孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる

シア07

文字の大きさ
8 / 37

第7話 冒険者になりたい

しおりを挟む
 朝になった。
 今日は家もないので野宿した。適当なところで腰を下ろすと疲れていたのかすぐに眠ってしまっていた。

 初めて野宿したってこともあってか凄く腰が痛い。
 怪我は特になかったけど、止めて欲しい。

「荷物は持ったのか?」

「持ったよ、爺さん。ありがとな」

 行く準備はもうできている。
 荷物といってもほとんどが燃えたのでたまたま置いてあったちょっとした食料とちょっとしたものしかない。
 まあこれでも十分だろう。

「気を付けて行くのじゃぞ。その地図通りに行けば、町に行けるからな。わしたちはここから少し歩いたところに知り合いの家があるからとりあえずはそこを目指す。なにかあったら戻ってくるのじゃぞ」

「わかってる」

「それから……それから……」

「もうわかったから! 大丈夫だって!」

 どんだけ言ってくるんだ。
 心配性かよ!? いや、嬉しいんだけどね!? ちょっとしつこいだけで!

「そ、そうか。なら、頑張るんじゃぞ」

「うん……」

 でも、なんだかこれで少しの間お別れってのは寂しい。
 最初は一人で行こうとしてたけどミクがついてこれることになってよかった。
 多分、一人でだったらなんか寂しくてどうにかなりそうな気がする。

「そういえば、ミクは? あいつどこ行ったんだよ」

 さっきから全然、見かけないんだよな。
 もう出発するって言ったのに。

「ああミクじゃったら……」

「おまたせ……ちょっと待たせたわね」

「……え!?」

「なに驚いちゃったみたいな顔してるのよ」

「そりゃ驚くさ! なにその変な剣。どこにあったの!?」

 小型のナイフ2本を腰ある袋につけている。
 鋭そうなそのナイフは少しカッコイイと思う。

「お父さんに武器とかあるか聞いて、もらったのよ。魔獣が少ないっていっても今回みたいにまた来られたらたまったのもじゃないわ。準備しておくのが賢明よ。ほらあんたも一つ上げるわ」

「マジで!? よっしゃ!」

 テンションが上がってきた。
 武器ってなんだか憧れるよな。カッコイイ!

 ミクから小型のナイフ1つとそれをしまう袋を受け取った。
 早速腰にナイフをつけてみる。

 ……ふむふむ、確かにこれは料理用とはちょっと違う気がする。
 獲物を殺すためだけに作られた感じだ。逆に調理とかは出来ないだろう。

 それに前までは武器なんてなかったから素手だったけど、これからはナイフがあるから多少はなんとかなりそうだ。
 ナイス、ミク!

