影響下から離れたのだろう。
 あの一瞬でそこまで移動できたということはこいつも足は速いはずだ。

「……もうお前たちの目的はついえた。これ以上戦っても死人が出るだけだ。【極玉】はお前たちの手に渡ることはない」

「…………」

 再びなにも答えない。
 聞こえているのか心配になる。

「おい、聞こえているのか、答えろ! もうお前は……お前らは……終わりなんだ」

 すると、

「……………………終わり?」

 初めて声をあげた。
 ほんの小さな声。
 ほぼほぼ聞こえないくらいの声だ。

 俺はその反応に少し驚きつつも言う。

「ああそうだ。これ以上、抵抗したところで俺たちには勝てない。諦めて俺たちに自首し、そしてこのモンスターたちをどうにかしろ」

「…………終わりだなんて……」

 俺を無視したような言い方。
 まるで最初から俺に返事する気がないみたいだった。

「さっきから…………お前、いったいどういうつもりなんだ」

「私たちは…………終わりなんかじゃない!」

 女は急に叫び出した。
 悲鳴を上げるくらいの高音で耳に響く。

「貴方……間違っている。私たちが終わることなんてない。負けることなんてないの。だって、私たち2人は最強なんだもの」

「…………だが、実際、お前たちの秘策だったボスは俺が殺した。3体ともだ。このモンスターと同じように復活するにしても俺に勝てるビジョンはない」

「だ、か、ら。それが間違いなんだよ。いつまで貴方は間違い続けるのよ。私たちは負けてないって言ってるでしょ!」

「諦めの悪いやつだな……」

 狂気に満ちていた。
 きっと仮面の下には狂気じみた笑みを浮かべているに違いない。
 
「私たちは…………負けてない」

「さっきからそればっかりだな」

「…………もういいよ。じゃあ死んでよ!」

 いきなり殴りかかってくる。
 一瞬で俺の前の前に来ていた。
 速度はあの少女と同じく速く、目に見えなかった。
 しかし、武器もなしに素手で、弱弱しい殴り方だった。

「…………っち」

 俺は舌打ちをしつつ、殴ってくるのを見極める。
 右、左と交互に来ていた。
 俺は首をくいっとかしげて、それを避ける。

「……! なんで当たらないの!」

「無駄だ。殴るくらいで俺がやられるわけないだろ……」

 全くもって問題のない攻撃だった。
 慎重に見切っていたのが馬鹿に思える。
 それもこれもあの鎌の少女が発端だ。

「ここまでやっても勝てないなんて……」

「これでわかっただろ。もう終わりだ」

 俺は力を使おうとする。
 こいつから色々情報を聞き出そうと思ったが、どうやら無理そうだ。

「貴方を、貴方たちを認めてあげる。本当に強かったよ」

「強かった? どうして過去形なんだ」

「だって…………いまから死ぬんだもん。ここにいる全員を殺すの」

「またたわごとを……」

 俺は手に込めた力をゆっくりと解放していく。
 後はこれを落とすだけで、これは終わる。

 もうこの女のたわごとは聞き飽きた。
 今すぐに俺はこの戦いをやめたい。
 そしてリンや仲間たちのところに行きたいのだ。
 安否が知りたい。

 しかし、そこで事件は起こった。

「ああ……我が眠りし混沌なる竜よ。いまここにて眠りから覚めて、私をお守りください。【強玉】ここあり」

 まるで詠唱のような感じ。
 なにかを唱えているようだった。
 俺はそれに不気味さと少しばかりの恐怖を覚える。
 だから、すぐに力を解き放った。

 さっきと同じように衝撃波と霧が俺を襲う。
 威力は抑えたのでそこまで大きくはならなかった。
 俺はため息をついて、目を開ける。

「…………は?」

 思っていたのと違った。
 跡形もない女がそこにはいると思っていた。
 だが、違う。現実は違う。

「…………まさか……またボスか!?」

 7色に光り輝く竜。
 まさしく【レインボードラゴン】というべき存在が浮かんでいた。
 俺の攻撃を受けたはずなのに、傷一つない完璧な体。

「嘘だろ……まだ居たのかよ……」

 【極玉】の力を初めて見た。
 こうやって詠唱して使うらしい。
 まあ、奴が言っているようにこれは偽物贋作だ。
 だからこそ【強玉】と名づけられているのだろう。

「そう、これは私たちが創り出した最高傑作。最強の竜。【レインボードラゴン】。貴方じゃ、絶対に勝てない」

「よくもまあ、そんな奴を保存できたもんだ。贋作にしては出来が良すぎるんじゃないか?」

「本当にそう。閉じ込めておくための【極玉】を作り出すのは大変だった。これは試作2311号機。本物に69%似せることに成功した【強玉】。あの子の秘策があったように、私にも秘策はあるの。私をなめ過ぎなのよ!」

 少し前の発言の意図がようやくわかる。
 こいつにはまだ力が残っていたのだ。
 それも俺の能力を無効化できるくらいに強いモンスターを。

「厄介だな。本当にお前たち侵略者どもは。面倒で仕方ない。そこまで俺に相手をして欲しいのか」

「そんなこといつまで言っていられるか楽しみ。早く貴方が負けて命を乞うところが見たいよ」
 
 そして、真のボス戦が始まった。
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