「……これで全員準備が整ったわね。いよいよ出発の時間だわ」

 辛そうに言う。
 こいつもなんだかんだ寂しいのだろう。
 
「2人とも頑張るのじゃぞ」

「ファクトお兄ちゃんもミクお姉ちゃんもどっちも頑張ってね! 私、応援してるから!」

「僕も応援してる!」

 3人から励ましの言葉をもらう。
 
「サンキューなお前ら。絶対また戻ってくるからその間お前らも頑張れよ!」

「「うん!」」

「それとファクトもう一つお前に言っておかなければならないことがある」

「なんだよ、そんなにかしこまって。どうかしたのか?」

「……いうべきは迷っていたが、言うことにしよう。……まだファクトたちが来る前。もう一人この孤児院にはいたのじゃ」

「え? この孤児院にもう一人いたのか!?」

 嘘だろ……
 信じられない。初めて知ったぞそんなこと。

「名前はクロロという。15年前にファクトと同じく10歳で出て行った。この孤児院はあいつのために作ったのじゃ。だが……」

 そいつのためにこの孤児院を作ったのか。
 だけど15年前ってことは俺は会ったことはないらしい。一体どんな奴だったんだろう。少しあってみたい。

「……出て行ってからずっと音沙汰がない。全くじゃ。どこで生きているかもわからない。だから、どこかで見かけたら教えてくれないか」

「わかった。ついでに探してみるさ。じゃあミク、行くぞ」

「うん、みんなじゃあね。また今度会いましょう」

 そのまま別れ、俺たちはまっすぐ道を進んでいく。
 この通りの道なりに進めばとりあえずは町につくらしい。
 最悪わからなくなった時用のために地図も貰っておいた。

 地図を見ると、俺たちが向かう町はフールという場所らしい。
 なんか変な名前だよなとか思いつつ歩いていた。

「……ねぇファクト、今日中に町に着くと思う?」

 いきなり聞かれた。そういわれてもな……

「どうだろ……ここからどれくらい離れているか知らないし、なんとも言えない気がする。最悪野宿する場合に備えて食料とかはどこかで採取とかしたい」

 食べ物を自分で確保したことはないが、少し前に本で食べれる植物の種類を見たことがある。
 多分確認さえできればわかるだろう。

 ……ありがとう本!
 ちなみに全部焼けちゃってもうなにも見れないんだけどね!

「そうね、確かにその通りだわ。どこかで水も取りたいし……ってそう考えると自分たちで生活するってこんなにきついのね…。初めて知ったわ。もっと楽かと……」

「それな。爺さんがよくもまあ食べ物とか用意できたって感じだ。普通に凄い
ぞ!?」

 尊敬に値するよ、ホント。
 本人には絶対言わないけど。

「それで本題なのだけど、職業はどうする気なのよ。あっちに行っても職につけなければすぐにお金も尽きて追い返されるわ。……そしたらこの計画は終わりよ、終わり。しかも私たちはまだ10歳だからあまり職に就きずらいし……」

「それなら俺に考えがあるから大丈夫だ」

「考え?」

 俺はうなずき、話し出す。

「まず普通の職業……建築とか商業とかそういうのは子供にはできないから相手にされないのはわかってる。だけど、たった一つだけ年齢とか関係ないものがある」

「なによ……それ」

「冒険者だ」

「ぼう、けんしゃ?」

 なにも知らなそうに首をかしげた。
 まあ知らないのも当然か。俺も本で見て知ったものだし。

「冒険者ってのはこの前出た魔獣とかを討伐する仕事のことだ。これは年齢とかは関係ない。完全に力があればできる」

「それってもっと難しいってことじゃない!? あんたってやっぱり馬鹿なの!? いや馬鹿でしょ!」

「馬鹿じゃないから! ていうか大体そんなに言うならミクが意見出せよ。どうせ、なにも浮かばないくせに」

「あら、私にも考えがあるのよ。まずは町に行くでしょ。そしたらモテて、告白とかされるじゃない。そしたらお金を稼いでもらえばいいでしょ」

 自信に満ちた顔つきで言う。
 なんていえばいいんだろうか。

「……お前ってたまにそういうところあるよな」

「そういうところってなによ!?」

「ま、とにかく。俺たちは冒険者になることは確定してるから。そもそもそのために行くって決めてたから!」

「……じゃあ一旦はそれってことにしておくわ。ダメだったときは私のプランを採用するわね」

「それだけは絶対やめろ」

「なんでよ!」

 俺は魔法とか色々もっと知りたい。
 それに冒険者って響きとそのカッコよさに憧れてた。だから、俺も成りたいと思った。
 
 町についたら本ももっと読みたいし……あれ、なんだかワクワクしてきた。
 早く着かないかな!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

無能認定され王宮から追放された俺、実は竜の言葉が話せたのでSSS級最凶竜種に懐かれ、気がついたら【竜人王】になってました。

霞杏檎
ファンタジー
田舎の村から上京して王宮兵士となって1年半…… まだまだ新人だったレイクは自身がスキルもろくに発動できない『無能力者』だと周りから虐げられる日々を送っていた。 そんなある日、『スキルが発動しない無能はこの王宮から出て行け』と自身が働いていたイブニクル王国の王宮から解雇・追放されてしまった。 そして挙げ句の果てには、道中の森でゴブリンに襲われる程の不遇様。 だが、レイクの不運はまだ続く……なんと世界を破壊する力を持つ最強の竜種"破滅古竜"と出会ってしまったのである!! しかし、絶体絶命の状況下で不意に出た言葉がレイクの運命を大きく変えた。 ーーそれは《竜族語》 レイクが竜族語を話せると知った破滅古竜はレイクと友達になりたいと諭され、友達の印としてレイクに自身の持つ魔力とスキルを与える代わりにレイクの心臓を奪ってしまう。 こうしてレイクは"ヴィルヘリア"と名乗り美少女の姿へと変えた破滅古竜の眷属となったが、与えられた膨大なスキルの量に力を使いこなせずにいた。 それを見たヴィルヘリアは格好がつかないと自身が師匠代わりとなり、旅をしながらレイクを鍛え上げること決める。 一方で、破滅古竜の悪知恵に引っかかったイブニクル王国では国存続の危機が迫り始めていた…… これは"無能"と虐げられた主人公レイクと最強竜種ヴィルヘリアの師弟コンビによる竜種を統べ、レイクが『竜人王』になるまでを描いた物語である。 ※30話程で完結します。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

チートスキルより女神様に告白したら、僕のステータスは最弱Fランクだけど、女神様の無限の祝福で最強になりました

Gaku
ファンタジー
平凡なフリーター、佐藤悠樹。その人生は、ソシャゲのガチャに夢中になった末の、あまりにも情けない感電死で幕を閉じた。……はずだった! 死後の世界で彼を待っていたのは、絶世の美女、女神ソフィア。「どんなチート能力でも与えましょう」という甘い誘惑に、彼が願ったのは、たった一つ。「貴方と一緒に、旅がしたい!」。これは、最強の能力の代わりに、女神様本人をパートナーに選んだ男の、前代未聞の異世界冒険譚である! 主人公ユウキに、剣や魔法の才能はない。ステータスは、どこをどう見ても一般人以下。だが、彼には、誰にも負けない最強の力があった。それは、女神ソフィアが側にいるだけで、あらゆる奇跡が彼の味方をする『女神の祝福』という名の究極チート! 彼の原動力はただ一つ、ソフィアへの一途すぎる愛。そんな彼の真っ直ぐな想いに、最初は呆れ、戸惑っていたソフィアも、次第に心を動かされていく。完璧で、常に品行方正だった女神が、初めて見せるヤキモチ、戸惑い、そして恋する乙女の顔。二人の甘く、もどかしい関係性の変化から、目が離せない! 旅の仲間になるのは、いずれも大陸屈指の実力者、そして、揃いも揃って絶世の美女たち。しかし、彼女たちは全員、致命的な欠点を抱えていた! 方向音痴すぎて地図が読めない女剣士、肝心なところで必ず魔法が暴発する天才魔導士、女神への信仰が熱心すぎて根本的にズレているクルセイダー、優しすぎてアンデッドをパワーアップさせてしまう神官僧侶……。凄腕なのに、全員がどこかポンコツ! 彼女たちが集まれば、簡単なスライム退治も、国を揺るがす大騒動へと発展する。息つく暇もないドタバタ劇が、あなたを爆笑の渦に巻き込む! 基本は腹を抱えて笑えるコメディだが、物語は時に、世界の運命を賭けた、手に汗握るシリアスな戦いへと突入する。絶体絶命の状況の中、試されるのは仲間たちとの絆。そして、主人公が示すのは、愛する人を、仲間を守りたいという想いこそが、どんなチート能力にも勝る「最強の力」であるという、熱い魂の輝きだ。笑いと涙、その緩急が、物語をさらに深く、感動的に彩っていく。 王道の異世界転生、ハーレム、そして最高のドタバタコメディが、ここにある。最強の力は、一途な愛! 個性豊かすぎる仲間たちと共に、あなたも、最高に賑やかで、心温まる異世界を旅してみませんか? 笑って、泣けて、最後には必ず幸せな気持ちになれることを、お約束します。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...